ジェット・リーとジャック・マー製作、謎の映画『功守道』その続報

前回の記事の続きです。今日、アリババのショッピングサイト「天猫」の11月11日独身の日プロモーション発表会が行われ、そこにシークレットゲストととしてりんちぇが登場。謎の映画『功守道』について語りました。そこで新たにわかったことを。

実はこれ、さっき以前の記事に追記したんですが(未だにブログのやり方がよくわかってない)、ひょっとしたら単独でアップした方がいいのかなと思い、新たに投稿しました。すでに前回の追記を読まれていたら内容はほぼ同じです。何年たっても不慣れな事であいすみません。

さて、その記者発表でわかったことですが

・11月10日の独身の日前夜祭パーティ(注:おそらく生中継されるし毎年高視聴率)でおよそ7分(8分とした報道もあった)のダイジェスト版を放送。翌日11月11日に20分ほどのフルバージョンを公開。前にオフィシャルサイトでYOUKU(优酷)で、とあったので多分そこでになるのでしょう。
追記:後のインフォメーションによると、11月12日の午前0時。YOUKUにて。

・功守道とは、太極を基にしたジャック・マーとりんちぇが推進している彼らの創作競技種目で、映画の内容もこの功守道について。

・映画を製作したのは多くの人に太極文化を知ってもらう最良の手段だと考えたため。その完成発表の場に前夜祭を選んだのは「私が実演と講演をしてもせいぜい数万人だけど、映画なら数億人が観てくれるから」

・作中りんちぇは、高僧の役。この映画を自身の師父である呉彬師と全ての先人に捧げると話しています。ほかの俳優の役どころについては明かされませんでした。

・11月15日にこの「功守道」競技を世界に向けお披露目する。そしてりんちぇはその創始者となります。

・りんちぇは、この功守道を専門リーグに発展させ、大衆スポーツとして普及させたいと考えていて、最終的には五輪競技の正式種目にしたいと望んでいるようです。

最後にりんちぇが微博に記したコメントをば。

“推出功守道,就是向中国武术人致敬,向我的老师吴彬致敬,实现中国武术进入奥运一直是我的梦想,我会一直为此而努力。”

武術の五輪競技正式種目は、中国大陸の武術界にとっては悲願なんですなぁ。

参考記事
马云主演《功守道》再曝光:双11晚会将播放精华版
《功守道》首发亮相双11猫晚:李连杰向马云争取了三年
Jet Li Officially Introduced as the Founder of Gong Shou Dao (GSD)
↑ここでいう10年かかったっていうのは、映画ではなく「功守道」のことですね。

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アリババCEO、ジャック・マー製作主演の「功守道」が凄すぎる件

前々から、りんちぇ、ドニーさん、ウー・ジンくんが共演するの?と言われていた作品についての続報です。


左から
ジェット・リー、ナターシャ・リュー・ボルディッツォ、鄒市明(中国の有名ボクサー)、朝青龍、サモ・ハン、ドニーさん、ジャック・マー、ウー・ジン、ユエン・ウーピン、トニー・ジャー、チン・シウトン、ジャッキー・ヒョン

ドニーさんが先日の微博版AMAで「あとでりんちぇから発表があるよ」と答えておりましたが、りんちぇの発表の前にアリババのCEOジャック・マーからこんなポスターがアップされました。

ドニーさんの結婚記念日をジャック・マーも含めたたくさんの方にお祝いしてもらった動画がありましたが、この作品のために集まった人達なんだということは間違いなさそうです。

そう言えば朝青竜とも一緒にお写真撮ってましたねぇ。

さてこの作品ですが、どうやら主演はジャック・マー、その人のようです。もともと彼は太極拳を学んでいて、アリババ社では、社員の健康のために職場へ太極拳を導入するほどの熱の入れよう。2011年にはりんちぇとともに「太極禅国際文化発展有限公司」を設立しました。ふたりは太極拳を世界に発信する活動しており、りんちぇにとっては「壹基金(One Foundation)」と並んで大切にしているライフワーク。

ジェット・リー、世界中に太極拳を!発信拠点を設立=不眠やストレスに効果―浙江省

これがいわゆるフィクションとしての映画なのか、またノンフィクションとして広く中国武術を紹介するものなのかは分りませんが、この件に関するドニーさんの動向を思うと恐らく撮影は結婚記念日だったあの一日だけのようですしニュース記事だと全員ノーギャラ出演という事で、多分後者に近い短いものではないかと想像しておりました。

あるサイトによると、ジャック・マーは以前「時間をかけて歌を歌ったり俳優になったりという子供のころの夢を実現する」と語っていたということで、今回はその夢をひとつ叶えたという風に紹介してありました。と、するとやはり物語仕立てで、主演俳優ジャック・マーということなのでしょうか。

お披露目は、アリババ社が火をつけ、すっかり定着した独身の日(11月11日)に関連した時期と書いた記事もありました。

独身の日とは
「独身の日」を世界最大のショッピングイベントに育てたアリババの功績

と、ここまで書いた所で、りんちぇのサイトがもう少し詳しい事を発表。
Jet Li Produces a New Short Film, Gong Shou Dao (GSD) Starring Jack Ma and A-List Kung Fu Stars

りんちぇはエグゼクティブプロデューサー兼任。「我々は中国の優れた伝統文化を奨励し、太極、功夫、マーシャルアーツの先人たちに敬意を表します」とあります。この短編は11月のどこかでYouku(优酷)において公開されるそうで、そのプロモーションが11月11日独身の日アリババショッピングイベントと同時に行われるようです。

劇場公開する映画とは少し違ったようですけど、うわーーーー楽しみ。

にしても凄いメンバーだなぁ。さすがアリババとりんちぇ。やることが違うわ!むっちゃサプラーイズ!

※10月31日時点の追記です

今日、アリババのショッピングサイト「天猫」の11月11日独身の日プロモーション発表会が行われ、そこにシークレットゲストでりんちぇが登場。謎の映画『功守道』について語りました。

そこでわかったことは

・11月10日の独身の日前夜祭パーティ(注:おそらく生中継され毎年高視聴率)でおよそ7分(8分とした報道もあった)のダイジェスト版を放送。フルバージョンは20分ほどで11月11日にあらためて公開。
追記:後のインフォメーションによると、11月12日の午前0時、中国動画配信サイトYouku(优酷)にて。

・功守道とは、太極を基にしたジャック・マーとりんちぇが推進している彼らの創作競技種目で、映画の内容もこの功守道について。

・映画を製作したのは多くの人に太極文化を知ってもらう最良の手段だと考えたため。その発表の場に前夜祭を選んだのは「私が実演と講演をしてもせいぜい数万人だけど、映画なら数億人が観てくれるから」

・11月15日にこの「功守道」競技を世界に向けお披露目する。りんちぇは創始者になります。

・りんちぇは、この功守道を専門リーグに発展させ、大衆スポーツとして普及させたい。そして最終的には五輪競技の正式種目にしたいと望んでいるようです。

最後にりんちぇが微博に記したコメントをば。

“推出功守道,就是向中国武术人致敬,向我的老师吴彬致敬,实现中国武术进入奥运一直是我的梦想,我会一直为此而努力。”

武術の五輪競技正式種目は、中国大陸の武術界にとっては悲願なんですなぁ。

参考記事
马云主演《功守道》再曝光:双11晚会将播放精华版
《功守道》首发亮相双11猫晚:李连杰向马云争取了三年
Jet Li Officially Introduced as the Founder of Gong Shou Dao (GSD)

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戦狼 ウルフ・オブ・ウォー(战狼Ⅱ、中国・2017年)@HK

今年の夏。「世界歴代興収トップ100にランクイン 非ハリウッド映画で初」というニュースが世界を駆け巡りました。その映画こそウー・ジン(呉京)主演・監督の『戦狼2』

