世界らん展日本大賞2012

先週末、母親と東京ドームで開催された「世界らん展日本大賞2012」に行ってきました。

園芸ファンって多いだろうと漠然と思っていたけど、蘭はそのなかでも人気が高いんでしょうね、結構な人出。思えば、ここには野球を見に100回近く来てるはずだけど、この球場のグラウンドレベルに降りたのは初めてかな?

いや、待てよ、そういえば何年か前にモルツ球団かなにかそういうOB戦の取材で降りたことがあるよ。生シピンに感激したり、村田兆治さんにお話を伺ったりして鼻血でそうなほど興奮したんでした。

仕事柄、時々こうして往年の名選手にお目にかかる機会をいただけたりしますが、ご挨拶をする際に「本当に君は野球が好きなのか?」という相手の雰囲気を感じることが時々あります。
この時の村田さんにも、ほんの少しそんな警戒心があったような記憶。
でも、私はその少し前にマスターズリーグで村田さんが138キロのストレートを投げたのを目撃しましたからね。

「実は、この東京ドームで村田さんの138キロ見ました!」と言ったところ、空気が一変、ニッコリしてくださって、すごく嬉しかったのを覚えています。
なのに肝心なお話した内容を思い出せない。ものすごく緊張していたか、ものすごく興奮していたのでしょうか。ああ、もったいない。

そういえば、タイガース18年ぶりの優勝への期待に関西中が湧きかえっていた2003年。
大阪の局でタイガース特番に出演した際、エレベーターでご一緒になった中村勝弘さんに「タイガースファンとか言ってるけど本当なの?」と訊かれたこともあります。

松村邦洋さんなら、そこで「千葉県山武郡九十九里町出身、成東高校から早稲田大学、71年にドラフト2位でタイガース」くらいはスラスラ言えるんだろうけど(笑)当然自分にはそこまでのスキルはなし。そこでせめてもと「セカンド、中村勝弘、背番号14」とウグイス嬢の真似をしてご理解いただきました。

あ、らん展の話をするつもりが、なんか全然違う方向にいっちゃったわ。
母親は何度も来ているそうですが、私は今年が初めて。
あんなにたくさんの蘭の花を見たことなんてありません。壮観。
なんだかあまりの量と美しさに途中から「本物」に思えなくなってしまったほど。
不思議な感覚です。

美しすぎるものを見ると圧倒され過ぎて、時々実感が湧かなかったりするんですよね。なんだか、また同じことを思ってしまった。

らん展にくるまでは、蘭のことなどほとんど考えたことはなかったし、恥ずかしいくらい何も知りません。世界に700属以上、15000種もあるそうじゃありませんか。と、いってもこれが多いのか少ないのか普通なのか、その比較もできないけど。

蘭好きといえば、レックス・スタウトの推理小説の主人公、ネロ・ウルフ。
ふと思いましたが、なんとなく蘭好きに対してのイメージって彼の影響も強いのかも。

 

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帰って来たドラゴン(1973年・香港)

監督
呉思遠(ン・シーユン)

出演
梁小龍(ブルース・リャン)
倉田保昭
石天(ディーン・セキ)
韓國財(ハン・クォ・ツァイ)
黄韻詩(ウォン・インシー)
孟海(マン・ホイ)

武術指導
梁小龍(ブルース・リャン)←この人は19歳でショウブラの武術指導を始めたのがキャリアのきっかけ※ただし倉田さんとの場面は2人で考えたそうな

なんだかんだアラフィフな自分。当然倉田保昭さんの日本のTVドラマは、リアルタイムで観ている年代(汗)。
でも倉田さんといえば、やはり香港時代に見せつけたその凄い身体能力とスキルの高さが魅力。
おまけにびっくりするほど男前。
それまでの香港映画の悪役は本当に「悪い奴」と思われて苦労が絶えなかったらしいですが、倉田さんの出現により悪役の定義が変わったくらいなんだとか。納得。

彼のかっこいい映画は数あれど、やはりブルース・リャンとの、走っては蹴り走っては戦い、という、一連の作品のふたりにしか出来ない連続技が最高。
「帰って来たドラゴン」は、まさに倉田保昭さんそしてブルース・リャンの魅力がむせかえるほど詰まった一本。ある意味傑作です。

断片のアクションシーンだけなら以前からイヤってほど見ていましたが、このたび、あらためて全編通してきちんと鑑賞。
ストーリーなんか、この際どうだっていい。ただ暗い復讐ものではないのでその点は見やすくて滅法よろしい。

以前、やっと名前を調べることが出来たサモハン映画の常連、孟海(マン・ホイ)が実は子役から活躍していた俳優だったということも新たに知りました。
バク転もそつなくこなし、動けること、動けること。
よく調べてみると実は林正英(ラム・チェンイン)や董迹謀 (トン・ワイ)惠天賜(オースティン・ワイ)などを輩出した京劇有名俳優、粉菊花の弟子のひとりだったんですねぇ。

しっかし、ブルース・リャンはいいなぁ。あの足見てるだけで幸せだ。
のっけから真後ろにいる敵をさっと自分の肩越しに蹴りあげるとか、ローからハイへの連続キックの驚異的なスピードや、ワンジャンプ2人蹴り、しかも同時ではなく右足1本で左右を蹴り分けるとか「うお!」と思わず声をあげてしまいました。
トランポリンもワイヤーも当然CGもなし、なかなか出来んよ、こんなこと。

そんな彼に負けない倉田さんのキックにもホレボレ。ほんとうに互角なんですよ、ブルース・リャンと!ふたりの繰り出すハイキックの力強さ、その角度、そしてあの跳躍力。

有名な壁登りも、んも~、ふたりっとも頭おかしいです。
壁登りというと、成龍の「ヤングマスター」(80年)を初めて観た時、「人間ってここまでできるのか!」と驚いた古い記憶がありますが、これはそのうんと前の73年作品、しかも登りながら戦うというオプション付き。
どこまで凄いんだ・・・あんたらの身体能力。

