イップ・マン 継承 日本公開記念小ネタその2 ‐川井憲次さんトークショウ

『イップ・マン継承』の公開記念・川井憲次トークショウが新宿武蔵野館で行われました。及ばずながら私もお手伝いいたしました。ありがたいことにチケットは数時間で売り切れたそう。来て下さったみなさまに感謝でございます

まずは、毎回恒例武蔵野館の飾り付け。今回の継承は以前にもまして力が入ってます。
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これは前・新宿武蔵野館支配人の最後の作品だそうで・・・すごく愛情を感じます。ありがとうございました!
↓このキャッチがね・・・泣かせるざんすよ。
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↑左はアタマ欠けちゃったけど「甄功夫、聖地凱旋!刮目して見よ!」

そしてエレベーターが3機とも葉問!
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今回のパンフレットには、くれい響さんが取材構成した川井憲次さんのすんばらしいインタビューがすでに掲載されており、正直それを読むだけで充分すぎるほど。どころか、今回宣伝さんがかなり頑張った成果で、複数の媒体に川井さんのインタビューが載っていて、ぶっちゃけ、私ごときが質問したいなーと思っていたことは全て先達がきちんと尋ねており、もう訊くことないじゃんか!と焦りました。とほほ。

で、そのレポートをと思ったら、なんと世の中にはすごいものがあるもので【全起こし】をしているサイトがあったのでこちらを。全起こしか・・・途中から興奮して日本語が変になっとるよ自分。

そのうえ抱挙礼がどうもなっとらん!!(反省)

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いやいやいや、継承のサウンドトラック発売して欲しい!レイモンド・ウォンちゃんと作ってくれぇ。

また、当日が丁度川井憲次さんのお誕生日で、それをファンの皆さんと一緒にお祝いできたことがとても幸運でした。

川井さん、お誕生日おめでとうございました!!!!

トークショーの最後にはドニーさんからファンへのメッセージも。その衝撃の内容は上に記した【全起こし】記事で確認せよ。

↓ネットにあがった川井憲次氏インタビューの数々、正直どれもかなりの読み応え。すばらしい。
『イップ・マン 継承』:川井憲次が迫力のバトルシーンを盛り上げる音楽の秘密を解説

世界が認める川井憲次、仕事が早くて完璧!なスゴ腕に驚かされる

『イップ・マン 継承』川井憲次インタビュー

宣伝担当のS嬢のお話では、客層が今までと全然違う!とのこと。「やっぱローグ・ワンですかね~うれし~」と2人して手を取り合って喜んでしまいました。

しかし、初日から人の入ってる劇場とそうでもないところの温度差があって、それを心配しているとのお話でした。レンタルやネットで1,2をご覧になっても、まだ公開すら知らない方もいらっしゃるかもしれません。お近くの方はお誘いあわせのうえ、是非。
公式サイト劇場一覧
GWはトレーディングカードプレゼントもあるよ!!

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イップ・マン 継承、日本公開記念小ネタその1-ドニー・イェン

祝・日本公開。私もパンフに寄稿させていただきましたが、あそこに書ききれなかったものをこちらに。ネタバレ注意。映画には夢も大切。あまり撮影の技術的裏話を知るのが好きじゃない人も注意。とはいえ、ドニーさん本人が喋っちゃってるんだけどね、とりあえずぬるく凤凰娱乐でのインタビューの概要

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洋泉社から出てる「映画秘宝」6月号と「映画秘宝EX 激闘!アジアン・アクション映画大進撃」読みました?とてもよかった!

秘宝の方は谷垣さんが、継承公開記念ということでロングインタビューがありました。継承だけでなく、ローグ・ワンやトリプルXのことも喋っていて、この2作のアクションを作るにあたり、ドニーさんがどう工夫したかについてのお話がめっちゃくっちゃ面白かったです。ただし継承のネタバレ三昧だったので未見の方は注意。

アジアン・アクションの方はドニーさんにかなりのページを割いていて、とっても興味深かった。ウィルソン・イップ監督のロングインタビュー(ただしこれも継承のネタバレあり)が秀逸。マックス・チャンのインタビューもあるよ。あ、知野二郎さんが書かれた記事もありました。香港台湾中国だけにとどまらず、韓国東南アジア中東までと非常に嬉しい内容、色々知らないことばかりで勉強になるわ~。なんといってもライター皆さん全員の熱量が素晴らしい。どのページも開く度にニコニコ笑顔になってしまいます、必読。

さて、いよいよ今日から公開の『イップ・マン 継承』ですが、今回そのパンフレットにコラムを書かせていただきました。一部700円、よかったら手にとってくださると嬉しいです。その中で書けなかったことがいくつか残っているので、こちらに残しておきたいと思います。

※参考文献・なにか決定的に違うところに気がついたらご面倒ですが、ご一報ください。
甄子丹:《叶问3》在港票房超过成龙李连杰,我已感恩

・CGIブルース・リーについて。

実はクランクインとともに、今作に登場するブルース・リーはCGIで登場させるという発表がありました。その直後、家族が設立したブルース・リー財団が反対を表明。結局プロデューサーであるレイモンド・ウォンは財団の許可を得ることができず、その案はボツに。

しかし、ドニーさんとウィルソン・イップ監督はこのCGIブルース・リーがうまくいくのかどうか、当初から不安を感じていたようです。

「我々はそれが非常に高額になること、そしてうまくいかないことを心配していた。技術的には可能だけど、とても危ないことだと監督と僕は思っていたんだ」

CGIブルース・リーがなくなって実は2人とも本音ではホッとしたんですね。で、CGIがなくなったので、監督はブルース・リーのシーンを全面カットしようと考えたようです。しかしそれを残すことにしたのはドニーさんでした。

「CGIの構想時は出番はもっと多かったんだ。けど全部なくしてしまうとセールスポイントがなくなってしまう。(すでにブルース登場を発表している限り)それでは観客が納得しないだろうと監督を説得して脚本から2つの場面を残しました。あのシーンは僕が残したんだよ!(多分ドヤ顔)」

・ブルース・リーを陳国坤(チャン・クォックワン)が演じたことについて

ここでちょっと陳国坤の説明をば。彼は子供のころからの熱狂的なブルース・リー信者で物真似が上手く、それがきっかけで映画界に入った俳優です。彼がブルース・リーを演じ、中国で高視聴率をあげた連続テレビドラマ『ブルース・リー伝説』の製作総指揮は、娘シャノン・リーがつとめたというお墨付き。