香港で観ました。日本でも大ヒットはニュースになってましたよね。その中でこの映画を中国版ランボーとか愛国映画とか紹介してあったけど、そのあたりの言葉はさほど意識しなくていいんじゃないかと思います。

私が観た劇場はサウンドシステムで、爆発音だの人が殴る音だのに反応して連動する座席だったんですが、一言でいうと上映中ずっと揺れてました(笑)。同じ劇場でたくさんのアクション映画を見てきたけど、ここまでずっと揺れてる映画は初めて。前作として『ウルフ・オブ・ウォー ネイビー・シールズ傭兵部隊 vs PLA特殊部隊』(2015)という作品があり、一応続いてるという前提ですけど知らなくてもまったく問題はありません。

おもしろかった。めっちゃ、ほんと。

この作品のヒットに関してはこんなニュースが出たりして、作られた大ヒットという意見もあるんですね。
中国映画『戦狼2』、大ヒットは政府の「操作」のおかげ? 政治的な内容にも賛否
いや、当局の操作や、仮に軍の動員や興収水増しがあったとしても、実際にお客が足を運ばなければここまでの驚異的数字(累計56億7300万元・約962億円)には、ぜっっっったいなりません。間違いなく中国の観客は劇場でこれを楽しんで観たんです。だっておもしろいから。

正直言うと、あまりの突き抜けた馬鹿さ加減に私はずっと笑いが止まりませんでした。日本の映画館なら我慢したかもしれないけど、ここは香港。後ろの女子2人(多分大陸の子)もキャッキャいって笑ってたんで、私も気にせず大笑い。で、画面に突っ込みながら観ましたよ。塚口サンサンとかキネカ大森は今からマサラ上映や絶叫爆裂上映の予定を入れておいてください。絶対したほうがいい。

人民解放軍の元特殊部隊の男(ウー・ジン)が色々あって引退、アフリカのある街でバーかレストランを営業し現地の人と仲良くやってるところへ強大な軍事力を持ったテロリストがやってきて、内戦勃発、政府軍と大統領を瞬滅。そこから脱出しつつ途中で出会った疫病研究の女医を連れて辿りついたのは中国企業が経営する工場。はたして彼等は無事中国大使館だか領事館に辿りつけるのか?

みたいな話。

ストーリーじゃない、人間関係でもない。台詞なんて飾りです。愛国も笑いのネタでしかない。アクション、ただアクション。それもこちらの想像を軽く超えたアホな対決のオンパレードです。戦車でチェイス。戦車ですらカンフー対決。ジョン・ウイックはガンフーですが、これはタンクフー。そして戦車に煽られながら走って逃げるウー・ジン。ここで私は大笑い。

以下、語彙力がなくなったので箇条書きでガンガン進めます。

・ウー・ジンファンは、上映開始に絶対に遅れちゃダメ、遅れたら一生後悔する
・いきなり登場するや謎の動き。やだそれウエイブですか?
・そして海に入るとこからウー・ジンかっこよすぎ。ここで彼に恋をしない人はいない
・タイトル!
・涙を溜めて振り返ると涙が飛ぶ。少年漫画でしかなかった表現がCGで実写に
・サッカーするウー・ジン
・子供達と戯れるウー・ジン
・ゴールを決め水着姿の女子たちにポーズを決めるウー・ジン
・爆発
・ランチャーをわずか金網で防ぐウー・ジン
・キルカウントは相当多い
・エキストラ大変
・爆発
・様々な武器を駆使するウー・ジン
・しかも超人的スキルと運の良さ
・爆発
・ライオン
・女に中指を立てられるウー・ジン
・アフリカと我々は友人
・不死身だウー・ジン
・爆発
・ドリフコントみたいに崩れる壁
・と、迫力ある見事なアクションとの落差の味わい
・男たちの友情、でも画面はひたすらウー・ジン
・爆発
・土豪の息子も成長
・中国軍が彼等を助けるかどうか逡巡。そんなことはいいからさっさとウー・ジンを映せ
・爆発
・戦車から何故かしかも微妙な位置で顔を出したまま、走行するウー・ジン
・しかもそれがめちゃヘタなCGで、生首にしか見えないウー・ジン
・爆発
・爆発
・倒壊するビルを抜け、戦車に煽られながら走るウー・ジン
・爆発
・爆発
・爆発
・突然のアメイジンググレイス
・銃を撃つのではなく銃を投げつけるウー・ジン
・結局最後は拳で勝負
・トニー・ジャーばりに前転からの2キックをご披露するウー・ジン
・中国国旗を翻すも、その旗の立て方(笑)
・パート3もやるよ!のエンディング
・これはランボーじゃない、今後はミッションインポッシブルシリーズを狙ってるのね!のウー・ジン


↑いい顔つきだ、ウー・ジン

確かに人によっては愛国映画として興奮した観客もいるでしょうけど、ほとんどは真面目にウー・ジンがやればやるほど笑えたんだと思います。アクションも無茶ブリオンパレードですが、彼の映画に賭ける真摯さにホント心から楽しめました。アクション監督は『シビル・ウォー キャプテン・アメリカ』のサム・ハーグレーヴと、そのスタッフを招聘。中華圏側のアクション監督としてジャック・ウォン(黃偉亮)とのダブル体制。いや、グッジョブ!!!

が、これを米アカデミー賞の外国語映画賞中国代表に選んだ中国広電総局には相当無理があるだろと突っ込んでおきたい。

もし、スクリーンが小さく音も悪いところだけど近くの映画館と、少々遠いけど大きめで音もいい映画館での上映の二択あるなら迷わず遠くても大きなスクリーンで観ることを推奨します。これこそ本当はTOHOシネマズとかでやるべきなんだよ。4DXとかで上映してごらんなさいよ、酔う人続出だから。

東京では今後公開があっても小さいところでしかないかもしれないので、ウー・ジンファンは最初で最後のチャンスになるかもしれない「2017東京・中国映画週間」での上映を見逃してはいけません。

10月21日 (土) 開場 19:45 上映スタート 19:55 上映時間 123分
会場 TOHOシネマズ シャンテ スクリーン1

10月26日 (木) 開場 13:30 上映スタート 15:30 上映時間 123分
会場 TOHOシネマズ 日劇 スクリーン1

にて『戦狼2 ウルフ・オブ・ウォー/戦狼Ⅱ』というタイトルで上映されることが決定しております。是非とも大きなスクリーンでウー・ジンの雄姿を堪能していただきたいと思います。一緒にこのおもしろさを分かち合いましょう。そして齢40を過ぎて、輝かしい特大メガヒットを飛ばし間違いなく中国のスターになった彼の成功をともに喜ぼうではありませんか。

《战狼2》Wolf Warriors 2 予告
《戰狼2》アクション預告片 吳京與《美隊3》反派徒手格鬥

と、思ったらシネマートで公開するのか。
のむコレ詳細いつもお世話になってます、シネマートさん。
で、日本語字幕のついた予告もありました。
『戦狼 ウルフ・オブ・ウォー』10.28~開催★のむコレで上映決定!

