谷垣健治氏&船木壱輝氏トークショウ

先日、新宿武蔵野館にて行われたドニー・イェン主演「レジェンド・オブ・フィスト/怒りの鉄拳」谷垣健治氏&船木壱輝氏トークショウを見てきました。

今回はもちろんトークショウも期待していましたが、配給した大阪のツインの吉鶴社長にお目にかかるのを、すごく楽しみにしていました。
と、いうか誰かに思いっきり功夫映画のことを喋ってみたかった、という邪心もなかったとは言えない(笑)。

思い切って吉鶴さんに「この作品、なんで広東語じゃなかったんすか?」と尋ねてみたところ、「むこうの配給会社の指定してきたフイルムがそうだったんです」というお答え。そういう事情もあるんですねぇ。

同時に、配給協力をした太秦の小林社長や取締役の植草さんにもお目にかかれたうえ、なんと幸運なことに谷垣健治さんにもご紹介していただき、直接色々お話することができました。非常に感激です。
↓一緒に撮ってもらった写真。興奮を隠しきれないめちゃ怪しい自分。

さて、トークショウの内容ですが、すでにニュースになっているので、ここではそこからこぼれたお話。

山崎中尉を演じた船木さんには最初アクションシーンが予定されていて、虹口道場で陳真と戦うつもりで訓練していたそうです。
が、例によって香港映画ですから、シナリオは急遽変更になり結局そのシーンは没に。
ご本人は何もおっしゃいませんでしたが、内心かなりガックリきたのではないでしょうか。山崎中尉とのアクションも見たかったですね~。

谷垣さんいわく、とにかくこの精武門映画化はドニーさんにとって長年の希望だったらしく、99年に一度企画がありながらも流れたりして今回はやっと巡って来た機会だったそうです。
決まっているのは、精武門道場で死んだと思われていた陳真は生きていた、それだけ。
そこで脚本をどうするか、ずっとそんなミーティングばかりしていたそうな。

おおまかな案はふたつ。伝統的な功夫映画を踏襲するか、それともまったく違うモダンなものにするか。
どちらを選択したかはご存知ですよね。

とにかくハリウッドで「グリーン・ホーネット」を制作していたのは分っていたので「向こうの公開前にカトーやっちゃえ!」というのは思っていたようで(笑)。

企画の段階でドニーさんは「これはバットマンにする!」と宣言。
しかもあの妹を演じた周揚をキャットウーマンよろしくコスプレさせて、バイクのサイドカーに乗せ二人で暴れまくる気満々だったらしいですぜ(笑)。
そのつもりで彼女も事前に相当なアクション訓練を時間をかけて受けていたくらい。

「なのに脚本が二転三転するうちに、それもなくなり、結局あの役になっちゃいました」と谷垣さん。全然違うやんか!
見たかったなぁ、カトーとキャットウーマンのコンビ(笑)。

そして、最近噂に出ていた成龍と共演の新作ですが、どうやらこれは実現に近い感触?
12月から始めるから武打師編成しとけ命令が出たとか。うわ~楽しみです。

そんな谷垣さんは今「るろうに剣心」のアクション監督として撮影の真最中。
幕末のワンチャイ!をイメージしたというこの映画、「ハゲタカ」や「竜馬伝」で注目されNHKを退職したばかりの大友啓史監督作品。主演は佐藤健さん。来年の夏公開予定。こちらも、とっても楽しみでございます。

しかしそのるろうに剣心が果たして12月までにクランクアップするのか、本当に12月から成龍とのバディムービーとやらがインするのか、多分今の段階では誰ひとりとして知りようはないでしょう(笑)。
なにしろ、いつの間にかキャットウーマンが過酷な運命に翻弄される三つ編みヘアの妹に変更されちゃう世界だもの。

来年は8本撮ると口走ってしまったドニーさんだそうですが、その中にはとうとうドニー監督作品!!!も企画があるそうで。しかも3Dですってよ~、奥さん。

そのうえに、本当はトークショウで流したかったけれど、技術的なことで流せなかったという「レジェンド・オブ・フィスト」のドニーさん稽古風景もパソコンで見せて頂けて大変幸運でした。

撮影のために日本からジークンドーの専門家を呼んで稽古した時の数分の動画です。
拝見したのは、あのOPの戦場アクション用にナイフ2本を使った基本動作。
時々詠春拳の黐手(でいいんですよね、互いの腕が触れ合った状態で攻防があるあの感じ)に似たのがあって、「ジークンドーのルーツは詠春拳であった」と思わせるような動きもみられました。
今年はこのあと不幸なことが連続して起こっても仕方ないくらいの、このラッキーな出来事に、谷垣さんには感謝のしようもありません。

そういえば、パンフレットに「今作でドニーは突き蹴りを封印する」と書いてあったので「本当ですかね」と直接聞いてもみました。
すると「う~ん、あの頃は本当に腰が痛くて、そう思ったんじゃないですかね。でも、まぁ多分またどっかでやりますよ」とのお言葉。
よかったです、そのうちにまたあのパワフルな突き蹴りが戻ることを願いましょう。
谷垣さん、本当に色々ありがとうございました!