「彼はとてもブルースに似ている。もともと監督がモーションキャプチャーに陳国坤を起用する予定だったんだ。みんなはブルース・リーを見たいと思っているし最近のブルースのイメージと言えば陳国坤、他の俳優がやっても違うと感じるでしょう」

一方、その陳国坤さんは継承出演をこんな風に言ってます

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・台詞もたくさん考えたドニーさん。

武館で話し合う葉問、鄭則仕(ケント・チャン)、梁家仁(レオン・カーヤン)ら3人。この場面で「すべては現在の為でなく、将来の、子供達の為」という内容の台詞はドニーさんが加えたそうです。梁家仁のリアクションはすべて自然に出たもので、「あれは僕が考えたのさ!」と威張ってました。

・詠春拳や劇中のアクションについて

インタビュアーが「実戦では詠春はボクシングに負けてばかりですよね?」という質問をし、それに対するドニーさんの答え。

「まず最初に、僕には僕の観点がある。しかしそれについては評論する気はありません。武術界での交際に影響を及ぼすからね。次に、それは我々の映画には関係ないと思う」と話しました。

が、ブルースが詠春拳を学んだ後、サンフランシスコに渡り多くの対戦を経て詠春拳の弱点を知ったことを語ったうえで、自分のマーシャルアーツへの信仰は映画を観ればすぐわかる、現代アクションをね、と付け加えています。そして、僕は詠春を中心に据えた映画を撮影してるんだ、詠春撮れなくなっちゃうよ、わかってるでしょ、と。いやいやいや、それ喋ってるのと同じだから(汗)。相変わらず率直なお人すぎます。

インタビュアーはまたこんな質問もしました。「タイソンのパンチは強力で、葉問はそれをくらってもまだ起き上がれるのでしょうか?」

「確かに誇張はしてあるよ、けど僕にとっては観客に美しく見えればOKなんだ。サモハンが撮ったシーン、1対10も円卓の戦いも素晴らしかった、パート3はどうすればいい?プレッシャーは本当に大きかった。悪くないよ、最低限観客を満足させられるものになった。マックスとのエンディングのファイトは、確実に素晴らしい。これは難易度が高いんだ。以前のような憤怒ではない内面の感情があり、今までの撮影とは違っていて難しかったよ」

また、劇中、相手の目を攻撃する動きが2度登場します。葉問がタイソンの目を擦り、ラストではマックスが葉問の目を突く。この目を擦るか突くかの違いは、ユエン・ウーピンが考えたマックスの残忍さ、キャラクターの違いを表現するものでした。

この葉問の目を突くシークエンスのネタバレをドニーさんがしております。

「我々はあそこをどう撮るか悩んでいたんだ。誰が大胆に(僕の)目を突くことなんかできる?そこで自分でやると八爺(ユエン・ウーピン)に言ったんだよ、あの目を突いたのは実は僕の手。1、2、3!アッ!(シーンを再現、自らの目に指を刺す)・・・見たことないよね?おかしすぎる!(爆笑)」

そう、後出しジャンケンみたいになっちゃいますが・・・あの指の形がドニーさんに似てるなぁとずっと思っておりました。アクション映画の撮影手法として、キックが顔や首に当たるアップのショットを手に靴をはかせて撮る、とか、殴る手のダミーを作って同じようにアップを撮るというのは昔からよくあることですが、あまりにも見事なカメラワークにイマイチ自信が持てなかった。(あ、今気がついた。葉問の右肩から腕をポスプロで一旦消してそのあと別の角度の腕を足せば簡単なのかも?)

これを聞いてスッキリです。だってどう考えても、思いっっ切りあんなことをドニーさんに一発で決められる人はいないでしょう。何度も繰り返して失敗したらどうすんだよ!ひぃー。私がスタントマンなら死んでもやりたくない、そんなこと。(色んな意味で)恐ろしい。

そのあとの決着のワンインチパンチはウーピン先生のデザイン。ワンインチパンチ(寸拳、寸勁)は詠春にもありますが、ブルース・リーで一躍有名になりました。ウーピンさんは「伝統的な功夫映画では一手が勝敗を分ける鍵になるんだ」と言ったそうで。彼はこういう決着の付け方がとてもうまいんだ、とドニーさんは師匠を語っています。そして「八爺は金像奨(の最佳動作設計)を獲るべきだ」と続けました(結果は・・・獲らなかったけど)。

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↑シットスピンみたいな、このポーズもドニーさん考案。本作のタイソンとのコレオグラフはノンクレジットながらドニーさん。

最後に。これは必見、『イップ・マン 継承』マックス・チャンインタビュー動画

興味深いのはドニーさんの鼻梁を傷つけてしまった後の話。

「当然、すごく心配したけれど、撮影中は不安を抱くと余計危ないので再開後は遠慮しなかった。師匠たちに挑むシーンも、躊躇すれば撮り直しで相手は何度も蹴られる羽目になる。まず正確に、次に激しく。それこそ1発で済む。だから躊躇しない」

さすが元スタントマン、袁家班。マックス・チャンは根っからのアクションマンでござる!!

ドニー・イェンアクション監督作『かちこみ!ドラゴン・タイガーゲート』では、ニコラス・ツェーがインタビューで、スタントマンを思い切り蹴れなくてNGを何十回と出し、とうとう翌日に持ちこしてしまった時の話をしていました。その際に彼がスタントマンから言われた言葉が「思い切り蹴れば痛いのも一度で済む」。

もちろん、思い切りしているつもりの顔面へのキックにOKがでなかった心やさしいニコラスの気持ちはとってもよくわかります。けれどアクションを作るドニーさんにとって、何が一番いいのかは別次元なのでしょう、ニコラスほどのキャリアと根性が座った俳優ですら迷う。

しかし、そのリミッターを外すことで初めて彼が見せたことのないアクションが出来上がる。まして武打星同士なら痛いかゆいも当り前。「ごめん~!!!」と大騒ぎするのは余程の時でしょう。

メイキングでちょっと痛そうな顔をしてたからって、やれ「虐待だ」「いじめるためにわざとやってる」とか「叩いた方がなんで直後にあんな平気な顔してられんの?」なんて、何の事情も厳しさも知らずにやみくもに大騒ぎする大陸の人気俳優らのモンスターファンは、心してこのマックス様のお言葉を聞くがよいのぢゃ!

