ドラゴン危機一発’97(1997 年・香港)@シネマート六本木―ドニー・イェン 甄子丹

狂気を発するドニー・イェンはなぜこんなにもおもしろいのか

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この映画をデジタルリマスターしたアクセスエーはえらい!そしてこれをラスト上映に選んだシネマート六本木もえらい!
まさかこれがスクリーンで観ることが出来るとは想像もしませんでした。しかもリマスターが素晴らしい。ドニーさんの顔一杯の汗や産毛までよく見える。本当に感謝でございます。
だって暗くてよく見えなかった七聖廟のトンファーアクションだって、何やってるか、ちゃんと見えるんだよ!生涯ベストリマスターTOP5に堂々ランクイン。

帰って手持ちの香港版を久々観たところ、字幕は焼き付けで(しかも所々掠れとるがな)サイズは4:3のスタンダードサイズ。比較するまでもなく、今回のリマスターの方が100万倍いい。昔のソフトをお持ちの方ならお分かりになると思いますが、冒頭の青や過去パートの赤などが押さえられシルエットでしかなかった部分が明るくクリアに本当に見やすい映像になっています。

に、してもすごい映画だ、観ているこちらは火傷しそう、そして呼吸困難になりそうです。
先の読めないストーリー(いや、最後まで観ても訳わかんないけど)や高速バトルの数々とトリッキーなカット割り、そのうえあのむせかえるようなオレ様臭。李三脚(ブルース・リーがやった三連続キック)どころか四脚をしかも二回も繋いじゃうその弾けっぷり。ただ走っているだけで声を出して笑ってしまいそうになる映画なんかこの世にそう多くはありません。しかもラストカットがナタだよ、ナタ。

谷垣さんが「現場ではなにやってるかサッパリわからなかった」というアクションシーンのショットも、こうやって観ていると当時この作品の数年前に撮ったドラマ『精武門』の手法をブラッシュアップしたのだということが分ります。でもって望遠(レンズのことが未だに分らないので広角かと思ったら違うそうです)レンズとローアングルがお気に入りだったということも。SEが当時のテレビドラマのままというあたりも含め90年代の総決算というかある種到達点というか。

↓左:谷垣健治
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何度も登場しては死ぬ谷垣さんもですが、彼に限らず登場する人達みんな若い!手のひらに暗器を仕込みいきなり上から「バババババ」と襲ってくるマク・ワイチュン(麥偉章)とかごっつ若いやん。

そういえば『掌門人(原題)』というラウ・カーリョン(劉家良)監督作のレビューでも書きましたが、以前、この『ドラゴン危機一発’97』に関する彼のインタビューを見たことがあります。あのバトルのラスト、キックを受けて回転して吹っ飛んでゆく動作はワイヤーなしだったそうで「あのバトルは一切ワイヤーがないんだよ、あれは自力で廻ってるんだよ、すごいだろ?」と大層誇らしげでした。
そして「現場がひどく暑かったことは覚えてる、冷たい飲み物もなくてさ、ひどいよなぁ」と何度もボヤいていたのが印象的。ずいぶん時間が経ったあとのインタビューかと思いますが、撮影の思い出が冷たい飲み物がなかったこととは(笑)。よほど腹が立ったんでしょうね。おい、制作部!あとは劉家班にいたことの自負と劉家良師傅へのリスペクトを、映画そっちのけで熱く熱く語りつくしておりましたっけ。そういえば最近見ないなぁ。どうしていらっしゃるでしょう。

でも考えれば、マク・ワイチュンにとってこのバトルが恐らく現時点のベストファイトなのではないかと思うんですよね。一度見たら決して忘れないあの暑苦しい狂気に満ちたバババファイト。あなたは何故そこで木を根元から引き抜くんだ!?

そして、忘れちゃいけないワイ役のダヨ・ウォン(黃子華)の闘いも凄まじかった。ナタで人間を殺傷した後の放心の表情がめっちゃいい。もともとはスタンダップコメディアンとして有名になり司会業や俳優歌手として活躍する香港スター。沢山の映画にも出ていて自分はほとんど見たことはないのですが、多分こちらもこの作品がベストファイトじゃないかと睨んでいます。すごい打点のドロップキックとかかましてたもんね。
いや、さすがですアクション監督ドニー・イェン、あなたの出演者へのリミッターの外しっぷりはお見事としか言いようがない。

幸い、私は日本公開に尽力した江戸木純さんのトークショーつき初日に行くことができました。この作品の出資会社である名威影業有限公司(My Way Film Company)は今でこそチョウ・ユンファ主演『曹操暗殺 三国志外伝』なんてのを真面目に作っておりますが、当時は超C級クラスの功夫映画にところどころニンジャが登場するカットを加えて「ニンジャ映画」としてヨーロッパに売ったりしていたそうです(笑)。

バジェットは公称の恐らく1/3くらいだったろうけれど、金は出すけど口は出さないというこの会社の方針が上手くいき「だからこそドニーは思う存分作りたいものが作れたのじゃ」と江戸木さんは話していました。
『ドラゴン危機一発’97』という邦題は江戸木さんがつけたそうで、初めてこの作品のプロモ映像をミラノの映画市で観た時、英語タイトルが「The New Big Boss」つまりブルース・リーのドラゴン危機一発の英題にNewをつけたものだったこと、そしていあわせたイギリスの超有名功夫オタク兼プロデューサーのトビー・ラッセル(あの映画監督ケン・ラッセルの息子なんですと)が「これを新ドラゴン危機一発、第二のブルース・リーとしてイギリスで売る」というのを聞いて自分も気持ちが固まったということでした。

アジア映画ファンに愛されたシネマート六本木もいよいよ閉館へのカウントダウン、本日は谷垣健治さんが本編終了後に登壇される様で。自分は予定があって残念ながら見ることはできませんが、きっと楽しい裏話がたくさん聞けることでしょう。うらやましい。

せっかくあんな素晴らしいHDリマスターしたんですから、DVDとブルーレイの発売があると信じてます。そしてきっと驚くような特典も付けてくれることでしょう、期待してます、アクセスエーさん!

ドラゴン危機一発’97がここまできれいに蘇るんですから、ここはひとつ、どなたか『ドニー・イェン COOL』にもチャレンジしてみませんか?

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シネマートドラゴン危機一発797公式サイト
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ドラゴン危機一発’97(1997 年・香港)@シネマート六本木―ドニー・イェン 甄子丹 への2件のフィードバック

  1. きなこおに のコメント:

    ケイコママさん、こんばんは〜
    ボクも「ドラゴン危機一発97」は大好きな映画です〜♪
    もちろん、Blu-ray化希望ですよ。

    リマスターは、Blu-ray発売される為にしたのだと思ってます!
    早く見たいな〜♪

    • ケイコママ のコメント:

      祝Blu-ray化!
      ソフト化にあたりわざわざリマスターをしたというのに心意気を感じますよね
      ほんとうにすんばらしい。しかも谷垣&下村コメンタリーつきとは。
      特殊身分といい日本版に一番濃い特典がついてるというのが嬉しいじゃありませんか。

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