アルゴリズム体操

ちょっとタイミングがズレちゃったけど、萌え死にそうな映像を見つけたので、つい。
すでに、もうイヤってほどあちこちには貼られているとおもうけどさ。

なでしこジャパン 「アルゴリズム体操」に挑戦

いやいや、WC優勝は久々に素晴らしいニュースでした。
なでしこの皆さん、本当におめでとう、そしてありがとう。
アメリカ戦の澤さんの同点ゴールには日本中がしびれましたね。

レジェンド・オブ・フィストの試写を見た帰りに、ぶらぶら歩いていて見つけたカフェで遅い昼食を取ったのですが、そこが実はサッカー好きなオーナーの店らしく、マラドーナのポスターやサッカーのユニフォームなんかが飾られていたのでした。

その店内のモニターでちょうど彼女たちの帰国記者会見をやっていたので、ランチを食べつつ、最後までしっかり見てしまいました。
もちろんお店の人となでしこの試合の話をしながら。

話をしながら思ったのですが、やっぱり1人のカリスマに勝るものなし、チームでするスポーツのサッカーですが、今回のなでしこの試合を見ていてそう感じるところがありました。
澤穂希さんは、すごいです。
「苦しくなったら私の背中を見て」そんな言葉をチームメイトに言える日本人がいるというだけで驚きです。

そんな人に10分でいいからなってみたい。どんな心境になるのでしょう、想像もつきません。
いまは、とにかくなでしこの彼女たちを見ると、かなり気分がスカッとします。

ランチを頂きながら会見を見て、とっても晴れやな気分になったので、ついつい渋谷から自宅まで35分ほどかけて、歩いて帰りました。

よくあることですが、気分がいいとどこからでも歩いて帰ろうとする癖があるんですね、これが。
だから、いつでも歩いて帰れるように普段はスニーカーばっかり。
ハイヒールなんてプライベートで履いたことほとんどないかも。

NHKピタゴラスイッチ

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精武風雲 陳真 / (邦題) レジェンド・オブ・フィスト怒りの鉄拳 香港BDにて鑑賞、のちに日本語字幕を試写室で―ドニー・イェン 甄子丹

昨日の朝、いつものようにカプチーノを飲みながらネットでニュースを確認して、最後にキーワードニュースを覗いたらば、ドニー・イエンの武術写真集「甄功夫」が発売されると香港文匯報に記事が。
なんと少林寺(!)や、広州の西関でロケをして写真を撮ったんだそうな。わわわわ。
そして、その印税はすべて慈善事業の寄付にまわすとか。
彼はこれについて「内陸の図書館や学校にも本を寄付して、たくさんの子供たちに功夫とは何かを知ってもらいたい」という抱負を語っています。
また「武術の訓練には近道はないし、それで作りあげた身体は、整形しても決してお金では買えないもの。そのうえに体調管理も重要で、食べたいものを我慢するのは大変」というコメントも。

おお~、ビシっと功夫ポーズを決めたドニーさんの姿が写真集になるのですな。
できたらその型の解説文とかもつくといいなぁ。「北派、蟷螂拳とは・・・」とかさ!
当然、彼のベースである太極拳も披露してくれるんでしょうねぇ。楽しみです。

ファンとしてはちょいとコスプレにも期待してしまいますが(笑)ちょこちょこ漏れてくる写真を見る限り地味なトレーニングウエアといった服装のようです。あ、上半身裸は別にいらないっすからね!(実はあれ少し苦手)

と、喜んでいたら、ウォン・カーウァイ監督、ユエン・ウーピン動作導演、トニー・レオン主演で新たに葉問師父を描いた「一代宗師」の予告編も一緒に見つけてしまいました。見てくださいよ、この痺れるポスター。


これはドニーさんの「葉問1」(2008年)よりず~っと前から企画されていたのに、例によって超スローペースのウォン・カーウァイらしく、ここまで完成が延びてしまったという作品。

予告見ると、かっこいいです!スタイリッシュな映像はさすがカーウァイ監督。アクションもユエン・ウーピンらしく派手で壮大。高いカメラ使ってはるな~。

自分はトニー・レオンも大好きなだけに、どんな葉問師父を観せてくれるのかすごく楽しみ。
こちらはすでに日本の配給会社が購入を決定したそうなので、無事に日本の映画館で見ることができそうです。うれしい。

・・・と、前振りが長くなってしまいましたが、そういうことを自宅で細々やった後に、午後、渋谷に出かけました。
はい、9月17日から東京で公開されるドニー・イェン主演「レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳」の試写を観るためでございます。

毎日毎日、まぁ~ようこんだけ甄子丹のことばっかり書けますなぁ、と呆れている人もいるかもしれません(少なくとも私のマネージャーの田崎は思ってるはず)
だって田崎さん、今年2011年はマジでドニーイヤーなんすから!毎月何かしら祭りがあるんですよ、ほんとに!

1月は「イップマン」2月は「イップマン序章」日本公開、3月には香港で「最強喜事」ソフト発売(当然すでに購入済み)、4月には「孫文の義士団」公開、5月は「関雲長」観て「処刑剣」公開、6月は日本版「イップマン」シリーズと「導火線」ソフト発売、で7月に入って「導火線」は公開されるわ、すでに中国内陸で「武侠」が公開されて予告だのメイキングだの、どんどん出てくるわ、で今日は「精武風雲・陳眞(原題)」の試写。

もうね、それまでの日本での無音状態からのギャップが激しすぎて、ついてゆくのに必死です。もう少し分散してくれればよかったのに・・・。
いやいや、そんなことを言ってはバチが当たる(笑)。関係各位には、本当に感謝しておりますよ。

さてさて、今年のドニー・イヤーの最後を飾る(いや、まだ9月に1989年制作のチャウ・シンチーと共演したTVドラマの唐突なDVD化が控えていたわ)であろう、「レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳」。
実はすでに香港BDを持っています。

これは間違いなく「ドニー・イェン プロモーションフイルム」(笑)。
なので、正直に申し上げると、普通の映画ファンにお勧めしていいものかどうか、迷う物件であります。

元ネタは、74年に日本で公開されたあのブルース・リーの「ドラゴン怒りの鉄拳」。
で、それを95年にドニーさんがリメイクした「精武門」という全30話のテレビドラマがありまして。
今作は、その両方の主人公、陳真が生きていたら、という発想で(その割に、ちょっと年代の整合性は怪しいんだけど)後日譚を撮ったものです。
監督は早撮りで有名な「インファナル・アフェア」のアンドリュー・ラウ。

40歳以下でブルース・リーの「ドラゴン怒りの鉄拳」という映画をどれくらいの方が観ているかは存じませんが、あれも相当反日色の濃い映画でした(の、割に当時の日本ではヒットしましたが)。
なので当然、今作も強烈です。
どのくらいかと言うと、「イップマン序章」は大丈夫だったよ、という人にもハードルは高いかもしれないくらい強烈。

ですので、上海租界で我が物顔をして非道にふるまう卑怯な日本軍とそれに対し命を賭けて抵抗する中国人、という構図だけでうんざり、という人は観に行かないほうがよろしいでしょう。行くほうが間違ってます。

よって、昔からの香港映画に慣れているアクション好きか、どんな話でも「ドニーさんのオレ様映画上等!」と言い切れる人にだけ、強力にお勧め。
むしろそういう方たちにとっては、胸躍るアクションシーンの数々が約束されています。
そしてそのうえで、ドニーさんがどれほど熱狂的にブルース・リーを敬愛してやまないか分っている人なら、より一層ニヤニヤが押さえられない映画でもあります。

で、ここからはネタバレ。

 

最初はベネチア映画祭のマークがうやうやしく登場。
そういや昨年2010年、67回めのこの国際映画祭のアウト・オブ・コンペでセカンド・オープニング作品に選ばれたんだよね。

オープニングはいきなり戦場のモノクロ記録フイルムから。
第一次世界大戦時、多くの中国人がヨーロッパの最前線で武器も持たずに荷物を運んだり武器を運ぶ仕事に就いた、とあります。
やがて空に複葉機の機影が見える。
両翼にはドイツ帝国軍航空部隊、鉄十字のマーク。
そこから次々に落とされる爆弾。それが着弾し爆発すると画面は、一気に白黒からカラーに。

そしてシーンは混乱するフランス軍部隊のいる建物の中。
「アレー!アレー!(行け、行け)」とフランス語で急かされてドニーさん扮する陳真がいる中国人労働者が弾薬を運ぼうとしているところ。
主人公陳真はパニックになっている仲間を励まし、全員で丸腰のまま戦場の最前線を駆け抜けてゆく。
しかし、肝心のフランス兵は撤退しており、彼らは同盟軍に囲まれて一斉銃撃を受けて万事休す。

おお、戦争映画だ、戦闘シーンだ。
まさかドニーさん動作導演でこんな場面が観られるとはついぞ思ってなかったために最初っから驚かされました。陳真で、こんなシチュエーションがくるとは!
相手は銃だよ~、クンフーでどうやってこの局面を乗り切る!陳真!