そんな倉田さんが突如トンファー出した時は、声だして笑ってしまいました。
一方リャンはヌンチャクを!
もうね、お腹一杯、満足です。

やはりアクションは「誰と戦うか」が重要な問題ですよね。
このふたり、翌年にはなぜかイタリア、ローマの街を同じように闘いながら走りまくっていて(当然ゲリラ撮影なんだとか)、こっちも全編を早く観たい。
とにかく素晴らしいこの武打星たちに心からの拍手を送ります。

最後に
「かちこみ!ドラゴン・タイガー・ゲート」(2006年、原題:龍虎門)での冒頭のレストランシーン。
ニコラス・ツェーへのコレオグラフィーのイメージネタって何だっけ、と長年ずっと気になっていたのですが、今回あらためて、「ああ、あれはブルー・リャンだったんだ」と合点がいって非常にスッキリしました。
ニコラス、かなり頑張ってたもんね!

 

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坂井オーナーを励ます会

先日、大阪にて阪神タイガースの坂井信也オーナーを励ます会というのがリッツ・カールトンホテルで行われ、僭越ながら自分も参加させていただきました。司会は朝日放送の道上洋三氏。

ええと、関西の経済界をはじめ、学界、マスコミなど結構なメンバーと人数がお集まりで。
なんだか凄い数の名刺交換をさせていただきました。

今までなんだかんだとパーティなど出席する機会はありましたよ。
が、今回いらした来賓のみなさん、普通のパーティであればお忙しいこともあり途中で抜けることも多々あるかと想像するのですが、この日は71人のうち、誰ひとりとして早びけする人もなく、最後まで残ってらしたということにまず驚き。
そしてもう一点、とにかく顔つきがいつもとは違って、まるで少年のように楽しそうだったのが印象に残りました。本当に、なんだか、全員ただの「タイガースファン」の顔をしている(笑)。

名刺を交換する度に「どの選手からのファンですか?」とお話したのですが、もうね、「物干し竿、藤村富美男」に始まり、あとは「若林忠志」とか「呉昌征、金田正泰、土井垣武」というお名前や、「三本柱から見とるよ!」(彼らの言う三本柱とは、小山、バッキー、村山ですから!)などと嬉しそうに語ったり、「吉田、三宅のニ遊間」がいかに素晴らしかったかのレクチャーを受けたり、私ですら名前と顔はなんとか一致するという往年の名選手の名前がずらり。

いやいやいや、面白かったわ~、数年前、タイガース70周年に発売された記念本を何冊も熟読していてよかった!なにしろ、ラストで合唱した「六甲おろし」を三番までしっかり歌えてしまう方ばっかりでしたからね(笑)。

あと、OB会長の川藤幸三さんのお姿も。
私の顔を見るや否や「オバハン!こんなとこで、なにしとんねん!」
い、いや、オーナーを励ましに来たんですってば。
いつもながら豪快でホッとします(笑)。

そしてこの席には、あの芥川賞作家であり、タイガースファンの誇りであり鏡でもある「博士の愛した数式」の作者小川洋子さんもおみえになっていました。
小川さんはまさに江夏田淵の黄金バッテリーからのファンで、そういう意味では私とファン歴は同じくらいでしょうか。
そのふたりが「みなさんに着いて行くのは大変です(笑)」と思うくらいですからねぇ、いやはや、本当に勉強になりました。ありがとうございました。

そういえば小川さん、坂井オーナーへのご挨拶に「本日は坂井オーナーを励ます会ということですが、実は私いつもタイガースに励まされてばかりいるので、今日は励ましてくださってありがとうございますと反対にお礼を申し上げる気持ちで参りました」という素晴らしい言葉を残されました。さすがでございます。

他のご挨拶に立たれた皆様も、現在の戦力分析やら、今年への期待やら本当に具体的でくわしい(笑)。関西の人間にとってタイガースが、職種立場を超えてどれほど大きな比重を占めているか、改めて実感した次第です。

ここで知り合った方々と、酔った勢いで甲子園に試合を観に行く約束を色々交わした自分。
今シーズンはまた違った席や人たちと見にゆくことができそうです、楽しみ!

 

 

 

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捜査官X 日本語字幕版を試写室で- 甄子丹 ドニー・イェン

今日、試写に行ってきました。
ネタバレなしですが、映画を観てないとかなり「なんじゃこれ」な話。

試写ながら、最近ではギリギリに駆け込んでしかも慌てたまま間違えて入ってしまった「はやぶさ遥かなる帰還」以来の満員御礼(笑)。
(ほんま、この慌て者をどうにかしてほしい。いや、東映本社としか教えてくれなくて何階の試写室か教えて下さらなかった方のせいにしちゃいます、うんにゃ、なんもかんも確認しなかった自分が悪い。始まった「はやぶさ」のOPクレジットでやっと気がつき、無作法にもそこで席を立った最低な奴は自分です、あの回に試写室にいた皆様、ならびに最悪のルール破りをしてしまったこんな私を、正しい試写室にご案内くださった東映の方々、誠にすみませんでした!)

