追龍、大師兄に続くドニーさんの新作は・・・まさかの! – ドニー・イェン 甄子丹

ちょ、今日、9月28日公開『追龍』の発布会があったのですが・・・その席の最後で・・・今年年末にクランクイン予定であるドニーさんの新作が発表されましたですよ。それは、まさかのダークホース的作品

まずはこちらの写真を。

うしろに『肥龍過江』と書いてあるぞ。まさかまさか『燃えよデブゴン』のリ、リ、リメイク!!??リブート!?

びっくりしましたわ。にわかに信じがたいので急いで検索したら、博納影業(BONA)のアカウントが、導演:王晶(ウォン・ジン)というインフォとともに、この写真あげてましたわ~。ひぃ~。

実は、香港の寝具メーカーSinomaxの2015年の広告で、1人2役、うちひとりが特殊メイクでデブっちょというCMを谷垣健治監督で撮影しておりました。結構評判になったのでしょうか、このCMがとっても気に入ったドニーさん、この太っちょキャラで映画を撮りたがってるらしいという噂を耳にした事があります。まさかそれが燃えよデブゴンになるとは・・・思わなかった。と、いうか、時代背景もオリジナルと同じになるのか、それともまた違う現代が舞台になるのでしょうか。

過去一度監督作に出演したことはありますけど王晶とそんなに仲良しだったのか~。大物に無茶ブリするのが得意な王晶のことは、薄々「人たらしなんだろうなぁ」という気がしておりましたが、どこでそんなにドニーさんのハートをがっちり掴んだんでしょ?あれか?あの時か?

結構謎でございます。

クランクインは今年年末だそうな。そして、もう1作。上映するする詐欺の『アイスマン2』はいつ公開するのかなぁ。てっきり今年と思っていましたが、そうでもなさそうな気配。一体いつになるのやら。

今年12月公開といっていた『追龍』も、上映予定をかなり繰り上げて9月28日に香港で公開されることに決まったばかりです。気がつけば公開目前ででございますよ。当初監督は關智耀と発表されましたが、いつの間にか王晶も監督として名前を連ね、そこに張敏の名もあったりしました。どうやら途中から監督が増えたようです。ま、香港映画ではよくあること。

張敏はかつて王晶の助監督をつとめ、現在も王晶プロデュースの映画を撮ったりすることが多いのですけど、監督2作目の關智耀という事で助監督として最初は入ったのかもしれません。にしても、皆がお手伝いしてでもどんどん新しい人に監督するチャンスを与えるんですねぇ。新デブゴンも新鮮な人と組まないかな。

そうだ、追龍の音楽は陳光栄(チャン・クォンウィン)なんですって。合ってると思う!

追龍オフィシャル予告《追龍》官方預告片

↓ドニーさんがヒントを得たと思われる1人2役ふとっちょさんのCM(監督:谷垣健治)
全新SINOMAX「用愛.支持所愛」電視廣告
そのメイキング1:SINOMAX 「用愛.支持所愛」電視廣告花絮
メイキング2:SINOMAX 「用愛.支持所愛」電視廣告花絮 – 變肥仔篇

↓その時のふとっちょスタンディを事務所に飾るくらいには気に入ってたみたいです。

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RE:BORN(2017年、日本)

やっと観て来たよ!言葉なんか出ない。とにかく観てください!としか。

主演TAK∴さん、監督下村勇二さん渾身の一作。それがガンガン伝わってきます。セロレンジコンバット(零距離格闘術)のことはよく知らずに観たのですが、知らなくてもいい。一見しただけであのスピードと動きに説得されるのだから何の問題もありません(たくさんアップされているレクチャー動画を見てリピートするとまた一段と面白いけれど)。TAK∴さんと稲川良貴さんめっちゃくっっっちゃカッコイイ、セクシー!

見どころは、すべてのアクションシーン。かつてここまで銃の弾を避ける動きに説得力を感じた映画があるでしょうか。私はありません。それだけでもう100点満点。その動きだけで満点を叩きだしたのに、それはほーんの序の口にしか過ぎないんすよ・・・。

主人公、敏郎が使う武器が中盤まで生活に身近にあるものというのも、このゼロレンジの凄味を表現しててすごい。香港じゃなにかというと斧が出るけど、日本じゃ鎌だ鎌。ジョン・ウィックは鉛筆でしたが、日本では鉛筆捜すより割り箸捜す方が早い。もし何かあったら絶対に手元にあるもので相手の頸動脈狙って刺すべし!と心から思えたのも、この映画のお陰です、ありがとう。

誰にも気づかれないように歩きながら銃を分解するシークエンスは今まで見たもののなかでぶっちぎりにしびれた。そして電話ボックスの篠田麻里子嬢の使いっぷりがマーヴェラス!いや、ほんとうに。

ここまででも口あんぐりなのに、後半は、ゼロレンジコンバットの凄さが臨界点突破。

あまりの速さに何やってるのか、正直一度ではよくわからない。でも間違いなく誰も見たことのない動きが連続してる事だけは確か。しかも最後手にするブレイカーと命名されたオリジナル・カランビットナイフの造型がエロ美しすぎてもう。

潤沢とは言い難い予算で撮影されたことは観ていれば分ります。アクションシーンに必須と思われてきた動きから感じるエモーションもありません。作品で描かれた零距離格闘術では「生きる=殺す」という本能のみが剥き身で迫って来ました。ここまで思えた映画はちょっと記憶にない。

豪華な共演者も決して無駄にせず見事なシークエンスとして昇華され、音楽は川井憲次氏を起用。しかも音楽に頼りすぎず、肝心なところは音楽を排した作りに矜持がみてとれました。

TAK∴と下村勇二という2人の男の執念とパッションがこういった形で結実し、映画館でそれを観ることが出来たことは心底嬉しいです。ほんとうによかった。まだの人は是非観てください!

この先、2人がゼロレンジコンバットで再びアクション映画に取り組むことが出来るようにと願います。次があるなら、一段とすごい映画になるはず。もう、絶対に次が観たい!