そして嬉しいニュースはまだ続きます。
たくさんの方とお話したなかで「武侠」も日本の会社が配給権を買ったみたいで、どうやら無事に日本公開されそうだという噂を聞きました。
おおお、あの映画をでかいスクリーンで日本語字幕を見られるんですね!めちゃくちゃ嬉しいっす。

とにかくその夜は吉鶴さんや小林さんや植草さんに遅くまでお付き合い頂き、思い切りドニーさんやジミーさんのこととか、(功夫じゃないけど)「山の郵便配達人」のエピソードや「新座頭市 破れ!唐人拳」のラストの話とか(勉強になりました!)、劉家良師父とか、劉家輝とか、リンチェイとか、様々な功夫的な話ができて本当にうれしかった!てか、銭嘉楽の名がそのまま通用する世界って素晴らしい(笑)。

喋っていて、まさかこの口から声に出すことなどないだろうと思っていた名前とか映画タイトルとか一杯ありすぎて、ずっとカミカミだったのが自分でも相当笑えました(笑)
みなさん、遅くまで、こんな酔っぱらいに付き合ってくださって、感謝でございます。
本当に本当に、めっちゃくちゃ楽しかった!

そうだ、新宿武蔵野館に展示してあるドニーさんの衣装ですが、あれは支配人さんのアイディアだったんですって。
「あれは最後の1着だったそうです、いや~言ってみるもんですね!」
素晴らしい!パチパチパチ。ブラボー!新宿武蔵野館!

精武風雲 陳真/(邦題)レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳 香港BDにて鑑賞、のちに日本語字幕を試写室で―ドニー・イェン 甄子丹

Black&White

谷垣健治のアクションバカ万歳!(谷垣さんブログ)

 

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フィギュアスケート、シーズン開幕

さいたまスーパーアリーナで行われたフィギュアスケートジャパンオープン2011カーニバル・オン・アイスを観ました。

毎年、ここで選手の新しいプログラムを観るのを楽しみにしています。
そして、ここでいつも「フィギュアシーズン開幕!」という気分で一気に盛り上がるわけであります。

今回初見で一番「おお」と胸熱だったのはカナダのパトリック・チャン選手。
なんとフリーに「アランフェス」を選んだのですね。
しかも曲の繋ぎが、あの本田武史さんのと大部分一緒で「ローリー・ニコルもあのプログラムには思い入れがあったんだろうな」と勝手に解釈して嬉しゅうございました。

彼が滑ると足元しか見えない(笑)。目が釘付け。気持ちいい。なんでしょう、あの吸いつくようなスケーティングは。
カーニバル・オン・アイスのアンコールで昨年のSP「テイク5」を滑ってくれましたが、あらためて素敵なプログラムだな~と惚れ惚れ。

そして高橋大輔選手のフリーも初お披露目。
今年の曲はブルースギターの「Bluces for Klook」
わお!かつてウソワ&ズーリンやアレクセイ・ヤグディンも滑ったナンバーで結構フィギュアスケートでは使われることも多い楽曲。
振り付けはお馴染みカメレンゴ先生。これは滑りこんだらかなりセクシーになりそうです。期待。
エキシは一転してピアノで始まる静かなナンバー。とても素敵でした。
この曲なんだっけ。そう思いながら観ていたらラスト、すーっと目の前を横切るフェイドアウトのような終わり方で気がついた。
映画「海の上のピアニスト」だ。エンニオ・モリコーネ!帰ってさっそくサントラ引っ張り出して聴いてしまいました。

エキシといえば、一番気に入ったのは小塚選手。今までチャレンジしてきたものが活かされていて、なのに新鮮でした。
とっても佐藤有香さんらしい選曲(笑)曲名は分りませんが、そのうちにどこかで目にするでしょう。なにしろスケートファンの方々の情報の速報性と思い入れの深さはハンパないですから(笑)。

ほかにもサラ・マイヤーとかジョアニー・ロシェットとか、安藤美姫選手(ブラックスワン、ドラマチックで似合いますね!)鈴木明子選手、荒川静香さん、本田武史さん、ジェフリー・バトルにアレッサ・シズニー、高橋トラン組にリード姉弟、羽生結弦選手に、(大阪のおばちゃんも驚きの虎柄で登場した)フローラン・アモディオ、サヴチェンコ、ゾルコビー組に庄司理沙ちゃん。

そして噂のロシアの秘蔵っ子、(さて名前が正確に書けるかな)エリザベータ・トクタムシュワ。
生で初めて見ましたが驚きです。うわ~今後めっちゃ楽しみです。
それにしてもミーシン先生、ウロウロしすぎです(笑)。大きいから目立つ。

あ、そうだ。レオノワはコーチがモロゾフに変わったんですね。
彼女のときにキスクラでモロゾフコーチが身体を斜めにしていたので気がつきました(笑)。

今回のカーニバル・オン・アイス、なんとなくいつもと違って手造り感があって非常に楽しかったです。最後、男子がジャンプ大会になったりシズニーの素晴らしいスピンを選手が取り囲んだり、観ている観客の胸に暖かいものが伝わる気がしました。