と、思う間もなく仲間のいる塹壕にドイツ兵が襲いかかる。
その兵士たちを鉄拳と奪ったナイフで片づけると、そのまま敵が機関銃を構える建物に向かって走り出す!
一斉射撃をかいくぐり、ドニー陳真は戦場のパルクール。
「孫文の義士団」に続いてのこの動きは、まだドニーさんの中でパルクールブームが終わってないことを示しています。
しかし彼以外、誰がこんな超人的なパルクールを考えつくというのか(笑)。
いやね、もうびっくりして口開いたまんま。
奇襲と己の肉体とナイフ2本で次から次へとドイツ兵をなぎ倒してゆく、陳真。
いやっほう!スペクタクルだわ~。

と、同時にこれはかつて彼が制作したTVドラマ「精武門」とは違うものなのだと理解。同じ役名、続編と謳われているけれどまったく別物なのだと。

場面は変わり大戦後の1925年、欧米日本が治外法権を持つ租界を擁する東洋一の魔都、上海。
その最大のナイトクラブである「カサブランカ」。
日本兵のリクエストに応え歌手キキがきらびやかな衣装で日本の唄を歌っていると、突然ピアノのメロディがインターナショナルに変わる。

それを弾いているのは、クラーク・ゲーブルのような髭と出で立ちの我らが・・・・陳真!?

このドニーさんのストレートなダンディズムぷんぷんのコスプレ(コスプレじゃないつーの、役柄役柄)やキキとの微妙な恋の成り行き。
これはファンによっては、素敵~、もしくはちょっとこっぱずかしい、ま、色々な反応があるとは思いますが、多分そんな個人の感想なんかはどうでもいいのです。
だってひたすら「オレを見ろ」という「オレ様全開映画」なんですから!誰が何と言おうとドニーさん本人が格好いいだろ、と思ってやってなんぼですから!

挙句の果てにオレ様は敬愛するブルース・リーのカトーにまでなっちゃいます。

ストーリー上、映画のヒーロー「天山黒侠」なんて名前にしてありますが、いやいやいや、それはまんまカトーだから!
アメリカで当時制作を進めていた「グリーンホーネット」に思いっきり挑戦状を叩きつけるようなコスプレと、ハリウッドでは決して作れないアクションをかましちゃいます。

いいんです、この機会を逃すとドニーさんにカトーするチャンスは巡って来ないんですから好きにさせてあげましょうよ。

私はこの映画の中で、カトーのアクションシーンが一番燃えます。

雨の降るなか、水しぶきをあげて走るその姿。
黒革のコスチュームに身を包んだドニーさんの身体が、濡れてネオンの光を反射する黒いクラシックカーの屋根をひらりと飛び越えキックをかますシークエンスなんざ、息を飲みます。
ここでは、足技もたっぷりと。
お得意のワンジャンプスリーキックで3人の敵を一気に沈めたと思ったら、回し蹴りから踵落とし。
もちろん詠春拳+ジークンドー仕込みの肘打ちと連打に、お馴染みぐるぐるパンチもありまっせ!
このシーンだけ何度観たかわかりません。視覚効果もあいまって本当に美しくてセクシー。

そしてカトーの見せ場は新聞社の室内での闘いへと続きます。
ここでは椅子や梯子、本棚やテーブルを使ったアクロバティックでありながら骨太なアクションが、とにかくやたらとカッコいい。いかにも映画のヒーロー然としております。

ドニーさんはこの「精武風雲」の動作監督をするにあたり相当にプレッシャーがあったと告白していました。
本家「ドラゴン怒りの鉄拳」は、成龍、リー・リンチェイ、そしてかつては自らもリメイクした不朽の名作。ブルース・リャンなんか3度もTVで陳真を演じてるやん。
過去の作品と同じにならぬよう甄功夫を盛り込むことに大変苦心したとか。
その差を出すためのカトーなのです。
どうせならブルース・リーへのオマージュを思う存分、しかもドニーさんギリギリの範疇で漫画ちっくに描いたら、ああいうスタイルになった、そういうことではないでしょうか。

ラストファイトは虹口道場。
ここでは当然、ドニーさんにとって、陳真として押さえないといけないポイントがいくつかあるようで。
まずは白い中山服。ブルース・リーが着ていただけに、はずすわけにはいかんでしょう。
続いて道場ではたくさんの敵に取り囲まれなきゃいけませんが、10人程度じゃ葉問になってしまうし、違いを出すなら数で勝負!とばかりに80人くらいはいたような。
多分、今までで一番多い敵を相手にした陳真ですね。
そして絶対に忘れちゃいけないのがヌンチャクと怪鳥音(アチョ~ってやつ)。
で、必ずどっかで「中國人不是<東亜病夫>!!」と叫ばないとさ!

こうして書いてるだけでお約束が一杯だ。
15年前のドニーさんは今よりうんと若くてダサかったけど、思わず笑っちゃうくらいにブルー・リーに取り憑かれ完全にいっちゃったような、やみくもなパワーがみなぎっていて、そこが魅力でありました。
今作では一度やりつくしたドラマとの差別化を図るためか、それらの約束事を守りながらブルース・リーというよりは甄子丹スタイルの現代アクションの方向にベクトルはむかっています。
当時のやみくもなパワーは影をひそめ、代わりに長い年月がもたらした映画人としての経験と成熟度をそなえていたというわけですね。

その姿は、悲壮感にあふれ眉間にしわを寄せたまま道場に乗り込んだ若き日の陳真と、「ここは変わってないな」とパンツのポケットに手を入れたまま余裕の笑みを浮かべる15年後の陳真との違いになって現れるのです。
要するに陳真もドニーさんも大人になった、ということでしょうか。

自分はTVドラマ「精武門」で彼のファンになっただけに陳真には思い入れがあります。
田舎の農村から妹を連れ出てきた上海で、騙されてばかりいた文盲の陳真。
どんなに困難が襲っても、決して真っ直ぐさを失わなかった青年。

(一応、その頃の陳真をば。見よ、32歳にして堂々と20歳を演じたこの顔を)
霍元甲師父が毒殺される前までのドニーオリジナルの陳真を愛でていた自分としては、やはりこれは陳真であって陳真でない、別の映画だと思うことが一番いいのでしょうね。

あ、別も何も、最初っからこれは大金を投じた壮大な「オレ様全開映画」でしたね!失礼しました。

さて、試写状を送ってくださった宣伝の方が「中国版にはないキキとの交流がこの日本バージョンには入っています」とあらかじめ教えてくれたのですが、観たところ私の購入した香港バージョンと同じでした。
反対に大陸バージョンではどこまでカットしたんだろう。
まさか2人のデートシーンとかまるまるカットしたんだろうか。それではたして話は繋がるのか?
日本人スパイと恋に落ちたからって、それがどうだって言うんだよ、検閲でズタズタにされたのだろう大陸版を思うとなんだかすごく気の毒です。
※分りにくいかもしれないので追記:大陸での公開時は日本でも公開された香港版をカットしたものでした・・・が、現在むこうで流通している物はちゃっかりノーカット版。(正規の大陸DVDは確認してないので分らず)そう思うと検閲の意味って一体なんですかね。いつも不思議です。

ちなみに日本公開版の音声は普通話。
まぁ上海が舞台だから、とはいえ、当然ドニーさんの声ではないのでかなりガックシ。
しかも葉問の普通語とは別の吹き替えの俳優らしく(日本公開の音声はドニー本人の広東語)、せめて大陸版の葉問の人ならなぁと残念だったことを付け加えておきます。
(※追記 のちに調べたところ、この普通語吹き替えの人はイップマンの時と同じ声優さんでした。
わわわ、嘘を書いてしまいました。ごめんなさい。くわしくはまた別の機会に

ついでだから書いておこう。
エロ髭ドニーさんが日本の歌に割り込んでピアノで弾く「インターナショナル」、ソビエト連邦の国歌として建国以来一時採用されていた曲としても知られていますが、もともとのオリジナルはフランス。
労働者階級による世界初の民主国家、1871年パリ・コミューンの蜂起の際に作られ、労働者、社会主義者に革命歌として愛されて、のちにそれぞれの国の言葉で歌詞が訳され世界に広まりました。今でも労働組合運動で歌われることが多い楽曲です。
フランス帰りでレジスタンス活動をしているドニーさんが弾くのにぴったりだし、(本当はクラブにいたヨーロッパの人間も当時の中国にとって立場は日本軍とあまり変わらないはずですが)喜んで彼らに合唱させることで、そのクラブにおいて日本の孤立感を際立たせるためにはちょうどよかったのでしょう。

中国でも、もちろん中国語で抗日闘争下で歌われ文革中には公式行事で必ず歌われた曲です。

ロシア語歌つきインターナショナル
レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳 日本公式サイト
精武風雲・陳真 公式サイト 繁体語/英語

追記:(おまけのおまけ)

このインターナショナル、実は中国のとても有名な曲の中で、そのモチーフを聴くことができます。それは、フィギュアスケートファンにとってはお馴染みの「黄河協奏曲」。

これはもともとカンタータとして1939年に蜀シ星海が作曲したもの。それを1963年にピアノ協奏曲として、中国中央交響楽団が新たに編曲しました。

当然中国人選手を中心として使用され、フィギュアスケートでは(おもに2楽章の一部と3楽章と4楽章)なぜか中国以外の選手にも使われる曲。
とにかく、フィギュアファンにはとても馴染みのあるナンバーであります。(反対にフィギュアファンじゃなくて知ってる人はどれくらいいるんだろ?)

