東京物語

日本橋の三越劇場に、新派のお芝居を観に行きました。
「東京物語」

タイトルでお分りのように、小津安二郎監督の名作映画「東京物語」の舞台版。
それを同じく松竹映画の、あの山田洋二監督が脚色演出したという。
私は知りませんでしたが、数年前にやはり山田氏&新派で「麥秋」を上演したことがあったそうな。

新派は久しぶりです。
昔、母親と「都民劇場」という都が協賛する観劇会みたいなのに入会していた事があります。何本かの候補の中から好きな舞台と日にちを決めて、割引きで月イチ舞台を観るという仕組み。

「たしかに娘をひとり生んだ気がするけど、気がつけば息子が3人いるみたいなもんだわ」と言い放たれた自分としても、このシステムはとりあえず母親と少なくとも月イチで会う機会を作れるし、お芝居を見てそのあと食事をしてという流れは非常にスムーズでよいと思ったわけです。
が、こちらに仕事が入ったりして、その度に彼女は一緒に行く友人を捜さなきゃならないわ、で数年後にはやめてしまったのですが、新派のお芝居はその頃、よく観ました。

さて、この東京物語、想像以上に台詞も映画のままだし、なのにちゃんと山田ワールドになっていて非常に興味深かったです。
人としての孤独感、という部分はやはり小津監督の世界には敵わないかもしれませんが、山田監督ならではのユーモアや暖かい雰囲気がきちんとあって、それでもちゃんと東京物語なわけでございます。

母親を演じた水谷八重子さん、長女役の波乃久里子さんをはじめ俳優がしっかりしていて観ていて安心。特に、原節子さんが演じた未亡人の紀子の役などは(演じたのは瀬戸摩純さん)、TVでよく見る若い女優さんではあの「ですのよ」とか「してくださる?」などの言葉遣いはハードルが高すぎるでしょうね。さすが新派です。

平日の午後3時という時間にもかかわらずお客さん、よく入ってました。そしてお客さんの反応も結構いい。可笑しい場面ではちゃんと声出して笑うもんね。最近映画を観ていてクスリとも笑わないオーディエンスに当たることが多かった自分としてはこの反応の良さはすごく楽しい。

それにしても、出演者の方々の平均年齢は結構なことになってると想像しますが(笑)、みなさん信じられないほど凄くお元気です。
当然、役が役だけに、舞台の上では普通にご高齢に見えましたが、観劇後に友人にくっついて水谷さんに御挨拶させていただいた時など、もうなんというか見違えるほど溌剌としていて。
・・・女優さんって、やっぱりすごい。

新派公式サイト公演情報「東京物語」
水谷八重子オフィシャルブログ

 

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