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追龍(原題、2017年・香港中国)@HK⑤レビュー – ドニーさん 甄子丹

それではざっくりと感想レビューを。これで最後になる・・・はず。ネタバレ

上映時間は2時間08分とドニー映画としてはやや長めなのですが、これもっと長くてもよかったなと観た後思いました。もう少し時間をかけて人物を掘り下げてくれてもよかったなと。が、それは反面ダレずに最後まで突っ走った感覚を持てたということでもあります。

なにしろ、跛豪と五億探長の2本(探長は前後編だから正確には3本?)を1本にまとめた格好です。どうしても駆け足になりますわな。その分テンポが速くて見やすかった気もするし難しいところですね。

香港ではこのモデルとなった2人の実在の人物のことを知ってるという前提があったのかもしれません。かといえ大陸ではまったく知られていない人物のはず。いくら有名作のリメイクとはいえ、このような超ドメスティックな香港黒幇映画で勝負したのはずいぶん思い切ったなとも思います。

当局の検閲があるため、作ろうとしても結果画竜点睛を欠くことになりかねないジャンルのひとつ黒幇片ですが、イギリスを完全な悪者にすることで回避できたのは王晶の手腕だとレビューに書いた評論家もいました。

アクションは今までのドニー映画とは違い、ジャーマンスープレックスや三段蹴り、チェーンパンチも登場しません。「この役は、喧嘩屋だけどマーシャルアーツの達人じゃないし」というのがドニーさんの言い分です。そもそも足をやられて片足が不自由な役だし。

主演が彼でなければ普通にアクション映画として持て囃されるほどにはちゃんとアクション映画です。特に不満を感じなかったのは、もっと少ないのではと覚悟してたのと、何度も言いますが、舞台設定や音楽の力が大きかったと思います。

特に九龍城は非常に楽しかった。關智耀共同監督によると山のような資料を収集し当時そこで生活した人から話を聞き、道具に至るまで細心の注意を払ったといいます(香港映画人の言う事だから話は絶対盛ってそうだけど、笑)。

以前見た記録映像や唯一持ってる本『九龍城探訪 魔窟で暮らす人々』にくらべると汚しが足りなくて100倍ほど綺麗だし、よく見ると少々ちゃちい部分もあるかもですが、それでも自分は充分気に入りました。カメラワークもあいまって画面がおもしろくて飽きなかった。

途中、追われて逃げるアンディが階段をジャンプして降りると足元の水なのか油なのかで滑って転ぶという動作があったけど、あれなんかすごく九龍城あるあるって感じがして匂いまでしてきそうでしたわ。このシーンはかなりの緊迫感。テンパったアンディ、凄い色気。かっこよすぎっしょ。

やはりアクションは場所の制約とかあると面白いです、上から落ちて配線や謎のパイプに引っ掛かるとか。今回ドニーさんは設計段階で時間をかけてカメラ位置を捜したそうです。

ところで、最初の大乱闘でドニーさんの靴が脱げ途中で喻亢が投げて寄こしたのをまた履いて戦うという実に細かい動きがありました。ここなんかすっごいドニーさんでしたよね。ご本人が喋ったわけじゃありませんけど、仮に尋ねたら「主人公が功夫の達人じゃないことを表現するのに、わざと入れた演出。本当の武術家なら最中に靴が脱げるようなミスはしないだろ?」とドヤ顔するんやろなぁと想像して笑っちゃいました。

さて、その乱闘シーンのあった香港の外景は中国仏山市にある西樵山国芸影視城で撮影しています。私の記憶が正しければ『イップ・マン 最終章』のために建てたオープンセットでその後多くのドラマや映画に使われているところ。

イップ・マンといえば継承を撮影したオープンセットは、かの有名な上海・松江区にある勝強影視基地。ここはもともと巨額の資金と年月をかけて『孫文の義士団』のために作られた街並みなので、クオリティは当然上海のほうが勝るのですが、仏山にしたのはスケジュールなのか、金額の問題か、香港から車で通う事も可能という立地が決め手だったのか、はたまたドニーさんの映画で4度目になるのを嫌ったか(ほかには『レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳』もそう)。

九龍城はどこのセットに組んだのでしょう、クランクイン直後に香港のショウ・ブラザーズのスタジオを利用していると読んだ気がするんですが、ごめんなさい。確認してません。

が、ドニーさんが今回苦労した点で自宅に帰っても役が抜けずに大変だったとボヤいてたので、案外香港というのは間違ってないのかも。俳優は香港だらけだしね。ホテルのいい部屋に何カ月も泊めるより自宅から通ってもらった方が安くつくもん。

いつものドニー映画としてはレビューがかなり冷静な気もしますが、いや、映画がおもしろくなかったわけじゃありませんよ。むしろ連続鑑賞によくある睡魔にも襲われなかったし、なんといってもアンディとのコンビがすごく新鮮でした。

お、そういえば今回ドニーさんは演技にこだわったようで、テレビシリーズの『精武門』を思い出す表情もいっぱい見れました。渾身の演技だったからいろいろ取り憑いてたんだろうなぁ(笑)。

最後に。ひょっとしたら削除シーンを足した形のソフトを発売するかもという話があるようで。それ是非見たいので実現して欲しいです。

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ドニーさんの新作情報など。2017年秋 – ドニー・イェン 甄子丹

追龍の総評するつもりがどんどん横道に。ドニーさんが微博でAMA(Ask Me Anything!)的なことを実施。そこからわかった今後の作品のことなんかをメモ。

redditという英語圏のSNSでお馴染みのAMA。昨年ドニーさんもここでファンからの質問に直接答えていました。

有名人だけでなく様々な職業、境遇や体験をした人々が、広くユーザーからの質問に答えるAMA、その多くを日本語訳にまとめていらっしゃる方がいます。ドニーさんの回も抜粋して翻訳しておられるのでご紹介させてください。
【宇宙最強】ドニー・イェンだけど、なんか質問ある?【カンフースター】

今回行われたのは、まさにそのAMAの中華版。そこで今後の新作のことなども答えていたので中から気になったことを残しておきたいと思います。

まず、葉問4は来年の4月にクランクインの予定。まぁこればかりはズレこむことも多いので、そんな感じぐらいに思っときますね。

そしてみんな気になるハリウッド作品に関して。

ドニーさんは、来年は自分の会社で2本、またハリウッド作品を2本予定しているそうです。が、ご本人「一番大事なのは新しい挑戦だよ!」ですって。

そのハリウッド映画の主演作としてタイトルがあがっている『スリーピングドッグス 香港秘密警察』に関する質問も当然ありました。
人気ゲーム「スリーピングドッグス 香港秘密警察」実写化に出演、ドニー・イェンが深い縁を語る―香港
「いつクランクインですか?めっちゃ期待してます!」というコメントに「今脚本を書いてるところ」というレス。

またドニーさんの現代MMA路線のファンも多いようで、次いつ、導火線スタイルのアクションが見られるんでしょう?という質問(ナイスクエスチョン!)には

「大師兄」

と一言ではっきり答えていたので、撮影中の『大師兄』のアクションスタイルは総合格闘技系になる模様。ドニ八先生のちょっぴりビターなうふあは青春ストーリーかと思ったら、なんやめっちゃアクション映画やないですか!全ては拳で解決っすね!楽しみです!

あと、
Q: 今後やってみたいのは?
A: 音楽映画

Q: 古装片(時代劇)の予定は?
A: しばらくはしない

来年は葉問4以外、全部現代劇だそうです。

Q: もう一度アンディ・ラウと共演しますか?
A: 期待してて、企画中

また今回の追龍については、「これまでは、みんなアクションだけを注目してきたよね。でも僕は俳優として努力してきたんだよ!今は追龍で多くの人に認めてもらえすごく嬉しいんだ、今後もさらに精進するよ!」(ちょっと意訳ぎみ)とご満悦でした。

そして、最もみんなが知りたかった、噂のジェット・リー、ウー・ジンとの共演の話ですが。

「あとでジェットから発表があるよ」という答え。

映画?映画ですか?映画なんですか?ドニーさん、一体どんなプロジェクトですか?早く発表して~~~~りんちぇ~~~~おねが~~~~い

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追龍(原題、2017年・香港中国)@HK④音楽編おまけ – ドニーさん 甄子丹 ネタバレとか関係なし