その第4楽章の最後の最後に「ええええ、そんなんあり?!」というほど見事にこの「インターナショナル」が挿入されております。つか、その前に「東方紅」だし!なんやねん、それってくらいの仕上がりですわ。しかもその下世話さがドラマティックさを盛り上げる。
(それこそ、「空飛ぶモンティパイソン」TVシリーズでやり玉にあがっていた時代の中国です。多分文革まっさかりの頃か)

私は最近この演奏動画を見つけたのですが、そんなこんなも含めて、呆れるのを通り越してなんか笑ってしまいました。

あまりに時代をしのばせる、この映像をご紹介しておきます。
(本当はニコ動の方がコメントがおもしろい)
ピアノ演奏は殷承宗。当時の気合の入りまくったパワフルなこの演奏を興味のある人だけ、お楽しみください。

中国中央楽団創作 黄河鋼琴協奏曲 第4楽章 殷承宗(ピアノ)

 

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カレーにあうお酒とは

以前お仕事で青森の弘前にあるニッカシードル工場を訪れたことがあります

正直、お酒は大好きですが、甘い系のお酒は苦手です。
しかしそんな飲まず嫌いな私の考えは、ここで飲んだシードルで覆されました。

特に青いラベルのドライがいい。
あっさりして、めちゃ美味しいじゃないか!

工場長と色々お話をしていたらいきなりこんな質問が。
「飯星さん、このシードルに一番合う食事って何だと思います?」

んんん~、目を閉じてもう一度このシードルを味わってみる。

鼻に抜けるこのリンゴの香り、ほのかな甘み。
合うもの、合うもの、あるよ、絶対にある、しかも身近にある。

瞬間、そのメニューがふっと頭に浮かびました。

「カレーですね」

すると工場長が満面の笑みで「そうです!」と答えてくれました。

そう、カレーにはビールかウィスキーがいいと思っていましたが、このシードルもまたピッタリなドリンクに私の中ではランクイン。

いや、ほんとですってば。
ショップでシードルを見つけたら絶対に試してみてください!

 

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導火線 日本劇場公開―ドニー・イェン 甄子丹

なんとまぁ、ドニー・イェンの「導火線」がシネマート六本木で1週間だけデジタル上映されるというプレゼント。すごいわぁ、うれしい。

調べたら初日は谷垣健治さんのトークショウまであるということで、その上映回を狙って観に行きましたよ。スクリーン2は90弱の客席だと思うのですが通路にまでお客さんが座るという盛況ぶり。

好きな映画をデカいスクリーンで観られるというのは、やっぱりいいなぁ。
もう10回くらいは観ただろう(自分は英国版と日本版のDVDを持ってる)映画だと字幕を追うこともなく、ひたすらスクリーンだからこその発見を捜してしまう自分。
そしたら1か所ありました、新しい発見。
自分のソフトで観ていた時は気がつかなかった。
あのコリン・チョウとのバトルシーンは演出として音楽が切れるところが数箇所あるのですが、その時、かならず微かに後ろで鳥の声がしてるのね。うひゃ~驚き。凝ってるなぁ。

さて、上映後に行われたお目当ての谷垣さんのトークショー、途中から「SP」のアクション監督も務めた大内貴仁さんも参加して、とても興味深くおもしろい内容でした。

まずはこの映画、最初はマカオで全編ロケする予定だったんだって。しばらくすると香港に落ち着いたらしいけど。
で、なぜ舞台を「1997年返還前の香港」にしたかというと、やはり私が以前想像した通りの理由だったようです。
そしてあの映画には、マー警部のお母さんが登場しますが、実はこのお母さんとのその後のエピソードが脚本上にはあったのだとか。
どういうシーンかというとふるさとに戻った母親がそこで亡くなってしまい、マーがのちにお墓参りをするという設定でした。息子は母の好物だった菓子パンを供える、なのにそのお供えを野良犬が食べてしまい、それを見て思わず悲しくなったドニーさんが泣くという場面だったらしい(笑)。文字にするとなんだか笑っちゃいますね。

谷垣さんいわく「イップ監督、あの人は本当にはずしてくる(ユニークという意)」。
レイ・ロイが車にぶつけられて跳んだあと撃たれるアクションも「スズメを撃つみたいに跳び上がったところを撃ったら?」と提案し、葉問2のサモハンとのシーンも監督が「テーブルの上で闘ったら面白いんじゃね?」とアイディアを出したんですって。

あと一番へ~だった話としては、あの銃撃戦の口火を切った南生圍の川沿いのアバラ屋、あれは廃屋でもロケセットでも何でもなく実際に人が住んでいる家だったこと!
「屋根は撮影用に取り換えるわ、住人がまだ寝てるとこに、朝6時から大勢が押しかけて着弾のセットとかするんですよ、人ん家で。考えたら迷惑な話です(笑)」

そうそう、警察音楽隊に左遷され太鼓を叩きながら隊員をこっぴどく叱るドニーさん、あの姿はアクションの撮影時にモニターを観ながらダメだしする姿そのままだそうです(笑)。ひ~こわい。
でも、そんなドニーさんは日本人スタッフとたくさん仕事をしてますよねぇ。どうやらドニーさんは、香港のスタントマンより日本人のほうがリアクションがいいと考えているらしい。嬉しい事じゃありませんか。
現場ではとにかくおっかないドニーさんのようですが、今までに谷垣さんがドニーさんの撮影に連れて行った日本人スタッフは20人はいるそうで。
ドニーさんの現場が彼らに与える影響の大きさは、参加した人達がいつも語ってますね。そういう意味ではドニーアクションの継承者たちはどこよりも実は日本にいるのかもしれません。

さてドニーさんの次回作は香港で撮影する現代アクション映画だとか。年末には撮影開始の予定という言葉に心躍ります。楽しみだ~。

とにかく貴重なお話がたくさん聞けて、あっという間の時間でした。
谷垣さんは今、京都で幕末ものの撮影の準備をしているとのこと。そちらの方も楽しみです。

そうだ、劇場には映画評論家の宇田川幸洋氏もお見えになっていました。
実は「大酔侠」を観た後に、あまりの感激にさっそくキン・フー監督の「侠女」と「迎春閣之波風」「山中傳奇」を観たオタク気質の私は、宇田川さんと山田宏一氏の共著である「キン・フー武侠電影作法」という本をちょうどバッグに入れていたのです。お声をかけて是非サインをして欲しかったのですが、残念ながら恥ずかしくてできませんでした。とほほ。

シネマート六本木「導火線」特設ウェブサイト

追記
食堂でボコボコにされた行宇さんのシン・ユーというのは普通話読みなんですね。
トークショウでは「ハン・ユー」と呼ばれていたので、こちらが広東語読みか。
最初それが「俳優」と聞こえてしまい、彼のことと思わず俳優って誰の事だと考え込んでしまい、途中文脈を読んでやっと「シン・ユー」の事だと理解した次第。
この名前の普通話と広東語読みの発音の違い、本当に、ああ、ややこしい。

導火線 / (邦題)導火線FLASH POINT 英国版 DVDのちに日本版DVD―ドニー・イェン 甄子丹

 

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映画 レディークンフー激闘拳(1980年・香港)&超酔拳(2003年・香港)

以前、チェン・ペイペイの映画のつもりで観たら実はジミー・ウォングの映画で驚いた経験があります。
そのジミーさんとドニーさんが競演するピーター・チャン監督の新作「武侠」が中国の内地で、この2011年7月4日に公開されたばかり(日本以外のアジアと欧米でこのあと公開予定)。
この作品のなかでジミーさんとともに、ドニー・イェン動作導演の本格アクションを披露するのは、あの劉家班が育てた女武打星、惠英紅(ベティ・ウェイ/クララ・ウェイ)。
ちょうどいまショウブラザース作品にハマっている自分にしたら、見事に渡りに船じゃありませんか。さっそく予習も兼ねて彼女の初主演作である「レディークンフー激闘拳」を観ました。

