かちこみ!ドラゴン・タイガーゲート(2006年、香港・中国)@シネマート六本木

心眼で観れば「なにもかもが素晴らしい!」
今回のシネマート六本木「ドニー・イェン祭り」では、なんだかんだ劇場で何度も観たものも多く、そういう意味で新鮮で目を引いた1つがこれ。

いやぁ、もう一度スクリーンで観られてよかった。これは今後もスクリーンでかかることは難しいでしょうからかなりレア。もちろんフイルム上映、しかもかなり状態が良くて嬉しかったです。

上映はスクリーン2。残念だったのは音響設備のせいなのか川井憲次スコアのBGMがガーンと前面にきてくれなかったことくらいでしょうか。いや、そんなことまで言っては罰が当たりますね、ありがとうシネマート。愛してるシネマート。さみしいよシネマート。

実は久々全編通して観たのですが、昔の印象よりずっとよく出来てる、と思うのはすでに自分がすっかりドニー・イェンという不治の病にかかっているせいかもしれません。以前アクション監督の大内貴仁さんとお食事する機会に恵まれた際に「ドニーのどこがいいわけ?」と真顔で訊かれ、何を言ったらいいかよく分らないまま「空いてる方の手が美しいとこです!」と答えたら思いっきりドン引きされてしまった経験が。ま、そんなようなもんですわ。

なのでまったく客観性を欠いた意見として(笑)この映画はよく出来てる。どのくらいよく出来てたかと言うとローザがたった1本しかない針をドラゴンに打ち自分は「私のこと覚えていて・・・」と言い残して死ぬところを観て泣きそうになるほどによく出来ていました(注:ちなみに初見では「え!?その展開?」となったシーン)。

とにかくオープニングからかっこいい。マ、マーベル!?とかよもや思っちゃダメ、あくまでも香港漫画界の重鎮、黄玉郎先生の70年代から続く大作功夫コミックが原作でございます。昔ネットでちょいと読んでみましたがさすがに40年以上続く(途中諸事情のため中断あり)超大河作品、最初と近年では絵柄が全く違うんだから。

登場人物のファッションはコミックのイメージでオープニングムービーは近年の画風。川井憲次さんの重厚なイントロに乗ってババーーーンと稲妻とともに登場する「甄子丹」の文字とか2Dなのにめっちゃ飛び出してるじゃん!!もうここからスイッチ入りました。

あとは大好きな日本レストランのアクションシーン、ニコラス・ツェーの目の覚めるような股関節プラスショーンの高速ヌンチャクそして御機嫌なカメラワークや、慣れるとうっとおしいを超えた彼岸にあるカッコイイ長髪とか、さりげなく回想に登場するチェン・クアンタイさんすら70年代ファッションとヘアスタイル(絶対にあれはウィルソン・イップのセンス)だったり、今なら分るダブルデビルの兄貴のサイの遣い手がシー・シンユーで三節棍が甄家班古参イム・ワーさんとか、シブミの中の人がユー・カンだとか。とっにかくアクションのリズムがいい。特にグラウンドに土煙を上げて高速で走りこんでくるショットに当時心臓を雑巾絞りされたような衝撃を受けたことまで蘇ってきましたよ。ああああかっこいい。

とにかくドニーさんが情熱を傾けた作品であるということがスクリーンいっぱいのアクションシークエンスから伝わってきて、それだけで気分が晴々。

なにしろドニーさんはニコラス・ツェーとショーン・ユー2人を本気でシゴキにかかりましたからね。今ならこの2大スターにこれほどの負荷は時間的にも無理かもしれない。しかしそれに応えた当時の2人も素晴らしい!あの頃アイドルとして絶大なる人気を誇ったニコラスを差し置いてラストいいとこ持って行っちゃったドニーさんに随分ファンからはブーイングがあったようですが(えっと、それはいつものことなんで、そこはあの)「今まで危険なスタントは数多くしてきたけど自分にとってこれは初めてのアクション映画」とインタビューで言い切ったニコラスはさすが苦労人、なんという好青年。その根性の入り方にさぞシゴキ甲斐もあったことでしょう。