追龍総評に行く前に、やっと見つけたジェフリー・チュウのこと。ほんとすみません、自分用メモみたいな話ですわ。ネタバレとかまったく関係なし。

追龍のティーザー予告に使われ、今作のオープニング・クレジットソングにもなった陳光栄作曲のオリジナルソング、 Chasing The Dragon 。その作詩と歌を担当した Jeffrey Chu (ジェフリー・チュウ)が誰だか分らずにずーっとモヤモヤしてたら、彼の中国名が朱雋言だとやっと分りました。彼は Billy Alexander という人と一緒にこの映画のエンディングソングである The Ghetto ラップバージョン(ディスコバージョン?)も歌っています。

いや、本当はね、エンドクレジットで確認すればよかったんだけど、見るべき部分が多過ぎて英語名までしか確認できなかったのよう。

中国名さえ分ったらこっちのもんやと調べてみたら、なんと私が以前観た金城武くん主演映画『喜歡你』で印象に残った挿入曲「住在地球曬夕陽」を歌ってるお人でした。なんちゅー灯台もと暗し(涙)。たしかにこれも陳光栄作曲。

しかも素敵な歌声に、そのあとyoutubeに飛んで彼のチャンネルとかちゃんと見とったっちゅーねん。再びそのチャンネルに行きついた時の私の驚きぷりったら。

でもねでもね、言い訳させてもらうとね、 Chasing The Dragon のほうは、曲調も違うしさ、ボーカルに極端なイコライザー処理がしてあるじゃん?だからさ、「住在地球曬夕陽」と同じ人とはちらとも思いませんでした、マル

あーでもやっとわかってなんか嬉しいっす。まったくもって自己満足でしかないんですけどね、妙にね、あるんですよね、達成感(笑)。

彼の事調べても、『喜歡你』の電影原聲帶(オリジナルサウンドトラック)の事しか出てこず(作中ほかにも歌ったナンバーがある)、Wikipediaも百度にも記事がないのでキャリアとか詳しい個人資料がまったくヒットしない。

多分、サントラ紹介以外で朱雋言の事を記したのは世界でこれが初かもしれません。ふふふ、世界で何人いるか知りませんが、彼を調べようと思ったら、これがヒットするのかも。(なにその妙な上から目線)

さてこの『喜歡‧你』ですが、そういえば間もなく開催される東京国際映画祭で『こんなはずじゃなかった!/喜歡‧你』という邦題で上映されるようです。お腹すく人続出だな。

では、貼っちゃうよ~
住在地球曬夕陽

これもよろしいです
千紙鶴 – Khalil Fong (cover) Jeffrey Chu 朱雋言

そして捜したらあった。追龍オープニング曲

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追龍(原題、2017年・香港中国)@HK③俳優編 – ドニーさん 甄子丹 ネタバレ

今作は香港俳優オンパレード。登場人物の役名キャラと俳優名、簡単な俳優紹介のメモつき。日本語字幕がないのを観る際のお役にでも立てれば。でも間違いがあったらごめんなさい!ネタバレ

今作の主要なキャラクターは一部の女優を除き、ほとんどが香港俳優で占められています。

2012年版ですが、ジェトロ(日本貿易振興機構)による中国コンテンツ市場調査というリポートで「香港と中国の合作映画規定では主要キャストで中国大陸の俳優が1/3より下回ってはいけない」という一文を読んだことがあります。

えーっと。この映画、ここに挙げただけでも3人を除いてあとは全員香港俳優ですけど????

一体王晶(ウォン・ジン)は、当局にどんなマジックを使ったんでしょうか。

彼は、黒幇片(マフィア映画)というとすぐ思い浮かぶお馴染みから少しひねった顔ぶれを揃えてきました。とっても新鮮。でもちゃんとオールドファンも呼び込もうとしてますよね~。

まずは潮州義兄弟から

・大威(義に厚いが博打好きなのが玉にキズ。賭場でもめ事を起こしたらしく拉致される羽目に)

姜皓文(フィリップ・キョン)
香港映画ではとにかくよく見る顔。バイプレイヤーとして出演することが多いので年間の出演本数は多分香港一。最近痩せてパッと見分らなかったりする。というか、見るたびに痩せてゆく。

・細威(大威の実弟)

劉浩龍(ウィルフレッド・ラウ)
香港の歌手・俳優。最近作だと『全力スマッシュ』でイーキン・チェンの手下で割れたメガネをかけて登場した彼がそうです。今作では最後の台詞が泣かせました。が、そのあとにも驚きが。

・啞七(一応記事とか読むと唖設定。大陸では阿七表記)

喻亢(ユー・カン)
甄家班(ドニーアクションチーム)の一員。こうして見ると演技がうまいのに驚く。ずっと内トラでしたがドニーさんの事務所と俳優契約をしてから主要な役にキャスティングされることが増えております。他に『カンフー・ジャングル』や『アイスマン』など。今回は動作指導に名前がありました。この男優陣で大陸の人は彼だけ。

番外

・阿平(伍世豪の実弟、学業に励んでほしいという兄の期待とは正反対の結果に)

李日昇(ジョナサン・リー)
母は著名な粤劇女優。子役出身でTVを中心に活動。映画ではジョニー・トー監督御用達子役とも言われ多くに出演、『エレクション』とその続編ではサイモン・ヤムの息子役でした。1992年生まれ。

続いて警察関係

・猪油仔(リー・ロックの腹心的存在の警官、物腰は柔らかいが頭は切れる)

鄭則仕(ケント・チェン)
彼は91年版『跛豪』にも出ておりましたが、その時は主人公と敵対するマフィアの役でした。香港映画には欠かせない存在。葉問シリーズにも刑事役で出てます。役名に必ずといっていいほど肥という字がつくけど、今回は猪でしたね、まぁ似たようなもんか。ユーモラスなシーンを担っておりました。

・嚴正(主人公・伍世豪と同郷の清廉潔白な警官。伍世豪が持ってきた高価な土産や現金を突き返す潔癖さ。最後着ていた水兵さんみたいなのは当時の香港水上警察の制服です。可愛いよね。劇中、正哥と呼ばれてる)

黃日華(フェリックス・ウォン)
無綫電視(TVB)全盛の80年代にドラマで主役を演じスターに。当時、TVBがどれほど盛況だったかというと、次に紹介する湯鎮業(ケント・トン)はじめ、苗僑偉(マイケル・ミュウ)、梁朝偉(トニー・レオン)と劉德華(アンディ・ラウ)の5人を専属俳優に持っていたぐらい。ほかに周星馳(チャウ・シンチー)もいましたからね。どんだけ。

・顏童(イギリス人とつるみ悪さばかりする警官、顔爺と呼ばれてる。雷洛を臭小子とバカにしていたが、雷洛の結婚を機に立場が逆転)

湯鎮業(ケント・トン)
黃日華と同じく80年代無綫電視で人気を誇ったスター。先に紹介した5人は「無綫五虎將」と呼ばれていたほどの人気だったそうです。今ちょっと強面な感じですが、当時はほんと可愛いお顔でしたのよ。今作ではその五虎のうち三虎が揃ったということで香港で紙面を飾りました。このあたりの話題になりやすいキャスティングも、さすが王晶。

↓香港首映会でノリノリの2人

Ernest Hunt (英国人警官、伍世豪にとっては因縁の敵。復讐心をたぎらせるドニーさんにアンディが英国人殺しだけは身の破滅だから止めておけと繰り返し諭しておりました)

Bryan Larkin (ブライアン・ラーキン)
10代から武道やボクシングを学んだ英国俳優。2016年の『エンド・オブ・キングダム』が中国でヒットしたこともあり、オンラインオーディションを受けドニーさんが選んだとか。現在は香港のアパレルブランドのモデルにも起用されています。映画では超絶ゲスいキャラでしたが、普段のご本人はとてもハンサムガイ。インスタでドニーさんの事をベタ褒めしてくれました。好き。

Geoff (ハントの部下)

Julian Gaertner (ジュリアン・ガートナー)
ドイツ出身の俳優。『ゴースト・イン・ザ・シェル』にスタントマンとして参加。アンディとは『拆彈專家』に続いての共演。ほかに『狂舞派』に出演するなど、いまのところ香港を中心に活動。