参考文献
甄子丹:《叶问3》在港票房超过成龙李连杰,我已感恩
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ハードコア(Hardcore Henry、2016年・露米)

初日に行った。観た。もうね、死ぬほどおもしろい。正直、これを読むより、参考にした公式サイトとGIZMODOジャパンの記事を読めば充分な気がしますが、一応記録として。

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この映画がシネコンでちゃんと終日かかったことに感激。
そもそもは全世界で再生回数1.2億を記録したという、ロシアのパンクバンドBiting Elbows(バイティング・エルボーズ)の”Bad Motherfucker”のミュージックビデオから端を発したプロジェクト。ビデオを監督したのが今作の監督でもある、バンドを率いるイリヤ・ナイシュラー。

加えて映画プロジェクト初期からクラウドファンディングサイトでキャンペーンを張り、短いクリップを製作して一部で絶大なる支持と資金を集めた話題作。そのおかげでシネコンだったのかな。なんにせよ、遠出しないで済んだのは助かりました。

イメージとしては武蔵野館とかで日にナイト1回って感じの作品なのに、すでに知名度が高いとはいえ、これを劇場でフルにかけると決断した館主の心意気を大いに誉め称えたいと思います。配給クロックワークスさん、よくがんばりました。公式サイトもよかった!ありがとうございます。お客さん入ってるかなぁとその後タイムスケジュールを眺める度に気になりましたよ。この映画は絶対にスクリーンで観た方がいい。

とりあえず全編一人称視点ということしか知らずに行きました。オープニングからカッコイイ音楽と、なかなか痛い映像満載で期待が膨らみます。ストーリーはあってないだろう、と覚悟しておりましたが、結構面白い展開で始終ニヤニヤしっぱなし。特にシャールト・コプリーの使い方がよかった。途中まで「彼等」が彼であるということに気が付かないボンヤリさとその芸達者さに驚愕。

普段ゲームをやらない自分には、いい意味でも悪い意味でも新鮮な映像で、何度も「うわ」とか「ぐえ」とか声が出てしまったのことよ。長尺一人称のカーチェイス、めっちゃめちゃ楽しかったなぁ。カーアクションが落ち着いた後の戦車の登場と馬には久々声出して笑った。そういや枝雀さんがよう言うとりましたなぁ、緊張と緩和。使用したカメラはGoProのみ。GoProは今作を全面的に支援したとか。ええコマーシャルですな。

とにかく、監督がやりたかったことがぎっしり詰まってる。ある種これぞ映画のあるべきひとつの姿。溢れんばかりのパッションが放射する熱に身を晒す、それが滅法気持ち良くて楽しかった!

それも、まずは「こいつにこれ(MVで見せた1人称)で映画を撮らせたい!」と思い連絡を取ったティムール・ベクマンベトフがエライ。そのプロデューサーの一切ブレない姿勢は、「ビッグバジェットではないものの十分な予算があり、プロデューサーに理解してもらえたのは本当に幸運でした、これが30日間の撮影では絶対に作れなかった」という監督の言葉に集約されるのではないでしょうか。実際撮影は112日間で、1年半のポストプロダクション、半年のひとりでの編集と、完成までに3年間かかったそうです。

また監督は「私たちがロシアにいたということも幸運だった」とも。同時に資金をクラウドファンディングで調達できたということが最も大きかったのかもしれません。

こういった形のアクション映画を観ると、ふと思うのが日本の事情。

「日本のアクションはなぁ、俳優をふくめ人材が今はもういないし」という愚痴を時々耳にする事があって、そのたびにいやいやそれは違うと激しく思うのです。

「最近のアクション」は「カット割りが多くて」「ワイヤーやCGがあるとイヤ」そういう志向の観客はオールドスクールのアクション映画を観ればよいでしょうからこの際ちょっと置いとくとして、日本にはアクション監督やコーディネーターなど人材はちゃんといます(スタントマンは足りないそうですが)。

俳優も日ごろから体を鍛え何かしらの格闘技を習得している人も少なくありません。いや、別に格闘技をしていなくても、ダンスでもいい。ダンサーはアクションがうまい、これは過去の映画で沢山の俳優が証明しております。正直、アクション製作の人材とアクションに適した編集者を揃えられれば、格闘技やダンスすら経験がなくても、やったるで精神(と体力)と演技力のある俳優女優ならば素晴らしいアクションにすることはできるのでは、と考えます。

では、足りないのは何か。

プロデューサー、スタジオ、監督のアクションへの理解。それに尽きるでのではないでしょうか。

アクションシーンには人手と時間とお金がかかり、しかも危険が伴う。オファーの際には「すっごいアクションを作りましょう!」と固い握手を交わしながらも、いつの間にか「・・・そこまで必要ですか?」と同じ口で現場に言い放ち、どんどんアクションの時間予算内容を削ってゆく制作者たちの話はよく耳にします。で、いざ公開となると「見どころは俳優○○が挑んだハードなアクション!」などとキャッチが並んだりする。そう謳うならせめてスタントコーディネーターの名前くらいちゃんと公式サイトに載せてくださーい。

バジェットの規模ではなく、アクションを作るというブレない覚悟、これがトップになければ面白いアクションシーンには、なかなかならないのです。人材や俳優の優劣なんてそのうんと後のお話。

今作『ハードコア』は、ロシアのパンクバンドのメンバーであり、また人気MVクリエイターでもあるイリヤ・ナイシュラー監督の底知れぬ才能と執念にあてられるとともに、それをちゃんと形にしてあげられたプロデューサーのティムール・ベクマンベトフが偉い。

とにかくすんごく面白かったし楽しかった。ラストファイトは笑いっぱなしでしたよ。しかし、この映像はある意味早い者勝ちでそうそう何度も使える手じゃないよなぁと思っていたら、当然ながらイリヤ監督は1人称の作品はもう作る気はないと言います。映画と、カナダのThe WeekndFalse Alarmという曲のMVでやり切ったというお考えのよう。ですよね!