さて、この映画の素晴らしさについては、さんざ書いてきたのでニ点だけ。

知人によると、この日本公開のフイルムがどうやら中国内地版らしいという噂がTwitterで一時取り沙汰されたそうですが、両方見た自分としては日本公開のこれは、香港版BDにはない冒頭のクレジット「1917年、雲南のある小さな村・・・」というのが入っているだけで、中国内地用に差し替えられたカットも元通り、本編の内容は全部香港版と同じです。当然エンドソングもそのまま。

多分、その感想の元となった担当者の方はカンヌで観た初版とこれが違うと判断されたのでしょうか。
実際、ピーター・チャン監督はカンヌギリギリまでフイルム編集していたので、カンヌ版と、中国内地アジア公開版とはもともと少し違うらしいじゃないですか。(自分カンヌ版は観てないので違いはわかりませんし、読んだ覚えはあるのですが2,700件もある記事を捜すのがめちゃめんどくさいので割愛、ごめんなさい)

実は昨年私の親友が代わりにカンヌでこの映画を観て来てくれて、プレスシートもお土産に持って帰ってきてくれたのですが、彼女は夕食で飲んだワインが効いたらしく、その時半分寝てしまったそうです(カンヌでの上映は夜中でしたからね!)。もったいない、とほほ。

言語はやはり金城武くんの四川語を活かした普通語。
ちなみに広東語バージョンではドニーさんは当然のこと、金城くんもタン・ウェイちゃんもふたりとも自分で広東語をあてていました。(広東語版でも、なぜか惠英紅とジミーさんはそのまま別人の普通語)
あああ、ソフト化の際には是非とも広東語バージョンも収録してください、お願いします。

さて、三国志英傑伝よかぐっと少ない台詞になんとなく話をわかった気でいた自分でしたが、実は盲点が。

盗賊団と理解していた「七十二地煞」、日本語台詞を読むと、どうやら盗賊ではなく、西夏族の生き残りとされていました。中文ではそこまではサッパリわからんかったわ。

西夏族といえば11世紀~13世紀にかけて西夏王国を築いたチベット系タングート族のこと。(その西夏陵墓のあたりは現在、カラホト遺跡で有名な寧夏ホイ族自治区にあたります)チンギス・ハーンにより18万人が虐殺され滅んだとされている民族です。
それがなぜ、1917年に泣く子も黙る数々の狼藉を?とも思うわけですが、まぁ映画なので細かいことはキニスンナという範疇かもしれません。
さすがに映画の台詞にあったみたいに実際には80万人も殺されてはいないらしいし、しかも本来の仇はモンゴル人だけど、あれは一種の虐げられた民族、という象徴としての西夏族だったのでしょうか。

酔っぱらいなので調査も限界。
そのうちに気が向いたらまた詳しいことは調べるかも調べないかも。

最後に
あらためてスクリーンにて日本語字幕で観た「捜査官X」サイコーでした。
あのショットもこんなシーンも全てまったくもって素晴らしい!そしてやっぱり音響は大事なんだなぁと感じた次第。すごくいい。
あれ、設備がしっかりした劇場で観たらもっといいんすよね、うわ~行きますよ劇場!

追記:
試写であらためて思ったこと。
「ここよか、もっとデカイスクリーンで観たい!」
公開館調べて一番大きいとこで観たいったら観たい。
観られる環境にある方は絶対に映画館で観てください。もうね、DVDやBDとは全然違うから!

捜査官X(原題・武侠)
邦題を知った感想(ネタバレなし)。

原題「武侠」として観た時のレビュー。
↓ 壮大にネタバレしてるので、未見の方は読まないことをお勧めします。
武侠 香港BDにて鑑賞-ドニー・イェン 甄子丹

捜査官X日本語予告編
http://movies.fc.yahoo.co.jp/8/67/
捜査官X日本公式サイト
http://www.sousakan-x.com/

追記の追記
日本公開バージョンが香港版と同じでホッとしていたら、今度はtwitchにこんな記事が。
仏を除いた欧米の配給権を買ったワインスタイン社がタイトルをいち早くWU XIA(武侠)からDRAGONに変更したということは、ネタバレ全開のレビューにも書きましたが、どうやらタイトルは変更しない方向になった模様、ではなく少なくともドラゴンでなくなったみたいです。

しかし、新たにアメリカ市場向けに編集をし直しているようで、それはもともとワインスタイン社との契約内容というか最初からの約束事に含まれていたとどこかで読んだような。
恐らく、徐百九のバックストーリーや哲学的思索部分がカットされて甄子丹のアクション映画色を強くするのでは・・・と記事の記者は想像しています。
カンヌ直前に購入したはずなのに1年近くたった今もまだ公開されないので、気にはなっていたのですが、アイヤー、ひょっとしたらアメリカ版「武侠」は違う映画になってしまうのでしょうか(涙)。

 

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Whitney Houston

ホイットニー・ヒューストンがデビューした時のことをよく覚えています。
あの名シンガー、ディオンヌ・ワーウィックの従妹という触れ込みでした。
85年に発売された彼女のファーストアルバム「そよ風のおくりもの」はレコードの時代か・・・。
レコード買いました。

デビューはまだ若かったでしたよね、日本盤のジャケットに映った彼女はハイレグの水着を身にまとった手足の長い美人。
モデル出身ときいてましたが、とにかく驚くくらい歌がうまくて、そのうえ楽曲が全部良かった。
若さと美貌と素晴らしい実力を持ち、そしてデビューアルバムにしてあの完成度。アルバムはイヤってほど聴き倒しました。
Saving All My Love For YouとかGreatest Love Of Allとか、当時の日本のおねぇちゃん達は(自分も含め)カラオケで到底似ても似つかない彼女の歌をそれでも嬉々として歌ったことがあるはず。

92年の映画「ボディガード」も大ヒット。
「えんだぁぁぁぁ」のI Will Always Love Youを聴いたことがない人は、恐らくいないでしょう。あのサントラの中では自分、I Have Nothingがとにかく好きでした。

この映画が実は、70年代にスティーブ・マックイーンとダイアナ・ロスで制作予定だったけど流れた脚本だったとか、I Will Always Love Youという曲はカントリー歌手としてまた女優として有名なドリー・パートンがオリジナルだったとか、ホイットニーを通して色々知りました。ちなみにドリーのこの曲も持っている。

