映画 モンキーフィスト猿拳(1979年・香港)


監督
サモ・ハン・キンポー
出演
ユン・ピョウ
サモ・ハン・キンポー
レオン・カーヤン
ラウ・カーウィン
マース

武術指導
サモ・ハン・キンポー
ラム・チェンイン

ご存知、ユン・ピョウの初期主演作。
面白いもので、以前はこういったオルードスクール的なカンフー映画が古臭く思えた時期もあるけれど、時間がたってあらためて観ると、面白いなぁと感じる作品がたくさんあります。
これも、そんな1本で最後まで飽きずに楽しかった~。

それにしてもユン・ピョウの身体能力の高さには毎度のことながら恐れ入ります。
制作されたのが成龍の蛇拳、酔拳の後だから違いをだすためでしょうか。
修行シーンも、功夫というよりはもっと京劇の訓練に近いものなのかもしれない、今観るとそんな印象を受けました。
特にバク転の稽古で膝の後ろに先のとがった竹を挟んで膝が曲がらないような癖をつけるなんて、七福星時代よりもっと前の幼いころには実際にやってたんじゃねーの?と想像させてしまうくらい。

ああ、それにしてもユン・ピョウの足技は本当にいいなぁ。
あの自在な足には本当に見惚れてしまいます。

師父であり仇でもあるラウ・カーウィンは多分とっても若いのに、わざと老け作りしたのでしょうが、なんとなく品があってそんな悪い人には見えなかったのが不思議。
だからでしょうか、わざわざ相棒を殺さなければ、ラストバトルに持っていけなかったのかなぁ。

本編ももちろん良かったのですが、特典映像として新たに収録されたその相棒役のレオン・カーヤンの特別インタビューが、めちゃよかった。

今の今まで彼が映画の世界に入ってから初めて功夫を習った人とはまったく知らず、話を聞いて驚きました。

ご本人いわく「撮影で一番大事なのは記憶力。1シーンで10手以上を使う。サモハンの映画では30手だって珍しくない。反射的に動けるように身体に覚え込ませないといけない、カンフーしながらセリフも喋るわけだからね」

幼いころから武術や京劇の世界にいた人がほとんどの当時のあの香港映画業界で、あれだけのアクションシーンを撮り続けるのは、どれほど大変な努力が必要だったのかとしみじみ。

YouTubeで、俺の選んだ功夫スターTOP10とか20とかそんな動画を目にすることが、よくあります。
レオン・カーヤンはそんな中のひとりとして選ばれて決しておかしくないし、実際ランクインしている動画を沢山知っています。

まさか大人になってから功夫のトレーニングを始めた役者とは、そのインタビューを見るまで知らなかった人も多いのでは。

本編ももちろん素晴らしかったのですが、なんだか、色々な意味で彼のそのインタビューに一番感激してしまった私です。

モンキーフィスト猿拳予告

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雨とマーラー

雨が続きますねぇ。
こうお天気が悪いと洗濯物をするタイミングが重要。
もちろん、天気予報をチェックするのは大切ですが、それよりなにより参考にしているのは御近所の動向。
窓から見渡してご近所さんのベランダやお庭に洗濯ものがたくさん干してあったら「大丈夫!」これには絶大なる信頼を寄せております。

反対に急な雨に窓を閉めようとした際、どこかの屋上で濡れんとしている洗濯物を見つけてしまうことも。
学生時代、お布団をベランダに干したまま出かけて雨にやられた経験があります。何がイヤって、濡れてしまったことよりも使い物にならなくなった布団をどう処分するかを考えると目眩がしました。
完全に水滴が滴り落ちるほどの状態で、一人で運び出すのは困難なうえ粗大ゴミの日は決まっていて数日ベランダに置きっぱなし。
しかもひと組しかない布団だったため、数日は床に毛布を引いて休みました。

だからでしょうか、雨に濡れていく洗濯物を見ると物凄く胸が痛みます。
許されるものならば、あの場所に駆け寄って、今まさに濡れんとしている洗濯物を勝手に取り込みたい!そんな衝動に駆られてしまいます。
ま、本当にやってしまったら相当不審がられるだろうからしませんが(笑)。