今後も、新たな技術やメディアの交わりにより新しい表現方法は増えるはず。それをワクワクしながら待ちたい。そんな期待に胸がいっぱいになった1本でした。最高。

公式サイト
革命的一人称視点映画『ハードコア』のイリヤ・ナイシュラー監督にインタビュー:「映画史上誰も実現していないことがいくつかある作品だと思う」/ GIZMODOジャパン
始まりはこのMV:Biting Elbows – ‘Bad Motherfucker’ Official Music Videoから
The Weeknd – False Alarm(2016年)

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過去記事の注釈と訂正 – ドニー・イェン

先月、谷垣健治さんとランチをする機会に恵まれました。ありがとう谷垣さん。最近のお仕事のこととか、香港中国合作に関する新たな情報とか、様々なお話をうかがいました。

そのなかで、以前書いた『トリプルX:再起動』での中国大陸でのドニーさんの役名の話になりました。実は谷垣さんが担当した『モンスターハント2』の日本語通訳さんもそのスラングについてご存知なかった。

そこで、ご親切にも谷垣さんは通訳さんに調べていただいたそうです。が、誰も聞いたことがないということで、ひょっとしたら南京の一部であるかも、というご返事だったとか。ただ、北京五輪で棄権し、その後ものすごいバッシングを受けたハードルの劉翔選手の名が同じ翔という字なので、それでバカにする傾向があるにはある、という話でした。

記事の中で私はざっくりスラングと書いてしまいましたが、ひょっとするとごくごく一部のネットスラングだったのかもしれません。私がそれを知ったのもネットでしたし。そこで過去記事をネットスラングと訂正しておきました。

「でも大陸ではシレっと役名変更しましたよねぇ」と谷垣さんに申し上げたら「そうなんだよねぇ」と。

↓変更の証
极限特工:终极回归xXx: The Return of Xander Cage(2017) – Mtime时光网
极限特工:终极回归 / 百度百科
极限特工:终极回归演员表
极限特工:终极回归 甄子丹“甄功夫”幕后特辑

うーん、ひょっとしたら翔というスラング、日本で例えれば2ちゃんねる用語とか、そんな感じだったのかもしれません。

役名は公開直前に急遽変更されたので、それ以前の大陸記事では翔となっていますし、香港台湾では関係ないので、当然「翔」のままです。思えば、ホーク(Hawk)→鷹 タロン(Talon)→猛禽類の爪 ときてジャン(Xiang)→翔だったんですから、本来は美しくまとまったはずなのに、わざわざ同じ音の項に変更したんですから、何らかの理由はあったのではと推測します。

そしてもうひとつ、谷垣さんからご指摘いただいたものがありました(汗)。
ローグ・ワン スター・ウォ―ズ ストーリー(小ネタ) – ドニー・イェン甄子丹の最後の文章。

“『xXxトリプルX:再起動』の香港プロモ会見したドニーさん、次の外伝『ハン・ソロ』に出演するのでは?という噂を否定しました。しかしこれによるとどうやら(ディズニーと)契約は交わしたようで別の企画だと言います。”

と書いたのですが、実は私、文中の「才」の字をちゃんと訳しておりませんでした(涙)。

正確には、契約を交わした、のではなく、「それは事実ではない、契約を交わして初めて事実になるんだよ」という訳になります。と、なると何らかのオファーっぽいことはあったのか?うはー、すみません、すみません!!これも書き直しておきます。

谷垣さん、こんな辺境のブログのチェックまでしていただき本当に助かります、重ね重ね感謝申し上げます。

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キングコング髑髏島の巨神(Kong: Skull Island 2016年・米)

コング先輩すっごくいい人すぎる!こんな奴らは殺っておしまいなさーい。キングコングも怪獣映画もほとんど観たことのない人間のレビュー

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えーっと、ほとんど前情報なし。キングコングが主役の怪獣映画だということ、サミュエル・L・ジャクソンとトム・ビルクストン、ジエン・ティエンが出演しているという事しか知らなかったよ。

なので、冒頭いきなりP-5マスタングとゼロ戦が墜落したのにものすっごく驚きました。しかも二機のパイロットは死なず互いにサシで闘いだす。なんと日本兵はMIYAVIじゃないか。と、そこへ巨大な生物の影がゆらりと2人の前に姿を現し驚愕の表情を浮かべる2人。

で、場面が変わるといきなり1973年、ベトナムから米軍の撤退が決まった直後、え、これってベトナム戦争末期なの?とかなり面喰らいました。ぼんやり現代が舞台とばかり思っていたので。

私がこの映画で映像的にまず興奮したのは、嵐渦巻く髑髏島へのヘリアタック。サミュエル隊長がイカロスの話を無線でしながら隊を鼓舞し引っ張るシークエンスはCGや3D効果もよくて非常に見応えあり。

で、なんとか暴風域を抜けると・・・そこには人間を真っ向から拒絶するような密林が広がっておりました。

やおらオープンリールと巨大スピーカーでBlack Sabbath“Paranoid”を大音量で流しながら、ヘリ隊は矢継ぎ早に地質調査と称して爆弾を投下。げええ、ベトナム戦争・・・。この瞬間にうすら寒さと嫌悪感がじわりとくる。

早いとこコングパイセンこんな奴らやっつけちゃってください!という心の叫びが届いたのか、巨大なコングさんが夕日をバックに登場。『地獄の黙示録』のポスターに激似だけど、まず監督はこれを撮りたかったわけです。この夕陽に揺らめくコングのシルエットとヘリが対峙するカットだけで100点満点。

その後はジャングルを破壊するヘリをちぎっては投げ、メッタメタに破壊。いいぞもっとやれ。このシーンがとにかく素晴らしかった。カメラワーク、CG、近年飽き飽きしていた過剰スローモーションでこんなに気に入るものがあるとは思わなかった。最近ではぶっちぎりに好き。一転して皮肉さがあふれる音楽やニクソンのバブルヘッド人形の描写もしびれちゃう。もうね、私にとってはここが間違いなくクライマックス。この数分の映像にサービスデーIMAX3D料金1900円払った価値がありました。

とにかく兵隊だか傭兵だかモナークだか反戦カメラマンか知らないけど皆殺しだ!と登場から応援したくなる作りが上手かった。コング兄貴、ヘリのメインローターで怪我しちゃう~いやだ~とハラハラするくらい、心はすっかり島の守り神の味方でございます。

それは後半ナパーム弾にやられるコング兄さんの姿にあやうく泣きそうになってしまったほど。戦争でイカレて死に場所を求める大佐のせいで可哀そうなのは部下と髑髏島だ、許すまじサミュエル「マザーファッ」ジャクソンめぇぇぇ。

人間はほとんどがあえてモヴキャラクターみたいに(もしくはそれに準ずる記号化として)描かれており、私が名前をしっかり覚えられた登場人物はマーロウとガンペイのみというボンヤリさ。(サミュエルは、パッカード大佐というより安定のサミュエル・L・ジャクソン)

そのなかでマーロウはよかったですね。原住民の中から出てきた時は一瞬この人だれ?と思ったのですが、冒頭に登場した米空軍のパイロットは彼で、命を狙った敵である日本兵とあの後ブラザーになり島を脱出すべく船を作っていた、と語られる。おお、そこには三船敏郎とリー・マービンの『太平洋の地獄』のようなドラマが隠されているわけなのですね。

マーロウが瞬時に口にする日本語や日本刀を手にする姿など、説明過多になることなく、いかに彼等が友情を育んだのかがさりげなく伝わってくるのがよろしかった。しかもガンペイはすでに殺されてしまったという。誰が死んでもおかしくない流れに、ただひとりこのジョン・C・ライリー演じるマーロウだけは生きて返してあげてもいいなと思いました。美味しい役です。

前半の対ヘリ無双に比べると、途中からやや失速気味だった気もしますが、それでも巨大ナナフシにはビクっとしたし、夜間アクションもなく昼間の闘いのCGにお金かけてました。にしても、コング兄貴、最後のコングって設定がちょっと切なすぎる。この先ガールフレンドもいないの?絶滅種なの?

