Crouching Tiger Hidden Dragon: ソード・オブ・デスティニー(レビュー)@深圳その2 – ドニー・イェン 甄子丹

IMAX3Dのサイレントウルフ(笑)は5割増しの男前

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さて、前置きが長くなりましたが、『Crouching Tiger Hidden Dragon: ソード・オブ・デスティニー』中国大陸バージョンIMAX3Dです。この作品はもともとIMAX用に撮影されており、そういう意味では意図した形で観る機会があって幸運でした。

特に氷上の闘いでは、NETFLIX配信や2Dシアターでは暗くて見えにくかったナイトシーンが、隅々まではっきり鮮明に、そしてその効果によってドニーさんの横顔や斜め顔の男前度が5割くらい増していた、と申し上げます。(50%増という事は軽く100%超えですが、キニシナイ!)この男前フェイスを観るために深圳までやってきたんだなぁと感慨無量。

音声は、香港で広東語、大陸では普通話にそれぞれ吹き替えられております。オリジナルは英語なのでキャスト全員中国語バージョンは別人の声。広東語の吹き替えはどなたか存じませんが、普通話は一番のお気に入り陳浩。彼だったら文句なし。相変わらずええ声です。NETFLIXではオリジナルの英語に加えて、日本語吹き替え、そしてこの普通話吹き替えもあります。

香港発売のブルーレイは広東語と普通話音声のみで英語はなし。やはりオリジナル音声が一番いいので、英語も収録して欲しかったなぁ。

さて、ユエン・ウーピン先生のひさびさの監督作。しかも名作中の名作、グリーン・デスティニーの続編です。色々心配してもおりましたけど、半端にアン・リー風を目指して微妙にするよりは、まずはウーピン流として開き直った作風でかえってよかったのじゃないかなと。むしろ制作したNETFLIXがやはりオリジナルとして力を入れている連続ドラマの『マルコ・ポーロ』のビジュアルを流用させちゃったことで分るような姿勢が、残念といえば残念。

映画はミシェール・ヨーのナレーションで幕を開けます。絶崖にたたずむミシェール姐さんを遠くから見守る男のバックに流れる梅林茂スコア。この鞍上のドニーさんの姿が示されるや曲が西部劇テイストに変調(!)。始まってわずか1分半で、作品の方向性を明らかにしてくれました。なんと潔い。

賊の軍団に襲われ、応戦するミシェールのアクション、うおおおー久々です。槍の間からシュパ!と覗く姐さんの表情とか、足さばきに舞い散る木片や小石とか3D効果バッチリです、かっこよくてお美しい!しかも彼女素晴らしく演技がうまい。もうこの作品を通じて1人別次元のうまさ。堪能いたしました。しかし、そこは武侠映画ですから当然軽功使いまくり人飛びまくり。ドニーさんなんかくるくる回って登場、いいぞもっとやれ。

前作グリーンデスティニーと同じ部分があるとしたら、主人公がユー・シューリン(兪秀蓮)ということと、大人の男女と若者男女という4人構成になっているところでしょうか。若者は、Gleeのマイク役でお馴染みハリー・シャムJrとオーストラリアのモデルナターシャ・リュー・ボルデッツォ。

このナターシャちゃんがクールビューティでね、ドストライクです。顔つきとか三白眼気味の眼とかキン・フー(胡金銓)監督『侠女』のシュー・フォン (徐楓)を、ふと思わせたりして。すてきー。
彼女がシューリンに弟子入りして修行するところは萌えどころ。ナターシャちゃんの可愛さもさることながら、ミシェールさんの師父ぶりがしびれる。私も姐さんから「どこからでもかかって来なさい」と言われ軽くいなされてみたい。

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アクションの白眉は、クライマックスよりむしろ、ドニーさん、ハリー、そしてアイアンクロウとの3人の氷上ファイト。アクション監督はユエン・ウーピン、スタントコーディネーターは袁家班のリン・チーワー(凌志華)とユエン・シュンイー(袁信義)。このシーンのためにわざわざIMAX3Dを観に行ったと言っても過言じゃない。すんばらしい。

まずここでの音楽は極力おさえてあり、氷のきしむ音、互いの拳がぶつかる音が効果的。そして時折インサートされる氷の下からのカットがいい。と、そこへハリーの師匠にあたるアイアンクロウが参戦。ドニーさんの腕を切りつけます。それまでハリーに対しては素手で戦っていたドニーさんが、やおら剣を抜く。アイアンクロウの達人ぶりを一瞬で分らせ、また負傷というハンデを与えるこういう間合いはよいですね~。

↓ロジャー・ユアン演じるアイアンクロウの武器が、まんま鉄の鴉の爪であるところも高感度大
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このシーン、他では結構画面が暗かった気がしますが、IMAXでは鮮明なうえ奥行きがしっかりあり人物の浮き上がりが気持ちよくて全く暗さなど気にならなかった、というかドニーさんめっちゃくっちゃ男前だし。ミシミシとゆっくり包囲する師弟の足音が、緊張感を盛り上げます。そして静寂を破るアイアンクロウの襲撃。

