導火線 日本劇場公開―ドニー・イェン 甄子丹

なんとまぁ、ドニー・イェンの「導火線」がシネマート六本木で1週間だけデジタル上映されるというプレゼント。すごいわぁ、うれしい。

調べたら初日は谷垣健治さんのトークショウまであるということで、その上映回を狙って観に行きましたよ。スクリーン2は90弱の客席だと思うのですが通路にまでお客さんが座るという盛況ぶり。

好きな映画をデカいスクリーンで観られるというのは、やっぱりいいなぁ。
もう10回くらいは観ただろう(自分は英国版と日本版のDVDを持ってる)映画だと字幕を追うこともなく、ひたすらスクリーンだからこその発見を捜してしまう自分。
そしたら1か所ありました、新しい発見。
自分のソフトで観ていた時は気がつかなかった。
あのコリン・チョウとのバトルシーンは演出として音楽が切れるところが数箇所あるのですが、その時、かならず微かに後ろで鳥の声がしてるのね。うひゃ~驚き。凝ってるなぁ。

さて、上映後に行われたお目当ての谷垣さんのトークショー、途中から「SP」のアクション監督も務めた大内貴仁さんも参加して、とても興味深くおもしろい内容でした。

まずはこの映画、最初はマカオで全編ロケする予定だったんだって。しばらくすると香港に落ち着いたらしいけど。
で、なぜ舞台を「1997年返還前の香港」にしたかというと、やはり私が以前想像した通りの理由だったようです。
そしてあの映画には、マー警部のお母さんが登場しますが、実はこのお母さんとのその後のエピソードが脚本上にはあったのだとか。
どういうシーンかというとふるさとに戻った母親がそこで亡くなってしまい、マーがのちにお墓参りをするという設定でした。息子は母の好物だった菓子パンを供える、なのにそのお供えを野良犬が食べてしまい、それを見て思わず悲しくなったドニーさんが泣くという場面だったらしい(笑)。文字にするとなんだか笑っちゃいますね。

谷垣さんいわく「イップ監督、あの人は本当にはずしてくる(ユニークという意)」。
レイ・ロイが車にぶつけられて跳んだあと撃たれるアクションも「スズメを撃つみたいに跳び上がったところを撃ったら?」と提案し、葉問2のサモハンとのシーンも監督が「テーブルの上で闘ったら面白いんじゃね?」とアイディアを出したんですって。

あと一番へ~だった話としては、あの銃撃戦の口火を切った南生圍の川沿いのアバラ屋、あれは廃屋でもロケセットでも何でもなく実際に人が住んでいる家だったこと!
「屋根は撮影用に取り換えるわ、住人がまだ寝てるとこに、朝6時から大勢が押しかけて着弾のセットとかするんですよ、人ん家で。考えたら迷惑な話です(笑)」

そうそう、警察音楽隊に左遷され太鼓を叩きながら隊員をこっぴどく叱るドニーさん、あの姿はアクションの撮影時にモニターを観ながらダメだしする姿そのままだそうです(笑)。ひ~こわい。
でも、そんなドニーさんは日本人スタッフとたくさん仕事をしてますよねぇ。どうやらドニーさんは、香港のスタントマンより日本人のほうがリアクションがいいと考えているらしい。嬉しい事じゃありませんか。
現場ではとにかくおっかないドニーさんのようですが、今までに谷垣さんがドニーさんの撮影に連れて行った日本人スタッフは20人はいるそうで。
ドニーさんの現場が彼らに与える影響の大きさは、参加した人達がいつも語ってますね。そういう意味ではドニーアクションの継承者たちはどこよりも実は日本にいるのかもしれません。

さてドニーさんの次回作は香港で撮影する現代アクション映画だとか。年末には撮影開始の予定という言葉に心躍ります。楽しみだ~。

とにかく貴重なお話がたくさん聞けて、あっという間の時間でした。
谷垣さんは今、京都で幕末ものの撮影の準備をしているとのこと。そちらの方も楽しみです。

そうだ、劇場には映画評論家の宇田川幸洋氏もお見えになっていました。
実は「大酔侠」を観た後に、あまりの感激にさっそくキン・フー監督の「侠女」と「迎春閣之波風」「山中傳奇」を観たオタク気質の私は、宇田川さんと山田宏一氏の共著である「キン・フー武侠電影作法」という本をちょうどバッグに入れていたのです。お声をかけて是非サインをして欲しかったのですが、残念ながら恥ずかしくてできませんでした。とほほ。

シネマート六本木「導火線」特設ウェブサイト

追記
食堂でボコボコにされた行宇さんのシン・ユーというのは普通話読みなんですね。
トークショウでは「ハン・ユー」と呼ばれていたので、こちらが広東語読みか。
最初それが「俳優」と聞こえてしまい、彼のことと思わず俳優って誰の事だと考え込んでしまい、途中文脈を読んでやっと「シン・ユー」の事だと理解した次第。
この名前の普通話と広東語読みの発音の違い、本当に、ああ、ややこしい。

導火線 / (邦題)導火線FLASH POINT 英国版 DVDのちに日本版DVD―ドニー・イェン 甄子丹

 

カテゴリー: film, 功夫映画, 甄子丹 タグ: , , , , , , , , パーマリンク