監督脚本武術指導
劉家良(ラウ・カーリョン)

出演
劉家良(ラウ・カーリョン)
惠英紅(ベティ・ウエイ/クララ・ウェイ)
小猴(シャオ・ホウ)
王龍威(ワン・ロンウェイ)
劉家輝(ラウ・カーフェイ)

上述のペイペイが主役のはずだったのに、気がつけばなぜだかジミーさんの映画だったという「大女侠」のコラムで「自分はジミーさんには人生狂わされない、セーフ」と書いた記憶があります。
その後、人気の高い「片腕ドラゴン」も観てみたけどその印象は変わらないので、まぁ多分そういうことなんだろうと確信を持ちました。(片腕ならば自分はデビッド・チャン主演の「新・片腕必殺剣」がめちゃめちゃ好き、これはそのうちに書きたいと思います)

しかし、人生というのは何が起こるか分らない。
危ないかもと警戒しているところには案外危険はなく、まったく何も考えてない時に限って大きな事故にあう、そんな落とし穴は多々あります。
まさにぼんやり歩いていたら突然空から植木鉢が落ちて来た、それぐらいの唐突さと衝撃度で、真にヤバいお人が、この「レディークンフー激闘拳」という映画で自分の目の前に現れました。

その男の名は、劉家良(ラウ・カーリョン)。

過去に動作指導した作品や、本人の監督作は、ええ、たくさん観てますよ。でもね、正直、動いてる脂の乗り切った彼を観るのはこれが初めてでございまして。
いや、当然ながらドニーさんと共演した「セブンソード」は、もちろん押さえてあるし、なんていっても成龍の「酔拳2」で、しっかり功夫してるとこも観たよ。観たけど、あの時は成龍しか目に入ってなかったのだとしか思えない。
なんという節穴。馬鹿馬鹿、自分のバカ。今となってはもうね、「少林寺三十六房」なら、第一房どころか、食堂に向かう丸太渡りからやり直さなきゃいかんような気持ちで一杯っすよ。

惠英紅姐さんの若き日の可愛いお姿とアクションを拝見するつもりで、この映画をレンタルした私。
途中外国かぶれの小猴のキャラクターにイラっとしつつ(笑)、一切アクションをしない劉家輝がギターを掻き鳴らしたりダンスしたりするチャライ姿(!)に唖然としながらも、劉家良監督作らしい功夫コメディだなぁ~なんて暢気にしてたわけです。

そしたら終盤、終劇まであと15分というところで、いきなり監督自らが美味しいところを全部持っていく功夫シーンに突入。
ま、まずい。いや、別にまずくないけど(笑)、これはきた、自分で分る。
なんですか、キレ、スピードともにあるこの動き。しかも腰が低くて最後の決めポーズの気持ちがいいこと!
すばらしいいいいいいいいいいいいいいいい。
もうね、彼にはハッタリを効かした動きというのが一切ないんですわ。そしてこんな見事なのに、ナルシシズム的なケレン味もなく、すべてに非常に成熟さを感じさせる。
ほんものだーほんものの匂いがする~。(参照:「映画 少林虎鶴拳」)
素手でよし、棒を持たせても双刀持たせてもよし、おまけに長袍着て(前の裾はパンツインだったけど)帽子までかぶっとるんですよ!

それだけでも嬉しいのに、ラストの王龍威とのバトルシーンがまた凄すぎました。
なんつー壮絶な、そして迫力のあるふたりの動きでしょうか。観てるこっちは笑いながら何度も「すげー」を連発。
なんといっても、劉家良は普通のおじさん然としてる時と功夫してる時とのギャップが激しく、その振れ幅の大きさが最後の闘いを一層際立たせています。
特に、片手を怪我した相手を見るや、自分も片手を腰紐に入れる時の表情なんか、とにかく渋い。おっさん、死ぬほどカッコよすぎます。

とにかく、劇中見せた用心棒のわずかな弱点である目をシュパ!と突くが如く、最後の15分で劉家良に一瞬にしてこのハートを「ぐわし!」と思いっきり鷲掴みされてしまった自分。マジな話、今は大変動揺しておる次第でして(笑)。

で、調子に乗って彼の出演している映画を、続けて観てしまいました。

1992年の「スコーピオン・ファイター」とか(これは別の機会にしたいと思います)
2003年の「超酔拳」とか(笑)。

超酔拳
監督
劉家良(ラウ・カーリョン)

武術指導
劉家良(ラウ・カーリョン
劉家榮(ラウ・カーウィン)

出演
劉家良(ラウ・カーリョン)
劉家輝(ラウ・カーフェイ)
威冠軍(チー・クワンチュン)
呉京(ウー・ジン)
劉永健(ラウ・ウィンキン)

2003年公開という最近の作品なのに作りは、まったくもって70年代ショウブラ映画(笑)。
なんてったって、オープニングからいきなり演武ですもん!
ファイトシーンのワイヤー過剰じゃないですもん!
猿拳ですもん!
そして最終的には、酒飲んで強くなっちゃうんですから!

この時、劉家良はすでに御年66歳。
しかし、なんのなんの、もうね、じーさんになっても劉家良はすごい、速い、かっこいい。
しかも劇中、劉家輝とのバトルまであるし!うわわわわ、小躍りしてしまいます。
しかし一番気に入ったのは実はウー・ジンをしごく修行シーン。
あの足さばきはなんて言っても惚れ惚れしてしまいますわ。

ガンという病もあってか、このあと出演動作導演した「セブンソード」では随分老けて見えてしまった師父。
そのたった2年前ですが、この映画ではまだまだお元気で、若いもんなんかに負けへんでぇ~という魂の叫びが聞こえてきそうな活躍ぶり。本当にかっこよかった。
おまけにテンガロンハットにウエスタンコートというコスプレチックな格好なのに、中は中華服という非常にツボを心得た衣装もナイスでしたわ、師父。

おそらくは劉兄弟ファン以外にはあまり需要がある映画じゃないかもしれませんが(笑)、反対に言えば、それだけにファンには必見な作品に仕上がっているとも言えるわけで(今回動作指導の劉家榮はOPの演武シーンにのみ登場。代わりに端正な顔をした息子の劉永健が出演)。
あなたが劉兄弟ファンなら間違いなく観て損はない1本です。

レディクンフー激闘拳予告
長輩予告

超酔拳予告

 

カテゴリー: 功夫映画 | 映画 レディークンフー激闘拳(1980年・香港)&超酔拳(2003年・香港) はコメントを受け付けていません

粉もん天国

週末は光文社の女性誌「HERS」の取材で大阪。
「いま、大阪が元気だぜ、遊びに行っちゃう?」まぁそんなコンセプトのロケです。
どこかいいお店があったら紹介してください、というご依頼だったので、なんとなく他府県の方が想像する(ベタですが)「大阪」っぽいお店を数軒チョイス。

当然、粉もんは外せないのでふたつほど、超有名な十三の「ねぎ焼き やまもと」(私は本店派)と天神橋5丁目の交差点にある天五中崎通商店街を少し入った「うまい屋」というたこ焼き屋さんをご紹介。

私が本格的なねぎ焼きを食べたのは、この「やまもと」が初。かれこれ10年くらい前だったでしょうか。(なぜか)東京に住む友人が「美味しいから」と連れて行ってくれたのがきっかけです。
それから何件ものお店でねぎ焼きを食べていますが、やっぱり最初に食べたこの店のが私には一番美味しく感じられる。
外はパリッと、そして中はふわふわの生地にたっぷりのネギと甘辛く炊いたコンニャクにスジ肉。同じものを作りたくて一度自宅で挑戦したことがありますが、そもそもあのコンニャクとスジ肉からして絶対に同じようにならない(笑)。焼き上がりに少しの醤油にレモンを絞って、もうね、こいつが死ぬほどビールに合うんですわ。
ついこの間取材で食べたばかりなのに、こうやって書いてるだけで、もう食べたくなっちゃうくらい。

このお店、食事時になると行列ができる人気店でもあるのですが、この並ぶのが大嫌いな私がそれでも行きたくなる一件と言えば、その溺愛ぶりをご理解頂けるでしょうか。
最初に来店した時も並びました。20分くらいかなぁ。友人と一緒じゃなきゃ、絶対に踵を返したところです。
でも、待ってやっと席に着いた時に「並んでも絶対に嫌じゃないから」と言った友人の言葉の意味が分りました。
なんと席に着いた途端、自分の注文したメニューがさっと出てくるじゃありませんか。
つまり店外で立っている時から、すでに私のねぎ焼きは焼かれていたわけですね。
どうしたって焼き上がるのには15分ほどかかる。だったら席についてその15分を待つか、外でお喋りしながら待つか、実質それくらいの差しかなかったわけですよ。
しかも、このお店の有名美人三姉妹は席についた客は勿論のこと、外で待ってるお客のメニューと顔もきちんと覚えていて何も言わなくても全員に対して決して間違えることなく、きちんと注文通りの品を出してる。
味は当然のこと、こういうプロフェッショナルなお仕事も、とても気に入った要素でございます。