この2人の俳優はその後香港で『 DED END 』というタイトルのショートフィルムを撮ったようです。その精神。素晴らしい。トレーラーはこちら
DEAD END TRAILER #1

番外

・役名不明(どうやら、顏童の弟設定らしい。兄は弟を香港の実力者である周爵士の娘の婿にしようと画策中。が、パーティの席で婿に発表されたのはアンディ・ラウだったという)
↓彼のスチルがなかった。ので近い雰囲気のを

尹子維(テレンス・イン)
ホンマに不憫なお人やテレンス・イン。この役も何やら分らんうちに一瞬登場しただけ。それでも出て来た瞬間に「お、テレンス・イン!」と心拍数が上がるのが不思議。澄ました顔で登場しただけで全私が笑った。そんなテレンス・インですが、とうとう、とうとうかっこいい暗殺者役が巡ってきました。『キラー・セッション』というフランスのアクションスリラーですよ、みなさん。しかも日本公開される!!!10月21日より東京・ヒューマントラストシネマ渋谷、11月5日より大阪のシネ・リーブル梅田にて上映。テレンス・イン好きは行くべし。
暗殺者vs暗殺者 『キラー・セッション』 予告
映画ナタリー:殺し屋同士の緊迫感あふれる攻防戦「キラー・セッション」公開決定、予告編も解禁

黒社会のみなさん

・肥仔超(超哥とも。一度はその下についた伍世豪だが、すぐ敵対するようになる。彼の足を折ったのはこいつだこいつ。やがて逮捕され投獄されるも出所後は顏童と組んで伍世豪を潰しにかかる)

吳毅將(ベン・ウ)
こちらは亞洲電視俳優訓練所出身。彼がめちゃくちゃにドラムを叩くシーンは毎回笑いが起こっておりました。ゲスい男なのにどことなくチャーミングさが残るところが持ち味。ドニーさんのATVドラマ『クンフー・マスター 洪熙官』で三德和尚を演じていたのは彼。

・玫瑰(英国上層部は、リスクヘッジとして黒幇を4つに分散することを決定しており、その4つ目の勢力として雷洛がスカウトしたマフィアの女ボス。しかしその実態は伍世豪によって売られるところを助けられた少女、阿花。秘かに伍世豪の養女になって彼のために台湾でマフィア修行をしてたそうな。アンディは知らずにびっくり、私もびっくり)

徐冬冬(シュー・ドンドン)
人民解放軍芸術学院出身で中国の元ネットアイドル。今回デリートの憂き目に遭ってしまった女優陣で唯一活躍が残りました。かっこよかったよ。玉砕間近に少女に戻る演出がよかったですな。

・花仔榮(リーゼントの男。ボスの大灰熊を殺害してその地位についた。しかし最後は玫瑰の手にかかりオダブツ。生首に)

周俊偉(ローレンス・チョウ)
香港の歌手・俳優。パン・ホーチョンの『AV』でおバカ学生のひとりを演じておりました。

・鼎爺(九龍寨城を束ねるボス、甥の手により射殺される)

陳惠敏(チャーリー・チャン)
70年代からアクション映画やドラマに悪役として出演。本物のその筋の人という噂。ジャッキーの『ドラゴンロード』や『プロジェクトA2』が有名でアンディの『リー・ロック伝』にも出演。最近作だと『燃えよ!じじぃドラゴン 龍虎激闘

・公仔强(その甥。No.2だったがボスを射殺、しかし罪をその場にいた雷洛に着せ、九龍城内で彼を襲わせる)

黃竣鋒(ジェイソン・ウォン)
2012年亞洲電視のミスターコンテストで優勝し芸能界入り。17歳で広東省ボクシング大会で優勝。北海艦隊航空兵として人民解放軍に所属していた事もあり、3度優秀兵士賞に輝いている。大陸の人かと思ったら香港俳優だそうな。香港人で解放軍に入る人っているのかと、ちょっと意外。

・肥仔超の子飼ファイター(拉致された大威を助けに行った際、伍世豪が戦った相手。その戦い方が気に入られ肥仔超の手下になることに。その際、支度金?として伍世豪は阿花を救う大金を手に入れる)
↓スチルがなかったのでご本人のインスタより

伍允龍(フィリップ・ン)
今やアメリカ映画 Birth of the Dragon のブルース・リー役で主役を張る俳優なのに、この作品ではかなり勿体ない使い方(涙)。子供のころにアメリカに移民。幼少より父から蔡李佛、伯父から詠春拳を学び、イリノイ大学では武術で博士号をとったという本格派。多分自分の武館をアメリカに持ってる。最初は武術指導として業界入り。その後俳優に。近作には『悪戦』。昨年のヒットドラマ『城寨英雄』でやっと香港で人気者の仲間入りを果たしました。よかった。にしても今作のカツラは笑ったわ、フィリップさん。

そのフィリップ・ンの Birth of the Dragon の予告はこちら
BIRTH OF THE DRAGON – OFFICIAL TRAILER (2017)
ついでにカッコイイアクションクリップBIRTH OF THE DRAGON – CLIP #1 “ALLEY FIGHT”
喋り方がブルース・リーにそっくり(笑)

その他

・周爵士(アンディ雷洛の岳父)

曾江(ケネス・ツァン)
91年『跛豪』においては雷洛を演じました。『男たちの挽歌』の善良な社長、『ポリス・ストーリー3』の麻薬王といった極端な役も多かった。近作は『盗聴犯/狙われたブローカー』。渋くて大好き曾江。今作ではさすがにだいぶお年を召されたなぁと。

・阿梅(伍世豪の潮州時代の妻。香港に向かう中国からの密航船で息子と共に溺死)

周麗淇(ニキ・チョウ)
1979年生まれの香港の歌手・女優。著作活動も。次に紹介する阿晴とともに、結構シーンはあったそうですが、ドニーさんとアンディのストーリーがどんどん膨らんでしまったために割を食ってしまったのがこの女優たち。

・阿晴(伍世豪が入院していた病院の看護師、後に妻となる)

胡然(ミッチェル・ヒュー)
大陸の女優。『ゴッド・ギャンブラー レジェンド』シリーズ『悪戦』など王晶の作品に数多く出演。どうやら王晶の事務所に所属。本編では使われませんでしたが、妻となる彼女との馴れ初めなども撮影されていた模様。ソフト化の際には長尺ディレクターズカットとか出しませんかね。

そして主役のおふたり。
アンディ・ラウは、当時の警察内で香港人としてつける最高の役職探長のトップまで昇りつめた雷洛。劇中では洛哥と呼ばれています。そしてドニーさんは伍世豪。弟分からは豪哥、アンディからは阿豪と呼ばれていました。

当時の香港警察はほんとに汚職が酷過ぎて、怒った英国が「廉政公署(れんせいこうしょ、Independent Commission Against Corruption,略して ICAC )」という独立汚職調査機関を1974年に設立しました。

映画では、そのニュースを見た洛哥がすぐさま海外に家族と逃亡しようとしますが、モデルとなった呂樂は成立前に退職し速攻カナダに移住。成立後はすでに香港にはおらず、逮捕を恐れ二度と香港の地を踏むことはありませんでした。調査で5億HKドルもの資産を蓄えていたことが明らかになったことから、のちに彼は「五億探長」と呼ばれるようになったのでございます。

この映画、舞台はバリバリ香港でありますが、これだけの規模ともなれば香港だけで製作することは不可能なので必然的に合作。

出品人は当然、中国の博納影業(BONA FILM Group)CEOの于冬(ユー・ドング)と王晶が筆頭になりますが、それ以外は香港と台湾マカオからの参加。今回は大陸と「だけ」合作したわけではなく、広く中華圏から資金を集めて来たのかも。ひょっとしたら、その辺りが香港人キャストで固めることが出来た秘訣なのでしょうか。香港映画人も色々模索してるなぁと最近思います。