最後に。武田梨奈さんのラストのナレーションがすごくよかった。

下村勇二監督作品「RE:BORN」公式サイト(内容盛りだくさん)
坂口拓・斎藤工・大塚明夫共演!『RE:BORN リボーン』予告編
YouTube/U’DEN FLAME WORKSチャンネル(ゼロレンジコンバットの基本ウェイヴ解説動画など)
TAK∴(坂口拓)×下村勇二監督『RE:BORN リボーン』インタビュー(藤本洋輔氏によるおふたりのロングインタビュー)

RE:BORNで動画検索すると、ザクザク出てくるよ!推奨。上映中のリピート必至。

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スパイダーマン:ホームカミング(Spider-Man: Homecoming 2017年、米)

トム・ホランドが超絶かわいい。青春スパイディ楽しかった!リブートするたび「アースなんちゃら」と言われ、今度はMCUになるのだけど、要するにあれでしょ、ほら、黄飛鴻(ウォン・フェイホン)と同じようなことだよね?ネタバレ


↑中国大陸向けポスター、簡体字のタイトルは「蜘蛛侠:英雄归来」

古典的なコミックのヒーローというと運命に導かれた選ばれし者で、もとからその素質が備わってるというイメージが自分にはあるのだけど、このピーターはそうではないのがお気に入りです。ヒーローが活躍するのではなく、ヒーローになる過程の物語。そこには愛情や夢が一杯あり暖かい気持ちになれました。

映画だけでも何度かリブートされてるスパイダーマン。今度はMCU参加後のリリースとあって、アベンジャーズとの関連が強い。その影響で今回のピーター・パーカー像になったのなら、これはこれでヨシ。

ヒーローに憧れアベンジャーズに憧れる普通の高校生のピーターが、最初は失敗したりおばあちゃんに道を教えるところから始めるのが、すっごく微笑ましかったし、そこからの成長を見守れるのが嬉しい。超人ヒーロー映画とちょっと距離のある人間にも圧倒的に共感が持てて、めいっぱい応援しちゃった。

主人公がそんな具合だから、マイケル・キートン演じるヴィランも突然変異した超人じゃなく普通の人間で、使用するのがアべンジャーズと戦った地球外生命の残骸を利用した武器というのも、うまい。しかも悪の道へのきっかけは失業だったりするし、そもそもその失業の原因がトニー・スタークってのがもうね。

くわえて、そのヴィランが、好きな子の父親だった日には。


↑しっかし、どれも雑なコラ(笑)、おい中国オフィシャル!

高校生ともなればスマホ持ちなので固定電話しかなかった昔ほどGFやBFの家族を意識することなんてないでしょうけど、それでも自分の好きな人にはほとんどの場合親がいる。関係が深くなればなるほど男にとって最大の敵は彼女の父親。このダブルミーニングがクスっとさせますな。

主役のトム・ホランドがとにかくキュートでよかった。彼を前にするとあのスタークさんが保護者みたいになるのも加点要素。

原作があるとはいいながら、コミック、小説、アニメ、TVドラマ(日本でも特撮でやったそうじゃないの)、映画と、幾度も設定やストーリーを変えて途絶えることなく製作されてきたスパイダーマン。アメコミの例にもれず、全く違う展開になっても「別アースだから」という一言で済むようになっており、今回はそれがMCUとなるわけです。

・・・それって、功夫映画で考えたら黄飛鴻(ウォン・フェイホン)と同じことなんじゃないですか?か?か?

香港映画史に燦然と輝くアイコン「黄飛鴻」。同じ題材で製作された映画の数として世界最多でギネスブックにも載ってるそうですが、TVシリーズも含めると数はもっと多くなる。

ざっと黄飛鴻を演じた俳優をあげてみても

・関徳興(クワン・タッヒン)1947~70年まで25本もの黄飛鴻シリーズ(他にTVシリーズや単発で3本の映画でも演じている、当代随一のフェイホン俳優)

・谷峰(クー・フェン)1973年 『黄飛鴻』

・劉家輝(リュー・チャーフィー)1976年『ワンス・アポン・ア・タイム 英雄少林拳』、1981年『ワンス・アポン・ア・タイム 英雄少林拳 武館激闘

・成龍(ジャッキー・チェン)1978年『ドランク・モンキー 酔拳』、1994年『酔拳2』

・錢嘉楽(チン・ガーロッ)1990年『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地激震』

・石堅(シー・キエン)1991年『我係黄飛鴻』TVドラマ

・李連杰(ジェット・リー)1991~93年、97年『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』シリーズ、他にもセルフパロディ物にも出演。マスターピース。

・曾思敏(ツァン・シーマン)1993年『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ外伝/アイアンモンキー』

・趙文卓(チウ・マンチェク)1993~94年『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』シリーズ、1995~96年『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』TVシリーズ

・釋小龍(シー・シャオロン)2003年『少年黄飛鴻 ヤング・ホァン・フェイホン・ストーリー』TVシリーズ

・晏彭于(エディ・ポン)2014年『ライズ・オブ・ザ・レジェンド ~炎虎乱舞~

シリーズでも何でもない全くの別プロダクションなのに、邦題に「ワンス~」とついてるのが目立つのはジェット・リー版がヒットした後に日本でリリースしたせい。しかも、これがすべてではありません。

これこそ、「アース○○○」と数字を振らんといかん勢いですわ。しかも師傅の場合は、小説やコミック原作でなく実在する人ですからねぇ。若干設定にお約束はあるものの、ジャッキー版なんか医者どころか薬局を開く気配すらありません。ハイエナのような香港人の便乗商法、いやもとい、創作意欲の前には史実なんかハナから眼中にないのであります。

アメコミだけじゃない、いくつものパラレルワールドが存在する香港映画。最近だと『イップ・マン』も同じようなケースですね、これもアース番号振った方がいいのかも。

最後に

↓スパイディと仏山葉問堂にある葉問像とのツーショ(笑)

映画『スパイダーマン:ホームカミング』予告①
映画『スパイダーマン:ホームカミング』予告②

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ベイビー・ドライバー(Baby Driver、2017年・英、米)

エドガー・ライトの選曲が今回またまたまた一段と冴えて満点!そこにカーチェイスが加わってもうね、500億点突破!!!!カーチェイスに感じたアクション設計の多様性。最初から最後までワクワクしっぱなし。あっという間の113分。

エドガー・ライトらしく音楽がめっちゃいい。それにカーアクションが加わるとこんな血が沸騰するのか。始まってすぐのカーチェイス。さすがでございますハリウッド。もうね始終ニコニコです。たまらん。

エドガー・ライト監督のやりたいことが詰まってる感がスクリーンからガンガン迫ってきて本当に楽しかった。こういう熱量の高い作品はいい、本当にいい。

冒頭。2006年型、赤のスバル インプレッサ WRXが銀行の前に停車し、そのホイールから覗く赤いブレーキパッドにSUBARUの文字。自分は車の事はまったく分らないドシロートだけど、そのクールさは感じとったぞ。もうここから死ぬほどカッコいい。

