戦狼 ウルフ・オブ・ウォー(战狼Ⅱ、中国・2017年)@HK

今年の夏。「世界歴代興収トップ100にランクイン 非ハリウッド映画で初」というニュースが世界を駆け巡りました。その映画こそウー・ジン(呉京)主演・監督の『戦狼2』

香港で観ました。日本でも大ヒットはニュースになってましたよね。その中でこの映画を中国版ランボーとか愛国映画とか紹介してあったけど、そのあたりの言葉はさほど意識しなくていいんじゃないかと思います。

私が観た劇場はサウンドシステムで、爆発音だの人が殴る音だのに反応して連動する座席だったんですが、一言でいうと上映中ずっと揺れてました(笑)。同じ劇場でたくさんのアクション映画を見てきたけど、ここまでずっと揺れてる映画は初めて。前作として『ウルフ・オブ・ウォー ネイビー・シールズ傭兵部隊 vs PLA特殊部隊』(2015)という作品があり、一応続いてるという前提ですけど知らなくてもまったく問題はありません。

おもしろかった。めっちゃ、ほんと。

この作品のヒットに関してはこんなニュースが出たりして、作られた大ヒットという意見もあるんですね。
中国映画『戦狼2』、大ヒットは政府の「操作」のおかげ? 政治的な内容にも賛否
いや、当局の操作や、仮に軍の動員や興収水増しがあったとしても、実際にお客が足を運ばなければここまでの驚異的数字(累計56億7300万元・約962億円)には、ぜっっっったいなりません。間違いなく中国の観客は劇場でこれを楽しんで観たんです。だっておもしろいから。

正直言うと、あまりの突き抜けた馬鹿さ加減に私はずっと笑いが止まりませんでした。日本の映画館なら我慢したかもしれないけど、ここは香港。後ろの女子2人(多分大陸の子)もキャッキャいって笑ってたんで、私も気にせず大笑い。で、画面に突っ込みながら観ましたよ。塚口サンサンとかキネカ大森は今からマサラ上映や絶叫爆裂上映の予定を入れておいてください。絶対したほうがいい。

人民解放軍の元特殊部隊の男(ウー・ジン)が色々あって引退、アフリカのある街でバーかレストランを営業し現地の人と仲良くやってるところへ強大な軍事力を持ったテロリストがやってきて、内戦勃発、政府軍と大統領を瞬滅。そこから脱出しつつ途中で出会った疫病研究の女医を連れて辿りついたのは中国企業が経営する工場。はたして彼等は無事中国大使館だか領事館に辿りつけるのか?

みたいな話。

ストーリーじゃない、人間関係でもない。台詞なんて飾りです。愛国も笑いのネタでしかない。アクション、ただアクション。それもこちらの想像を軽く超えたアホな対決のオンパレードです。戦車でチェイス。戦車ですらカンフー対決。ジョン・ウイックはガンフーですが、これはタンクフー。そして戦車に煽られながら走って逃げるウー・ジン。ここで私は大笑い。

以下、語彙力がなくなったので箇条書きでガンガン進めます。

・ウー・ジンファンは、上映開始に絶対に遅れちゃダメ、遅れたら一生後悔する
・いきなり登場するや謎の動き。やだそれウエイブですか?
・そして海に入るとこからウー・ジンかっこよすぎ。ここで彼に恋をしない人はいない
・タイトル!
・涙を溜めて振り返ると涙が飛ぶ。少年漫画でしかなかった表現がCGで実写に
・サッカーするウー・ジン
・子供達と戯れるウー・ジン
・ゴールを決め水着姿の女子たちにポーズを決めるウー・ジン
・爆発
・ランチャーをわずか金網で防ぐウー・ジン
・キルカウントは相当多い
・エキストラ大変
・爆発
・様々な武器を駆使するウー・ジン
・しかも超人的スキルと運の良さ
・爆発
・ライオン
・女に中指を立てられるウー・ジン
・アフリカと我々は友人
・不死身だウー・ジン
・爆発
・ドリフコントみたいに崩れる壁
・と、迫力ある見事なアクションとの落差の味わい
・男たちの友情、でも画面はひたすらウー・ジン
・爆発
・土豪の息子も成長
・中国軍が彼等を助けるかどうか逡巡。そんなことはいいからさっさとウー・ジンを映せ
・爆発
・戦車から何故かしかも微妙な位置で顔を出したまま、走行するウー・ジン
・しかもそれがめちゃヘタなCGで、生首にしか見えないウー・ジン
・爆発
・爆発
・倒壊するビルを抜け、戦車に煽られながら走るウー・ジン
・爆発
・爆発
・爆発
・突然のアメイジンググレイス
・銃を撃つのではなく銃を投げつけるウー・ジン
・結局最後は拳で勝負
・トニー・ジャーばりに前転からの2キックをご披露するウー・ジン
・中国国旗を翻すも、その旗の立て方(笑)
・パート3もやるよ!のエンディング
・これはランボーじゃない、今後はミッションインポッシブルシリーズを狙ってるのね!のウー・ジン

確かに人によっては愛国映画として興奮した観客もいるでしょうけど、ほとんどは真面目にウー・ジンがやればやるほど笑えたんだと思います。アクションも無茶ブリオンパレードですが、彼の映画に賭ける真摯さにホント心から楽しめました。アクション監督は『シビル・ウォー キャプテン・アメリカ』のサム・ハーグレーヴと、そのスタッフを招聘。中華圏側のアクション監督としてジャック・ウォン(黃偉亮)とのダブル体制。いや、グッジョブ!!!

が、これを米アカデミー賞の外国語映画賞中国代表に選んだ中国広電総局には相当無理があるだろと突っ込んでおきたい。

もし、スクリーンが小さく音も悪いところだけど近くの映画館と、少々遠いけど大きめで音もいい映画館での上映の二択あるなら迷わず遠くても大きなスクリーンで観ることを推奨します。これこそ本当はTOHOシネマズとかでやるべきなんだよ。4DXとかで上映してごらんなさいよ、酔う人続出だから。

東京では今後公開があっても小さいところでしかないかもしれないので、ウー・ジンファンは最初で最後のチャンスになるかもしれない「2017東京・中国映画週間」での上映を見逃してはいけません。

10月21日 (土) 開場 19:45 上映スタート 19:55 上映時間 123分
会場 TOHOシネマズ シャンテ スクリーン1

10月26日 (木) 開場 13:30 上映スタート 15:30 上映時間 123分
会場 TOHOシネマズ 日劇 スクリーン1

にて『戦狼2 ウルフ・オブ・ウォー/戦狼Ⅱ』というタイトルで上映されることが決定しております。是非とも大きなスクリーンでウー・ジンの雄姿を堪能していただきたいと思います。一緒にこのおもしろさを分かち合いましょう。そして齢40を過ぎて、輝かしい特大メガヒットを飛ばし間違いなく中国のスターになった彼の成功をともに喜ぼうではありませんか。

《战狼2》Wolf Warriors 2 予告
《戰狼2》アクション預告片 吳京與《美隊3》反派徒手格鬥

と、思ったらシネマートで公開するのか。
のむコレ詳細いつもお世話になってます、シネマートさん。
で、日本語字幕のついた予告もありました。
『戦狼 ウルフ・オブ・ウォー』10.28~開催★のむコレで上映決定!

カテゴリー: film, アクション映画 タグ: , , , パーマリンク