また、95年の映画「溜息つかせて」は原作のテリー・マクミランの小説がとにかく好きで、映画も観に行ったものです。そのテーマとなったExhale(Shoop Shoop)を聴きながら今これを書いてます。
そういえば、彼女の「天使の贈り物」も観てるんだな、自分。

1963年生まれだったんですね、亡くなった今の今まで知りませんでした。
実は同じ年齢だったんだ・・・。

今夜はひっそりと彼女のアルバムを聴くことになるでしょう。
この類まれなる才能を持ったディーヴァに心から哀悼の意を表します。

 

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捜査官X(原題・武侠) ― 甄子丹 ドニー・イェン

短文、ネタバレなし。

ドニー・イェン(甄子丹)主演の「武侠(原題)」が、な、なんと「捜査官X」という邦題に変わり、いよいよ2012年、4月21日から全国ロードショー公開されるんだそうな。やった。
タイトルのアルファベットは金城武くんが演じた徐百九、その徐という字の中国語ピンイン読みXUからXをとったようです。

そこで、今日、新たな気持ちで自分の香港版ブルーレイを、金城武主演「捜査官X」として観てみました(笑)。

「捜査官X」ってタイトル、なかなかいいじゃありませんか!
某邦画のパクリかよ!と世間では言われているようですが、私はそれほど気になりませんでした。(ひょっとして少数派?)

てか、ピーター・チャンの「武侠」というタイトルをさんざん深読みし、クンフースパイラルに嵌り込んで視野狭窄になってしまった「自分としては」、正直言うと「捜査官X」という邦題のほうが何倍も好き。
なぜなら、以前に傑作だと言い切ったこの作品をもう一度、金城武主演「捜査官X」という視点から観てみたら、ドニー・イェン主演「武侠」として感じたよりもさらに、一段と傑作だと思ってしまったからであります。武侠という枷が外れて本当に良かった!

金城くんのタイトルロールまったく文句なしです。そのほうがずっとドニーさんの劉金喜も唐龍も生きてくる。まるで霧が晴れたみたいな気分。できればその勢いのままで宣伝もしてくださることを願います。

大きなスクリーンで、あの美しくて残酷な「捜査官X」が観られるかと思うと今からソワソワ。
ああ、その時は日本語字幕もついてるんですよね!なんという幸せなことでしょう。

「武侠」として観た時のレビュー。
↓ 壮大にネタバレしてるので、未見の方は読まないことをお勧めします。
武侠 香港BDにて鑑賞-ドニー・イェン 甄子丹

追記:
この映画とは関係ないけど、むこうでヒットしたツイ・ハークの「龍門飛甲」を受けて、な、な、なんと92年の「ドラゴン・イン」が大陸で再上映されるというニュースが。
2月24日から公開!ひょえええ~。新浪娯楽記事
どうやらデジタルリマスターしたらしい。

こ、これはソフトの再販もありそうな!日本でも出さないかなぁ、頼みます、出してください!
ただし「据悉,此次重映只有普通话版,没有粤语版。」とあるので、広東語バージョンはなく普通話のみのよう。€24日って、もうすぐじゃん!

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蔵出し その2

ええと蔵出ししたばかりですが、まだまだ実は溜まっている。(順不同、ネタバレなし)

ミッシング・ガン(2001年・中国、米)

監督・脚本:陸川(ルー・チューアン)
出演:姜文(チアン・ウェン)寧静(ニン・チン)伍宇娟(ウー・ユーチアン)

中国貴州省、山奥の小村が舞台。
朝、田舎の家の寝床でブタのように眠る男の顔に、女がノートを投げつける。
「起きて!」
驚いた男が飛び起きると、身体中にサロンパスを貼りパンツいっちょで腹を出して寝ていたのは、チアン・ウェン。

この俳優のおもしろいところは、近年のセクシーな役どころだと驚くほどそうなのに、田舎の普通の中年男を演じたら本当にド田舎の冴えないオッサンにしか見えないところ。

「寝てばっかりいて、一体どういう父親なのよ!」
嫁さんもしっかり気の強い中国中年女といった姿かたち。
一家の住んでる家といい、小生意気な息子といい、ああああ、ものすごく大陸的です。
この空気感というか、上手く表現できないけど匂いのようなものというか、これって香港台湾じゃないんだよな、内地の女優男優でないとこうはいかない、とのっけから感心。

朝から御機嫌斜めな嫁さんに怒鳴られながら、顔も洗わずズボンを履いた男はふと腰にあるものに手をやる。
「!!」
本来なら、そこにあるはずのものがない!
慌てて走り回り、家中を捜しまわる男。嫌がる息子の通学カバンまでひったくって、中身を全部ぶちまける。
「息子を殴るのはやめて!」
ヒステリックに叫ぶ妻の声すらもう耳には届かない。
「このロクデナシ!一体何を失くしたって言うのよ!」
ただただ茫然と座り込む夫。

転瞬、ロックのメロディに乗せてレンガの壁に白いペンキで殴り書かれた「尋槍!(ミッシング・ガン)」のタイトル文字。

うほ、いい始まりじゃん。
クレジットは逆早まわしの、その村の景色。うわああああ、ほんまにドドドド田舎や。いかにも低予算、という風情がかえってその田舎の風景にリアリティを加えている。

ものがたりは、妹の結婚式で泥酔し銃を失くした警察官がそれを捜すというストーリー。顔見知りしかいないこの村の一体誰が。
そしてその銃を使ってとうとう起こる殺人事件。

一言でいうとサスペンスものなわけですが、銃を失くした警官の切実さと田舎ののどかさと登場する人物たちの暢気さが実に不協和音を感じさせ、また不思議な事にそれが魅力になっているのが面白い。
これが都会の話なら、あの編集や音楽が活きたかどうか。
すべては舞台が、あのド田舎だったというのがまずは勝因でしょうか。

