粉もん天国

週末は光文社の女性誌「HERS」の取材で大阪。
「いま、大阪が元気だぜ、遊びに行っちゃう?」まぁそんなコンセプトのロケです。
どこかいいお店があったら紹介してください、というご依頼だったので、なんとなく他府県の方が想像する(ベタですが)「大阪」っぽいお店を数軒チョイス。

当然、粉もんは外せないのでふたつほど、超有名な十三の「ねぎ焼き やまもと」(私は本店派)と天神橋5丁目の交差点にある天五中崎通商店街を少し入った「うまい屋」というたこ焼き屋さんをご紹介。

私が本格的なねぎ焼きを食べたのは、この「やまもと」が初。かれこれ10年くらい前だったでしょうか。(なぜか)東京に住む友人が「美味しいから」と連れて行ってくれたのがきっかけです。
それから何件ものお店でねぎ焼きを食べていますが、やっぱり最初に食べたこの店のが私には一番美味しく感じられる。
外はパリッと、そして中はふわふわの生地にたっぷりのネギと甘辛く炊いたコンニャクにスジ肉。同じものを作りたくて一度自宅で挑戦したことがありますが、そもそもあのコンニャクとスジ肉からして絶対に同じようにならない(笑)。焼き上がりに少しの醤油にレモンを絞って、もうね、こいつが死ぬほどビールに合うんですわ。
ついこの間取材で食べたばかりなのに、こうやって書いてるだけで、もう食べたくなっちゃうくらい。

このお店、食事時になると行列ができる人気店でもあるのですが、この並ぶのが大嫌いな私がそれでも行きたくなる一件と言えば、その溺愛ぶりをご理解頂けるでしょうか。
最初に来店した時も並びました。20分くらいかなぁ。友人と一緒じゃなきゃ、絶対に踵を返したところです。
でも、待ってやっと席に着いた時に「並んでも絶対に嫌じゃないから」と言った友人の言葉の意味が分りました。
なんと席に着いた途端、自分の注文したメニューがさっと出てくるじゃありませんか。
つまり店外で立っている時から、すでに私のねぎ焼きは焼かれていたわけですね。
どうしたって焼き上がるのには15分ほどかかる。だったら席についてその15分を待つか、外でお喋りしながら待つか、実質それくらいの差しかなかったわけですよ。
しかも、このお店の有名美人三姉妹は席についた客は勿論のこと、外で待ってるお客のメニューと顔もきちんと覚えていて何も言わなくても全員に対して決して間違えることなく、きちんと注文通りの品を出してる。
味は当然のこと、こういうプロフェッショナルなお仕事も、とても気に入った要素でございます。

もう一軒のたこ焼き「うまい屋」も同じ友人が教えてくれたお店。(その時は個人的に粉もん屋めぐりをしたんだったわ)その頃、ちょうど近所の関西テレビで毎週仕事をしていたので、一時は本当に通い倒しました(笑)。
ここのたこ焼きの特徴は、ソースをつけなくても生地にしっかり味がついているということ。この関西らしい出汁の効いたほんのりの味わいがええんですわ。
当然中はしっとり外はパリッと。でも最近よくある油っぽい無理やり感は一切ありません。
聞けばこの店の鉄板は銅でできているとか。銅って熱効率がすごくいいんですってね。だから、ああいうカリフワなたこ焼きになるのかなぁ。なんというか、この美味しさは口で説明するのはちょっと難しい。
おまけにこのお店では発泡スチロールや紙箱じゃなく、今時ちゃんと木船に入ってる。
だから時間が経ってもべちゃっとせずに、冷めてからもすんごく美味しいの。以前はよく大阪からのお土産に買って帰ったくらい。8個、320円。
断言します。私が世界で一番好きなたこ焼きは、この「うまい屋」のでございます。

関西テレビも以前ほど行かなくなったのもあって、今回取材で訪れたのは実に数年ぶり。
隣のお店から火事をもらって1年間休業していた事も、その間に御主人が亡くなったことも、先代のおじいちゃんが80歳をすぎて引退したことも知らず、奥さんに聞いてびっくりしました。どんだけ行ってなかったんだか。とほほ。
でも今は息子さんが後を継いでしっかり店先で焼いていて、その姿を見ながら、心の中でこのお店がずっと続きますように、と願わずにはおられませんでした。

ほかにも、そのページのために、いろいろお店を紹介しましたが、それはまたおいおい。
この雑誌「HERS」8月号、発売は8月12日です。

 

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