ありがとう、選手の皆さん、怪我なく無事に今シーズンを過ごしてください。
今年もみなさんの素晴らしい演技を期待しています。

そしてフィギュアシーズン開幕おめでとう、自分。

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映画 功夫・詠春(2010年・香港)

以前、ドニーさんの「関雲長」を中国語字幕しかないDVDで見た時に、三国志がよく分らん自分は台詞がどうしても知りたくて、普通語の漢字をいちいち手打ちで翻訳サイトに入力し、意味がサッパリな訳文になったら、その都度辞書やネットで慣用句とかを確認してみるという、信じられないような執念深いことをしたことがあります。

その効果でしょうか。
それ以来、中文に対しての苦手意識がやわらぎ(ヒアリングとかは絶対無理)、今じゃ英語字幕より中国語字幕の方が字数も少ないし観るのが楽になりつつある自分に驚いています。(所詮アクション映画程度だけど)

いや~、人間何でもやってみるもんだ!

今回のこの作品も、途中から字幕を英語から中文に切り替えてしまいました。
まさにパッと見、慣れると漢字の方が楽だし早いもんな~。
さすがに「関雲長」のような執念深いことは二度としていませんが、どこまで正確に理解できてるかどうかは・・・謎(笑)。

監督
張同祖(ジョー・チョン)

出演
白静(バイ・ジン)
余少群(ユー・シャオチュン)
惠英紅(クララ・ワイ/ベティ・ワイ)
鄒兆龍(コリン・チョウ)
元華(ユン・ワー)
元秋(ユン・チウ)
惠天賜(オースティン・ワイ)

アクション監督
董迹求iトン・ワイ)
江道海(コン・タオホイ)

ドニー・イェンの「イップマン序章」と「イップマン葉問」がむこうで大ヒットしたおかげで、その後、追随作品が結構作られました。
例えば杜宇航(デニス・トー)主演の「葉問前傳」とか。(そういや、デニスは実際に詠春拳の達人)
実はこの前傳のテイストが自分の好みとは少し違ったのもあって(デニスは、とってもよかったけどね!)、この「功夫・詠春」のことはあまり気にしていませんでした。
が、キャスト、スタッフを見るとやたら豪華じゃありませんか。
そして決め手になったのが「酔拳」「蛇拳」そしてワンチャイシリーズを制作した呉思遠(ン・シーユン)がプロデュースしたという一文。

これは観るしかない。

そして観てよかった!
これ、かなりの良作です。さすが呉思遠!

まず、200人の中からオーディションで選ばれたという主役の白静ちゃんが、非常に良かった。
「元気ハツラツ」って言葉を久々に思い出しましたよ!日本なら間違いなく「オロナミンC」のCMやるね。

アクション監督はトン・ワイとコン・タオホイ。もう大御所2人ですもん、心配はないどころか、この2人の要求に見事応えた彼女の能力の高さに痺れました。
わぁ~久々出てきた本格的な女武打星の今後に期待しますよ~。
武術を習っていたわけではなく踊りが得意ということですが、どうかどうかお願いします、アクションやり続けてねセンスあるもん!白静ちゃん!

ストーリーは、詠春拳の創始者といわれる厳詠春が主役。
ドニーさんとミシェル・ヨー姐さんの「詠春拳」と非常によく似てる、てか多分これリメイクだよね。

実家は豆腐屋だし、婚約者も梁博菫ヲで同じ名前だし(キャラクターは相当違うけど)。あれから、山賊を抜いて少林寺の焼き打ちエピ+詠春の修行を足した感じでしょうか?

さて、詠春の婚約者、梁博菫ヲを演じるのはあの陳凱歌監督「花の生涯 梅蘭芳」で少年時代を演じた余少群。
あの時の彼の存在感はハンパなかったです。また共演した王学圻の演技も目を瞠るほど素晴らしく、2人のシーンは見ごたえがあったわ~。

そんな彼もすっかり大人になりました。
そういや最近、ウイルソン・イップ監督の「倩女幽魂」でも観たよ~。レスリーの後はプレッシャー大変だったろうなぁ。
秋に公開される「新少林寺」や成龍の「1911」にも出演してるとか。すっかり売れっ子ですね。
彼のアクションを今回初めて観ましたが、結構いい感じです。今後も時々はアクションしてください、あなた、めちゃくちゃ辮髪古装似合うから。
新少林寺では少林僧のひとりなんだよね、どれくらい上達してるかアクション楽しみ。

脇を固める役者衆も激しくよろしいです。
まずは詠春の師匠役の惠英紅と、敵役のコリン・チョウ。
いやいや、この2人がいるだけでアクションに説得力が出ますね。
特にコリンはあんないい人そうな顔をして悪い奴だからなぁ。ラストバトルも彼がいたからこそのシーン。ブラボー!コリン!