本当は今年の年末に公開予定でしたが、1か月前になって急に9月末の公開が発表されました。アンディ・ラウとドニーさん主演作品なのに公開当初はスクリーン数の割り当ても非常に少なく、ひょっとしたら中国主導の合作でないことや、テーマ、香港キャストオンリーが当局の心証を害したのか?などと妄想してしまいました。(案外真相は連休シーズンなのにファミリー向けやデート向けでないとか、あまりに香港映画なので劇場側が客入りを図りかねたとか、そんな単純な事なんでしょうが)

一方で、この作品を撮ることが出来たのは、2015年のハードバイオレンス『ドラゴン×マッハ!』のヒットの勢いをもらったのかなぁという気もしています。会社の顔ぶれもほとんど同じだし、あの作品も香港俳優が多かったなと。

そのレビューで私は「誰でもいいからすぐ続いてくれ~!そして香港バイオレンスの確固たる復権を!」と書きましたが、このところの流れを見ているとまさにドラゴンマッハ的なものを続けようする意志を感じます。

ひょっとしたら今後香港映画界で『ドラゴン×マッハ!』がひとつのエポックとして語られる日が訪れるのかもしれませんし、そうあって欲しいと願っています。

さて次回は総評になるのかな?(まだあるのかよ!)

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追龍(原題、2017年・香港中国)@HK②音楽編 – ドニーさん 甄子丹 ネタバレ

前回音楽について書きましたが、今作は本当に音楽がいい。作曲はお馴染み陳光榮(チャン・クォンウィン)と、本編クレジットによると雷有暉(パトリック・ルイ)が担当。核心に触れてるわけではないけれど、映画を観てないとなんのこっちゃなので一応ネタバレにしておきます

まずはティーザー予告に使われていた、70年代を彷彿とさせるホーンの効いたロックナンバー。

このトレイラーを初めて観た時はてっきり自分の知らない有名曲なのかと思ったんですよね。そしたら世界中で「この曲はなに?教えて?」と質問の山。それに誰一人答えられない。いつもはどんなマイナーな曲でもすぐ誰かが答えるのに。中華圏でも同じ状態。

本編クレジットで確認したらまさかのオリジナルでした。タイトルは Chasing The Dragon 作曲は陳光榮で、作詩とパフォーマーが Jeffrey Chu 。私この方存じ上げませんが有名な歌手なのかスタジオミュージシャンなのか。

聴いているとどことなく70年代の井上堯之バンドとか思い出しちゃったりして(汗)。ドニーさんのFB情報だとサントラが発売されそうなので、オリジナルのこの曲は入るのではないでしょうか。

香港音楽シーンに疎い私は共同コンポーザーである雷有暉のことも知りませんでした。もともとはバンド活動をしていたミュージシャンで90年代に4本ほど映画の作曲を担当しています。陳光榮がバンドのギタリストとしてキャリアを始めたことを思えば、似たような何かがあるのかもしれません。

さて、前回は九龍寨城のシーンで Donny HathawayThe Ghetto が使われたことに感激したことを書きました。いやいやいや、あのシークエンスは本当にしびれましたよね?ね?ね?

1969年から79年までの10年間活動し、わずか33歳という若さでこの世を去ったダニー・ハサウェイ。祖母は有名ゴスペルシンガーで彼も教会でゴスペルを歌っていました。のちに名門のハワード大学でクラシックを学び主席で卒業したといういわば黒人中産階級出のエリート。

彼が活動を始めた60年代後半はアメリカの公民権運動がピークを迎えていた時代。彼の音楽の特徴のひとつとしてプロテストソングがあり、当時はマーヴィン・ゲイと並ぶ新世代の黒人アーティストとして大変な支持を集めました。

卓越した歌唱力と音楽教育によって培われた技術は彼の問題意識と結びつき人気を高め、同時に白人の歌をためらわずアレンジ・カヴァーするという柔軟性も持ち合わせた偉大なるアーティスト。

映画に使われた The Ghetto はファーストアルバム『新しきソウルの光と道( Everything Is Everything )』に収録されていますが、彼の魅力は何といってもライブ。72年のライブアルバム 『ライヴ』は最高傑作。 The Ghetto のライヴバージョンもしびれます。興味があったら是非聴いてみてください。

それと実はもう一曲、私の大好きなアーティストのナンバーが使われております。

組抗争の喧嘩で逮捕されイギリス人警察官から暴行を受け入院した伍世豪。そこへ鄭則仕(ケント・チェン)がやってきて、アンディ・ラウ演じる雷洛からだと当面の生活費名目の見舞い金(ひょっとしたら出世払いという台詞だったかも)500ドルを渡します。

その金でスーツを新調した潮州兄弟と、伍世豪の実弟で学生の阿平の5人がテーラーから出てきて意気揚々と通りを闊歩するシーン。彼らの軽い足取りにリンクするように聴こえてくるのが1975年のファンクの名曲、Earth Wind & FireShining Star でありますよ。ひ~~~、こんなのかかるなんてきいてないよ~~~。短いシークエンスながら、これは見ているこっちもニッコニッコになる魔力を秘めておりました。

とにかくこの2曲を選んだというだけで私の点数はかなり稼ぎましたよ。他には競馬場でかかるスペイン語の曲もひょっとすると有名な曲なのかも?ちょっと判断がつきませんでした(要は知らない)。

あとは恐らくオリジナル。

この映画のサウンドトラックの何がいいって、ちゃんと完尺で音楽をつけたなとわかるタイミングの良さ。それがオリジナルだろうと既成曲だろうと、同様にこれしかないというタイミングで転調、終了、また始まる。これがバッチリ決まると物凄く気持ちいいのは、その究極の形であるエドガー・ライトの『ベイビー・ドライバー』を思い出せばお分かりいただけるはず。

今作はそのタイミングがとっても気持ち良かったし、作中、かなり音楽が多かった気がします。

オリジナルも60年代から70年代を意識したコンポジションながら所々に陳光榮テイストも感じたりして楽しかった。特にね、前半すぐの大灰熊と公仔強の出入りでは上手い具合にロックンロールしていて日活アクション風味を醸し出しておりましたし、なにより『導火線』ぽさもあった気がします。

職人らしくそれぞれのシーンの色合いに相応しい曲をつけたという印象。なかでも中盤、陳惠敏(チャーリー・チャン)が甥の公仔強(黃竣鋒・ジェイソン・ウォン )に撃たれた直後からの九龍寨城のアクションシーン。逃げ惑うアンディ・ラウのバックに流れるナンバーは太鼓と二胡の奏でる音が緊張感を高め、今作一番のお気に入りです。

また、この時のアンディのテンパリ具合がよろしくてね。九龍城の切り取った様な夜空に打ち上げられる花火とそれを見上げるドニーさんとアンディの表情とか絶品。

あとは前回も書いた愛のテーマですが、それはみなさんの耳で確かめてください(笑)

ところで、上映直前にネットに公開されたアンディ・ラウが歌うイメージソング『浪子心聲』。

本編には使われておりませんでしたが、これは許冠傑(サミュエル・ホイ)が1978年に出演した映画『Mr.BOO !』の挿入歌がオリジナル。実はアンディが主演した1998年『ゴッドギャンブラー 賭侠復活』(監督は王晶)において共演者の張家輝(ニック・チョン)とこの曲をデュエットしており、これまた雷洛役と同じく久々のカバーとなりました。

劉德華深情重唱”浪子心聲”《追龍》宣傳曲MV 霸氣回顧香港往事
浪子心聲-劉德華&張家輝
オリジナル:許冠傑MV 浪子心聲
ティーザー予告《追龍》官方預告片

追記です:
昨日ドニーさんのインタビューを読んでいたら「映画のBGMにブラックミュージックを使おうって言ったのは俺だ、70年代アメリカにいた俺だからそう思えたんだ、白人の音楽じゃダメなんだよ」と威張ってました。なんと、ドニーさん発案だったとは。御見逸れいたしました。