ドライバーシートのベイビーが、旧型i-podでThe Jon Spencer Blues Explosion Bellbottomsを選曲する。銀行強盗に向かった3人を待つ間、曲に合わせて歌いリズムをとりワイパーをも踊らせちゃう。

強盗を終えた3人が車に走り込んで、助手席のひとりが「GO!」とばかりに前を指差した瞬間ベイビーはバックで急発進。180度ターンでゲッタウェイ開始。

路地では2台のトラックを挟んだギリギリのところで180度スピンをしながら素早くターンを加えて体制を立て直しすり抜ける、その鮮やかな事。これぞザ・カーチェイス。

世界中には車に魅入られたのがゴマンと存在するけれど、日本にも「走り屋」と呼ばれるストリートレーサーがおり、特徴のひとつとして、山の多い地形のため峠を駆け抜けるドリフト命の人達がいる。そういう国の車だから、かつてその分野は強かったのです。日産のシルビアとかGT-R、180SX、ホンダのシビック、マツダのRX-7など数多くの名車を生み出しました。スポーツカーがあまり売れない時代になっちゃったので、今走り屋の人達は、こういった名車の中古を買う傾向があるそうな。

本作に登場するスバルのインプレッサ、恥ずかしながら私のような車オンチには、そんなすごい車という印象がありません。

そこで、雑誌『ベストカー』編集部にいる弟にコーフン気味に電話したところ、インプレッサはFIA世界ラリー選手権(WRC)において年間チャンピオンであるマニュファクチュアラーズチャンピオン3回(1995年、1996年、1997年の三連覇)、ドライバーズチャンピオン3回(1995年、2001年、2003年)を獲得しているシリーズ車で、ラリー人気の高いヨーロッパで有名だっていうじゃありませんか。すまんかった。

「95年のコリン・マクレーと01年のドライバーズチャンピオンになったリチャード・バーンズは英国人だよ、監督はスバル好きなんじゃないか?」と言っておりました。

撮影で使われたインプレッサは4台あって、どれも違う改造がされたそうです。そのうちの1台はドリフト用に特化したものなんでしょう、後輪駆動に改造。

スタントコーディネーターは『ドライブ』や『ジョン・ウィック』シリーズのセカンドユニットとして経験を積んだダリン・プレスコット(今度ジェラルド・バトラー主演映画の監督をするらしい)。メインのスタントドライバーに『ダークナイト ライジング』『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』『ジョン・ウィック』のジェレミー・フライが今回はセカンドユニット・スタンドコーディネーターと兼業で担当。

Bellbottoms の曲とともにきっちり5分12秒で終了するカーチェイスは、それだけでお金を払う価値が充分にありましたよ。めっっっっっっちゃかっこいいい!

しかも、他のシーンでは使用車がアメリカのシボレーに代わったりするので、その特性を活かしたスバルとは全く違うチェイスになっているところが素晴らしい!こっちは壁を走ってダッジ・ラムとバシバシぶつけ合うガチンコ対決っす。車は門外漢な自分だけど、香港アクションや功夫映画に通じる、キャラクターによって動きを変える格闘設計と同じくらいの多様さに唸りました。

30曲に及ぶ選曲はすべて監督エドガー・ライトによるもの。一方、このカーアクションで使った車をどこまで監督が意識して選んだのかは分りません。当然事前のミーティングを綿密にし納得した上での事でしょうが、私個人の想像では、スタントコーディネーター、ダリン・プレスコットやカースタントドライバーのジェレミー・フライらがチェイスに変化をもたらすため意図を持って選んだのではと思っています。

もちろんそれでいい。目玉となるカーチェイスシーンを他人にゆだねても最終的にはちゃんとエドガー・ライト作品に仕上げたすんばらしいセンスが彼の優れた才能の一部。それこそ、ハリウッド映画という舞台でまごうことなく「自分の作品」を作れた「強さ」だと感心した次第です。

参考になった記事
後輪駆動のスバル「WRX」も登場! 映画『ベイビー・ドライバー』のスタントマンが撮影の舞台裏を語る-autoblog.com
2008 WRC rd.1 MONTE CARLO SUBARU IMPREZA
↓どんだけこれがやりたかったんや、エドガー・ライト!という記事
大ヒット『ベイビー・ドライバー』の監督、ミント・ロワイヤルのMVで「予行演習」していた-rockinon.com

映画『ベイビー・ドライバー』予告編

関連があるかもしれないバクサカ記事
モーターウェイ(2012年・香港)

前回書いたジョン・ハムのピーキーカットはこの映画のキャラだったのね。先日、プロ野球関係の仕事をした時に、そこの女性スタッフと「最近の選手はツーブロックが多い」という話になりました。特に巨人の坂本選手は、聞いたところを想像するにまんま『ピーキー・ブラインダーズ』の兄、アーサーにそっくりな気がする。野球選手は帽子やヘルメットをかぶっているため、脱いだところを見る機会が少ない。まだ確認できませぬが、見てみたいぞ。

ところで、ベイビー役のアンセル・エルゴートは溺愛するフィギュアスケーター・アレクセイ・ヤグディンの若い時(長野五輪のあたり)に非常に似ておりましたな、と誰も共感できないだろう事を言ってみる。それも好感度が高かったし、なんか違う意味でドキドキしちゃったわ。

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ピーキー・ブラインダーズ(2013年~、英BBC)

ちょっとーカッコいいドラマを観はじめちゃったわ。ファッション、ヘアスタイル、キャラクター、時代背景、なにもかも楽しい。内容は1920年代イギリス・バーミンガムの「仁義なき戦い」ざんす。

映画版座頭市シリーズがひと段落して、ボチボチ見ていたBBCドラマ『ピーキー・ブラインダーズ』。Netflixで絶賛配信中なんですが、第2シーズンを観終わっていざ第3シーズン突入と意気込んだら何故か配信が終了していてかなり気落ちしておりました。そしたら、先日配信が再開されていたようでヨカッタヨカッタ。バグだったのでしょうか。めっちゃ焦ったわー。

このドラマ、かなり面白い。
第1次大戦後のイギリス・バーミンガムに実在したというギャング団ピーキー・ブラインダーズのボス、トーマス・シェルビーが主人公。いわばバーミンガム版「仁義なき戦い」と思ってもらってよろしいです。

オープニングを観ただけで、「イケる!」と直感したものは数ありますけど、このドラマもそんなファーストインプレッションを持ちました。

というのも、オープニングに使われている曲が、Nick Cave and the Bad SeedsRed Right Hand だからであります。うぉー、これは観るっしょ!