最近は悪役ばかりですが、サモハンの下でキャリアを積んでいた頃はなかなか繊細な好青年も演じてたんだし、たまにはいい人役のコリンも見てみたいです。
中華版アジョシみたいなので、ひとつ、どうでせう。
前半、おもいっきしくたびれさせて。実年齢もビジュアルもなにもかもリアル大叔、ええやないですか。

そん時は仕方ない、コリンのためだ、あのベトナム人の役でドニーさんをお貸ししましょう(笑)。顔もちょっと系統似てるし。
その代わり、あのファイトシーンは長くディープにしまっせ~。なかなか決着つかずに7分くらい殴り合ったり関節技かけますから。・・・ってまた話が横道にそれました。

話を戻します。
梁博菫ヲの両親役で登場するのが、「カンフーハッスル」以来すっかりコンビとして定着した感のある元華&元秋(笑)。「カンフー麻雀」でも観たけど、この2人、あれ以来一体何本の映画にコンビで出てるんだろ?

あと惠英紅の実兄である惠天賜も出演。かつては京劇出身の武打星として人気を博したお人。
実はこの方、ドニーさんのSPLと導火線にも出ています。このふたつの作品で男前のナイスミドルが登場したら、それが彼(笑)。
それにしても、すんごい美形兄妹だなぁ。

余談ですが、アクション監督のトン・ワイも映画に出てた若い時はすごく可愛かったんですね、最近、昔の写真見て腰抜かしそうになるほど驚きました。

てな具合に、スタッフキャストを見ただけで、この映画の本気度がわかる。

ラストバトルは接近戦に強く狭い所で闘うと効果をより発揮する詠春拳だけに、色々場所を移動してのアクションに工夫がありました。
なにしろ闘うのが若いお嬢さんとコリンですからねぇ、嘘っぽくならないように相当知恵を絞ったに違いない。
まぁラストバトルも終盤近くになると、もはや詠春拳じゃないじゃん!と突っ込みもいれたくなりますけど、まぁあの高速連打を彼女ができるわけもなく、映画なんだから細かいことはキニスンナ!ということで。

とにかく女性が主役のアクション映画としては最近のなかでは秀逸の出来です。
特に古装ものなのにアクションがファンタジーに振れ過ぎてなかったところに、とっても好感を持ちました。←これ重要。
リミッターが外れた瞬間なんか「詠春・怒りの鉄拳」になってたし(笑)いいよいいよ~。

そしてアクションが素晴らしい上に、出てくる男たちの辮髪のよろしいこと!
特に余少群の辮髪は、この現代を生きる人と思えぬほど似合ってます。この衝撃はリンチェイの辮髪を初めて観た時と同じくらいか。

本格的辮髪欠乏症の方には、騙されたと思って観なさい、と声を大にして言いたい。
麗しいのから、ちょっと間抜けな感じまで老若取り揃えて、辮髪好きの皆さんをお迎えします。これ1本で随分補えるはず。いや、マジで。

そういや最後の最後に「そこで葉問パクリネタくるか!」ってのが(笑)。
ま、これも御愛嬌御愛嬌。

もう色んな意味で、充分に満足できました。強力にお勧め。
DVDスルーでいいから日本語版でないかなぁ。

功夫・詠春予告編

残念なことに主演の白静ちゃんは2012年、惜しくも亡くなってしまいました。
彼女への追悼エントリー

 

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レフトから眺めた42番

9月23日、鳴尾浜球場、対オリックス戦。
今年でタイガースを去る下柳投手の縦縞ユニフォーム姿を観ようと、1300人のファンが集まったそうです。

2回2安打無失点。残念ながら現地に行くことはできませんでしたが、丁寧にコーナーワークをつく投球は健在だったと新聞で読みました。

私は東京で暮らしているので、観戦は関東球場のほうが圧倒的に多い。
席種も様々で、内野外野バックネット裏、たまにはユニフォームを脱いで神宮の1塁側でまったり観戦、なんてこともあります。

東京ドームのレフト席はシート数が少ないぶん、ひょっとすると甲子園のライト側より「密度が濃い」場所かもしれません。いい意味での必死感が隅々までみなぎってる。
ここで壮絶な打ち合いなどというゲームに遭遇した日には翌朝声がガラガラなんてことも。

そんな東京ドームのレフト席から眺めた選手で、私が一番気に入っていたのが下柳投手でした。

左投手がマウンドに立つと、ちょうど背番号をレフトスタンドに向ける格好になります。
面白いもので、同じ左投手でもマウンドに立った時のニュートラルな姿勢は人によってそれぞれまったく違う。

自分にとって、その立ち姿が一番格好良よく思えるのが下さんなのです。

腰を折ったりせず、かといってピシッと背筋を伸ばすわけでもなく、軽く腕を下ろし(この肘の角度がまた絶妙で形が毎回ほぼ一緒)キャッチャーのサインを見やる後ろ姿は「居合抜きのタイミングを計る時代劇の素浪人」を連想させました。