目を逸らしてみても心のざわつきはなかなか納まらない。
そんな時、自分を落ち着かせるのにいい曲があります。
マーラーの交響曲五番第四楽章アダージェット。ハープと弦楽器のみで奏でられる美しい旋律は不思議と心を落ち着かせてくれます。もちろん、濡れた洗濯物を見た時以外の方がよく聴きますけれど(笑)。

そういえばこの曲を一躍有名にした映画「ベニスに死す」でもリゾート地ベニスはいつも鉛色の雲に覆われていましたっけ。
ラスト、愛する少年が波打ち際に立つ後ろ姿を瀕死の主人公が見やると、やっと差し込んだ日差しが波間に反射し佇む少年の背中をぼんやりとした影へと変えてゆく。

蒸し暑く、厚い雲にどんよりした気分にさせられるこの時期、何度このマーラーを聞くことになるのでしょうね。

 

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映画 タイム・ソルジャーズ/愛は時空(とき)を超えて(1989年・香港)


監督
霍耀良(クラレンス・フォ)

出演
元彪(ユン・ピョウ)
元華(ユン・ワー)
張曼玉(マギー・チャン)
太保(タイ・ポー)

武術指導
錢嘉樂(チン・カーロウ)
元德(ユン・タク)
元華(ユン・ワー)
元彪(ユン・ピョウ)ほか元家班のみなさん

ある日突然、雷に打たれたみたいにユン・ピョウとユン・ワーの闘いが見たくなりました。
昔はこの組み合わせに「また同じメンバーかい」と思った覚えがあるけれど、いやぁ時間が経つとまた観たくなるもんですね。

なので、劇場公開されず、DVDスルーで観たことのないこの作品を選びました。

17世紀の明王朝で残虐な連続殺人を繰り広げる極悪人と、朝廷の命を受けそれを追う衛兵副隊長が明から300年後の現代にタイムスリップして、なおも壮絶な戦いを繰り広げるというストーリー。

いやぁ久しぶりの2人のバトルは見ごたえあるわぁ。身のこなしのまぁ軽いこと。

それにしても、スタントがすごい。
走行中の車の屋根から屋根へと飛び乗り、最後はそこからドアの開いたバンに飛び移ったり、クレーンで高くつり下げられたグラグラ揺れる車の上でアクションしてみたり、またそこから海にダイブしたり。なんか久しぶりに見たなぁ、まさに命がけのこのノリ。
頭いかれてるよ元家班の皆さん(笑)。
まさに、そこかしこから80年代のゴールデンハーベストの熱気がひしひし伝わってきて期待してなかった分、非常に面白い!そういう意味では大変満足です。

そんななか真面目で堅物だけど、どことなく愛嬌のある衛兵副隊長はユン・ピョウにとても似合う役でした。
まぁ、明の時代からきた兵士ですからね、武術に長けていても現代では信じられないこと戸惑うことばかりで、ひょんな事から知り合った娼婦役のマギー・チャンのアパートに連れて行かれちゃいます。

このマギーがまた気持ちいいくらいに品がなくて気の強い女子でして。
彼を大陸から来た田舎もんの頭の弱い男と思い込み、いいようにコキ使おうとする彼女の嘘にまんまと騙されて、ユン・ピョウは掃除洗濯料理と果ては美人局の片棒まで担がされちゃいます。

やがて同じ現代に、ユン・ワーもまたタイムトラベルしてきたことを知り、現代で壮絶な2人の闘いの火ぶたが切って落とされる、ま、そんな感じ。

しっかしキレがいいなぁ、ユン・ピョウ。
サイドキックかました足をそのまま上げて踵落としにいくなんて、もう痺れまくりです。

そんな彼がいきなり刺繍したりするんですから、当時アイドルとしてユン・ピョウを愛でていた香港アクションファンのお嬢さんたちは、これを見て悶絶したのではないでしょうか(笑)。

それにしても極悪非道な奴だ、ユン・ワー!
この頃のユン・ワーって悪くなかったことってあるんだろうか。いや、ないな。
わははははは、と豪快に笑う姿も見事に弾けております。