1920年代が舞台ですが、音楽は現代の渋い曲を使っており、サントラも素敵。

ドラマとしてはシーズン1の初期の段階で個人的にちょっと展開が遅いのではと感じたりしたのですが、中盤からぐんぐん加速。それとともに選曲のキレも増し、かなり趣味のいいサントララインナップになっております。

キャラもイカしてるのよ。主役のキリアン・マーフィーは『ダークナイト』のスケアクロウで覚えました。個性的な顔立ちと美しい瞳が印象的。この役は彼の当たり役。その敵になるサム・二ールは相変わらず変態だし。あと叔母さん役のヘレン・マックロリーがかなりいいです。いやっほう。こういう女の人が出てこないとね!シーズン2はトム・ハーディもゲスト出演するよ。

ギャングとはいえ、今と違ってツィードのスーツ(ボトムは細め)にハンチング帽というスタイル。これがまたカッコいいのなんのって。

当時は労働者階級の象徴みたいな位置づけだったハンチング帽、田舎くささや野暮ったさのアイコンでもありました。彼等はどんな席にもトレードマークであるその帽子で登場します。

なぜならツバの部分に武器としてカミソリが仕込んであるから。カミソリですよ、カミソリ!いざというとその帽子を脱いで敵の顔を攻撃。顔はもちろん目をやっちまう。なんという中二感満載でヤンキーチックな暗器!もうね、ワクワクしますな。

このハンチング、ドラマの影響でイギリスでかなり売れたらしいです。そしてヘアスタイルは当時の流行をぐっと極端に表現したもみあげ上部からぐるっと頭を取り囲むように刈り上げた、最近ではピーキーカットとも呼ばれている独特のスタイル。これは漲る。私が男なら絶対にこれするわ~。と、思ったらジョン・ハムやジョシュ・ブローリンなどこのカットをしたスターの写真もボチボチ見かけたりする。流行ってるのね?ね?ね?

とにかく、おしゃれでセンスがよく、展開もおもしろいし敵のキャラやその関係性もスリリングで最高。今一番自分のなかでホットなドラマです。

ところで、Nick Cave といえば、映画『ベルリン天使の詩』のライブシークエンスで登場したので記憶に残っている方も多いでしょう。この『ピーキー・ブラインダーズ』のオープニングナンバーである彼のバンドの Red Right Hand は、映画で何度も使われており、なかでも『スクリーム』シリーズが有名。色んなバンドにカバーもされております。

フィギュアスケート好きの自分には、溺愛するソルトレイク五輪の男子シングル金メダリスト、アレクセイ・ヤグディンが引退後に出演していた「元フィギュアスケーターと異性タレントによるダンス&スケートコンぺティション」番組 “Лёд и пламень” で女性タレントのマリア・コジェフニコフ( Мария Кожевникова )嬢と踊ったのも印象に残ってる。ヤグディンほんまかっこいい↓
Ягудин Кожевникова “Red right hand” 10.10.10

最後に。

いつもドニー・イェンバカで申し訳ない。今ドニーさんが撮影している『大師兄』でも先生役のドニーさんがこのピーキーカットやないですか。さすがオシャレ番長。

ピーキー・ブラインダーズ オフィシャルティーザートレイラー
Peaky Blinders || Series 1 (Official Teaser)

くわしいサントラリストはこちら
Peaky Blinders Music Soundtrack – Complete Song List | Tunefind

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ドニーさんの声明 – ドニー・イェン

昨日、ドニーさんが微博に長文の声明文を出しました。

なんと彼の微博(中国版Twitter)のアカウントが乗っ取られて知らない間に、大陸の人気アクション俳優であるウー・ジン(呉京)くんを誹謗するコメントに対し、公式アカウントから「いいね!」をつけられRTされたそうです。

声明文には、

・悪意あるデマや報道が続くなか、今回の事に心から驚愕した。新浪微博の運営に問い合わせアカウントを乗っ取った何者かがいたことを確認。(その人物に対し)法的責任を問いたい。

・最近出回っている、「(殺破狼の製作時に)ウー・ジンを抑圧した」という噂や記事は捏造であり、事実ではない。アクション俳優として、中国アクション映画ブームを起こした『戦狼2』の成績に励まされたし、彼の努力が報われ大きな成果を上げたことに心から祝福したい。

・ファンと日々の生活のちょっとしたことを分かち合ってきた微博だが、2012年からネット上での攻撃は止まらない。

しかし、それに対し自分が個人的に弁明しマスコミのページを埋めるような資源の無駄遣いをする気はないし、つまらない商業ゲームに巻き込まれるつもりもない。しかし(ここまで)悪どい挑発や誹謗中傷はいわれのない人を傷つけることになるので、今回はやむにやまれず発言した次第である。

だ、そうです。

すぐさま、新浪微博の運営からコメントが発表され

調査の結果、それを書きこんだIPは江蘇省南京市のものであること。その時ドニー・イェン氏は撮影の為に香港にいたため本人ではない、こちらとしても真相を究明し彼が法的手段に訴えることを支持する、と表明しました。

※今日、その微博運営へ再びコメントしたドニーさん、運営の公表に感謝を示しハッカーには「許さん!」と怒り心頭っす。

ウー・ジンくんが監督主演した映画『戦狼2』はこの夏大陸でメガトン級の大ヒットを記録し、チャウ・シンチーの『人魚姫』を超える中国歴代興行収入の第1位を更新し、今なお絶賛公開中です。

しかも、ハリウッド映画以外でのランクインは世界初となる世界の映画歴代興行収入ランキング上位100位入り。このニュースは世界中を駆け巡りました。日本でもNHKが報道したのでご覧になった人も多いはず。なにがすごいって、中国アクション映画でこの快挙ですよ!