しかしそれは平静時の下柳投手。

調子が悪い日や打たれ始めると、過去彼の球を受け続けた矢野さんがよく言ったように「パドックをぐるぐる回る馬みたいに」マウンドの周りをウロウロ。
あんなに離れたレフトスタンドからからでも、まるで間近で投げているような感覚を与え、その背中はタイガースファンである私を一喜一憂させる特徴がありました。

こればかりはテレビ中継でも映らない、スポーツ新聞の写真にもならない、いわばあの場所から彼の投球を見た観客だけの記憶。

もう一度あの42番の背中をドームのレフトで観たかった。

いや、今度は別のユニフォームの背中を見られることを期待しましょう。あなたの野球人生がこの先も続くことを願っています。

タイガースでのたくさんの勝利と2度の優勝を、心からありがとう。

下柳剛オフィシャルサイト

 

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たかが顎

ある番組に出演した際に、顎の噛み合わせが悪いと身体に弊害が出るという実験をしました。

まずは大阪大学名誉教授の丸山剛郎先生にじっと顔を見られる。

自分のような仕事をしていてなんですが、こう、初めて会った人に至近距離から顔を観察されるって落ち着かない。
やがて先生は「ああ、右にズレてますね」と一言。その声がなんだか嬉しそうだ(笑)。

「右に寄ってると、不都合がありますか?」
当然の反応として、つい聞いてしまった私。

すると先生は私の首を軽く押し始める。
いててて、自分、右の首が慢性的に凝る体質。

続いて腕を両側に水平に広げて真っ直ぐに立つように指示を受けると、今度は身体をひょいと右側に押される。
ちょ、いきなり!
足をふんばりよろけそうになるのを耐えました。

「じゃ、こっち側ね」
先生、今度は反対方向に身体を押す。
と、あらかじめ覚悟が出来ていたはずなのに足元がおぼつかずに大きくよろけちまいました。

「こういうことなんですよ」
どうやら顎のかみ合わせがズレると、首や腰など他の部分でそのバランスを取ろうとして少しづつ骨全体がズレてきて力が入らない「側」ができるらしい。

それをずっと放置してると最悪、頭痛や肩コリ腰痛視力低下にもつながる危険があるんだとか。

たかが噛み合わせで?

一瞬そう思った心を読んだかのように、ニッコリ笑った先生は爪楊枝サイズの木のスティックを私に噛ませます。

「はい、そこで少し左にすべらせて~」

落ち着いたところで、また同じ実験。

すると今度は、さっきまで頼りなかった左側もしっかり力を入れることが出来てふんばれる。
しかもその状態だと首を触っても、あの首痛がまったくない!

たった、これだけのことですよ。
いや、驚いた。

先生曰くスポーツマンのマウスピースも「正常な噛み合わせで作らなければ実はパワーを削ぐことになったりして意味がない」と力説する。

「テレビでよく見る口の曲がった政治家なんか気になりますでしょ」と訊いたら、「さぞ腰が悪いだろうと思う」と即答。
いや、悪いのは腰だけじゃないだろうけどさ(笑)。

聞けば噛み合わせが正常であるだけで脳の働きもよくなるんだって。

そういや最近めっちゃ集中力がなくなってきた自分。
特注のマウスピースのお値段聞いたら結構な金額だったので(笑)、とりあえず、これからはせっせと左右均等に顎を使ってご飯を食べるようにいたしますわ!

 

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Black&White

今日、新宿にデンマーク映画の「未来を生きる君たちへ」を観に行ったら、新宿武蔵野館が凄いことになってたよ、おい。

そういえば、明日はいよいよドニーさんの「レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳」公開初日なのでありました。

なんと、3階のエレベータがこんな事態に。

新宿武蔵野館‐1
三機あるひとつづつが、今後公開される香港映画、まずはドニーさんの「レジェンド・オブ・フィスト」
新宿武蔵野館‐鉄拳

ダンテ・ラム監督の「密告・者」
新宿武蔵野館‐密告者
ジョニー・トープロデュースの「アクシデント 意外」
新宿武蔵野館‐アクシデント
デカイポスターで飾られているじゃありませんか!

そして、ロビーには、陳真を演じたドニー・イェンが実際に着た白い中山服と、黒い天山黒侠の衣装が!
ひぃ~、つい携帯で撮ってしまいましたわ!
新宿武蔵野館‐white2
ちょうど開場待ちが、世界に蔓延する暴力とそれを赦すことの困難さを描いた「未来を生きる君たちへ」だったからでしょうか。
自分以外にその衣装に反応する人などおらず、ましてせっせと写真を撮る人もなく(笑)、お蔭様で一人ゆったりとじーっと細部まで観察することができたのであります。ラッキー!