氷の上では、勢いに後ろに下がるのも敵に駆け寄るのも滑りながらです。いや、このシチュエーションって誰しもが一度は考え付くかもですが、ギャグにならずしっかりとアクションシーンに仕上げるのは至難の技ではないでしょうか。ウーピン先生あっぱれ!
しかしあの爪、殺傷能力はいかほどかと思ってたら、意外と高かったのね・・・。

そして傷ついたドニーさんに文字通り飛んでくるミシェール姐さん。彼女に「また君を失望させた」と言っちゃうサイレントウルフ。もうね、ストイックさゼロ(笑)。死んだことにしてたった1人で山に籠って修行し、全ての執着から解放された男とは思えない、なんという煩悩だらけ隙だらけの剣士なんだ。

この作品のドニーさんは、今まで彼が演じてきた剣士のなかでもぶっちぎりのヘタレです(印象度だけでいえば、『新流星蝴蝶剣』や『レディ・ファイター 詠春拳伝説』より大人なぶん、より目立つ、というか、どれも相手はミシェールだ!)。眉間にさほど皺も寄らないし、かなりスィート。チョウ・ユンファが演じたリー・ムーバイ(李慕白)との変化をつけるためにそうしたのか、ドニーさんが個人的に『処刑剣』との区別を図ったかは知りませんが、ぬるいぞ。そして、未来永劫、この男はシューリンに主導権を握られて幸せに暮らすのだろうなと想像出来て、とっても和みます。

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最後に、本作では武侠片らしい愉快な仲間も登場します。なにしろ名前がシルバーダート・シー (無影鏢)にフライングブレード(飛刀李)、サンダーフィスト・チャン(鉄臂魯)、亀のマー(酒癲、さすがにこれは英訳できなかったらしく亀になった)ですもんね。で、ドニーさんがサイレントウルフ(獨狼)。この名乗りの台詞は、オリジナル英語が一番衝撃度は強かった(笑)。

↓サイレントウルフと愉快な仲間達
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ラスボスは、かつてブルース・リーを演じたジェイソン・スコット・リー。貫禄~。そしてその配下の女剣士には、ベトナムのアクション映画でブイブイいわせてるベロニカ・グゥ。『CLASH クラッシュ』で瓶で頭を殴られながら振り向きざまに相手をボコボコにした彼女です。本作ではイマイチ能力を発揮できるアクションでなかったのが勿体ない。ベトナム映画での彼女めっちゃイケてます、動けます、 アジア女性上目遣いメンチ切り選手権No.1、よっベトナムの女ドラゴン!(でももともとはモデル)
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そういえば、ミシェール姐さんもかつては『スタント・ウーマン~夢の欠片』でビール瓶で頭を殴られていたのでありました。女ドラゴンの通る道としてビール瓶で背後から殴られるのが必須とか、あるのでしょうか(いや、ない)。

盲目の預言者の役には、前作で憎っくき碧眼狐狸を演じたチェン・ペイペイ(鄭佩佩)のお嬢さんユージニア・ユアン。

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グリーンデスティニーとは世界観が全く異なるけど、エンターティメント武侠片としては楽しめる1本。氷上ファイトだけでも充分観る価値あり。あ、山頂の修行シーンの空撮も目を瞠るほどよかったです。

そしてココ・リー(李玟)とジャム・シャオ(蕭敬騰)の歌うエンディングソングがまた素敵。作曲は梅林さん。
『 如果時間剩一秒』

オフィシャルメイキング(日本語字幕つき)

それにしてもIMAX3Dと2Dで何故明るさにあんな差が出るんでしょう。その辺りの事がまったく分ってないので自分はサッパリです。3DとかIMAXのことって、実際に撮る機会がないと業界でもよく分らない人がほとんどだと色んなとこで質問してみた感想。想像するに谷垣健治さんがよく理解してて上手に説明してくれそうだけど・・・お忙しい方だからなぁ。

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Crouching Tiger Hidden Dragon: ソード・オブ・デスティニー(レビュー)@深圳その2 – ドニー・イェン 甄子丹 への2件のフィードバック

  1. 龍熱 のコメント:

    こんばんわ!レビュー、大変興味深く拝読しました。特に飯星さんが同じく氷上ファイトを絶賛しているのが流石だと思いましたし、この映画サクッと撮ってる感が逆に小気味良くて、私もお気に入りです。
    あとナターシャが胡金銓監督「侠女」の徐楓を彷彿させる・・・なるほど!恐らく多くのアジア武侠片のベースが「侠女」の女剣士をはじめとするキャラクター、またはあの竹林の闘いに繋がっているのかも知れませんね。
    あと毎回思うのですが、飯星さんが記事で貼られてる写真はレアな写真が多いですね。今回もドニー兄貴とミシェル姐御のスタジオ特写2枚は私は初めて見ました(^_^)。

    • ケイコママ のコメント:

      >恐らく多くのアジア武侠片のベースが「侠女」の女剣士をはじめとするキャラクター、またはあの竹林の闘いに繋がっているのかも知れませんね。
      仰る通りなんでしょうね。
      今なお、多くの武侠映画に影響を色濃く残すキン・フー監督はすごい。
      白鷹さんを初めて観たのが侠女だったので、その後悪役が多いのに驚きました。
      でもよく考えたら、ナターシャちゃんは侠女というより迎春閣之風波だったかなと後から思っています。
      写真は中国の人に教えてもらいました。珍しかったので貼っちゃった。

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