長年頑張って来た彼がこういう形で報われたのは喜ばしい限りです。アクション監督に『シビル・ウォー キャプテン・アメリカ』のサム・ハーグレーヴと、そのスタッフを招聘した効果を充分に発揮できたということですもん(中華圏側はジャック・ウォン/黃偉亮)。どんなことになってるのか、すっごく楽しみ。

正直、国民的ヒーローとなったウー・ジンくんにかこつけて、なんでまたわざわざドニーさんのアンチ活動を、誰が何の目的で活発化させるのかよく分りません。

殺破狼に関する噂は随分昔中国の2ちゃんみたいな掲示板で見たことがあります。それが拡散され公然の事のように語られ始めたのは2012年以降です。

その内容は

・殺破狼の時、圧力をかけて主役のはずだった彼を台詞のない悪役にした。
・彼の事を武術チャンピオンごときがなんぼのもんじゃと言った。
・アメリカの特典映像についているメイキングを観れば、アクション撮影中本気で警棒で叩き痛がってるのに謝りもせず笑っている。
・それらを彼はずっと根に持っている。

メイキングに関しては、私はその特典付きのソフトを持ってるのでお前ら全部見たのかと問いたくなる言い分ですが、この話を喜ぶ人にとって真実かそうじゃないのかはもはや関係ないんでしょう。ドニーさんを嫌いな人はそれを本当だと信じた方が面白いのでしょうし、ウー・ジンファンを装ってまで叩いてる人も相当数いそうです。

でも、その裏取りもしていない噂話をさも本当かのように記事にするマスコミは非常に悪質です。日本でもネットの噂や分るようにわざと大げさにした嘘冗談コメントを、裏も取らずそのまま記事にしたり番組で扱ったりして問題になるケースは後を絶ちません。

最近の中華圏は、マスコミの記事なのか個人の書いた「まとめブログ」なんだか一見では分らないようなフォーマットが増え、何度も同じ文章で繰り返し新しい記事としてアップされるためその辺りも混乱に拍車をかけているように思えます。

これに限らず似たような問題は、世界中のネットに溢れています。人は自分の都合のいい聞きたい言葉しか目に耳に入らないようになっている、それは確かです。すぐに判断しない、他の角度の情報も見てみる、様々な局面で肝に銘じなければと、その意をまた強くしました。

ウー・ジンくんの戦狼2のヒットがどのくらいすごいことかの記事
「戦狼2」が「美人魚」を抜いて中国の歴代興行収入記録トップに
アジア映画で初の快挙!爆発的ヒット「戦狼2」が世界歴代映画興行収入のトップ100入り―中国
驚異的ヒットを出したらさっそく、彼はこんな訳のわからん疑惑を捏造されたようで。お気の毒だ・・・。
実は中国国籍じゃなかった?メガヒット愛国映画「戦狼2」のウー・ジンに驚きの疑惑浮上―中国
と、いうか、こんなことで戦狼2を紹介することになったのは本当に悲しい。

2人の関係に関する噂や報道が出まかせではという記事(直後にハッキングすよヤレヤレ)
爆発的ヒットを生んだウー・ジン、ドニー・イェンをディスった!?報復コメントに疑惑が浮上―香港

※戦狼2のヒットに関する記事は、たくさんの日本の新聞サイトやニュースサイトでも取りあげられていますが、時間が経てば削除されてしまうので、長時間残り易い人民網日本語版とRecord chinaを選択しました。内容はほぼ同じです。

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ローマ法王の休日(Habemus Papam、2011年・伊仏)

超おじいちゃん映画。ここまで画面を埋め尽くすおじいちゃんの映画は初めてかもしれない。なにしろあの緋色の礼服だし。ファンタジーとわかってからは、とにかく「うふふ、わわわ」としてるうちに終わった感じ。観てるだけで楽しかった。思いっきりネタバレ

見ることのないコンクラーヴェ(教皇選挙)の様子(しかも皆選ばれたくないんかい)、キャストの9割を占めるおじいちゃん。枢機卿の白いレースと緋色の礼服。そしてバチカンのスイス衛兵の控室だよ!制服脱いで甲冑磨いてるし!

出演もした監督のナンニ・モレッティは美味しい役だったなぁ。彼のシーンがことごとくいいんだもん。周りを取り囲まれてカウンセリングする構図や「聖書にある記述はどれも鬱を示唆する」なーんてカトリックの中枢に向かって言っちゃうし。

ぶっちゃけひねくれ者の私は、枢機卿達の純粋無邪気ぶりを前にしてもなお「いつドロドロの権力闘争の神経戦が始まるんだ」としばらく身構えておりました。『ローマ法王の休日』という邦題であの予告だったにも関わらず、です(笑)。

本作のバチカンはとってもファンタジーなバチカンでした。そう確信を持ったのは教皇の部屋から聴こえてくる歌に合わせて全員が手拍子を打つシークエンスだったでしょうか。そこからカードゲームへの流れ(遅いよ)。トドメは、バレーボールのリーグ戦。オセアニアの1点には私も胸が熱くなりました。

バレーボールといえば、一昔前のイタリア人って日本のアニメ「アタックNO.1」が大好きだったのよね。昔イタリアに行った際にも夕方放映していて鮎原こずえがグラッチェグラッチェ言ってました。彼等が日本アニメで不思議なことのひとつに「最後に必ず出るあのマークはなに?」というのがあって、実はそれ「つづく」の文字だったりする。なるほど彼等にはマークに見えるか。

さて、今作で賛否の分れるラストについて。

日本公開時の2012年に観た人達は、作品の好き嫌いはさておき教皇という地位を辞退するなど「は?ありえないでしょ」と感じた人も多いと思います。が、現実には2013年、終身制とばかり思ってきた教皇の座をベネディクト16世が辞任しました。就任から8年後のことです。歴史上でも異例の辞任の理由は「高齢による健康上の不安」。

真の理由は他にあるのだと憶測されておりますが、いずれにせよ「自らの意思による退位」は1415年のグレゴリウス12世以来およそ600年ぶりのこと。

さすがに世界中が驚いたこの事実を先に知っていると、ラストの衝撃度はかなり和らぎます。この前に観なかったのは誰のせいでもない自分のせいなんだけど、それが良かったのか悪かったのか。

邦題が邦題だけに、観賞前は逃げた教皇と市井の人達との交流が楽しく繰り広げられるのかと想像しておりました。劇団との交流もひょっとして代役で舞台にあがっちゃったりする?と一瞬期待させといて、チェーホフの「かもめ」をモチーフに持ってくることからしてモレッティはそんな展開には意地でもする気はなかった。とはいえ、いつの間にか厨房でドーナツもらって食べてるのは笑ったけど。