そしてそれを支えているのが、チアン・ウェンの存在感と演技力。
この人の最大の魅力は、どの役でも大抵そうなんですが、最初マジで冴えないオッチャンにしか見えないのに、時間が経つにつれて少しずつ、自然にその色気が滲み出てくるところ。
私の見る限り、そんな役者は世界でもそう多くはありません。
(いや、普通のオッチャンを演じても最初から色気のある人や、最後まで冴えないオッチャンは一杯いるよ)

監督のルー・チューアンはその後「ココシリ」というチベットを舞台にしたシリアスな実話をもとにした作品を撮ったようで、そちらもちょっと気になりました。そういえば、あの「南京!南京!」もこの監督なのね。

運命の子(2010年・中国)

監督脚本:陳凱歌(チェン・カイコー)
出演:葛優(グォ・ヨウ)汪学圻(ワン・シュエチー)范冰冰(ファン・ビンビン)黄暁明(ホワン・シャオミン)趙文卓(チウ・マンチェク)彭波(ポン・ボー)

本当はフラメンコの映画を観に行くつもりでル・シネマに行ったら、まだ公開してなくて(自分が慌てもんのアホなだけ)、では代わりにと観た作品。
司馬遷の「史記」にある「趙氏孤児」の初映画化、としか事前に知りませんでした、当然「趙氏孤児」のお話も馴染みなし。
観ているうちに「ああ、歌舞伎でいうと、菅原伝授手習鑑の寺子屋みたいなことなわけね」と強引に理解。
あの感じを現代解釈して脚色してみましたってことでいいのかしらん。
帰宅して色々調べてみて、実は一番受けてしまったのが中国映画ファン的には趙文卓の日本語表記が「ヴィンセント・チャオ」だったこと。(プレス表記がそうなってるみたい)香港武打片ファンだと彼は絶対にチウ・マンチェクでしかないよね!

それにしても葛優(グォ・ヨウ)は大陸で人気あるなぁ。
CMにも結構出てるようだし。いや、確かに演技はすごいっすよ、でも、それだけであんな人気者になるってちょっと不思議。上のチアン・ウェンみたいに色気とかあるタイプでもないし。色気で言えば汪学圻(ワン・シュエチー)のほうが断然あるよね。

前半の赤子をめぐる辺りはものすごくスリリングでよかった。
おお、この調子で展開するのかと思いきや、そうでもなかったのでした。
チェン・カイコーは前作の「花の生涯~梅蘭芳」でも前半と後半が随分違った印象を受けたので、彼の大河ドラマ、本来は得意な印象でしたが、これからちょっぴり覚悟が必要になるのかも。

ビンセント・・・じゃなく、マンチェクはあったはずの(多分撮影はしていたよね?)のアクションシーンもなく誰得?な出演で少し気の毒。
彼に関しては高手らしからぬ、冒頭の人の良さそうな微笑みの印象しかないけれど、15歳になった息子を見たら、ああ、これはやっぱマンチェクしかなかったのかと思うほど雰囲気が似てる。
ひょっとして息子ありきのキャスティングだったのでしょうか。

とりあえず色々調べてみて勉強にもなったし、なんていっても葛優と汪学圻がいいってことはしみじみ分ったよ!
この2人の演技が堪能できたということで満足感はちゃんと残りました。
葛優、彼の実年齢はいくつだろう。

息もできない(2008年、韓国)

監督・脚本:ヤン・イクチュン
出演:ヤン・イクチュン、キム・コッピ、イ・ファン、ユン・スンフン、キム・ヒス

評判のすこぶる高かったこの映画、友人にも勧められていたのもあってやっと観ることに。
この映画の素晴らしさは、チンピラと女子高生の出会いのシーンに尽きると思う。ここは相当の名シーン。男女の出会いをここまで鮮やかに発想した監督に心からの尊敬を感じます。

物語は、暴力に次ぐ暴力で、私のようにアクションの型だとかスキルだとかを異常に気にする人間には、正直おっかなすぎる。
リハも説明もなし、一発テイクしか撮らないという正真正銘の低予算映画として作られたこの作品。韓国映画お得意のリアルな暴力シーン炸裂ではあるけれど、突出した人気と感銘を呼んだのは、やはり圧倒的な作り手のパワーのなせる技。
「すべてを吐きだしたかった」という監督主演のヤン・イクチュン。
その熱量ここに極まれり。こんな自分にすら最後までグイグイ見せてしまったのだから!

開心魔法(2011年、香港中国・日本未公開)

なんだか知らないけど、最近の葉偉信(ウィルソン・イップ)はVFXに凝ってるようで(笑)
倩女幽魂(チャイニーズ・ゴースト・ストーリー)のリメイクで色々楽しそうなことしてんな~と思ってたら、次作は全開で持ってきた。この監督の場合、新しいおもちゃを与えられた子供みたいな顔が想像出来ちゃうのが笑える。

そのうちにドニーさんの映画でそのノウハウを適度な分量で(これ大事)活かしてくださいませね、てか、そろそろ一緒に撮ろうよ~監督!

さて、内容ですが・・・ラストバトルがまさかの黄百鳴(レイモンド・ウォン)と呉京(ウー・ジン)かよ!ほんま魔法でCGだと何でもできるんだなぁと呆れてたら、まだまだ続きがあって、そういう決着ですかそうですか。やっぱ開心ってタイトルにつけたんだから、ねっ。

主演は香港の人気モデルの18歳、呉千語(カリーナ・ン)、何も考えずにほや~んと見るにはいい、ほのぼのアイドル映画でした。

それにしても呉尊(ウー・ズン)がすでに32歳だとは。呆れるほどカワイ子ちゃんなのはどういうこっちゃ。どう見てもハタチそこそこにしか見えない。化け物ですか、あなた。
一方、呉京(ウー・ジン)はいい面構えになってきましたね、そろそろドッカン当たる役と作品に恵まれて超人気明星にブレイクして欲しい。それだけの経験と実力があるはずだもん。秘かに願っております。
どうでもいいけど、彼も呉仲間に入れてやってくれ!マスコミ。