もう一軒のたこ焼き「うまい屋」も同じ友人が教えてくれたお店。(その時は個人的に粉もん屋めぐりをしたんだったわ)その頃、ちょうど近所の関西テレビで毎週仕事をしていたので、一時は本当に通い倒しました(笑)。
ここのたこ焼きの特徴は、ソースをつけなくても生地にしっかり味がついているということ。この関西らしい出汁の効いたほんのりの味わいがええんですわ。
当然中はしっとり外はパリッと。でも最近よくある油っぽい無理やり感は一切ありません。
聞けばこの店の鉄板は銅でできているとか。銅って熱効率がすごくいいんですってね。だから、ああいうカリフワなたこ焼きになるのかなぁ。なんというか、この美味しさは口で説明するのはちょっと難しい。
おまけにこのお店では発泡スチロールや紙箱じゃなく、今時ちゃんと木船に入ってる。
だから時間が経ってもべちゃっとせずに、冷めてからもすんごく美味しいの。以前はよく大阪からのお土産に買って帰ったくらい。8個、320円。
断言します。私が世界で一番好きなたこ焼きは、この「うまい屋」のでございます。

関西テレビも以前ほど行かなくなったのもあって、今回取材で訪れたのは実に数年ぶり。
隣のお店から火事をもらって1年間休業していた事も、その間に御主人が亡くなったことも、先代のおじいちゃんが80歳をすぎて引退したことも知らず、奥さんに聞いてびっくりしました。どんだけ行ってなかったんだか。とほほ。
でも今は息子さんが後を継いでしっかり店先で焼いていて、その姿を見ながら、心の中でこのお店がずっと続きますように、と願わずにはおられませんでした。

ほかにも、そのページのために、いろいろお店を紹介しましたが、それはまたおいおい。
この雑誌「HERS」8月号、発売は8月12日です。

 

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髭男爵ライブ

7月3日、久しぶりにお笑いのライブに行ってきました。

いま一緒にNHKのラジオに出ている店長ひぐちくんの本業「髭男爵」の単独ライブ。
会場のある下落合に電車で向かう途中、そういや、ここんとこ行ったお笑い系は落語ばっかりだったと、ふと思い出しました。柳家花緑さんの独演会や出演を続けて見に行って以来かなぁ。

その場にて同じホリプロの元バレーボール選手で解説者、女優でありタレントでもある大林素子さん発見。
彼女はものすごいお笑いフリークとしても有名ですが、以前番組にゲストで来て下さったときに、そういえばひぐちくんがお誘いしてましたっけ。
ちゃんとその時の約束通り、しかもひとりで下落合に来る彼女に心から感心しました。
聞けばどこにでもひとりで、そうして見に行くことが多いとか。
さすが、元五輪代表選手、モノが違う。なんというポジティブで行動力にあふれた女性でしょうか。彼女のそんな集中力と前向きさには常々敬意を抱いております。私のような体力のない怠け者には、その姿勢、ホントまぶしいくらいですわ。

ライブはとても楽しかったです。お笑いに疎い自分はいまいち、ひぐちくんの立ち位置をよく理解していなかったようですが(笑)、このライブでそのあたりもしっかり把握できました(遅っ!)。

帰りは新宿の魚屋が経営するという魚自慢の居酒屋に番組スタッフと雪崩れ込んで、日本酒を少々(?)。
なんと刺身の盛り合わせが豪快にタライに入って運ばれてきました。

こんなまごうこと無きタライはドリフのコントで見て以来でしょうか。見事でございます。おまけに値段もお安くて満足、満足。雑多な雰囲気が楽しいお店でした。

その後は日曜という事もあり、2件目をどうするかで軽く相談。結局、新宿からなんとみんなをまた自分家の近所のバーに引き連れて2件目。いやはや、申し訳なし。
でも、その店のスイカのカクテルを皆さんとても気に入ってくださったようで少し面目が立ちました。
ほんと、私の自宅の近所に呼びつけられる皆さん、いつもすみません。反省してます。

 

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後輩気質発揮

昨日は、ミヤネ屋でご一緒してる読売テレビの解説委員春川正明氏と、映画監督崔洋一氏との3人で東京三田にてご飯を食べるお約束。
野暮用で自宅を早めに出ることになったはいいけど、慌てて外出したらなんと携帯電話を自宅に忘れてくると言う大ポカ。
予約した店は春川さんを以前お連れして気に入っていただいたところ。けれど物凄く分りにくい場所にあって一応携帯にサイトのURLは送ったものの、2人がちゃんと辿り着けるかどうか心配。
なのに予約した自分が携帯を忘れてくるとは!ひぃ~。
焦る気持ちを「ま、みんな大人なんだから」という言葉で数時間ごまかす(笑)。

店に到着すると、お二人はすでに先に来ていて、なんとそこには同じくミヤネ屋に出演している特別解説委員の岩田公雄氏までいるではないの!
「連れていっていいか、メールも電話もしたのに返事がないから飯星さん、岩田の事が嫌なのかと思いましたよ~」と春川さん。
いや、まって、そうじゃないから(汗)。

崔監督と岩田さんは1949年生まれ、春川さんは自分より少しお兄さん、ということで4人もメンバーがいてなんと一番最年少という、最近では珍しい組み合わせ。後輩気質の自分としては嬉々として泡盛の水割り作りとか、空いた皿をおねぇさんに手渡したりラストの鯛飯を炊いて貰うタイミングを測ったりと余念がない(笑)。

話題も監督が初めて映画撮影のバイトをした「婉という女」で今井正組に付いた時の印象とか、岩田さんの80年代のフィリピン特派員時代の事とか、当時新入社員で入った春川さんが実は最初は編集マンでお2人はその時からのコンビだとか、そんな話がやたらおもしろい。

事件も最近のことから伊藤素子などという懐かしい名前まで飛び出すし、まぁここには到底書けないネタのオンパレードで、酔っぱらいは話が飛ぶ飛ぶ。

その日は監督がミヤネ屋帰り、そして岩田さんが翌日ミヤネ屋で大阪という結構ハードなスケジュールにも関わらず2件目まで全員を1杯強制的に付き合わせ(笑)その日のうちにとりあえず解散。
岩田さんが「また、このメンバーでやろうよ」と言ってくださったので「じゃ、月イチくらいでやりますか!」と調子のいいことを言ったら「月イチは多いだろー」と監督。
さすが、冷静です。まったくもって、その通り。いや、とても楽しい時間でありました。ありがとうございました!
次回はいつあるか分りませんが、今度は渋谷の立ち飲み屋で集合っすからね!みなさん!

 

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導火線 / (邦題)導火線FLASH POINT 英国版 DVDのちに日本版DVD―ドニー・イェン 甄子丹

 


オープニングはなぜだかジムのリング。男ふたりがスパーリングしてる最中にいきなりスーツを着たドニーさん乱入。

「お前を逮捕してやる~」と言いつつ、ジャケットを脱ぎ靴下を脱ぎ捨てる。そして男の足を取ると素早くマウントポジションを奪い、重い(だろう)パンチを繰り出す。
この導火線が総合格闘技を本格的に取り入れた作品だということは事前の調べで、ええ、分ってますとも。しかし、のっけからこれですか!

と、場面が変わり、なぜかドニーさんのインタビュー画面に。なんだどうしたと注目して見ていたら、これはドニーさん自身ではなく馬軍の役として喋ってるらしい。
「自分は今まで間違って暴力をふるったことなんかない、判断を下すのは上の人間。犯人を逮捕するために、これは警官としての義務なんだ」みたいなこと。このカット非常に不思議だ~と思う間もなく、さっさとオープニングクレジットに突入。

BMWを運転するドニーさんと香港の実景。そこで流れてくる音楽のイントロが大変よろし。
コンポーザーはドニーさんの『SPL狼よ静かに死ね』でもウー・ジンとのアクションシーンをクールに引きたてた陳光榮(普通話読みだとチェン・グゥワンロンかな?広東語だとチャン・クォンウィン)。
代表作にあのインファナル・アフェアや孫文の義士団、精武風雲もそうか。冒頭から無機質な感じのアレンジ、かっこいいじゃん。

最後に<1997年中国返還前>とクレジット。そこでちょっとピンときたのだけど、それはあとで。

そのイントロに打ちこみの音が重なり厚くなったと思ったら音楽がそのままクラブでのダンスミュージックへと変化する。おお、イケてまっせ~。

そこでこの映画の登場人物が紹介される。女子と戯れるくわえ煙草のルイス・クー。チンピラっぽいのがよくお似合いで。
続いて凶暴な三男のシン・ユー。長男のレイ・ロイはダンスひとつからも胡散臭い感じがにじみ出ていていいよいいよ~。
そしてサングラスを掛けたコリン・チョウ。さっそくベトナム悪人3兄弟そろい踏みだ。
ここでビジネス相手として、なんとベン・ラムが!おおお、お久しぶり!笑顔でもその目が笑ってないところなど相変わらずです、ベン・ラムさん。

と、そこへ突然警察のガサ入れ。
ドニーさんあらためて仕切り直して登場。Tシャツに革ジャンジーンズ姿、かっこいいす。
そしてそのドニーさんの後ろにサモハンの息子、ティミー・ハンも発見。どうやら刑事役みたいだ。
あれ?君はSPLの回想でドニーさんに殴られて脳挫傷になってなかったか?と一瞬思ったけれど、そんな細けーことはどうでもいいか!