劇中歌がよかったなぁ。アルゼンチンのフォルクローレ歌手で、60年代から70年代にかけラテンアメリカを中心に起こった、音楽を通した社会変革運動「ヌエバ・カンシオン」の旗手であったメルセデス・ソーサの Todo Cambia (すべてが変わる)。彼女はその影響力の強さゆえに軍事政権から弾圧を受け、亡命しなければならなかったほど。

教皇に選ばれてしまったことで初めて本来の自分に気がついたメルヴィルの気持ちを一番表していたのはこの曲だったかもしれません。また曲のいわれを知ってか知らずか微笑みながら手拍子する枢機卿たちの姿も示唆に富んでおりました。

本作のオリジナルポスターのデザインは特に目新しいデザインというわけでもありませんが、ひとつとてもよく似たポスターを、1ミリも関係ないんだけど思い出したので貼っちゃいます、ははは

↑いや、黒の長袍と司祭のスータン、似てるっちゃ似てるかも

『ローマ法王の休日』予告編
HABEMUS PAPAM – NANNI MORETTI – TRAILER UFFICIALE HD(イタリア版予告)
『ローマ法王の休日』メイキング映像(コンクラーヴェ)
映画『ローマ法王の休日』頑張るおじいちゃんたちの撮影風景
Mercedes Sosa – Todo Cambia

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ヘッド・ショット(Headshot、インドネシア・2016年)

かつて壊滅的だったインドネシアの映画界を復興させた存在でもあるティモ・ジャヤントとキモ・スタンボエルのコンビ「モー・ブラザーズ」。その2人とイコ・ウワイスがタッグを組んだ。インドネシアお得意のゴア描写もたっぷり。そしてあらためて思いました。アクションは編集と音楽的センスが大事。最後はギャレス・エバンスの話。ごめんなさい。

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これを観たあと、『ザ・レイド GOKUDO』が観たくなってしまい速攻観直してしまいました。1作目の『ザ・レイド』は自分の中で経典入り作品なので別格として、今作とGOKUDOをついつい比べてしまうのはよろしくないと知りつつ、どうかお許しください。

イコ・ウワイスといえばザ・レイド。若いうえ主演2作目にして代表作ができたなんてなんつー幸運なお人でしょう。最初から主演とアクションコレオグラファーを兼ね、すでに自らのスタントチームも持っている。それだけ彼には力があるし、ギャレス・エバンス監督とのケミストリーが衝撃的でした。

ザ・レイドシリーズの代名詞となったゴア表現。

実を言えば、その流れは2000年以降にジョコ・ワンクル監督と今作の監督のモー・ブラザーズが、スプラッター要素を前面に出したホラー映画を相次いで製作したことに端を発します。彼等は近年のインドシア映画を語る上では欠かせないキーパーソン。

そこで壊滅状態にあった国内映画復興の兆しを作ったという下地があったからこそ、『ザ・レイド』という世界的ヒットを記録した映画に繋がったことは事実。モー・ブラザーズに関しては残念ながら私は今作と『KILLERS/キラーズ』しか観ておりません。

この『ヘッド・ショット』では、主演のイコ・ウワイスと監督の1人ティモ・ジャヤントがアクション監督としてクレジットされています。

映画界ではアクション監督やスタントコーディネーターといえば、ほとんどをスタントマン出身者が占めております。インドネシアでは本編の監督が名を連ねることがあるんですね。当然、ザ・レイドのギャレス・エバンスもしかり。

中華圏だと、スタントマン出身でない著名アクション監督といえば、ブルース・リーとドニー・イェンくらいなんじゃないでしょうか(ドニーさんの場合、スタントマン参加したと言われるのは1作のみで、デビュー前の肩慣らし的スタンス。なのでスタントマン出身というカテゴリーに入れるには無理がある)。

他にはジェット・リーのデビュー作『少林寺』組にもいるかもしれませんね。スタントマンや俳優でもない有名な人だと、香港のダンテ・ラム監督と大陸のシュー・ハオフォン(徐浩峰)監督位しか私には思いつかない。

かつて一世を風靡したショウブラの巨匠チャン・チェ(張徹)監督が撮る台本のアクションシーンには、一文字「打」としか書いてなかったとか。そのエピソードに代表されるように、昔の香港映画はアクション撮影が始まると監督は武術指導に丸投げして、さっさとスタジオを出ちゃうのが普通だったそうです。

さて、話を『ヘッド・ショット』に戻しましょう。

気に入ったアクションシークエンスがあれば、かなりのことに甘い自分でもあの場所至近距離での看守VS受刑者の撃ち合いはどうかと思う(笑)。そんな風にひどく現実離れしすぎた部分と、目の覚めるようなゴア満載アクションがないまぜになった映画でした。

一番面白かったのは警察署襲撃。

アクションはやっぱ色んなものがゴチャゴチャある所で戦うのが面白い。ペーパーカッターは勿論、タイプライターも武器。いいですねぇ。それにしても中華圏の机に比べインドネシア製は頑丈だ。

後半でイコとタイマン張るのが、GOKUDOの”ハンマーガール”ことジュリー・エステル。彼女登場のナイフアクションは超クール!美人だし動けるしハンマーガールに心ときめかせた人は必見。

そしてバットマンだった ベリー・トリ・ユリスマンがバットを警棒に変え暴れております。警棒にはロマンがありますな。ラスボスはシンガポールの俳優で武術家、スタントコーディネーターでもあるサニー・パン。渋いおじさまです。

困ったことに、この終盤のタイマン三番勝負が自分には長く感じてしまいました。ただでさえ撮るのが難しい広い場所での戦い三連発。実際の時間も4分以上、ラスボスに至っては10分近くもわちゃわちゃしちゃいました。特にアクションの合間に台詞やら入ってきてリズムが悪かったような。

もちろん動きは凄いし俳優自身がここまで出来るとかは、すでに前提です。

せっかく撮ったシークエンスをカットするのが勿体ないという気持ちが製作側にあったのかな。しかし、あえて短く刈り込んで編集をうまくすれば、もっともっとかっこよくなる余地があったんじゃないか、だからこそ残念でもありました。アクションシーンに編集って本当に大事なんだなぁ。

1作目は別格として、GOKUDOに絞ればギャレス・エバンスもアクションシーンはややもすれば長めではあります。しかしハンマーガール、バットマン、クランビット遣いのマスター・キラー3人のシークエンスをコラージュしてリズミカルに緊張感を高めていました。