自分は映画で現実的かどうかをとやかく言うタイプではないつもりですが、さすがにブリー・ラーソンとトム・ヒドルストンのジャングルにおけるタンクトップやTシャツ1枚などという軽装には「あっという間に正体不明の虫に刺されて高熱が出そう」と気が気じゃなかった。←蝙蝠みたいな怪獣や蜥蜴ラスボスに人が次々と食われていくなか、そこかよ!

といいつつ、それもあの圧倒的コングのヘリ破壊の前では文字通り小さなことですけどね。あそこだけ永遠に繰り返し眺めたい。

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アサシン クリード(2016年・米)

もう何年前になるでしょうか。恥ずかしながらゲームというゲームを、なにひとっつもやったことのない私がタイトルを覚えたひとつのゲームがあります。その名も『アサシン クリード』。

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なぜそうなったかというと、たまたまネットでこのゲームのプロモーション動画を見たからであります。様々な映画でパルクールが身近であったところへ、この見事なプロモ映像を観て「すげー!」と唸ったのが始まりでした。
Assassin’s Creed Unity Meets Parkour in Real Life

調べてみると、この『アサシン クリード ユニティ』はすでに大人気のゲームアサシン クリードシリーズの8作目ということでございました。で、すぐに見つかったこのユニティのトレーラーに一発で惚れてしまったわけです。
Assassin’s Creed Unity E3 2014 World Premiere Cinematic Trailer [US]

物語の舞台はフランス革命中のパリ。ベルばらで少女時代を過ごした自分にとってはこれ以上ない魅力的な設定。しかも映像のクオリティの高さに驚愕した上に、音楽がTears For Fearsの80年代ヒットEverybody Wants To Rule The Worldのカヴァーじゃありませんか!なんというセンス。

この頃は、すでに映画が最高峰ではなく、ゲームクリエイターから映画業界に請われて進出という具合にその流れが変化していると言われ始めた時期でありました。そしてそれを裏付けるかのようなこの映像を観てほんとうに心からしびれちゃったわけですね。

色々調べた結果このゲームは、アサシン教団が世界を征服しようとするテンプル騎士団に対し様々な時代で、そのキーとなる「エデンの果実」の争奪を繰り広げながら、闘うというお話であることを理解しました。

そこで普通なら、即ゲームを買っていざその世界へ、となりそうなところ、私はいかに熱しやすい人間かという自覚があるために「これやり始めたら絶対に廃人になる・・・」という恐怖から、全シリーズを調べまくったけれど結局やらなかったのであります。なんというヘタレ。

そんな数年後、これが実写映画化されたというニュースを知りました。しかも主人公はマイケル・ファスベンダー。いつか誰かがやると思っていたので「待ってました!」という心持でありました。

自分はゲーム自体はやってないので、当然代わりにとyoutubeにアップされているゲームプレイ動画なんぞをチマチマ眺めて実写映画に臨んだのであります。とりあえずお約束があるのなら知っとかないとね。

さて、やっと映画の話です。

かなり気に入りました。第一回目のアニムス体験による鷹が舞う空撮のスペインの俯瞰には鳥肌が立ちました。全編にわたってゲームの約束事やシュチュがあって、やっぱパルクールは見事。とくに舞台が15世紀のスペインとくればもう、その背景や彼等が縦横無尽に駆け抜ける美術セットもあいまって素晴らしい。大好物。

しかもこの時代のスペインと言えば、悪評高いスペイン異端審問の行われた頃ではないか。当然、それを再現する場面も登場し、しかもなぜかおまけにモンティパイソンの超有名スケッチ「スペイン宗教裁判」も同時に思い出してかなり楽しかった。

“Spanish Inquisition”という単語を覚えたのは、まさにこのモンティパイソンのお陰でした。ジャーーーーーン!!「まさかの時のスペイン宗教裁判!!」

話を戻します。

中世スペインの街並みが俯瞰で映るたび、あの塔のてっぺんからイーグルダイブやるんだよね?ね?ね?と期待は膨らむ。そしていよいよ待ちに待ったイーグルダイブ。
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本来ならそのあと降りるお約束の藁を積んだ荷台への着地は、主人公にやられた敵が突っ込んでいたりしておりました。

そして実写版のよかった点として、DNAをさかのぼることにより過去の先祖の記憶を追体験するヴァーチャル・リアリティ装置「アニムス」の造型。

ゲームでは椅子に座り装置をつけるだけったのが、本作ではアームのついた巨大な装置になり、主人公の見ているビジュアルを身体を動かすことによって第三者が体験を理解できる設定にかなり盛り上がりました。ここは映像もかっこよかった。
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難をいえば、やはり現代パートがちょっとたるいというか、「もっと!見たい場面を!見せて!くれ!」と我が魂が叫んだところでしょうか。映画って難しい。ここは、科学者役がマリオン・コティヤールでなければ相当つらかったと思うのでキャスティングは大成功だったとも言えるのでは。彼女本当に素敵です。

ストーリーに関してはまったく期待してなかったので、とにかく実写でアサシン クリードを観たのだと言う事には満足しています。中世スペインの街並みをパルクールで疾走する、あの快感にお金を払う価値が私にはありました。ちょっぴり肉弾アクションがリハーサルの存在を感じさせたのがアレですが、それでも、あのシュチュのパルクールの魅力の前には些細なことです。

残念なのは、これはなんとしてもIMAX3Dで観ておくべきでした。そしたらもっと評価が上がった様な気がしてなりません。

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チアン・ウェン監督 太陽の少年(中国1994年・陽光燦爛的日子)