途中から「金」系魔法使いとして登場した松明(トニー・ジャン)、どっかで見たなと思ったら、中国の本物の人気マジシャンでした。彼、日本に留学してて、日本大学芸術学部演技コースを卒業してるらしい。知らなかった。
あの金髪といい登場した瞬間、なぜ作曲家の藤原いくろう氏がこの映画に!と驚いたことは内緒。

他にも古天樂(ルイス・クー)や閆妮(イェン・ニー)谷德昭(ヴィンセント・コク)など知った顔が多数で安心。

葉問前傳(原題・2010年)/邦題 イップ・マン誕生 (2012年日本公開)

監督:邱禮濤(ハーマン・ヤウ)
出演:杜宇航(デニス・トー/トー・ユーハン)洪金寶(サモ・ハン)、元彪(ユン・ピョウ)、 樊少皇(ルイス・ファン)、黄奕(ホアン・イー/クリスタル・ホアン)、徐嬌(シュウ・チャオ)、林雪(ラム・シュー)澤田謙也、葉準(イップ・チュン)

出演者は相当重なってるけど、基本ドニー・イェン版イップマン1,2と監督、脚本など制作側のメンツは違う、葉問の若き日を描いた別俳優主演の別映画。
これは2012年3月17日から日本公開で、すでに5月のソフト発売も決まっているとか。
うおー、すごい。

その主演デニス・トーがとってもよかった!若き日の葉問にぴったりではないですか。
彼は実際詠春拳を長年習っていて、「イップマン序章」の時もクレジットの詠春拳指導に名前を連ねていたくらいのお人です。(序章ではルイス・ファンの手下役で、2ではサモハンの一番弟子として出演も)。ここでは静かな佇まいと柔らかい物腰が、俳優本人がそうなのかなと連想させてくれるほど、品格があって堂に入ってた。

そのうえ、若いですもんね、あの高速連打とか恐らく本気でやらせたら、もっと速いんじゃないかって想像。
映画だから、あんまり速すぎてもそれはそれで上手に納まらないとかありそうだし、多分あれでも相当スピードは殺していたと思います。

ほかの登場人物も、ルイス・ファンにサモハン、ユン・ピョウ、ラム・シュー、澤田謙也、そして葉問師父の本当の御子息である葉準さん!!!とこれまた豪華。

のっけからサモハンとユン・ピョウの目隠し組み手で「おお」と唸らせてくれます。
動作指導はイップマン序章で香港金像奨動作設計賞をサモハンとともに受賞した小熊ちゃんこと(勝手に命名)、梁小熊ツ黴€/トニー・リャン。(この人、あのブルース・リャンの実弟です)
アクションは本当にソツなく、見ごたえがあって、さすが本格的な武打星がやると違うなぁと思わせてくれて嬉しいす。

自分的にハイライトは、中盤、葉問役のデニスと実際のご子息、葉準さんが手合わせするシーン。うおおお、すげー、と大コーフン。

ただ雲行きが後半に向けて、ある方向に流れだしてからちょっと個人的にはしんどかった。
これはひとえに自分があまりにも葉問1,2を溺愛しすぎているせいですな。様々な意味で思い入れが強すぎて冷静な判断ができないので割愛。
葉準師父が、それでいいのなら文句は言いません。

アクションは素晴らしいデキなので、そこは何の問題なし。

デニスの素晴らしい手技に感心しつつも、武打動作に感情を込めるってやっぱり簡単なことじゃないんだなということも同時に思いました。若いもんね、これからこれから!
彼は、「秋瑾~競雄女侠~」 (2011)という作品でも清朝末期のメガネをかけたインテリファイターとして出演しているそうなので、そちらも楽しみです。
沢山の経験を積んで、将来香港中国を代表する武打星になることを、心から期待しています。
どうかこの先、いい役に恵まれますように!

ところでウィルソン・イップとドニー・イェンが次の葉問を撮ったらなんてタイトルにするんすかね。
この「葉問前傳」は世界中で「葉問3」とか呼ばれてるし。
案外、普通に「葉問3」にしたらおもしろい、てか、そうなったりして(笑)。
・・・の前にホントに撮るの?って話ですが。

ここからは自分の完璧妄想。なので甄子丹ファン以外は読まないほうがよろしいです。
(寄るな!危険!)

甄子丹が葉問の続編を作る条件。

その1。
自分の身体が動かなくなった、と心底、自覚した時。

葉問3になったら、当然次のストーリーは李小龍が弟子入りする時です。
ご自身は当然「オレ様以外に李小龍の役なんか誰にもやらせねぇぇぇ!」と今でも本心から思っていて不思議はないでしょうから(妄想ですが結構当たっていると思ふ)、マジで自分の身体が動かん、もう彼のリスペクトを自分では出来ないと実感しない限り・・・しない、かも。
(ご本人は心底オレが2人いれば!と思っていることでしょう、てか1人2役が違和感なく、それこそCGでちょっと顔を変化させて別人に見える作業を全てのカットでやる充分な資金があれば、明日にでもやるでしょう!)
しかし48歳で(2012年1月現在)あの動きですからねぇ、動かない時なんて待ってたらいつになることやら。

その2。
今後、彼の映画の興行収入がジリ貧になって出資者も目に見えて少なくなり、主演映画俳優としてヤバくなった時。すんごい現実的ですがそういうものかと。
むしろ、そこまでいかなくても起爆剤にというタイミングもあるかも。

その3。
びっくりするくらい、いい脚本ができて、しかも李小龍が登場する直前で終わるものだった場合。
もう1作引っ張れますからね!