くわえて長尺ラストバトルの直前のハンマーガール&バットマンvs.イコ・ウワイスをコンパクトにまとめたので流れとしてメリハリが生まれています。

そして何より彼はカメラワークが非常にいいし(長回しを活かすカメラワークと、それを支える俳優やスタントマンの技術の高さ!)、なんといってもアクションの途中で長々思い出話したりしない。

同じようにドラマ部分がちょっとかったるい(アクション映画に2時間越えはキツいっす)この2作に差があるとしたらアクションシーンでのリズム感というか監督の持つ音楽的センスが違うのかもしれません。単に好みの差かもしれませんが、これは編集に現れるところ大だと思ったりもする。

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最初からあまりに完成度が高いので、つい忘れてしまいがちですが、イコ・ウワイスという人はまだ発展途上にあると思います。彼に足りない物があるとすれば、カメラワークや編集、そしてキャラクター考察も含めたアクションワークの経験値という点なのかもしれません。

なにしろセンスあるギャレスが、イコのまだ未熟な部分をアクション監督としてカバーできちゃうもんなぁ。残念ながら、ギャレスのいない今作では、コレオグラフィに音楽的なセンスと戦いから見えるはずのキャラクターの感情が希薄でした。せっかくギャレス・エバンスといういい見本が身近にあるのだし、今後イコが経験を積んで、全体から逆算できる映画的体内時計や立ち回りにフレーバーを+αするような演出面で一皮むけてくれることを切に願いたいと思います。そしたらマジ最強になるよ、まちがいない。待ってるから。

それにしても、ギャレス・エバンスという監督は不思議な人ですね。

最初はシラットのドキュメンタリーを撮るつもりでイギリスからインドネシアに来て、そこでイコ・ウワイスやヤヤン・ルヒアンと出会い、あっという間に『ザ・レイド』という傑作を形にしてしまいました。2作目のGOKUDOはアクション撮影や工夫に関して飛躍的に成長しているのに驚くし、アクションの見せ方をすごい研究してるんだろうなということが分ります。相当オタクですよね。

メジャー映画に関しては、だいたい2年から3年のタイムラグがあるのでGOKUDOで「こりゃ本物だ」と思わせたギャレスがハリウッドに招かれるのもそろそろでしょう。来年にはアメリカの有名スタジオでアクション映画を撮っても驚かないし、むしろ次作のレイド3を優先させたので遅れてるのかも。

映画『ヘッド・ショット』予告

インドネシア映画の変遷については、洋泉社ムックの「アジアン・アクション映画大進撃」の岡本敦史氏のコラムが超お勧め。

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ジョン・ウィック:チャプター2(John Wick: Chapter 2、米・2017年)

冒頭のカースタントだけでもうたまらんわ。めちゃんこかっこいいいいいいい。車は鈍器。大いに殴り合え!あとリロードフェチの人も必見です。作り手のフェチシズムと情熱をストレートに感じるこういう映画は本当におもしろい

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©Lionsgate Films

そういえば、前作『ジョン・ウィック』は2014年に『カンフー・ジャングル』を観に行った際に香港で観たのであります。ジャングル先生のあれやこれやで頭いっぱいで書く機会を失ったままでした。その2が公開されたのです。

最初のカーアクションから最高だった。これは、カーチェイスじゃなくて“カーアクション”。「ガン・フー(Gun-fu・ガンとカンフーの造語)」とか「ナイ・フー(ナイフとカンフー)」とか言っちゃってるのに、なんでこれに「カー・フー(Car-fu)」ってつけなかったのかと思う。ほんと素晴らしい。あそこだけ延々とリピートしてもいい。

アメリカ人のカーチェイスってほんとリズム感と一日の長があるよね。スタイリッシュなカースタントはいっぱいあるけど、ここまで殺気に満ちて殴り合ってる感が前面に出て(ホントに人を車で蹴り飛ばす)なおかつ長尺なのに飽きさせないのは凄いし、なんといってもフォード・マスタングがボロボロになってゆくなんて死ぬほどセクシャルなシークエンスだったよ。ここだけで200点超え。んーもー。やーらーれーたー。

第1作目は、引退した伝説的殺し屋が犬を殺され車を奪われロシアンマフィアに復讐するというお話でした。殺し屋の集う謎のホテルコンチネンタルの存在やルール、ゲーム内通貨まんまなコインとか、主人公ジョン・ウィックが格闘術に長けたガンフーの遣い手!でヘッドショットを確実に決める、という世界観はすでに前作で出来上がっております。

引き続き、アメリカで今ノリにノッってるスタントチーム”87イレヴン”の共同創立者の2人、デヴィッド・リーチが製作(1では共同監督の立場)、チャド・スタエルスキが監督。キアヌと監督が続編でジョン・ウィックの世界観をどう膨らますのか、楽しみにしておりました。

2作目ではマトリックスへのオマージュたっぷり。なにしろローレンス・フィッシュバーンとノキアの携帯に地下鉄ホームっす。そして今度はイタリア・ローマが舞台に選ばれ、コンチネンタル・ローマのオーナーがフランコ・ネロときたもんだ。うふふふふ。

あと、キアヌのリロード動作ね。セクシーだったな~。監督がとても誉めてましたが、リロード好きな人は絶対に観てください。

予算が増えた分、ロケ地がこれまたすんごくいいの。カラカラ浴場(Terme di Caracalla)や、ローマの国立近代美術館(Galleria Nazionale d’Arte Moderna)とか。特に美術館内のアクションシーンは本当に美しい。巨大な大理石像、アントニオ・カノーヴァ作「ヘラクレスとリカス」(1795年)の前に広がる空間を、アクションの舞台に選んだだけで盲目的に加点しちゃいたい。

実際どこまで本物の美術館で撮影したのかわかりませんが、もし同じものを別セットで作っていたなら、彫刻や壁にガンガン弾着セットして穴開けるだろうし、ブラックレインを思い出させるような後付け照明とかなかったのではと感じたりもします。(そういえば、同じ美術館ファイトでトム・ティクヴァ監督の『ザ・バンク 堕ちた巨像(2009)』のクライマックスはNYグッゲンハイム美術館。映画の為にグッケンハイムのセットを別に建てたので銃激戦で破壊しまくってました)