でも、選曲まではしなかったよね、してたら絶対曲名出してドヤ顔で自慢するもんね(笑)。

うわーん、香港のオフィシャルがゲットーのシーンの一部をアップしてくれたよう、貼っちゃう

かっこいい

この The Ghetto はラップバージョン(ディスコバージョン?)のカバーがエンディングソングとしても使用されています。そしてJeffrey Chuという謎のアーティストが誰だが分りました。

くわしくはこちらで
追龍(原題、2017年・香港中国)@HK④音楽編おまけ – ドニーさん 甄子丹 ネタバレとか関係なし

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追龍(原題、2017年・香港中国)@HK①- ドニー・イェン 甄子丹 ネタバレなし

実にドメスティックな映画でした。王晶やったね。ドニーさんもアンディ・ラウも、他のキャストもすんごくよかった!!!これは返還前の香港映画ファンも必見。スタイリッシュにあの時代の香港映画が蘇ったよ。ネタバレなしのつもり

王晶(ウォン・ジン)が92年の金像奨作『跛豪(原題)』(レイ・ロイ主演)とアンディ・ラウ主演の『リー・ロック伝』前後編を合わせてリメイクした黒社会もの。監督は、王晶と關智耀(ジェイソン・クワン)。

一足早く香港行って観てきました。前評判でかなり往年の香港映画してるということだったので観客もその辺りの期待が高かったのか、朝8時の回はもちろん昼間は年配率が非常に高し。一方夜9時台にもなるとそこに若い衆も寄って場内満席でございました。

原題の『追龍』と英名の Chasing The Dragon とは、もともとヘロインをあぶって吸引する行為、しかもその最初の瞬間を表す広東語のスラングが語源。そこから英語もその意味を示すようになりました。龍は架空の動物でいくら追い求めても見つけることはできない、やがて飢餓感ばかりをつのらせ決して満足することはない、という解説をどこかで読んだ覚えがあります。

さてその作品ですが、レビューを読むとみんなこぞって「王晶はやっと本気を出した」とか「やればできるじゃん王晶」とか「どうしちゃったの王晶」なんて書いていて、んな大げさなと笑ってたんですが、いざ観てみると第一声が「王晶の本気、とくと見た」だったので人のことは言えない。

というか、昔からおバカ映画を監督することが滅法多くそれが悪目立ちしてしまう王晶ですが、実はこっそり(ご本人はこっそりのつもりではないと思うんだけど)シリアスな映画を撮ったりもしております。2009年にはこの作品の前身ともいうべき『金銭帝国』という映画もあるんですよ、ただヒットせずにそれほど知られていないというだけで。

雨の中捨てられた子犬を抱くヤンキーをほんとはいい奴じゃん!と持て囃すのと似たような現象が、まさに今起こっていて(笑)この映画の宣伝に大いに役立っている部分もある。日ごろの行い(作品)がいい意味で効いてますわ。

さて、この映画の売りのひとつが、ドニーさんが広東省潮州出身の役のためにクランクインの何か月も前から潮州話のレッスンを受けたというエピソード。劇中広東語はなまりどころか義兄弟達との会話はそのまま潮州話だったりする(んだと思う)。

台詞もおもいっきり粗口(スラング、多分日本語では想像もつかないレベルのもの)オンパレード。劇場ではその粗口に反応した笑いが結構起きておりましたが、私には難しすぎて字幕が脳を上滑りするばかり。何回か観たのですが、流れを把握したら最後はもう字幕を追う事もやめました。

大陸では当然普通話吹き替え(配音演員:陳浩)で潮州なまりはなく、その辺りの台詞は結構マイルドになってるかも。どころか、役の設定自体潮州出身ではなくマレーシアのペナン州出身に変わってる!と嘆いてるファンがおりました。なので中国大陸のドニーファンの合言葉は「広東語版を観た方がいいよ、てか観ろ!」

なかで印象的な台詞として「生死有命、富貴在天」というのが繰り返し出てきます。これは孔子の論語から顔淵第十二の五・子夏の言葉として綴られている言葉。ほんま中国人論語好きゃなぁ。解釈としては「人間の生死も貧富も天命によるものやさかい、人の力ではどないもできへんのや」ということでよろしいかと。

以前、この映画の情報としてアクションは少なめと書いたと思うのですが、いやいやちゃんとアクションしてました。ただ、いつものしっかり計算され尽くしたドニーアクションとは毛色が違うというだけで。大丈夫、これはアクション映画のカテゴリーに分類されますよ。今回はマーシャルアーツの達人でないので、ほぼ喧嘩殺法、ドニーさんいわく「カンフーじゃない、マチェーテ・スタイル」とのこと。銃撃戦も多いです。ショットガンをぶっ放すドニーさんはかなり新鮮。

アクション監督はドニーさんで、動作指導に元彬(ユン・ブン)、イム・ワー(厳華)、ユー・カン(喻亢)の名前。メイキングではタイでのシーンにジャック・ウォン(黃偉亮)の顔もあったので、ノンクレジットでお手伝いしていた模様です。

いや、面白かったわ。そりゃ返還前のものと比べると多少ぬるい部分はあるにせよ、想像以上にドメスティックな映画でした。主要キャストがね一部の女優を除き、そんなこと出来るんだ!?と思うくらいほとんど香港俳優。どのくらい香港度が高いかと言うと、ドニーさんの兄弟分3人のうちの喻亢(彼は広東語が喋れない)なんか別人吹き替えなんかしねーよと唖設定にしちゃうぐらいの本気度。

とにかくこの義兄弟たちがよくってねぇ。特に姜皓文(フィリップ・キョン)。彼の演じる大威が表情豊かでちょっと弱い部分もあって秀逸。私のなかではすでに金像奨助演男優賞に決定しております。

その大威の実弟役の細威を演じた劉浩龍(ウィルフレッド・ラウ)がまた可愛いのなんの。兄弟で柄違いのニットとか着ちゃって。この2人に喻亢(演技もとってもよかったよ!)含めた潮州チームが最高に愛すべき男達でした。もっと豪哥ふくめたこの4人の日常を見ていたいと思わせましたよ。


↑左から、啞七(喻亢)大威(姜皓文)伍世豪(甄子丹)阿平(世豪の実弟・李日昇)細威(劉浩龍)

そしてそんな彼等から兄貴と慕われるドニーさんね。当然実在した香港の有名マフィア呉錫豪をモデルにはしているものの、実像から随分改編されてるはず。レイ・ロイの『跛豪』も観ましたが、それともストーリーは違っています。黒社会のドン、しかも麻薬王ということで最初引きうけるかどうかかなり悩んだと言うドニーさん、彼の持つ素の天真爛漫さや真直ぐな部分を前半で活かしており主人公に好感を持てるようになっていたのがよかった。この前半のドニーさんがまた一段とキュートでね。ほんと、何度も言いますが、この潮州4人組の部分はもう少し見たかったわ。

それもある出来事が起こってから雰囲気はがらりと変わり、後半は主人公伍世豪が黒社会でのし上がるとともに内容もぐんとハードになっていきます。

そしてそして雷洛役のアンディ・ラウ。この役も実在の人物・呂樂がモデルで、かつて『リー・ロック伝』で同じ役を演じてから26年ぶりの再演となりました。登場時はまだ警察でも中堅どころ。上司の誕生祝いに黄金の福寿桃を持っていくのだけど、ずらりと並ぶ贈られた縁起物の置物を見ると薄給の自分のが一番小さい。でもそれを目立つ所に置いて、とユーモラスに始まります。

