映画 大女侠(68年・香港)

近頃、どうかしちゃったのか?というくらいに功夫映画しか観てない。
いや、正確には観てはいるんだけど、わざわざ書きたいと思う作品を観てない、というべきでしょうか。
なんか我に返れば気に入ったのは、ことごとく功夫映画ばかりだ(笑)。
近年のだと甄子丹ことドニー・イェン主演作(もう溺愛の域。そのうちガッツリ書きまっせ!)
そして旧作だとショウブラ作品しか、最近観た記憶がない、いや、マジで。
世界中にはこんなに一杯映画があるんですけどねぇ。

ま、いっか!

で先日も、<大酔侠>で女優チャン・ペイペイにすっかり魅了され、次に観てみたいと思っていた<大女侠>を借りてきました。
監督
チャン・チェ

出演
チャン・ペイペイ
ジミー・ウォング
ロー・リエ
ウー・マ

動作指導
ラウ・カーリョン
トン・ガイ


こんなにおかしいくらいに功夫映画ばかり観ているのにジミー・ウォング先生の映画を避けるようにしてきたのは、なんとなく自分でも薄々感じてはいたのです。
その理由は、観たら一発でハマるのではなかろうかという恐ろしい予感と、彼の映画には、おそらく苦手な凄惨なシーンが多いのじゃないかという不安から。
うまくいえませんがその心境は、近寄ったら最後自分の人生をメタメタにされそうな、「コイツだけはやめとけ」と誰しもが思う(しかも素晴らしく魅力的な)男を、気になりつつも遠巻きにしている、そんな感じに似ているとでも申しましょうか(笑)。

だからあえて、この<大女侠>を選んだつもりでした。だってこれはチャン・ペイペイの続編映画だとばかり思っていたから。

なのに、ええと、これはジミーさんのための映画だったのですね。
チャン・チェ監督に、まんまとしてやられたぜ!

と、結構驚く原題<金燕子>にしてこの内容。
ペイペイ目当てとしてはビックリ仰天のストーリーとキャラ設定。だって、どう見ても女一人をめぐる三角関係の話なんだもの。
おまけにそういう雰囲気なものだから、彼女が男装していても凛とした清々しさが不足していてちっとも萌えやしない。ちっ。

もうね、これは金燕子の続編でも何でもなく、ジミーさん主役の全く別の映画だと開き直らないと楽めません。

武術指導はラウ・カーリョンとトン・ガイ。
ジミーさんのための映画ですから彼のアクションシーンは荒削りながら、すごくいい感じです。ラストの壮絶な最期など迫力あって(案の定血まみれだ~)、やっぱりチャン・チェ。ひたすらジミーさんのカッコよさを堪能できます。
あとロー・リエとの最初の酒場の出会いのシーンもよかったなぁ。さすが男の描き方は「任せとけ!」って声が聞こえてきそうなそのセンス。
白い眉や髭のないロー・リエに慣れていない私は実感がわかないのだけど、彼なかなかナイスガイな役でした。白眉道士の頃と多分そんな年齢違わないのに、普通の扮装だと、とにかく若くて別人みたいに見える。
若い時から老け役の代表といえば日本の誇る俳優笠智衆さんですが、あの有名な悪役のおかげで私にはロー・リエとは笠智衆にも劣らぬ「老け作り」イメージがあります。
今作のむしろ珍しいとさえ思える人格者の役は女性によってはジミーさんよりこっちの方が好きと言う人、案外いそう。

それにしてもチャン・チェ監督、本当に血がお好き。
ドバドバ出るし身体なんかまっぷたつにしちゃうし、たった12歳くらいの子供まで自分で腹かっさばいちゃうしさ!

とにかく「ひ~そんなご無体なー」と「あああジミーさんだー」と思ってるうちに映画は終わってしまいました。

そこでわかったことがひとつ。
あんなに恐れていたジミーさんでしたが、多分私はこのテの男には人生を狂わされない、大丈夫らしいと言うこと(笑)。
これ一作しか観てないのに、こういうことを書くと王羽ファンに怒られるかもしれませんけど、これが劉家輝ばりに動けたらちょっと危なかったかも(笑)。セーフ。
かといって、それで彼の魅力が損なわれたわけでは決してありません、が、これで心おきなく片腕ドラゴンシリーズとかバンバン観られますね!

顔よりキャラよりなによりも私の場合、スキルの方が勝るのだと、この作品を観て自覚したのが、実は一番大きかったのかも知れませんな。

大女侠予告編
金燕子予告

 

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