映画 李小龍 Bruce Lee My Brother(2010年・香港)

李小龍 Bruce Lee My Brother(2010年・香港)

監督
葉偉民(イップ・ワイマン)、
文雋(マンフレッド・ウォン)

出演
李治廷(アーリフ・リー)
梁家輝(レオン・カーフェイ)
鍾麗邱ケ(クリスティー・チョン)

動作監督
銭嘉楽(チン・カーロ)

音楽
陳光榮(チャン・クォンウィン)

昨年2010年、ブルース・リー生誕70周年にあわせて様々なメモリアルイベントが世界中で行われたようですが、まさにその真打として公開されヒットした自伝映画。

オープニングに彼の実の姉弟である、フィービー&ロバート・リー(彼はこの映画のプロデューサーでもある)が登場し「これは誰も語ることのなかった李小龍の物語であり、我々家族の物語でもあります」と話されては、もう何も言えまい。期待が大きく膨らんでしまいます。

この作品では、のちに巨星となる彼が生まれてからアメリカに渡るまでの青春の1ページが描かれており、それを彩るノスタルジックな香港での大家族の生活や景色や風俗が鮮やか。
観ているだけで楽しかった!
特にダンスシーンが多かったのには驚きました。でも、それがとても良かったんですよね。実に60年前後を舞台にした青春映画らしい風情。音楽も素敵です。
そしてここでまくしたてられる広東語がとにかくいい。これは誰が何と言っても普通語吹き替えなんかじゃ観ちゃいけません。絶対に広東語で!

さて、このブルース・リー役は、主演の李治廷にとってすごいプレッシャーだったろうなと想像するけれど、彼、相当頑張った!と感心。
映画を観る前、スチールを眺めていた時はかなり無理がある風に思えたのですが、そこから出発したぶん、動いていると案外イケました。これは、嬉しい誤算です。

その演技に関してはケレンミが足りないと見る向きもあるようですが、途中「あの曲」が流れてきたり(しかし、あの曲を聞くとなぜこうも血が騒いでしまうのか)お馴染みの映画のヒトコマを抜き出したようなショットや仕草、表情もあるので(一瞬、驚くくらい似ている)、むしろあれくらいの方が効果的だったのじゃないでしょうか。

ただ、これは誰のせいでもない、単純にクンフー映画を見過ぎの自分のせいなのだけど、いつ詠春拳に弟子入りするんだ、いつアクションになるんだと、そういう映画でないと分っていながらも、つい心待ちにしてしまった自分は毒され過ぎ(笑)。
あんなに竹がいっぱいあんだからさ、詠春拳ならここで六点半棍にしたてて敵をバッタバッタとやっつけちゃえ!とか思わず脊髄反射をしてしまい、「だから、この作品にはそういう場面を求めるべきでないだろ」というせめぎ合いが、時折胸を行ったり来たりもしたという。
とほほ。クンフーバカな自分が悪い。

動作監督は、サモハン組のスタントからキャリアをスタートさせた銭嘉楽(チン・カーロ)。
まさにヒーローとしてではないブルース・リーを描かんとした作品のアクションシーンをどう表現するか、すごく苦労しつつも、一方では楽しかったんだろうなぁ。

当然、一代巨星へのオマージュがにじみ出るニヤリとする場面もたくさんあって、何とも言えない嬉しさに包まれます。おお、ここでそれ?そのタイミングでこの!という鳥肌シーンがちりばめられているので乞うご期待。
もちろん、彼のことをよく知らない人にも充分楽しめる作りになっているのも素晴らしいところ。

ただブルース・リーというと、ハンパない思い入れの強いファンがいることで有名なお人です。
信奉を集める要素も多岐にわたるので、青春記として描かれたこの世界観を「ぬるい」と感じるファンもいるかもしれません。
ん~、そうだな「ドラゴン危機一発」で行進する彼の姿や「ドラゴンへの道」での唐龍のキャラを無条件で好き!って人にはすごく気に入ってもらえるかも。そう書けばなんとなく分って頂けるでしょうか。

さて、自分は観ていてラストには、その曲も相まって胸が熱くなってしまいました。
そういえばあの映画の原題は「猛龍過江」(ドラゴン大河を渡る)。
ここで思わず泣いちゃった人も絶対にいるよなと想像すると、これがそんなファンにとってどんな素敵なプレゼントになったろうかと。

この作品を心待ちにしている人は多いと思うし、その期待に沿える仕上がりだと思います。
ぜひ広東語で日本公開されますように!

李小龍 Bruce Lee My brotherオフィシャルサイト(中文繁体語/英語)予告編あり

この予告を見ただけで、聴きたくなるのがコチラですよね!

 

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