黒い天山黒侠は、非常にガラスの反射がひどくて、上手に撮ることができず。どの角度でも同じようにアウトだったのでちょっと残念です。ちっ。
新宿武蔵野館‐black2
よく見ると、肘の部分や脇、そしてパンツの横の部分がストレッチの別素材なんですね。(この写真で分るかしら?)
新宿武蔵野館‐black1

そういえば導火線の時の革ジャンも、実は脇の部分が別素材になっていましたが、やはり動きやすいように考えられているんですねぇ、納得。

白い中山服は多分同じ型紙なのでしょうが、こちらはもともとストレッチ素材でできているのか、単一素材で作られているみたい。ボタンは両方ともに同じ。

皺になっているのは輸送の際についたものかとは思いますが、間近で見ると妙にドギマギしてしまったりして(笑)。
新宿武蔵野館‐white

結構小柄なドニーさんでありますが、こうして実際着用した衣装を目の前にすると、やはり肩幅やなんといっても身頃の厚みが違います。

いや、思わぬプレゼント。

公開されたら休憩中には、衣装の前はきっと人だかりができるのでしょうから、こうしてゆっくり見れて本当にめちゃ幸運でした。

これを展示したスタッフは絶対に匂いかいでるよね(笑)。

精武風雲 陳真/(邦題)レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳 香港BDにて鑑賞、のちに日本語字幕を試写室で―ドニー・イェン 甄子丹

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映画 未来を生きる君たちへ(2010年 デンマーク)

監督
スサンネ・ビア

出演
ミカエル・パーシュブラント
トリーネ・ディアホルム
ウルリッヒ・トムセン
ヴィリアム・ユンク・ニールセン
マークス・リーゴード

2011年度の、アカデミー賞とゴールデングローブ賞で最優秀外国語映画賞を獲ったデンマーク映画。
ずっと行きたかったのに時間が取れず、最終日の最終回にやっと滑りこむことができました。
本当は同じ新宿武蔵野館で上映している剣雨も一気に観たかったのだけど、いくらなんでもこの作品とは喰い合わせが悪いのではと思い断念。今日はこれ1本に。

前評判を斜め読みしたところ、硬派な社会派ストーリーなのかと想像していたのですが、なんの、非常によく出来たふたつの家族の物語でありました。

自分が映画を観ていて手放しで大好きだと感じる作品は「理由なしに興奮するもの」と「気がつけば、どっぷり感情移入してしまったもの」非常に乱暴に分けるとそういうことになるでしょうか。

この作品は間違いなく後者。
人間はいくら高い理想を持っていても、それを貫くのは本当に困難で、理不尽にも耐え無理解やタイミングの悪さ、そして何より現実とどう向きあうか、常に選択を迫られることに行きあたる。
そんなたくさんのハードルを思うと、日々やり過ごすことが精いっぱいな気がすることがあります。

この映画に出てくる主役たちに誰ひとり悪人はいません。(対比する存在としての悪人は登場しますが)なのに原題のタイトルは「復讐」です。
いわゆる普通の人達が理不尽な出来事や暴力や裏切りにあった時、どうするのか、復讐するのか果たして赦すことができるのか、この人類の永遠の命題に揺れ動く人の心を、映画は丁寧に観客に投げかけてきます。

結論はでません。でるはずなどないでしょう。だからこそ、これは非常に小さなふたつの家族の物語であるのです。
そう思って観ると登場するそれぞれの父親、そして子供たちのその瞬間瞬間の感情の狭間でつい涙が。気がつけば何度も嗚咽を抑えるのに難儀してしまいました。

原題は「復讐」ですが監督自身はインタビューでタイトルは「赦し」でもよかった、と語っています。邦題「未来を生きる君たちへ」というのは自分にとっては、とてもしっくりきたと感じています。
素晴らしい、本当に素晴らしい一本でした。

最後に余談。
主人公の1人、医師アントンを演じたスェーデンの人気俳優、ミカエル・パーシュブラントのわき腹に何やら文字の刺青があり、「これはアフリカの紛争地帯で働く医師として何かあった時に身元が分るように彫ってあるのか?謎だ」と思って観ていたのです。

その答えがパンフレットの中で、キャスティングについての監督の談話にありました。

「(この役に)身体中に元恋人の名前のタトゥーが入っていて、暴力沙汰を起こしたり、意識を失うまで飲んだくれたりすることで知られるミカエル・パーシュブラントを選んだら、まず人はアントンという役柄のポジティブな特徴を排除してしまう危険性があるでしょうね。
でも私にしてみれば、それはとても意図的な決断なの。
ある人の内面に潜む平和主義者を実生活においてあからさまに平和主義者として描くのは、あまり“セクシー”なことではないわ。でも、もしそれがミカエル・パーシュブラントなら、全てがずっとセクシーになる。(以後略)」

大変面白い、そして女性らしい視点だったので、とても印象に残った言葉です。

未来を生きる君たちへ日本公式サイト(予告編あり)
HAEVNEN  IMDb
In a Better World (HAEVEN)US DVDオフィシャルサイト

 

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自転車の神様

中野浩一さんというと自転車の神様。
その中野さんに「渋谷スポーツカフェ」でお目にかかりました。

「自転車というとヨーロッパじゃキング・オブ・スポーツ。だから世界選手権10連覇という偉業を成し遂げた中野さんはむこうじゃ物凄い英雄なんだぜ!」と打ち合わせから結構な勢いで店長ひぐち君に説明する自分。スイッチ入りました(笑)