姜文(チアン・ウェン)の初監督作品。そこにはずっと少年の汗のにおいと北京の埃が漂っていました。青春映画の傑作。

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昔から私を捉えて離さないフレーズがあります。

17歳の初夏。

とはいえ、特別17歳の初夏に具体的に思い出があるわけでもないし、むしろ17歳の初夏に自分が何をしていたかなんて、ほとんど記憶になし。ある意味概念でしかない。けれど、あの年齢特有の妙な無敵感と真反対である焦燥感は自分の記憶の底に長らく貼り付いてる気がします。

チアン・ウェンの初監督・脚本作品である『太陽の少年』を観ました。1963年生まれの彼は実は自分と同い年。この作品を撮った1994年時には31歳でした。そう思うとその才能にまたまた圧倒されてしまう。

オープニングは、クレジットに成人になった主人公の声として姜文先生のモノローグ。
おお、31歳。声が若い。

彼は北京の街の変貌を語り、自身の思い出が夢か真実かはっきりしないと語ります。

舞台は70年代文革後期。文化が破壊され尽くし、若者はみな遠くの農村に下放され、政治、経済、社会の混乱に疲弊し切った大人たちしか残っていない北京。しかし16歳の中学生だった主人公シャオチュンは、ひっそり静まり返ったその北京を我が物顔で悪ガキ仲間と授業をサボり、煙草を吸い喧嘩騒ぎを起こしながら闊歩しておりました。

実は彼は、マスターキーを作り他人の家に入ることを楽しみにする一面を持っており、盗みはしないがただ住人のいない部屋にあがりこむことを秘かな趣味としていたのです。ある日、いつものように無断で入った部屋の壁にあった少女の写真に恋をした彼が、やがてその少女と出会い、別れるまでのひと夏のお話。

この年上の少女の登場が素晴らしい。いつものように鍵を開け勝手に上がり込んだところへ彼女が帰宅すると慌ててベッドの下へ潜り込む。と、そこから見える彼女の足元。彼女はスカートを脱いで別の服に着替えると部屋を後にする。その息を詰めるような緊張感に若々しい少女のふくらはぎだけがせわしなく動くシークエンスのエロチシズム。

特出すべきは彼女の歩き方が、ピョコピョコとまるで踊るように軽やかに歩くこと。これがヒロイン・ミーラン役のニン・チン(寧靜/宁静)の元々持ってるしぐさでなく、役のキャラのために加えた個性だとしたら、チアン先生天才すぎます。

とにかくカメラが美しい。卓越したカメラワークは『紅いコーリャン』や『さらば我が愛/覇王別姫』を手掛けたクー・チャンウェイ(顧長衛/顾长卫)。

彼女に恋したシャオチュンが古い洋館の屋根伝いにどこまでも歩いてゆくシーン。

私はいつもここにいた 屋根の上の猫のように
彼女の写真を見て狂わんばかりだ
頭の中を幻のように通り過ぎる
私の中に残った感覚と残り香が 
彼女の存在する証

煙草をくわえたまま屋根を歩く少年の姿に、オペラ『カヴァレリア・ルスティカーナ』の間奏曲が流れ姜文の声が重なる。姜文は、この映画の原作ワン・シュオ(王朔)小説『動物凶猛』を脚本として執筆するにあたり、この『カヴァレリア・ルスティカーナ』に大いに触発されたと言います。

そして、少女と知り合い友人として迎え入れられた彼女の部屋の窓から差し込む光の美しさ。その記憶は現か幻か。大人になった主人公の回想する言葉には、そんな疑問も語られます。

一方で、恋する前には、切ない間奏曲と対極をなすような当時中国大陸でガンガン流れていた(と、いうかそれしかなかった)の毛沢東を称える革命歌や「インターナショナル」、ロシア歌曲などがふんだんに使われています。なかでも仲間を殴られたお返しとばかりに敵を急襲する場面で「東方紅」がかかるのには笑っちゃいました。

この主人公シャオチュンを演じたのは、当時18歳のシア・ユー(夏雨)。このデビュー作で彼は、第51回ヴェネチア国際映画祭の主演男優賞、第33回金馬奨でも主演男優賞を獲得しました。

その彼がチアン先生の少年時代にそっくりでね。くしゃっと相好を崩す表情とかまんますぎて、ものすごくリアリティがあって、なんだかまるでチアン先生の自伝映画を見ているような気分になるから不思議。
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現在も俳優を続けすでに40歳になった彼の顔を見るとまったくチアン・ウェンに似ていないのもまた一興。
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また嫌な中学校教師役に映画監督のフォン・ガオシャン(馮小剛)、主人公の父親役としてワン・シュエチー(王学圻)も出てきました。2人とも若いぞ。

しっかし31歳で初めて撮った映画がベルリン、台湾の映画祭で賞(主演男優賞)を獲り、1995年のアメリカTIME誌で年間ベスト1選出されるなんて、やっぱチアンさんすごすぎでっしゃろ。

参考エントリー:
精武風雲 陳真 / (邦題) レジェンド・オブ・フィスト怒りの鉄拳 香港BDにて鑑賞、のちに日本語字幕を試写室で―ドニー・イェン 甄子丹

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2017年ドニーさんの新作情報 – ドニー・イェン甄子丹

ドニーさんの新作は60sから70sに実在した麻薬王。レイ・ロイ主演の名作のリメイクです。そーしーてーあの『アイスマン』続編も。おまけは『葉問4』のティーザーポスター。
 
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タイトルは『追龍』。
プロデューサーはウォン・ジン(王晶)、監督はジェイソン・クワン(關智耀)。共演は、お初でございます、アンディ・ラウ!ぎゃあ~!
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出演はウィルフレッド・ラウ(劉浩龍)、ケント・チャン(鄭則仕)とフィリップ・キョン(姜皓文)、フィリップ・ン(伍允龍)、ユー・カン(喻亢)ほか。

実はこの作品、レイ・ロイ(呂良偉)主演で第11回香港電影金像奨の作品賞を獲った『跛豪』という映画のリメイクです。しかもこれ60年代から70年代にかけて麻薬で黒社会にのし上がった実在のギャング、呉錫豪をモデルにした映画。あら?前回のエントリーでお知らせした『毒。誡』にそっくりですね????