突然のガサ入れにギャング団の下っ端、ルイス・クーが酔っぱらってドニーさんに絡む。
あ~あ、やめときゃいいのに。
当然平手打ちを喰らい、反撃しようとしたら背負い投げ決められて、立ったかと思いきや、あっという間に、跳びつき腕十字!平手打ちからタップアウトまでわずか20秒の早技です(笑)。
すげードニーさん!ここから私のアドレナリン一気に噴出。

どうやらこの馬刑事、暴れん坊デカゆえに署内で問題児らしい。容疑者を何人怪我させたんだと内部調査で吊るし上げられてる。
「時間の無駄じゃん、その間に何人逮捕できると思ってんだ?」と憎まれ口を叩くドニーさん。
おお、広東語だ広東語!この怒ってるみたいな感じの広東語のドニーさん久しぶりだわ~、と妙にときめく私。

次のアクションシーンは夜のゴルフ打ちっぱなし。ルイスと長男三男が女の子を侍らせてゴルフの練習。と、そこへベン・ラムが登場。なにやら文句をつけにきたみたいだ。
いきなり始まる大乱闘。
(このシーンのメイキングに『タイガー刑事』や『洗黒銭』等でドニーさんとバトルを展開したジョン・サルビッティの姿を発見!)
もちろんコリンも現れ兄弟3人でラムさんちのチンピラをボコボコにしちゃいます。
もうね、ゴルフクラブでめった打ちだわ、蹴ればロッカーにめり込み、投げれば仕切をぐんにゃり曲げちゃうしで、いちいちすげぇ痛そうなんだけど。素晴らしいです!スタントマンのみなさーん。

さてベトナム兄弟の下っ端とばかり思っていたルイス・クー、実は警察の潜入捜査官。相棒のドニーさんと白昼堂々浜辺で会ったりしています。
ふたりともモロ肌脱いでサービスショット。
口喧嘩なのか軽い言いあいなのか、どうやら冒頭の20秒の事で揉めてるらしい。もともと広東語は喧嘩ノリなのでどっちなのか判別付かず。ま、台詞にそんな神経質になることもないか(笑)。アクション映画っすからね!

それにしても短気なドニーさん。左遷された警察音楽隊でもいきなり音がどうので隊員にブチ切れてる。と、そこへドニーさんのお母さんがやってくる。
どうやら香港を出て古い友人のいる故郷へ戻るらしい。
SPLの時は「父親のストーリー」が横糸としてありましたが、今回は「母親」がキーワードか?と思っていたらその予感は的中。
ベトナム3兄弟にも当然母親がいて、そのママを3人ともすごく大事にしてる。

この辺りまで観て、まず感心したのは潜入捜査官のルイス・クー、演技めちゃうまいです。
彼の役としては自分の目の前で犯罪や殺人など当然あって欲しくない、でもギャングの仲間としてふるまうためには言われたことを平然とこなさなくてはならない。
この相反するふたつの様子を見事に表現しております。

引きつった笑顔なんかもう最高。
アクションシーンも自らこなしたものが多く、私の中で思い切り彼の株が上がりました。にしても、コメディさせてもよし二枚目もよしアクションもイケる、ほんと芸達者。上手ですねぇ。
しかしそんなルイスもとうとうギャングに正体がバレて病院送りに。おまけに裁判の証人になるために何度も命を狙われて挙句にガールフレンドまで人質に取られちゃう。

そこでいよいよお待ちかね、ドニーさん、まずは三男役のシン・ユーとのガチアクションシーンですよ。
チャウ・シンチーの『カンフーハッスル』で一躍脚光を浴び、本物の少林寺修行僧でもあったこの俳優さんは当然のことながら敵として不足なしだ!

エレベーターの中での緊張感あふれるアクションに始まって、逃げた彼を追いかけて青空食堂までを一気に見せます。
食堂に逃げ込んだ犯人はテーブルの上を駆け抜け、ひとつをひっくり返して投げつけようとします、が、そのテーブルに回し蹴りをかましてシン・ユーごと真っ二つに吹っ飛ばすドニーさん、すげぇぇぇ。

逃げ惑う食堂の客。
そりゃラーメン食べてるとこへ全速力で走る男と、それを追い壁を三角飛びしてくる男を見たら誰だって逃げます(笑)。
追い詰められた三男はそこにいた女の子を人質にして銃を捨てさせると、彼女を地面に放り投げるという鬼畜ぶりを発揮。アスファルトに横たわる瀕死の少女。

その姿を見たドニーさんの中でとうとうリミッターが外れます。まさに導火線に火がつくわけですな。この時の音がもうね、アニメみたいに本当に「ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ」って鳴ってるし(笑)。

そこに奇声を上げて襲いかかるシン・ユー。
「てめぇだけは許さねえ!」とばかりに相手の頭を抱えてひざ蹴り炸裂。
うち一発が顔面にヒットすると、フェイントをかまして今度は連続パンチ。
みるみるうちに犯人のシャツが血で染まり、最後に強烈な右フックが左頬に。
これ絶対にマジで当たってるよね?ね?と驚いていたら今度は素早くバックを取ってジャーマン・スープレックス!
これ頭から落ちてんの、シン・ユーその人じゃないか!

ひぃぃぃぃぃぃ。ハンパないっすドニーさん!
ふらふらになった相手を今度は正面からタックルして厨房に突っ込み、マウントポジションから全体重を掛けてパンチを打つ、打つ、打つ!
50発?いやそれ以上?もう遠巻きに見てる客もドン引きですわ。だって容疑者を殴り殺しちゃうんだから。

で、ここの音楽がまたいいんだよ~。
普通のギターじゃないんだよねぇ、スチールギターかなぁ(といっても、ハワイアン風に弾いてるわけじゃないよ!)。すごく印象的。
で、その音をバックに水で洗い流される傷だらけのドニーさんの震える拳。うひゃーなんというかっこいいショット!

しかもそのあと、茫然と座っているドニーさんに対し駆け付けた警官が声をかける英字字幕を見てやっと分った。

「Inspector Ma?」彼はなんと警部だったのです。なんつー暴れん坊警部!
まぁでも私の大好きな英国ドラマのモースもフロストもみんな一癖も二癖もありつつ、結局は万年警部だったから(同じイギリスだし)、警部までは腕がよけりゃなれるんだな、きっと。

で、声をかけられたドニーさんはというと急に我に返って、自分の放った拳銃を捜してホルダーに戻すと何も言わずにその場を去るのです。
そしてそんな彼を遠くから見て「あいつが殺ったんだぜ」とヒソヒソ小声で話すヤジ馬たち。

このアクションシーン、イップ監督がどれくらい関わっているかはわかりませんが、恐らくこうした辺りは監督の案じゃないかと秘かに思ったりして。
こういった細かい描写を見ていると明らかに大きな変化を感じて嬉しくなりました。

この馬警部はいくら正義感が強いとはいえ、普通の人が見たら、やってることはあきらかにドン引きする人物です。それを客観的に描くというのは大賛成。
でないとただのハリウッド映画のヒーロー刑事と変わらなくなってしまうもの。
ほんの細かい描写ですが、それがあるのとないのとは多分大違い。
さすがは自称天の邪鬼の監督なだけはありますね(と勝手に決めつけてる)。

ところで、この映画を通して観る前に先に動画でこのシン・ユーならびにコリン・チョウとのアクションシーンを見ちゃったトホホな私。
しかし、なんのなんの、アップされてない他のシーンも見ごたえがありました。

導火線を語るときは、いつもMMAを取り入れた新しい形のアクションという話題が先行してしまいますが、それ以外でもドニーさんはカーアクションと銃撃戦にも挑戦しています。

と、いってもカーアクションの方はドニーさんでなく別のキャラクター同士。だから挑戦したのはイップ監督と言うべきなのかな。どっちが撮ったんだろう。
(追記:これはカーアクションと爆破のオーソリティ、ブルース・ロウが担当したと後に分りましたので、記しておきます)

さてドニーさんの銃撃戦を見るのは『COOL』以来でしょうか。

あれはジョン・ウーがハリウッドに渡った頃で、ドニーさんもジョン・ウーに影響を受けたようなガンシーンを撮っていました。
それから10年近く。
「ガンアクションは、やりつくされているから難しかった」とご本人が言うように苦労の跡がしのばれます。

人質にとられたルイス・クーとファン・ビンビンを取り戻すため、長男レイ・ロイに銃をむけたまま単身アジトに乗り込むドニーさん。

揺れる小さなボートの上で何もつかまらず腰を落として銃を向ける彼のバランス感覚のよさには、小さなことですが感心しました。なんつー体幹の強さ。

やっと解放されたと思ったら、コリン・チョウに遠くから4発撃たれそのうちの1発を足に受けるルイス。ああ不憫だ。

導火線に火のついたドニーさんは躊躇なく抱えたレイ・ロイの耳を撃ち抜く。考えたら人の耳「だけ」を上から撃つってなんという職人技。

そして、とうとうここから15分は続く怒涛のようなアクションの幕は切って落とされたのであります!