昔NHKで放送した中野さんの10連覇の偉業についての特集を見たことがあって、その凄さに目が点になったことをよく覚えています。

オンエアでも当然その話に。
あの伝説にもなっている10連覇達成の時は、実は中野さん、5月の練習中に転倒し肋骨を(なかには肺に刺さった骨もあったとか)骨折するという大怪我をしているのです。

その治療しつつ同時にリハビリしながら(無理じゃん!と思ったけど「イヤ本当に同時にやったんだよ」と本人談)、3カ月でなんとか競争可能にこぎつけました。

その矢先、練習中にまた転倒、結局骨折が完治しないまま世界選手権に出場。
「不安はなかったんですか?」という質問に対して中野さんは「ま、タイムトライアルで世界新記録を出したからね、それで行けると確信した」とのお答え。すごいっす。

自転車をうまく漕ぐコツはペダルを押すだけでは早く回転しない、引くことも重要でその切り替えがうまければ、それだけ力が最大限に生かせるのだとか。中野さんが誰よりも早かったのはそのお蔭なのだそう。

自転車の進化は目覚ましいそうで、もしあの時代に今のマシンがあったらもっと早かったと思いますか?という質問には「間違いなくあの頃より早い、でも自分はママチャリでも速いからね、昔後ろに乗せたTBSのアナウンサーをママチャリで振り落としたことがあるから!」と豪快に笑っておられました。

とにかく自信に満ちあふれ、俺様モード全開の中野さん、カッコよかったです。

 

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永遠に、モンティ・パイソン

驚いた、なんとエリック・アイドルが来日というニュース。

なぜ?なぜ来日?と読んでみるとなんと、2005年にトニー賞を獲ったモンティ・パイソンのミュージカルMonty Python’s Spamalotツ黴€を日本の俳優でやるという

マジっすか。

その制作発表のために来日したそうな。

歳をとってて、誇れることなどほんとんどありませんが、実は1970年代後半にテレビ東京系で放送していた(大阪での局は失念)「空飛ぶモンティ・パイソン」をリアルタイムで見ていた、ということは秘かな自慢。
と、いって誰かに話しても相手がパイソンズを知らなきゃ、たいして自慢にもならないけど(笑)。
(タモリさんの四カ国語麻雀のネタの初披露は多分、この番組の解説部分だったと記憶。そう思うと、ものすごく前のことなんですねぇ)

さて、ここからはモンティ・パイソンがどんなユニットか、どんなキャリアなのか、どんなメンバーがいたかという話は一切省きます。ので、すみません。

今考えると信じられないこの番組、「空飛ぶモンティ・パイソン」
山田康雄、納谷悟朗、飯塚昭三、青野武、広川太一郎さんらの錚々たるメンバーの日本語吹き替えがとにかく素晴らしくて、当時6歳年上の兄とどんだけ真似したことでしょう。
食事中に突然、ふたりで「この~ちょんちょん」のスケッチのアレンジ(さすがに下ネタじゃない方向に変更。その日のおかずとかさ)とかやりだすから、家族は相当あきれていた。あたりまえだ(笑)。

なんというのかなぁ、いかにもベタでおもしろいことをするのではなく(ベタなことなら大阪人は慣れてる)、真面目な顔でそれをやってしまうところに、自分としては、とにかく痺れたわけです。

内容も歴史や宗教や政治、性的なネタも多く若年の自分にどこまで理解できてたかと言うと怪しい限りですが、そんな知的な雰囲気も含めてとにかく面白くて夢中になりました。

書いてて思い出しましたが「オウム」のスケッチも相当兄とやった覚えが。
なにかってーと、手に持ったもの(何でもいい)を差し出して「これ死んでるんだけど」と始まる。
しかも、まるでピンクパンサーのクルーゾー警部と助手の加藤みたいに、突然、どっちからか始めてしまうので、自宅で兄とすれ違う時など、とにかく気が抜けなかった(笑)。

当然、映画も映画館に観に行きましたよ。ソフトもLD、DVD、本だとか含めて相当の数を持ってる。

DVDBOXが発売された直後なんか、あの物凄い数のディスクを毎日のように観て、ゲラゲラ笑っている私の隣で、付き合わされたその頃のボーイフレンドがクスっともせずにじっと座っていた事を思い出します(汗)。

私がどれほどモンティ・パイソンが面白いか熱く語れるのと同じくらい、彼は今頃どれほどモンティ・パイソンが面白くないか、語れるのかもしれません。考えるとすごく申し訳なかった。・・・すまない。

そんなパイソンズですが、実はこのミュージカルよりもっと気になる情報が数ヶ月前に発表されています。
モンティ・パイソン、約12年ぶりの再結成?故グレアム・チャップマンさんの3D伝記映画を制作。
なんとチャップマンの半生を3Dアニメーションにする、というニュース。
すでに4人は契約をすませ、残すはエリック・アイドルのみというこの時の記事ですが、あれから、この話はどうなったんでしょう。今回のエリックの来日の時に、その質問は一切出なかった・・・んでしょうね。(違う趣旨だもんな)

ま、いずれにしても、完成のその日まで正座して待ちますわ。
無事に完成しますように~!