そう、年代といい背景といい、九龍城が大きな舞台になること、ギャングとして成り上がる男の30年近くを描く大河ドラマのノワール作品としても、まんまかぶってます(汗)。

そのうえ、アンディ・ラウ扮する汚職警察幹部の雷洛探長がこれまた実在の人物でして。彼が1991年に演じた『リー・ロック伝 大いなる野望 Part I 炎の青春』『リー・ロック伝 大いなる野望 Part II 香港追想』二部作の主人公でもあり、今回は同じ人物を26年ぶりに再演することになります。

加えてその91年作の監督をつとめたのが前述した『毒。誡』のローレンス・アモンだという因縁つき(笑)。

アクション監督はドニー・イェン、そのサポートにはユン・ブン(元彬)パイセンとイム・ワーさん。ちょっと撮影風景の動画を観たのですが、いつもの綿密に計算されたドニーアクションとはまったく違い、どっちかというと韓国映画っぽい超リアルでくずした泥臭い感じに仕上がりそうな予感。キャラクターもそうですがアクション面でも新たな一面を見せる気満々です。アクションは少なめになるようなことを王晶が喋ってました。その通りなら多分ドラマ中心。

監督のジェイソン・クワンは長年カメラマンとしてパン・ホーチョンの『恋の紫煙』や『恋の紫煙2』、『低俗喜劇』、また『コールド・ウォー 香港警察二つの正義』や『ラスト・シャンハイ』、『全力スマッシュ』などのヒット作を多く手掛けてきました。今作はパン・ホーチョン原作プロデュース『指甲刀人魔』(2016年度版)に続き監督2作目。

にしても、この2本今後何かと色々比較されそうですね。さて、どっちに軍配が上がることやら。

お。そういえば。
何年も前からドニーさんの撮影予定に入ってた『九龍城塞』ですが、先日微博で楽しみな作品としてそのタイトルをあげたファンクラブのコメントに対して「九龍城なら新作『追龍』でしっかり登場するよ!」と返事していたので・・・・・多分流れてしまったと推察します。さっき確認したらIMDbからも消えてましたしね。とほほ。観たかったぜっ。

そして今年はあの『アイスマン』の続編もこっそり(笑)公開されそうです。2014年の前作から3年、同時期に撮影しとうの昔にクランクアップしながら、1が見事コケてしまったがために公開が危惧されておりました。しかし、『ローグ・ワン』と『トリプルX:再起動』の勢いを借りる今しかないというタイミング。闘う相手は倉田保昭先生ですよ。楽しみです。

おまけ:フィルマートに『葉問4』のティーザーポスターも登場。
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そういえば、この動画インタビューでクランクインは来年2018年と言ってました。世界中でお金余ってるみなさん、まだまだ資本お待ちしてます。

ポスターによると、アクション監督は『継承』に続きユエン・ウーピン御大。現場筋の話によるとお年を召され、ここ10年ほどでぐっとウーピンさん丸くなられたとか(昔はあんなに鬼畜だったのに)。多分ドニーさんはウーピン先生の方が付き合い長いし意見を言いやすいんでしょうね。しれっと自分でコレオグラフできちゃうし。

次は絶対ブルース・リーががっつり出てくるでしょうから、本当はサモハンで観たかったなぁ。あ、でもブルース・リーのところだけドニーさんがつければいいのか!なーんだ、じゃいいや!

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2017年は面白そうだぜ!ハード香港バイオレンスが復活?いや熱く復活してほしい!

えーと香港フィルマートがつい先ほど行われまして。これから制作される新作情報がでておりますのと、今年公開されるアクション映画がかなり面白そうなのでご紹介。ある意味マックス・チャン祭り

かなりイケてるマックス・チャンと奥さまエイダの2ショ。この2人とても素敵。
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ドラゴン×マッハ!』の獄長としてウー・ジンとトニー・ジャーと死闘を演じ、間もなく公開される『イップ・マン 継承』では詠春拳の同門としてドニー葉問と戦うマックス・チャン(張晉)。

彼がこの2作で見事ブレイクスルーを果たしたことを証明するかのように、今年怒涛の出演ラッシュ。

最初は、念願の堂々主演作品『狂獸』。やったね!
ソイ・チェン(鄭保瑞)とパコ・ウォン(黃柏高)製作、ジョナサン・リー(李子俊)監督。

共演はショーン・ユー、ジャニス・マン(文詠珊)、ウー・ユエ(吳樾)、ラム・ガートン(林家棟)、倉田保昭ほか。刑事もの。ジョナサン・リー監督は、2003年のイー・トンシン(爾冬陞)監督作『忘れえぬ想い』(2003年)から十数年助監督をつとめてきた人で今回が初監督作。アクション監督はリー・タッチウ(李忠志)。

もう1本は、フルーツ・チャン監督の『九龍不敗』。
出演:マックス・チャン、ルイス・クー、アニー・リウ(劉心悠)そしてなんと元UFC世界ミドル級チャンピオン、アンデウソン・シウバ!
婚約者を誘拐された刑事がシリアルキラーを追跡するという物語、だそうな。舞台は香港とマカオ。
↓アクション監督はこの写真を見る限り、トン・ワイ。
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続いては、昨年のカンヌのマーケットで告知された通り、イップ・マン 継承のスピンオフとして、『張天志』も制作されます。

先ごろフィルマートで発表されたポスターには、なーんとミシェール・ヨー姐さんとトニー・ジャー、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のドラックスで超有名、デビッド・バウティスタの名が!
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ひぃ~すげ~!監督・アクション監督はユエン・ウーピン先生。クランクインなどはまだ不明ですが鼻血がでそうなほど楽しみ!

そしてこちらは、マックスさんゲスト出演になるローレンス・アモン(劉國昌)監督の『毒。誡』。
出演はラウ・チンワン、ラム・ガートン、ルイス・クー、ン・マンタ、パトリック・タム。
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これは、70年代に実在した慈雲山十三太保というギャング組織を描いた実録映画、『慈雲山十三太保』のリメイク。ギャング達の30年に渡る友情と闘いを綴ったノワールフィルムです。アクション監督は元成家班、イー・ティンフォン(易天雄)。ジョニー・トーの『ドラッグ・ウォー 毒戦』や『ホワイト・バレット』などを出がけた人。

ね。すごいマックス・チャンフィーバーっしょ!イップ・マン継承で日本でもますます人気が高まるでしょうし今後は『パシフィックリム2』にも出演するので、是非とも彼の出演作を日本でたくさん公開して欲しいです。

最後は、一番期待している1本。
ウィルソン・イップ監督、ルイス・クー、トニー・ジャー共演の『貪狼』です。

このタイトルに心当たりのある方は立派なSPL通(笑)。プロデュースはソイ・チェンとパコ・ウォン。そう、SPL2こと『ドラゴン×マッハ!』のソイ・チェンとウィルソン・イップの立場を変えただけ。当然ストリーは繋がってないでしょうが、多分SPL3部作とか姉妹編とか、そういうことではないでしょうか。

まだ詳しい内容は分りませんが、ティーザー予告を観てこれだけでしびれました。しかもアクション監督は私の大のお気に入りサモ・ハンときた。サモ・ハンとトニー・ジャーなんて一体どんなケミストリーになるのやら。これは絶対に好きなやつ。見たい!