この作品を観てて思ったのは、生身の人間が動き、そのアシストとしてのテクノロジーの進化ってほんと素晴らしいってこと。もしこれが実際の美術館内で行われたのだとしたら安全性を増した撮影用銃器や、マズルフラッシュ、着弾、血糊等のCG技術のお陰だし、同時に撃たれるスタントマン達の技術の高さもそれを支えてる。その後、鏡の間というブルース・リー『燃えよドラゴン』へのオマージュへ続いたのも、このシーンがあるからこそでしょう。

次ローマに行くことがあれば、こんな私でも絶対に行ってみたいもんね、国立現代美術館。長い目で考えれば映画のロケ地に貸し出すというのは絶対にリスクばかりではありません。なので世界中の美術館オペラハウス、古城など歴史的建造物関係各位におかれましては怖がらずアクション映画にどんどん素晴らしいロケ場所を提供してください、お願いします。

さてアクションは、前作で見せたガンフーという接近格闘術を取り入れたスタイルが同じですが続編ではナイフや鉛筆、また柔術なども加えました。それは目新しく映るけれど、ボルジアの階段をジョン・ウィックとカシアンが派手に階段落ちするなど、やってることは実はシンプルだったりします。実際キアヌが自身でやるカースタントや格闘、銃の扱いなどが、この映画の見せ場だし。メイキングを見てるとキアヌは大変な練習をしていて、1作目がまさにそうでしたが、彼の努力が結実し報われてよかったなとしみじみ感じました。この作品の放つエネルギーを生んだのは間違いなくキアヌの存在。これを撮りたかったんだ!という熱を感じられる映画ってほんとおもしろい。

映画『ジョン・ウィック:チャプター2』日本版予告編
今度は家かよ!『ジョン・ウィック:チャプター2』予告編

最後に、トリプルX:再起動で惚れたルビー・ローズ姉さんかっこよかったですね。もうねあのスーツ姿・・・・見惚れてしまった。しかし、しかーし、彼女はもっとできる子!次こそあのキャラ能力を最大限ブラッシュアップできる作品を期待!欲張りなワタシ!

そして、武器ソムリエは『ショーン・オブ・ザ・デッド』でゾンビ化するルームメイトのピートであった。

そうそう、製作の“87イレヴン”デヴィッド・リーチは今度のシャーリーズ・セロン主演『アトミック・ブロンド』の監督なんすよね、これ実は今年一番楽しみにしている映画。
映画『アトミック・ブロンド』特報
この後は『デッドプール2』だそうで。

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ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!(HOT FUZZ 英仏、2007年)

巷で言われるようにアメリカアクション映画へのオマージュたっぷりですが、英国コメディ映画の持つ独特のテイストは、自分にとってモンティパイソンが原点。スケッチ「グレバッパ族」とか記憶にしっかり刻まれてる。すまんね、こんな懐古趣味な始まりで。ネタバレ

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©Universal Pictures

冒頭のニコラス・エンジェルの説明からニヤニヤして、左遷が決まり同僚のにこやかな笑顔でこれは当たりかも!とワクワクしました。

なんといってもティモシー・ダルトンがいい。あの笑顔、あのスーツ、さびれたスーパーマーケットのオーナーというキャラに、しかも日本語吹き替えが土師孝也。最高でした。

正直、芝居の翌朝まではすこーし中だるみを感じちゃったりもしたのですが、イギリス映画だからキニシナイ。道路の真ん中に男女の首が置いてあるのを見て期待値は一気に上昇。その期待を裏切ることなく、あとはラストまで楽しかった。

当然ながら、音楽がめちゃんこよくてねぇ。 Adam Ant かよ! しかも Goody Two ShoesXTC もあるよ~。ニューウェイヴとかいうとりましたな。あとコージー・パウエルとか渋すぎんじゃ・・・。『ショーン・オブ・ザ・デッド』や『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』もそうでしたが選曲がよすぎ。

脚本の妙としてはニコラスが懸命に推理した動機より、真の動機「公共の利益」のバカバカしさ。この監視委員会の存在はイギリスらしくて、そのうえクライマックスの市街銃撃戦がお約束の興奮度で大満足です。

モンティパイソン好きな人や、普段穏やかなバーサマがいきなりショットガンで襲ってくるとか、自転車に乗ったメガネの冴えないおばさんが二丁拳銃で撃ってくるとか、そういうシュールな絵面が好きな人には、たまらん展開。

スタントコーディネーターは、Paul Herbert(ポール・ハーバート)。ヲタクとして知られるエドガー・ライト監督ですが、彼の作品ではアクションも重要な要素のひとつ。アクションスタッフを調べてみたらイギリス映画ではイギリス人コーディネーター、合作だとまた別の人と使い分けている印象。

この辺はへーと思ったこともあるので、改めて『スコット・ピルグリム VS 邪悪な元カレ軍団』とか『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』を観直して書いてみてもいいかなと思いました。

さて、このポール・ハーバートさんですが、1995年に業界入り、『タイタニック』でスタントマンをしたそうです。『ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬』ではスタントドライバーも。

その後スタントダブルを経て、コーディネーターとしてのおもな作品には、ベン・ウィートリー監督のヒャッハーアクション『ドゥームズデイ』、団地SF『アタック・ザ・ブロック』、古装もするよ『ロード・オブ・クエスト ドラゴンとユニコーンの剣』、マーク・ストロングとコリン・ファース『モネ・ゲーム』、『スプリット』のアニャ・テイラー=ジョイちゃん主演『モーガン プロトタイプ L-9』や、サシャ・バロン・コーエンとマーク・ストロングの兄弟スパイコメディ『The Brothers Grimsby(原題)』、今度のブラピのNetflixオリジナル作品『ウォー・マシーン:戦争は話術だ!』も担当。

予算もアクションスケールも大きくなり近作はセカンドユニットディレクターも任されてるよう。まだアクションバリバリの映画に特化した存在という域に到達はしてないのかもしれませんが、名前を知ったのも何かの縁、今後の活躍を楽しみにします。

さて、いきなりモンティパイソンに話を戻して恐縮ですが、フライングサーカスのスケッチに「グレバッパ族」ってのがありました。好きだったなぁ。あと、サム・ペキンパー風スケッチの「サラダの日」。これが自分にとってはゴア描写との邂逅だったのだなぁと今気がついたでござるよ。今作で花屋の女性がハサミで胸を突かれる描写が、演技や血の吹き出し方がまんま「サラダの日」だったので笑った。

エドガー・ライト監督の新作『ベイビー・ドライバー』も楽しみだ!

Hot Fuzz Official Trailer #1 – (2007) HD
映画『ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン!-』予告編

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