追龍(原題、2017年・香港中国)@HK③俳優編 – ドニーさん 甄子丹 ネタバレ

今作は香港俳優オンパレード。登場人物の役名キャラと俳優名、簡単な俳優紹介のメモつき。日本語字幕がないのを観る際のお役にでも立てれば。でも間違いがあったらごめんなさい!ネタバレ

今作の主要なキャラクターは一部の女優を除き、ほとんどが香港俳優で占められています。

2012年版ですが、ジェトロ(日本貿易振興機構)による中国コンテンツ市場調査というリポートで「香港と中国の合作映画規定では主要キャストで中国大陸の俳優が1/3より下回ってはいけない」という一文を読んだことがあります。

えーっと。この映画、ここに挙げただけでも3人を除いてあとは全員香港俳優ですけど????

一体王晶(ウォン・ジン)は、当局にどんなマジックを使ったんでしょうか。

彼は、黒幇片(マフィア映画)というとすぐ思い浮かぶお馴染みから少しひねった顔ぶれを揃えてきました。とっても新鮮。でもちゃんとオールドファンも呼び込もうとしてますよね~。

まずは潮州義兄弟から

・大威(義に厚いが博打好きなのが玉にキズ。賭場でもめ事を起こしたらしく拉致される羽目に)

姜皓文(フィリップ・キョン)
香港映画ではとにかくよく見る顔。バイプレイヤーとして出演することが多いので年間の出演本数は多分香港一。最近痩せてパッと見分らなかったりする。というか、見るたびに痩せてゆく。

・細威(大威の実弟)

劉浩龍(ウィルフレッド・ラウ)
香港の歌手・俳優。最近作だと『全力スマッシュ』でイーキン・チェンの手下で割れたメガネをかけて登場した彼がそうです。今作では最後の台詞が泣かせました。が、そのあとにも驚きが。

・啞七(一応記事とか読むと唖設定。大陸では阿七表記)

喻亢(ユー・カン)
甄家班(ドニーアクションチーム)の一員。こうして見ると演技がうまいのに驚く。ずっと内トラでしたがドニーさんの事務所と俳優契約をしてから主要な役にキャスティングされることが増えております。他に『カンフー・ジャングル』や『アイスマン』など。今回は動作指導に名前がありました。この男優陣で大陸の人は彼だけ。

番外

・阿平(伍世豪の実弟、学業に励んでほしいという兄の期待とは正反対の結果に)

李日昇(ジョナサン・リー)
母は著名な粤劇女優。子役出身でTVを中心に活動。映画ではジョニー・トー監督御用達子役とも言われ多くに出演、『エレクション』とその続編ではサイモン・ヤムの息子役でした。1992年生まれ。

続いて警察関係

・猪油仔(リー・ロックの腹心的存在の警官、物腰は柔らかいが頭は切れる)

鄭則仕(ケント・チェン)
彼は91年版『跛豪』にも出ておりましたが、その時は主人公と敵対するマフィアの役でした。香港映画には欠かせない存在。葉問シリーズにも刑事役で出てます。役名に必ずといっていいほど肥という字がつくけど、今回は猪でしたね、まぁ似たようなもんか。ユーモラスなシーンを担っておりました。

・嚴正(主人公・伍世豪と同郷の清廉潔白な警官。伍世豪が持ってきた高価な土産や現金を突き返す潔癖さ。最後着ていた水兵さんみたいなのは当時の香港水上警察の制服です。可愛いよね。劇中、正哥と呼ばれてる)

黃日華(フェリックス・ウォン)
無綫電視(TVB)全盛の80年代にドラマで主役を演じスターに。当時、TVBがどれほど盛況だったかというと、次に紹介する湯鎮業(ケント・トン)はじめ、苗僑偉(マイケル・ミュウ)、梁朝偉(トニー・レオン)と劉德華(アンディ・ラウ)の5人を専属俳優に持っていたぐらい。ほかに周星馳(チャウ・シンチー)もいましたからね。どんだけ。

・顏童(イギリス人とつるみ悪さばかりする警官、顔爺と呼ばれてる。雷洛を臭小子とバカにしていたが、雷洛の結婚を機に立場が逆転)

湯鎮業(ケント・トン)
黃日華と同じく80年代無綫電視で人気を誇ったスター。先に紹介した5人は「無綫五虎將」と呼ばれていたほどの人気だったそうです。今ちょっと強面な感じですが、当時はほんと可愛いお顔でしたのよ。今作ではその五虎のうち三虎が揃ったということで香港で紙面を飾りました。このあたりの話題になりやすいキャスティングも、さすが王晶。

↓香港首映会でノリノリの2人

Ernest Hunt (英国人警官、伍世豪にとっては因縁の敵。復讐心をたぎらせるドニーさんにアンディが英国人殺しだけは身の破滅だから止めておけと繰り返し諭しておりました)