にしても、トニー・ジャーも飛ばしてるなぁ。ふふふ。

フィルマートといいつつ、あまりフィルマートの話にならなかった。
詳しくはこちらの記事を。
The 24 hottest projects at this year’s Hong Kong Filmart

さて次回はドニーさんの新作についてですよ。

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ブログ『超級龍熱』特別企画インタビュー そこに出て来たベイ・ローガンとは誰や?

2017年1月、ドニーさんの『イップ・マン 継承』の試写に行った際に、初めてご挨拶した方がいました。私が以前から読んでいるブログ『超級龍熱』を主宰する知野二郎さんです。試写の後「ここで会ったが百年目」とばかりに場所を移し、思い切りドニーさんの話を喋りまくりました。私にとっては生まれて初めて、ドニーさんをよく知るファンとマニアックな話ができた場であり最高に楽しかったのです。

そのご縁から、ブログの人気カテゴリー『THIS IS 甄子丹』の記念すべき100回目の特別企画として『超級龍熱』でロングインタビューをしていただきました。

THIS IS 甄子丹(100) 飯星景子、ドニー・イェンを語る!① “ボストンの虎”編
THIS IS 甄子丹(101)飯星景子、ドニー・イェンを語る!② “最後の本格派”編
THIS IS 甄子丹(102) 飯星景子、ドニー・イェンを語る!③ “いまフォースと共に”編

一応ドニーさんの映画やドラマを全て観ましたが、自分のブログにすら全作品のレビューは載せてない。それが、このインタビューでまさか出演作全部を話すとは思いませんでした(笑)。

あれだけの長時間インタビューのテープ起こしをするだけで、ものすごい労力だったと思います。信じられない。この機会を頂けたことを本当に感謝いたします!

さて、すでにアップされたそのインタビューを読んだのですが、スプリットキックをスピリットキックと言い間違えてたりしてとほほです。それよりなにより、功夫映画のエキスパートとお話したためか、私ったら、いきなりベイ・ローガンを知っている前提で話しとるがな。あかん、あかんで~。ほとんどの方はベイ・ローガンって言われても????なのではないでしょうか。

そこで、補足というかなんというか、取り急ぎベイ・ローガンのことを書かねばと思いたちました。

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↑左:ドニーさん 右:ベイ・ローガン

ベイ・ローガンは1963年、会計士の父と看護婦の母との間にイギリス、スタンフォードに生まれました。幼い頃よりカラテを習い、やがて功夫映画の虜になった彼はそのまま功夫映画オタクへの道をまっしぐら。イギリスの老舗格闘技雑誌「COMBAT MAGAZINE」(1974~)の編集者を経て、自らの雑誌「Impact」を創刊し、1994年には香港へ渡り映画プロデューサーとして活動。98年には『最強 香港アクションシネマ』という著書も出しましたが、噂によるとこの日本語訳がめちゃくちゃヒドイらしい。

その後は、欧米向けの功夫映画のドキュメンタリーを制作したり、香港のメディア・アジア・グループや英皇電影のプロデューサーとして映画製作にも携わり、米ワインスタインカンパニーのアジア担当にもヘッドハンティングされた人物です。

関わった作品はジャッキー・チェンのドキュメンタリー『ジャッキー・チェン:マイ・ストーリー』や『ジャッキー・チェン:マイ・スタント』、『メダリオン』、『ツインズ・エフェクト』『ドラゴン・スクワッド』、『ドラゴン・キングダム』や『シャンハイ』『Crouching Tiger Hidden Dragon: ソード・オブ・デスティニー』など。

最も好きな功夫映画は『ユン・ピョウinドラ息子カンフー』。自らも功夫を学び、現在では功夫教室を経営したり、自身のカンパニーでアジアンアクション映画を製作したりもしています。

また多くの功夫映画のUK配給元として、たとえばHong Kong Legendシリーズの解説コメンタリーを収録したりなど、西側のアジアアクション映画の専門家としてよく知られています。

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ドニーさんとは、1989年『クライム・キーパー 香港捜査官』のUKプロモーションの頃からの長いお付き合い。このプロモの際には、それとは別に「ドニー・イェン:アクションセミナー」も開催したりして、ここに『イップ・マン 葉問』で憎っくきイギリス人ボクサーツイスターとして出演していたダレン・シャラビィが、当時17歳のドニーファンとして参加していたりしました。このセミナーの模様は、当時ビデオとして(ベイが)販売していたようで、ファンがYouTubeにアップしたりしています。動画のタイトルでは1991年となっていますが、正確には1989年。(今は亡きシャラヴィのインタビューで確認済

そんなドニーさんのファンであり友人でもあるベイ・ローガンは、香港に渡ったあとドラマ『精武門』や『幻影拳 ザ・マジック・カンフー』でドニーさんにしばかれる内トラを経たのち、『COOL』では脚本を担当。ドニーさんが監督兼アクション監督を務めた『ツインズ・エフェクト』でもプロデューサーとして名を連ねています。

昔から香港映画には怪しい外人枠というのがあって、極悪非道な列強国西洋人のエキストラや悪役、果ては主人公にやられる対戦相手として、どこから連れて来たのかわからない、いかにも素人臭い西洋人が結構登場しました。彼もその例にもれず、幾度もドニーさんにボコボコにされていたのであります。なので、今でも西洋人が登場すると、ふとベイ・ローガンの姿を捜す自分に驚いたりすることも(笑)。

中国香港合作が増え予算も昔とは比べ物にならなくなった今、映画に登場する西洋人はちゃんとした俳優を使うことが多くなり、さすがのベイ・ローガンもお役御免かと思いきや、最新出演作は、『カンフー・ジャングル』。ドニーさんが誤って殺してしまった外国人ボクサーの役。ここで久々ドニーさんに殴られまくっていたわけです、うらやましいぞ!

South China Morning ベイ・ローガン記事
How a British man broke into Hong Kong’s martial arts film industry

最後になりましたが、ドニー・イェンの出演作すべてを語るという途方もないインタービューの機会をくださった龍熱さんには、心より御礼申し上げます。本当にありがとうございました。

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