まずは1人の手下を銃で射殺すると、バラックに飛び込む。
ベトナム組の4人の男たちはライフルとマシンガンそしてショットガンを手にそのバラックを乱れ撃ちです。古い人間はここで速攻ガントレット!と条件反射。

ここでその敵の1人、屋根の男がドニーさんの放った弾に足をブチ抜かれ屋根を踏み抜き落ちてくるのですが、この時のスタントがかつての成龍チームを思わせるような、人として一番痛そうな落ち方なんだわ。
実際、スタントマンの下村勇二さんはお気の毒にもこの時、首に怪我をしてしまったそうですが、いやはや素晴らしい落ちっぷり!

すかさずその男のライフルを手に取るとバラックの壁をぶち破って外に出る馬警部。
あとは南生圍の湿地を駆けながらの銃撃戦っす。マジで結構な距離をみんなして走ってる。
しかもこのシーンのワイドショットの絵がとても綺麗なんですよねぇ。

それにしてもどのカットもスピード感にあふれていて特にクレーンを使った映像は素晴らしく、興奮します!
撮影のためにあの草むらに一体何日間いたんだろう。想像しただけで気が遠くなってくる。

季節は夏だと思うけど、蚊が一杯いたんだろうな~もしあの場に自分がいたら全身に虫よけスプレー浴びるんだろうな~などと、つまらないことがふと頭をよぎってしまいました。(実際ちょっとしたロケでもああいう場所だと虫よけスプレーは必須アイテム)

さて残る敵はあと3人。
そこへ車で逃げたはずのルイスがガールフレンドを置いて、引き返してきます。そして倒木に乗って乱射するレイに向かって車で突っ込むルイス。

レイの身体が宙に浮いた瞬間、ドニーさんがその腰を狙ってバン!この落ち方がまた痛いのなんの。
しかも腰撃たれたのにまだ動いてるし!ここはルイスとレイの肉弾戦の一騎打ち。両人とも手負いの獅子のごとく満身創痍です。
生きてるだけでも驚異なのに殴り合うとは。

やがてルイスが渾身の力をこめて車に相手の頭をガンガンぶち当てて長男ジ・エンド。
続いてそのルイスを狙って照準をあわせる手下の頭に後ろからドニーさんのライフル弾が。

よしっ残りはあと1人!

ショットガンからオートマチックに持ち替えた次男コリンは弾切れのために近くのアジトにカートリッジを取りに走る。
廃屋のようになっている建物の2階に弾は隠してありました。と、そこへ追い付いたドニーさんが至近距離からライフルの引き金を引く!

が、こちらも弾切れだった!

もうね、この瞬間、本編からなにからすべてのことは、これから始まるドニーさんとコリンとのラストバトルのための壮大な、実に壮大な前振りだったと理解して心から笑ってしまいました。

こうなったらアタシだって全力で最後まで見届けてやる~!

武器はおのれの肉体のみ!
そんな魂の叫びが聞こえてきそうなふたりが繰り広げる、果てしないファイトシーン。

まずは室内で互いの手や足を使っての軽いスパーリングみたいなもの。
コリンの鋭い膝や美しい回し蹴りが家具や窓を破壊して、その威力を見せ付けます。いくつかの有効打を浴び、ちょっと形勢不利なドニーさん。追い詰められて舞台は階段の踊り場に。

そこで相手の蹴りだした足を掴むと背中から落としてマイブームのグラウンド勝負。ひざ蹴りを何発か入れそのまま腕を取って腕十字固め。

本物の格闘家ならここで決めなきゃ恥ずかしいかもしれないけど、これは映画。
もちろん、こんなに簡単に決着がつくはずもなく、瞬きするくらいの間にコリンが身体を返そうとする。速い、速いよ!コリン・チョウ!

今度はコリンがマウントを取ろうとパンチを上から繰り出すのを足で防衛しつつ、その襟を掴んで上半身を引き寄せドニーさんが目にも止まらぬ速さで三角締め、鮮やかです。

でもああ、ドニーさん腰が浮いとるよ、と思った先からその体勢のまま持ち上げられて床に打ちつけられ、ひらりと再び身体が浮いたかと思ったら最後は手すりに後頭部を強打、痛ぇ。ヤバいヤバいよ、ドニーさん。
危機一髪じゃん、こっからどう展開するんだ、思った瞬間「お前も道連れ!」とばかりにコリンを足に挟んだまま、その2階の手すりから一緒にコンクリートの地面に落下。

・・・・あんた、クレイジーすぎる。

今までドニーアクションで一番クレイジーなのは『ドラゴン危機一発’97』だと思っていましたが、これはそれと匹敵、いやひょっとすると超えたかもしれません。

ここで緊張感を盛り上げて来た音楽がピタッと止み、驚くほど静かに。埃まみれになりながら横たわる男たちの荒い息遣いだけが微かに響く。

しかしいち早く敵より起き上がらないといかん、とばかりに体勢を整えて睨みあうふたり。
もうね互いの力の凄さを肌で感じ認めあった者にしか理解できない一種の愛ですよ、愛。

いきなり立ちあがったドニーさんは相手の目を見たまま「こっちだ」と手招き。

おいおい、まだやるのかよ~。

そこで、止んでいた音楽が今度はストリングスからゆっくりと始まる。
このカメラワークが鳥肌モノです。廃屋の俯瞰からクレーンが静かに近づくと、そこには舞台を移し、闘いにそなえて構える男ふたりの姿が。

こうなったらまさに、死ぬのはどっちだ!

あとは彼らの激しい左フックに右ストレートと肘打ち、鋭いキック、ひざ蹴りの応酬。
やがてコリンの回し蹴りが側頭部に決まると、その勢いで板を粉砕し柱に吹っ飛ばされるドニーさん。
遠心力で端に片寄った脳味噌を戻すかのように頭を振ってファイティングポーズを取る彼のクローズアップ。

やがてその鼻からはつつーっと大量の鼻血が。それをぐいっと手でぬぐう。その所作がよかった、身震いするほどセクシーです。

この血で覚醒したのか、内股、巴、背負いと次々に投げ技を連続するドニーさん。
調子に乗って来た!と思ったら、でました、お得意のブルース・リーフットワーク。
とたんに形勢はぐっと有利になってきた。パンチの応酬に一発有効打が入ると、すかさず伝家の宝刀、三段蹴り!美しい。

ふらつく敵の足をカニばさみで捉えると、転瞬、今度はその右足を抱えたまま身体を回転させてひざ十字。素早いです、ドニーさん。

「どわあああああああああ」叫び声が廃屋にこだまする。痛そうだ~コリン!それをなんとかキックでかわしたものの、彼の受難は続く。

弟に続き兄貴もまたジャーマンスープレックスをドニーさんにかまされちゃうわけですね!頭から突っ込んだブロック塀が音を立てて砕け散っとる。

まだまだ行くよー!とばかりにジャケットを脱いでからも次から次へと技を繰り出すドニーさん、とうとう出たよ!ぐるぐるパンチ!いやっほぅ!