その4。
自分が何かの映画で香港金像奨主演男優賞を獲った後。
ぶっちゃけ「よきにはからえ」気分の時ですね(笑)な~んの根拠もありませんが、ご本人は一番、これを狙いたいと思ってるのでないかと、アホアホファンは超絶妄想しています。

すみません、ホントにこれらはただの妄想です。すみません、だから笑って流して!

 

 

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小刀会組曲 序曲

長い間、捜していたものが見つかった時ってすごく嬉しい。
ひと月ほど前、そんなものを見つけて衝撃に打ち震えるほど感激しました。

思い返せばむーかしむかし(どれくらい前か覚えてないくらい)監督レイモンド・リー、ツイ・ハーク制作の「ドラゴン・イン」(92年制作)を観た時のこと。
オープニングにかかっている中華楽曲が痺れるほどかっこよかったものの、当時はインターネットもないし調べようがなく、なんとなくオリジナルソングとばかり思っておりました。

この曲との再会はチャウ・シンチーの「チャイニーズ・オデッセイ」(95年)
主人公が孫悟空に変わった瞬間に、まさにその曲が!
そこで初めてそれが、どうやら「ドラゴン・イン」のオリジナルでないらしいことを理解したのです。

三度目はキン・フー監督の「残酷ドラゴン!血闘竜門の宿」(67年)のオープニング。そうかそうかツイ・ハークはこの曲もお借りしたわけですね。(92年のドラゴン・インはこちらのリメイク)
ここまでくると、キン・フーがオリジナルかと思いきや、どうやらそうでもないらしい。

それ以外にも、様々なところでちょこちょこ使われていたりしたのだけれど(作品名失念)、キン・フー作品のオリジナルでないとすれば、恐らく有名な中国の古い楽曲に違いない。
その後色々調べてはみたのですが、インターネット時代になっても上手く捜すことが出来ず。
しかも「ドラゴン・イン」は手元にソフトがあるだけに観る度に気になってしかたがない。
それこそ何年も、いや、多分20年近く懸案事項としてずっとこの胸にありました。

それが!
ふとしたことで、思い出したように(多分、年イチくらいでは、この件を調べてるはず)もう一度様々なワードで検索をかけていたら、ヒットしたのです!しかも日本語で!

オリジナルは1959年に初演されたという上海歌劇舞踏院の「小刀会」という舞台作品の序曲でした。作曲は商易。
詳細は、その私にこの曲のオリジナルを教えてくれたこちらのサイトをご覧ください。
上海≪小刀会≫ 反清復明と列強排撃 <ヒンドゥークシ海峡をこえて>
この舞踏劇のことをくわしく書いてあります。感謝!

私にとってはワンチャイの「男兒當自強」と同じくらい、聴くだけで妙にたぎってくる素晴らしいナンバー。よく聴くと途中、その「男兒當自強」のこれまたオリジナル曲である「将軍令」と似ているモチーフもあり、結構それなりにニヤリとするものがあったりして。

今現在も、いや、これからかも分りませんが、私のようにこの小刀会序曲を捜してインターネットの波間を漂流する人が出ないとも限らないので、ほんの少しでもお手伝いになればいいなと思い(笑)、ここに記しておきます。

Dagger Society Suite 小刀会組曲 – Prelude 序曲
おまけの「将軍令」

追記
この序曲を使ってる他の映画、唐突に思い出しました。
確かサモハンのデブゴンシリーズだ。石天(ディーン・セキ)が非常によかったやつ。
午馬(ウー・マ)が決戦の場に登場する時にかかってませんでしたっけ。
デブゴンシリーズは大量にあり過ぎるのでタイトルがわからん。今調べたら、「燃えよデブゴン2」または「燃えよデブゴン/正義への招待拳」というそうな。
それ以外にもデブゴン系で何度か聞いたような気がする。ま、思い出したらまた。

時間が経ってからの、超灯台下暗し 的追加:
恥ずかしながら・・・実に身近な、しかも何度も観た映画でこの曲、使用されてました。
その映画とは「黄飛鴻之二男兒當自強」、そう「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ2 天地大乱」
白蓮教に黄師父が乗りこんで、信者が「祭壇だ!」と机を積み上げ、とうとう「くまきんきん」こと熊欣欣が登場する場面でしっかりこの曲がかかっておりました。とほほ。€ボンクラにもほどがあるよ。

そういえば、2011年に中国で公開したツイ・ハーク監督、ジェット・リー主演の「龍門飛甲」(追記:邦題 『ドラゴンゲート €空飛ぶ剣と幻の秘宝』)オープニングにも、見事に流れてましたわ。まぁ、これは上述の92年「ドラゴン・イン」のセルフリメイクだから、当り前と言えば当り前なのですが。

あと、チャウ・シンチーの「カンフーハッスル」も絶対使ってるよなと考えたのですが手元にソフトがなく確認が遅くなりました。公開のときに劇場で観て以来、最近再び観たらちゃんと使ってました。どころか序曲以外の小刀会の楽曲かかりまくり、流石です星爺。
この曲ってなんかもう、要するに武侠映画のスタンダードだったのですね。(いまさら)
と、同時にあの琴の遣い手の1人が馮克安(フォン・ハックオン)だったというのも今回やっと気がついた次第。あとから知ることが多くて、本当に武侠、功夫映画はおもしろい!