くわえてユン・ワーの師匠ぶりが素敵。武器を選んでくれと言われそこにあったサンダルをスッと引き抜くところなんざぁ痺れます。そしてその後に見せる達人ぶり。若い頃は岸田森ばりの「怪優」キャラ(『サイクロンZ』や『霊幻道士完結篇 最後の霊戦』のオネェなど)が印象にあったユン・ワーさんですが、チャウ・シンチーの『カンフーハッスル』以降、こうした人情味に溢れた役も多くなり、今やものがたりに厚みを出す俳優のお一人なんですなぁ。

昔は出演者のファン、もしくはバリバリのドニーファンしか受け付けない映画なのでは?と思っておりましたが、ハリウッドでこうもヒーロー映画を作られると「ひょっとして初めてのドニー・イェンとしてもいけんじゃないの?」と思えるほど印象は違いました。う、誰かに試してみたい・・・(笑)。

そういえば、こんなシリアルナンバーつき限定版も持っているのであった。おまけは漫画版3人の半身フィギュア。特典映像がなかなか充実
Dragon-Tiger-gate03

チェン・クアンタイさんがどんなにイカシた武打星かはこちら
映画 嵐を呼ぶドラゴン(1974年・香港)
映画 ブラッド・ブラザース 刺馬(1973年・香港)
錦衣衛 / (邦題)処刑剣 14 BLADES 香港DVDのちに劇場で日本語字幕版―ドニー・イェン 甄子丹
打擂台 GALLANTS(2010年・香港)
上海ドラゴン英雄拳(1972年・香港)
アイアン・フィスト(2012年・米)
フライング・ギロチン(香港・中国、2012年)とアメリカン・ドリーム・イン・チャイナ(原題:中國合夥人・中国、2013)

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かちこみ!ドラゴン・タイガーゲート(2006年、香港・中国)@シネマート六本木 への3件のフィードバック

  1. きなこおに のコメント:

    ケイコママさん、こんにちは

    アイアンモンキーも名作ですね!
    ドラゴン危機一髪97も好きです!

    カッコよすぎるドニーさん。

  2. Pochi4 のコメント:

    イエモン(葉門)探してたらこのブログ見つけたので残します。中国に住んでた時、佛山で葉門の道場に行きました。ちょうど道場の改築中で何も見れませんでしたが近くの人に改築中はどこに行けば練習が見れるか聞いても誰もわかりません。地元の人でも知らないのだ。(さすが中国自分の事以外は無関心。)ブルースリーの生家にいったときもそうでした。(記念館じゃありませんよ。本物の生家)それでも何とか探して道場にたどり着けました。そこは師匠の志が受け継がれているのでしょうか古びた倉庫で練習をしていました。意外と親切でいろんな演技を見せてもらいましたね。目隠ししての演技やら足場の悪い上での演技とかもちろん木人椿の練習も拝見しました。日本人が来たという事で休憩中にも関わらずやってくれて感動しましたね。道場主も紹介してもらい意外と背が小さくて子供がそのまま大きくなったような人の好さそうな方でした。まだまだいろいろあるんですがきりがないのでやめます。下手な文章でとりとめのないことを書いてしまい大変申し訳ありませんでした。

  3. ケイコママ のコメント:

    すみません、なぜかコメントが反映されていなかったようでご返事遅くなりました。

    きなこおに様
    その2作は超名作ですよね。幸いシネマートで観られて良かったです。ドラゴン危機一発97は発売されることが決定しましたね!やっほう。楽しみに待ちましょう!
    Pochi4 様
    わざわざ道場まで行かれたのですね、すごい。目隠しはイップ・マン誕生という映画でもサモハンとユン・ピョウがやっていましたが、本当に稽古に組み込まれているんですねぇ。功夫映画は好きですがあまり武術には詳しくないので参考になります。その方々もわざわざ日本から見学に!と喜ばれたのかもしれませんね。

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