Bryan Larkin (ブライアン・ラーキン)
10代から武道やボクシングを学んだ英国俳優。2016年の『エンド・オブ・キングダム』が中国でヒットしたこともあり、オンラインオーディションを受けドニーさんが選んだとか。現在は香港のアパレルブランドのモデルにも起用されています。映画では超絶ゲスいキャラでしたが、普段のご本人はとてもハンサムガイ。インスタでドニーさんの事をベタ褒めしてくれました。好き。

Geoff (ハントの部下)

Julian Gaertner (ジュリアン・ガートナー)
ドイツ出身の俳優。『ゴースト・イン・ザ・シェル』にスタントマンとして参加。アンディとは『拆彈專家』に続いての共演。ほかに『狂舞派』に出演するなど、いまのところ香港を中心に活動。

この2人の俳優はその後香港で『 DED END 』というタイトルのショートフィルムを撮ったようです。その精神。素晴らしい。トレーラーはこちら
DEAD END TRAILER #1

番外

・役名不明(どうやら、顏童の弟設定らしい。兄は弟を香港の実力者である周爵士の娘の婿にしようと画策中。が、パーティの席で婿に発表されたのはアンディ・ラウだったという)
↓彼のスチルがなかった。ので近い雰囲気のを

尹子維(テレンス・イン)
ホンマに不憫なお人やテレンス・イン。この役も何やら分らんうちに一瞬登場しただけ。それでも出て来た瞬間に「お、テレンス・イン!」と心拍数が上がるのが不思議。澄ました顔で登場しただけで全私が笑った。そんなテレンス・インですが、とうとう、とうとうかっこいい暗殺者役が巡ってきました。『キラー・セッション』というフランスのアクションスリラーですよ、みなさん。しかも日本公開される!!!10月21日より東京・ヒューマントラストシネマ渋谷、11月5日より大阪のシネ・リーブル梅田にて上映。テレンス・イン好きは行くべし。
暗殺者vs暗殺者 『キラー・セッション』 予告
映画ナタリー:殺し屋同士の緊迫感あふれる攻防戦「キラー・セッション」公開決定、予告編も解禁

黒社会のみなさん

・肥仔超(超哥とも。一度はその下についた伍世豪だが、すぐ敵対するようになる。彼の足を折ったのはこいつだこいつ。やがて逮捕され投獄されるも出所後は顏童と組んで伍世豪を潰しにかかる)

吳毅將(ベン・ウ)
こちらは亞洲電視俳優訓練所出身。彼がめちゃくちゃにドラムを叩くシーンは毎回笑いが起こっておりました。ゲスい男なのにどことなくチャーミングさが残るところが持ち味。ドニーさんのATVドラマ『クンフー・マスター 洪熙官』で三德和尚を演じていたのは彼。

・玫瑰(英国上層部は、リスクヘッジとして黒幇を4つに分散することを決定しており、その4つ目の勢力として雷洛がスカウトしたマフィアの女ボス。しかしその実態は伍世豪によって売られるところを助けられた少女、阿花。秘かに伍世豪の養女になって彼のために台湾でマフィア修行をしてたそうな。アンディは知らずにびっくり、私もびっくり)

徐冬冬(シュー・ドンドン)
人民解放軍芸術学院出身で中国の元ネットアイドル。今回デリートの憂き目に遭ってしまった女優陣で唯一活躍が残りました。かっこよかったよ。玉砕間近に少女に戻る演出がよかったですな。

・花仔榮(リーゼントの男。ボスの大灰熊を殺害してその地位についた。しかし最後は玫瑰の手にかかりオダブツ。生首に)

周俊偉(ローレンス・チョウ)
香港の歌手・俳優。パン・ホーチョンの『AV』でおバカ学生のひとりを演じておりました。

・鼎爺(九龍寨城を束ねるボス、甥の手により射殺される)

陳惠敏(チャーリー・チャン)
70年代からアクション映画やドラマに悪役として出演。本物のその筋の人という噂。ジャッキーの『ドラゴンロード』や『プロジェクトA2』が有名でアンディの『リー・ロック伝』にも出演。最近作だと『燃えよ!じじぃドラゴン 龍虎激闘

・公仔强(その甥。No.2だったがボスを射殺、しかし罪をその場にいた雷洛に着せ、九龍城内で彼を襲わせる)

黃竣鋒(ジェイソン・ウォン)
2012年亞洲電視のミスターコンテストで優勝し芸能界入り。17歳で広東省ボクシング大会で優勝。北海艦隊航空兵として人民解放軍に所属していた事もあり、3度優秀兵士賞に輝いている。大陸の人かと思ったら香港俳優だそうな。香港人で解放軍に入る人っているのかと、ちょっと意外。

・肥仔超の子飼ファイター(拉致された大威を助けに行った際、伍世豪が戦った相手。その戦い方が気に入られ肥仔超の手下になることに。その際、支度金?として伍世豪は阿花を救う大金を手に入れる)
↓スチルがなかったのでご本人のインスタより