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東京物語

日本橋の三越劇場に、新派のお芝居を観に行きました。
「東京物語」

タイトルでお分りのように、小津安二郎監督の名作映画「東京物語」の舞台版。
それを同じく松竹映画の、あの山田洋二監督が脚色演出したという。
私は知りませんでしたが、数年前にやはり山田氏&新派で「麥秋」を上演したことがあったそうな。

新派は久しぶりです。
昔、母親と「都民劇場」という都が協賛する観劇会みたいなのに入会していた事があります。何本かの候補の中から好きな舞台と日にちを決めて、割引きで月イチ舞台を観るという仕組み。

「たしかに娘をひとり生んだ気がするけど、気がつけば息子が3人いるみたいなもんだわ」と言い放たれた自分としても、このシステムはとりあえず母親と少なくとも月イチで会う機会を作れるし、お芝居を見てそのあと食事をしてという流れは非常にスムーズでよいと思ったわけです。
が、こちらに仕事が入ったりして、その度に彼女は一緒に行く友人を捜さなきゃならないわ、で数年後にはやめてしまったのですが、新派のお芝居はその頃、よく観ました。

さて、この東京物語、想像以上に台詞も映画のままだし、なのにちゃんと山田ワールドになっていて非常に興味深かったです。
人としての孤独感、という部分はやはり小津監督の世界には敵わないかもしれませんが、山田監督ならではのユーモアや暖かい雰囲気がきちんとあって、それでもちゃんと東京物語なわけでございます。

母親を演じた水谷八重子さん、長女役の波乃久里子さんをはじめ俳優がしっかりしていて観ていて安心。特に、原節子さんが演じた未亡人の紀子の役などは(演じたのは瀬戸摩純さん)、TVでよく見る若い女優さんではあの「ですのよ」とか「してくださる?」などの言葉遣いはハードルが高すぎるでしょうね。さすが新派です。

平日の午後3時という時間にもかかわらずお客さん、よく入ってました。そしてお客さんの反応も結構いい。可笑しい場面ではちゃんと声出して笑うもんね。最近映画を観ていてクスリとも笑わないオーディエンスに当たることが多かった自分としてはこの反応の良さはすごく楽しい。

それにしても、出演者の方々の平均年齢は結構なことになってると想像しますが(笑)、みなさん信じられないほど凄くお元気です。
当然、役が役だけに、舞台の上では普通にご高齢に見えましたが、観劇後に友人にくっついて水谷さんに御挨拶させていただいた時など、もうなんというか見違えるほど溌剌としていて。
・・・女優さんって、やっぱりすごい。

新派公式サイト公演情報「東京物語」
水谷八重子オフィシャルブログ

 

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気仙沼 復興屋台気仙沼横丁

とうほく食文化応援団、最終回は前回に引き続き、東日本大震災による津波とその後の火災で1000人以上の方が亡くなり、いまなお350人近くの方が行方不明になっている宮城県気仙沼市。

この港町に、オープンしたばかりの「復興屋台村 ‘‘気仙沼横丁’’」があります。

ここは被災した飲食店や小売店などを再開しようとする人達を支援する目的で作られた仮説店舗。店舗数は現在全部で22件。
そのなかの一件、気仙沼ホルモンの「狼煙」にお邪魔しました。

ご案内くださったのは「気仙沼ホルモン同好会」の小野寺克弘福会長。
港町気仙沼で、なぜ、ホルモン?と思う方も多いでしょう。実は自分もそんなひとり。

なぜ気仙沼でホルモンか?
これには諸説あるそうですが、はっきりとわかっているのは、昔から漁師さんに陸の味として肉、しかも大量に食べられるものとしてホルモンが好まれたと言うこと。

この地のホルモンは、豚のみ。しかもここでは様々な部位を混ぜてニンニクや味噌などで味付けしたタレに付け込んでから焼く。
しかも付け合わせとして千切りのキャベツは必須。しかもそのキャベツにこんがり焼いたホルモンを載せ、おもむろにウスターソースを掛ける!

うほっ!なんとユニークな!

自分、とんかつのキャベツ千切りにもソースかけないんだけど・・・という思いがちらっと脳裏をよぎる。
しかし、一口食べてそんなご託なんざ、どーでもいいことと思い知りました。
うまいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!

えっと、ビール!ビール!

なんでしょう、この複雑すぎない、しかしストレートすぎるわけでもない、この味の微妙なハーモニー。
まず、タレにつけたホルモンの香ばしさと味噌とニンニクの甘さが口に広がったかと思うと、次に来るのがキャベツの爽やかさと青臭さのあっさり感。そして最後に訪れるのが、ウスターソースの、前の味ふたつを決して邪魔しないどころか引き立て役に徹した酸味。

うわ~、アメージング。

これをハフハフと、ただただ繰り返すのみ。しかもホルモン、キャベツ、ウスター、ビール、ホルモン、キャベツ、ウスター、ビール、もうね、こうなったら永遠に繰り返してもいいす!

落ち着いたところでお話を聞くと、気仙沼の人達は子供の頃からこのホルモンを食べつけているらしい。
「だって、僕ら、子供の頃から花見だキャンプだ秋のいも煮だっていうと必ず、このホルモンですよ!」と狼煙の店長小山芳紀さん。

日本は狭い、そんなことをつい勘違いしてしまう今日この頃ですが、そんなことは決してない、痛感させて頂きました。ありがとうございます!

最後になりますが、この復興屋台村 気仙沼横丁、様々な人達がお店を構えています。取材の合間、できるだけ多くの店をと色々なところを覗いて歩きました。

例えば、民宿が再開出来ずにここで居酒屋を構えた男性三人組。
流された店と同じ名前で店を構えるご夫婦。女手ひとつで頑張っているのでしょうか、仕込みに忙しい女性店主。さまざまな種類のお店が昼夜となく、お客様に喜んでもらおうと懸命に趣向をこらしています。

そんななか、震災以前、取材でお世話になったお寿司屋さん「たに口」がこの屋台村でお店を出されていることを知り、御主人と奥様にもお目にかかることができました。
・・・感激です。まずはご無事を心から感謝します。

この屋台村、みなさんのお越しを心よりお待ちしていることが伝わってきます。
狼煙の店長さんいわく、店で地元の人間とわざわざ訪れてくださったお客様の話が弾み、この屋台村を初対面同士で何件も梯子する姿を見るのは本当にうれしい、と。
是非、一度足を運んでみてください!

復興屋台村気仙沼横丁公式サイト
気仙沼ホルモン同好会facebook

 

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