すでに出来てた舞台のサイト(笑)
モンティ・パイソンのスパマロット supported by SPAM

舞台は初日とか狙った方が、ファンがたくさん来るんですかね。
いつ行けば、一番パイソンファン的に観劇環境がいいか、ちょっと悩んじゃうなぁ。

 

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映画 李小龍 Bruce Lee My Brother(2010年・香港)

李小龍 Bruce Lee My Brother(2010年・香港)

監督
葉偉民(イップ・ワイマン)、
文雋(マンフレッド・ウォン)

出演
李治廷(アーリフ・リー)
梁家輝(レオン・カーフェイ)
鍾麗邱ケ(クリスティー・チョン)

動作監督
銭嘉楽(チン・カーロ)

音楽
陳光榮(チャン・クォンウィン)

昨年2010年、ブルース・リー生誕70周年にあわせて様々なメモリアルイベントが世界中で行われたようですが、まさにその真打として公開されヒットした自伝映画。

オープニングに彼の実の姉弟である、フィービー&ロバート・リー(彼はこの映画のプロデューサーでもある)が登場し「これは誰も語ることのなかった李小龍の物語であり、我々家族の物語でもあります」と話されては、もう何も言えまい。期待が大きく膨らんでしまいます。

この作品では、のちに巨星となる彼が生まれてからアメリカに渡るまでの青春の1ページが描かれており、それを彩るノスタルジックな香港での大家族の生活や景色や風俗が鮮やか。
観ているだけで楽しかった!
特にダンスシーンが多かったのには驚きました。でも、それがとても良かったんですよね。実に60年前後を舞台にした青春映画らしい風情。音楽も素敵です。
そしてここでまくしたてられる広東語がとにかくいい。これは誰が何と言っても普通語吹き替えなんかじゃ観ちゃいけません。絶対に広東語で!

さて、このブルース・リー役は、主演の李治廷にとってすごいプレッシャーだったろうなと想像するけれど、彼、相当頑張った!と感心。
映画を観る前、スチールを眺めていた時はかなり無理がある風に思えたのですが、そこから出発したぶん、動いていると案外イケました。これは、嬉しい誤算です。

その演技に関してはケレンミが足りないと見る向きもあるようですが、途中「あの曲」が流れてきたり(しかし、あの曲を聞くとなぜこうも血が騒いでしまうのか)お馴染みの映画のヒトコマを抜き出したようなショットや仕草、表情もあるので(一瞬、驚くくらい似ている)、むしろあれくらいの方が効果的だったのじゃないでしょうか。

ただ、これは誰のせいでもない、単純にクンフー映画を見過ぎの自分のせいなのだけど、いつ詠春拳に弟子入りするんだ、いつアクションになるんだと、そういう映画でないと分っていながらも、つい心待ちにしてしまった自分は毒され過ぎ(笑)。
あんなに竹がいっぱいあんだからさ、詠春拳ならここで六点半棍にしたてて敵をバッタバッタとやっつけちゃえ!とか思わず脊髄反射をしてしまい、「だから、この作品にはそういう場面を求めるべきでないだろ」というせめぎ合いが、時折胸を行ったり来たりもしたという。
とほほ。クンフーバカな自分が悪い。

動作監督は、サモハン組のスタントからキャリアをスタートさせた銭嘉楽(チン・カーロ)。
まさにヒーローとしてではないブルース・リーを描かんとした作品のアクションシーンをどう表現するか、すごく苦労しつつも、一方では楽しかったんだろうなぁ。

当然、一代巨星へのオマージュがにじみ出るニヤリとする場面もたくさんあって、何とも言えない嬉しさに包まれます。おお、ここでそれ?そのタイミングでこの!という鳥肌シーンがちりばめられているので乞うご期待。
もちろん、彼のことをよく知らない人にも充分楽しめる作りになっているのも素晴らしいところ。

ただブルース・リーというと、ハンパない思い入れの強いファンがいることで有名なお人です。
信奉を集める要素も多岐にわたるので、青春記として描かれたこの世界観を「ぬるい」と感じるファンもいるかもしれません。
ん~、そうだな「ドラゴン危機一発」で行進する彼の姿や「ドラゴンへの道」での唐龍のキャラを無条件で好き!って人にはすごく気に入ってもらえるかも。そう書けばなんとなく分って頂けるでしょうか。

さて、自分は観ていてラストには、その曲も相まって胸が熱くなってしまいました。
そういえばあの映画の原題は「猛龍過江」(ドラゴン大河を渡る)。
ここで思わず泣いちゃった人も絶対にいるよなと想像すると、これがそんなファンにとってどんな素敵なプレゼントになったろうかと。

この作品を心待ちにしている人は多いと思うし、その期待に沿える仕上がりだと思います。
ぜひ広東語で日本公開されますように!

李小龍 Bruce Lee My brotherオフィシャルサイト(中文繁体語/英語)予告編あり

この予告を見ただけで、聴きたくなるのがコチラですよね!

 

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