伍允龍(フィリップ・ン)
今やアメリカ映画 Birth of the Dragon のブルース・リー役で主役を張る俳優なのに、この作品ではかなり勿体ない使い方(涙)。子供のころにアメリカに移民。幼少より父から蔡李佛、伯父から詠春拳を学び、イリノイ大学では武術で博士号をとったという本格派。多分自分の武館をアメリカに持ってる。最初は武術指導として業界入り。その後俳優に。近作には『悪戦』。昨年のヒットドラマ『城寨英雄』でやっと香港で人気者の仲間入りを果たしました。よかった。にしても今作のカツラは笑ったわ、フィリップさん。

そのフィリップ・ンの Birth of the Dragon の予告はこちら
BIRTH OF THE DRAGON – OFFICIAL TRAILER (2017)
ついでにカッコイイアクションクリップBIRTH OF THE DRAGON – CLIP #1 “ALLEY FIGHT”
喋り方がブルース・リーにそっくり(笑)

その他

・周爵士(アンディ雷洛の岳父)

曾江(ケネス・ツァン)
91年『跛豪』においては雷洛を演じました。『男たちの挽歌』の善良な社長、『ポリス・ストーリー3』の麻薬王といった極端な役も多かった。近作は『盗聴犯/狙われたブローカー』。渋くて大好き曾江。今作ではさすがにだいぶお年を召されたなぁと。

・阿梅(伍世豪の潮州時代の妻。香港に向かう中国からの密航船で息子と共に溺死)

周麗淇(ニキ・チョウ)
1979年生まれの香港の歌手・女優。著作活動も。次に紹介する阿晴とともに、結構シーンはあったそうですが、ドニーさんとアンディのストーリーがどんどん膨らんでしまったために割を食ってしまったのがこの女優たち。

・阿晴(伍世豪が入院していた病院の看護師、後に妻となる)

胡然(ミッチェル・ヒュー)
大陸の女優。『ゴッド・ギャンブラー レジェンド』シリーズ『悪戦』など王晶の作品に数多く出演。どうやら王晶の事務所に所属。本編では使われませんでしたが、妻となる彼女との馴れ初めなども撮影されていた模様。ソフト化の際には長尺ディレクターズカットとか出しませんかね。

そして主役のおふたり。
アンディ・ラウは、当時の警察内で香港人としてつける最高の役職探長のトップまで昇りつめた雷洛。劇中では洛哥と呼ばれています。そしてドニーさんは伍世豪。弟分からは豪哥、アンディからは阿豪と呼ばれていました。

当時の香港警察はほんとに汚職が酷過ぎて、怒った英国が「廉政公署(れんせいこうしょ、Independent Commission Against Corruption,略して ICAC )」という独立汚職調査機関を1974年に設立しました。

映画では、そのニュースを見た洛哥がすぐさま海外に家族と逃亡しようとしますが、モデルとなった呂樂は成立前に退職し速攻カナダに移住。成立後はすでに香港にはおらず、逮捕を恐れ二度と香港の地を踏むことはありませんでした。調査で5億HKドルもの資産を蓄えていたことが明らかになったことから、のちに彼は「五億探長」と呼ばれるようになったのでございます。

この映画、舞台はバリバリ香港でありますが、これだけの規模ともなれば香港だけで製作することは不可能なので必然的に合作。

出品人は当然、中国の博納影業(BONA FILM Group)CEOの于冬(ユー・ドング)と王晶が筆頭になりますが、それ以外は香港と台湾マカオからの参加。今回は大陸と「だけ」合作したわけではなく、広く中華圏から資金を集めて来たのかも。ひょっとしたら、その辺りが香港人キャストで固めることが出来た秘訣なのでしょうか。香港映画人も色々模索してるなぁと最近思います。

本当は今年の年末に公開予定でしたが、1か月前になって急に9月末の公開が発表されました。アンディ・ラウとドニーさん主演作品なのに公開当初はスクリーン数の割り当ても非常に少なく、ひょっとしたら中国主導の合作でないことや、テーマ、香港キャストオンリーが当局の心証を害したのか?などと妄想してしまいました。(案外真相は連休シーズンなのにファミリー向けやデート向けでないとか、あまりに香港映画なので劇場側が客入りを図りかねたとか、そんな単純な事なんでしょうが)

一方で、この作品を撮ることが出来たのは、2015年のハードバイオレンス『ドラゴン×マッハ!』のヒットの勢いをもらったのかなぁという気もしています。会社の顔ぶれもほとんど同じだし、あの作品も香港俳優が多かったなと。

そのレビューで私は「誰でもいいからすぐ続いてくれ~!そして香港バイオレンスの確固たる復権を!」と書きましたが、このところの流れを見ているとまさにドラゴンマッハ的なものを続けようする意志を感じます。

ひょっとしたら今後香港映画界で『ドラゴン×マッハ!』がひとつのエポックとして語られる日が訪れるのかもしれませんし、そうあって欲しいと願っています。

さて次回は総評になるのかな?(まだあるのかよ!)

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