臭小子と上司にバカにされながらも、香港の大物・周爵士の娘婿に選ばれたことから人生が一変。このあたりの立場の逆転には胸がスッとしました。

とにかく全編、言葉がないくらいかっこいい華仔ですよ。最近流行りのツーブロックのヘアスタイルにタイトなスリーピース。スタイルがめちゃくちゃいいぞ!アンディ。

しかもそのアンディとドニーさんの男の友情を縦糸に、潮州兄弟の情とアンディとケント・チェンの信頼が横糸を織りなす。そうこなくっちゃ香港映画。そのうえ音楽がとびきりよくてね、陳光榮(チャン・クォンウィン)と雷有暉(パトリック・ルイ)が担当。劇中何度か主テーマとなるメロディのバージョン違いが流れるのですが、秘かに自分はこれを「愛のテーマ」と名付けてしまったほどにはブロマンス。

音楽もいいけど、カメラとセットがね素晴らしい。カメラはもちろん今作の共同監督の關智耀。よきにつけ悪しきにつけ目立ってしまう王晶なので、ちょっと影に隠れる格好になっていますが、この作品は彼の存在なしにはありえなかったと思います。

一番好きなシーンは、舞台となる九龍寨城を歩くドニーさんの背中越しにじっくりとカメラが追ってゆくシークエンス。

まずは九龍寨城の全景が俯瞰で映し出され、そこにスレスレの角度で旅客機がかすめてゆく。かつて香港に本当にあった風景。しかも!そのタイミングで流れるのが Donny HathawayThe Ghetto !マジでここで変な声でました。ぶはっ!かっこいいいいいい!!!ただでさえ映画で知ってる曲がかかるとテンションが上がりますが、この曲の入ったライブ盤は死ぬほど聴き倒しましたがな。エレピが唸りを上げるぜ!

その飛行機を九龍城の下から見上げるショットに切り変わると、幾層にも違法建築で積み重なった建物をカメラがゆっくりと降りていって中央部の薄暗い広場からぐるりと回りの店の様子を見せる、なかには犬肉専門店も。

そこへドニーさんがやってきて、コカコーラの瓶のふたを開けるアップ。階段を昇るとマージャンをする姐さんに声をかけ、ベランダで宿題をする少女にコーラを渡す。「多謝、哥哥」の声を背中に階段を下りると、半裸の女性が踊るストリップ小屋をすり抜け、手下がうやうやしく開けるドアの向こうは麻薬の小分け作業場。そこを通って弟分に「大威は?」と声をかける。そして扉を開けて食堂の奥にある賭博場へ入り、賭博に興じる大威の肩を抱いて外に連れ出す。

いや、よくぞこの場面に Ghetto を選曲しました。ゲットーというのはご存知の通りユダヤ人街のことですが、後にスラム街や汚いものという意味にも使われるようになりました。九龍寨城にこのダニー・ハサウェイのゲットーとは。センス良すぎっしょ!

ちなみに、ティーザー予告で使われていたかっこいいボーカル入りの曲は Chasing The Dragon というタイトルの陳光栄作曲オリジナル。パフォーマンスは Jeffrey Chu とありましたが、香港の音楽関係には疎いのでどなたの事か捜しきれず。知ってたら教えてください。

と、いう具合に色んな方面でオタクにはたまらんすぎる映画でした。音楽ネタもキャストネタもまだ書きたい事が一杯ある。後でもっとくわしく書きたいと思います。次回ネタバレに続く。

追龍ティーザー予告
《追龍》”跛豪”人物版預告片
【追龍】終極預告 梟雄篇

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新感染 ファイナル・エクスプレス(부산행、2016年・韓国)

ゾンビ初心者への親切設計がすばらしい。従来のファンにもゾンビ事始めにも最適!おそらく韓国映画として世界で一番稼いだ作品、日本でやっと公開

この映画の事を知ったのは、昨年香港でハリウッド映画も含めた年間ランキングで『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』に次ぐ第2位になるほどの大ヒットを記録したから。華語映画の香港興行記録を塗り替えた香港映画・寒戦2こと『コールド・ウォー香港警察 堕ちた正義』をも興収で抜き去りました。

アジアどころか自国の映画すらあまり観ない香港でここまでヒットするのだから、それだけですっごい面白いんだと分ります。この香港公開時にあんまり香港人が誉めるものだから、どんなんやと調べたのがきっかけ。

もともとはアニメーションの監督だったヨン・サンホが製作したアニメ映画『ソウル・ステーション/パンデミック』に端を発し(企画はアニメが先だけど完成はどうやらアニメの方が後になったそうな)、続いて同監督が「その後の物語」として実写化したものです。カンヌ国際映画祭で喝さいを浴びるや、人気作家スティーヴン・キングをはじめ、ギレルモ・デル・トロ、エドガー・ライトやイーライ・ロス、ジェームス・ガンら皆が大好きな映画人から絶賛された作品でございます。

私はゾンビ映画をほとんど観たことがありません。本家ジョージ・A・ロメロ監督作どころか、今まで観たのは『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ワールド・ウォーZ』『ゾンビ・ファイト・クラブ』『アイ・アム・ヒーロー』ぐらいという体たらく。

しかし、この作品はそんなゾンビ初心者にとても親切設計でした。

理由もなく、早い段階で突然ゾンビ化する人々。中心人物たちの描写も結構駆け足で、こういう前振りのなさはとても好き。あとは、どう逃げ対抗するのか、そしてそのパニック状態においてのキャラクター描写を楽しみに観るわけです。私にとってはゾンビ化する原因とかなくて結構。

列車という限られた空間がまず素晴らしくて、この列車の撮影をどうやったのかと思ったら、LEDリアプロジェクションを使ったと公式サイトにありました。時速300キロというスピード感をリアルに見せる照明技術のことも書いてあってなるほどー。

ここに力を注いだのでお金のかかるCGがより必要になるグロ表現が控えめだったのか、もともとそういうつもりだったかは分りませんが、残酷描写が想像よりずっと少なかったのも助かりました。

にしても、美人がゾンビになるのは興奮しますね。特に客室乗務員が素敵。あの歩き方、たまらん。そして斜めになった列車の割れた窓から大量のゾンビが流れ出てくるところ。うは、息が止まりそう。

銃火器もないので超接近戦です。これがよかった。つい先日、RE:BORNを観たばかりだったので「零距離戦闘術をコン・ユが習得していれば!」などとアホな事を考えてしまったのことよ。いや、この映画に無双はいらないから。

男3人が車両を移動する際、開けた扉の向こうに野球部員ゾンビがいたところで「きっつ」と声が出ました。ゾンビ映画で一番つらいのは愛する人や仲間がゾンビになって襲ってくること。その点で身重の妻を残して散ったマ・ドンソクの変体後がなかったのはよかったのか悪かったのか。

終盤の回想は意見が分かれるかもしれませんが、私はあそこで涙線決壊しました。日本語吹き替えと字幕を両方観たのですが、個人的には字幕の方がよかったと思います。韓国の子役ちゃんはほんと上手すぎる。

走るゾンビいいじゃありませんか。走り去る列車を全速力で追ってくるの怖かったもん。そのあと鈴なりに折り重なって引きずられるのには笑っちゃったけど。そこだけスケールちっちゃくなったワールド・ウォーZかい!

いやはや噂にたがわぬ秀作でした。おもしろかった!ゾンビ映画を観たことないけど、観てみたい、そんな友達がいたら真っ先にお勧めする映画です。

そして、この前日譚にあたる同監督のアニメーション映画『ソウル・ステーション/パンデミック』もこの9月30日に全国ロードショーするらしいっす。劇場予告を見て驚いた。いいぞ、もっとやれ。

新感染 ファイナル・エクスプレス公式サイト
「新感染 ファイナル・エクスプレス」予告編

アニメ『ソウル・ステーション/パンデミック』公式サイト

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