現時点でドニー・イェンってどんな人?と聞かれたら、このアクションシーンを見せればそれで一発解決です。
それくらい、どこを切っても紛うこと無きドニー印。

この長い長い男ふたりの闘いには、香港の武術監督でありまた武打星でもあるドニー・イェンのアクションに賭けるプライドと執念があふれています。
ああ、この人がこんなに執念深くてよかった。

とにかく見てる方も息をするのさえ忘れてしまいそうなくらいのアクションです。

たまらんとばかりに逃げだすコリン。ドニーさんはその首根っこに飛びつくとそのまま一緒に倒れ込み、着地と同時にバックを取って、これが最後だ~とばかりに敵の首に腕を回してチョークスリーパー。

この時のやられてるコリンの顔は、マジで見てる方がビビるくらい真に迫ってました。
しかもその真後ろには渾身の力を込め鬼のような形相をしたドニーさんの顔が!
この際の木漏れ日とドニーさんの顔のカットバックはイケてたなぁ。残酷なのに美しくて、なんという見事なコントラスト。

にしても、弾が切れてからコリンが落ちるまで7分30秒ですよ、7分30秒。

すくなくとも私が今まで見たすべてのアクションシーンでも相当長いです。しかもこれを、タイマンのガチでやるとは。
しかもその前の銃撃戦を含めると、15分以上あるわけで。
ドニーさんいい意味でいっちゃってるし、そりゃコリンは2度と香港アクション映画に出たくないと言うわな(笑)。

あああああ、お腹一杯だぁ~、満足満足、大満足。

やはりこれはマーシャルアーツスキルの高いコリンが相手じゃないと撮れなかったシーンだったわけで。
そう思うと、力いっぱいあなたに感謝します。本当にこの映画に出てくれて心からありがとう!コリン・チョウ!愛してるよ!

どのくらい時間がたったのでしょう、この凄まじいバウトが終わったあと、舞台となった廃屋のくずれかけた骨組みに吊るされた空き瓶が、風に揺れて「ちりんちりん」と侘しい音を奏でています。

呆けたように地べたに座り込んでいる馬警部。
階段の手すりには両腕を縛りつけられたコリン・チョウ。

その姿は激しい格闘の末にボロ雑巾のように変わり果て、時折ピクっと筋肉を震わせるのみ。ああ、生きてた。なぜか観客はみな、彼の微かな動きにホッと胸をなでおろすのでした。

そこへ足を引きずり銃弾を足や肩にくらった血まみれのルイス・クーが辿り着きます。互いの顔を見ながら何も語らぬ相棒の二人。

シーンはふたたび冒頭と同じ。車を運転するドニーさんと夕暮れの香港の街並み。
流れ去るオフィスビルに馬軍のインタビューの言葉が重なります。
「自分は間違った暴力はふるわない、判断を下すのは上の人間。それは犯人逮捕のためで、警官の義務だ」と。

この導火線の舞台は公開された07年の10年前、1997年中国返還前の香港です。
これは恐らく内地の検閲逃れの苦肉の策だったのかな、と非常に勝手ながら想像しました。
(なにか言われても、いえいえ、これは中華人民共和国の話ではありませんよ、と答えられますもんね)
そして結構な無茶ぶり暴力警部の馬軍にあらかじめ語らせることで過激なアクションシーンに対するショックを緩和させたかったのかもしれません。

そこまで気を配ったのに、この導火線、実は大陸版というのが存在して重要なコリン・チョウとのラストバウトの中で香港版にはないシーンがあったりします。

ドニーさんご自身は香港版しか認める気はないようですが、私自身はこの大陸バージョン実は嫌いじゃない。

これがあることで勝負がついた後のシーンがより生きてくるし、暴力が生みだすものの虚しさを表現することも出来る気もします。
でもドニーさんはそんな虚しさを表現する気など、さらさらないでしょうね、しごく当然です(笑)!

そしてエンドクレジットでは、ドニーさんの映画には珍しくメイキングシーン(成龍のようなNGシーンではなく、あくまでメイキング)や武打スタッフのトレーニングシーンが登場します。
とにかくラスト15分があれですからね。ドニーさんとコリンはもちろん、スタッフの皆さんも本当に気の遠くなるような作業を連日繰り返したに違いないわけです。

あのクレジットは、そうした全スタッフへのドニーさんからの感謝の気持ちと受け取りました。

それにしても、このドニー組のスタントマンならびにスタントダブルの人たちは凄い。とくにダブルのみなさん。

あの長尺を流れや殺気を壊さずに自身もまたその役になりきってあれだけのアクションを演じ切ったことは賞賛に値します。

そういう意味でも、コリンとのラストバトルは世界最高峰のアクションシーンなのだと、私、ここに勝手に断言いたします。

日本語版DVD鑑賞追記

読み返してみると、ただの実況にしかなってない。しかも無駄に長いし(笑)。

でも、その時の私は興奮のあまりそうせずにはいられなかったんだと思います。
技の名前が間違ってないか、少々心配ですが、今から確認するのはめんどうなので、このままアップしてしまいます。私自身は格闘技ファンでも柔道ファンでも何でもなく、ぼんやりTVで大きな大会を見る程度なので。

それと、これは日本版を最初から見ていたのでは、私のことだから気がつかなかったに違いない台詞。ドニーさんはあの女性上司を「マダム」と呼んでおります。こういうところも香港っぽくていい。

それにしても、こんな傑作の配給を買っておきながら4年も公開もせず、スルーの果てにBDにもせず寂しい仕様のDVD発売のみって、ひょっとして・・・・・ドニーファンに喧嘩売ってる?
跳びつき腕十字かますよ?ああ?

導火線日本予告編
Flash Point U.S. Trailer
Flashpoint – Bande annonce (FR)仏予告(コリンがフランス語を!)
↑実は導火線の予告でこれが一番かっこいい。
ちょっとしたMAD並み(笑)編集した人が楽しんでいたのが伝わります。

導火線 日本劇場公開-ドニー・イェン 甄子丹
導火線 小ネタ-ドニー・イェン 甄子丹

 

 

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自然遺産のエスカルゴ

小笠原諸島がユネスコの自然遺産に登録決定というニュース

そのニュースを聞いて、そういえば、今から25年以上前にロケで小笠原に行ったっけ、と思い出しました。
それはフランス人シェフを連れて小笠原の父島に行ってそこのカタツムリを使って料理するという、ただそれだけの番組(笑)。

この記事を読むと小笠原にはカタツムリなどの陸産貝類106種の100種もいるらしいじゃありませんか(全種の94%に相当)。ちっとも知らなかった。私たちが料理したのはあれ、普通のカタツムリだった・・・よね?ひょっとしたら珍しいものも含まれていたのかなぁ。

実はこの小笠原諸島ロケ、素晴らしい自然よりおいしい料理より何よりも一番の記憶はその旅程。
東京から父島までは客船で行ったのですが(それが唯一の手段)、それがなんと片道1000キロ、26時間半もかかるのです。
私は乗船してすぐにひどい船酔いになり、食事時に生存確認のためにスタッフの前に顔を出した以外はず―――――――っと船室のベッドに寝ていました(笑)。

今から考えれば、「酔い止め」の薬を飲んでおけばよかったのよね。
当時はお仕事を始めたばかりのペーペーで自分が船に強いか弱いかどうかなどと考えたこともなく、また、仮に分らなくても用心のためにそういう準備をしておくべき、という発想すらまるでありませんでした。

そんな感じで始まった父島ロケですが、正直どこに行って何をしたか、あまり覚えていない。
覚えていることといったらその島の早朝の道路が見事なくらいびっしりとカタツムリで覆い尽くされていたことのみ。
一緒に行ったフランス人シェフは「おおジビエだジビエ(みたいなこと)」と言って大喜び。普通に仕入れると結構お高いんだそうな。だからこういう高級食材が道端にウヨウヨしてるのを見て興奮したらしい(笑)。
でもロケ地に向かうには車に乗って移動しなくちゃいけません。
当然、走る限りは道を覆い尽くしたカタツムリをタイヤで踏みつけていくわけです。
「ああああ」
シェフは「勿体ない」私は「うひゃぁ~勘弁して」という意味の溜息をふたりして思いっきり吐いておりました。

で、ロケ地でシェフが作ってくれたエスカルゴ、気持ち悪くて食べられなかったと普通は思うでしょ?これがめちゃおいしかったんだわ。てか、こういう時に口に入れられずに嫌がるようでは仕事になりません(笑)。

最近はしませんが、そういえば以前は時々冷凍エスカルゴをオーブンで焼いて食べたりもしてたなぁ。簡単な割に自宅では珍しいからお客さんが来た時なんかアントレ(前菜)に重宝しました。
そう、その器として鉄製のタコ焼き器を代用してましたっけ。大きさも殻を置く丸みもちょうどピッタリだし、オーブンにも入れられて、そのまま食卓にも出せる。
これを発見した時は自分で自分を天才じゃないかと(笑)。

あれから何度も(むろん本場フランスでも)エスカルゴを食べましたが、実はあのとき父島で食べたエスカルゴが一番立派で美味しかったかも。今も勝手に食べても怒られないのかなぁ、てか本当は野生のカタツムリって寄生虫一杯いそうだよねぇ。

当時は何も気にしなかったけど、そういえばスタッフの何人かはお腹を壊していたような・・・さすがは私の胃袋だ。

 

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