弾けてるといえば、マギーもすごかった。
もうね絶対に煙草を口から離さない。くわえ煙草で麻雀も掃除もなにもかもやっちゃいます。これはあの<カンフーハッスル>の元秋の若いころと言われても納得するぞ。

隙あらば、すぐハスッパな役を綺麗な女優にやらそうとする、また女優の方も軽々それをやっつけちゃう返還前のこの香港映画のテイスト、大好きだ(笑)。
今の中国の女優じゃありえないでしょうね。てか、中国の現代ものの映画で娼婦って登場するのか?そんな職業表向きに存在してないだろうから多分検閲通らないよね?

そんなことはさておき、久しぶりにユン・ピョウ観たらもっと観たくなりました。
あとで<モンキー・フィスト猿拳>の廉価版でもポッチリしま~す。

タイム・ソルジャーズ予告編

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すき焼きとウヰスキー

みなさんの地域では桜の花は散ってしまいましたか?それともこれからでしょうか。
お花見というと思い出すのが大学時代。
同期生や先輩ら数十人で井の頭公園に集まったのはよかったのですが、お酒に慣れない私はあっという間に酔っぱらい、急性アルコール中毒寸前までいったことがあります(恥)。
前後不覚になりながら最後は先輩とジャンケンで負けたほうが飲むというアホなゲームをしていたらしい、とほほ。
案の定、私はパーばかり、先輩はチョキのみというグズグズの展開だったそうで、見かねた友人が何人かで私を抱えて帰ってくれました。
と、いっても私は、その時のことをまったく覚えてないわけですが。
今でも時折その話が友人たちの間で話題になります。どうやら人の記憶には時効というものはないらしい。はい、ご迷惑をおかけました、ぐすん。

それから大人数で繰り出したものというと、数年前10人ほどで近所の公園でお花見をしたのが最後でしょうか。
そういえば、この時は料理自慢が揃っていた席だったのでカセットコンロに鉄鍋という本格仕様の「すき焼き」がメイン。
リーダーいわく自宅で弁当を作るより、しっかりした食材を準備してすき焼きをする方が簡単でいいのだ、とのこと。

自宅でするすき焼きは、食後に残った匂いとかテーブルに跳ねた油とかをつい貧乏性にも気にしてしまいますが、戸外で食すすき焼きは、そんな心配が全然なくて豪快豪快。
その時に勧められて初めて試したすき焼き&ブレンドウイスキーの水割り。
このウイスキーとすき焼きとのマリアージュには驚きました。ポイントは決してシングルモルトなどの重いものではなく、軽めの「ブレンド」を選ぶこと。たとえばお手頃なところなら「スーパーニッカ」がお勧めです。
すき焼きにワインもいいですが合うものを探すには才能が必要。私はどうもワインを選ぶのがいつまでたっても下手くそなのです。

それ以来、我が家ではすき焼きだけでなく、しゃぶしゃぶや時折は煮魚の際もウイスキーでいただいたりしています。やってみると、とっても牛肉や砂糖と醤油味の和食に合う気がするのですよね。

そういえば、古い邦画で笠智衆が会社帰りに駅前のバーなんかで小鉢の突出しを前にウイスキーを飲んだりしてましたっけ。
あの中身も、多分あまじょっぱい味の煮物だったに違いありません。

 

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映画 太極神拳(95年・香港)


監督
ユエン・ウーピン
チョン・ヤムイム

出演
ウー・ジン
ユエ・ハイ
シベール・フー
クリスティ・チョン
ビリー・チョウ
ダレン・シャラヴィ

時々無性にうるわしい辮髪が見たくなる。
それもショウブラザースの映画みたいに「なんちゃって辮髪」じゃなく、本当に頭を半分剃りあげたマジ辮髪が。
自分としては李連杰(リー・リンチェイ/ジェット・リー)や甄子丹(ドニー・イェン)のが大好きなんだけど、たまには別の人のを。

てなわけで、超かわいい呉京(ウー・ジン、デビュー当時はジャッキー・ウーという名前だったような)の辮髪を愛でることにしました。

ユエン・ウーピンらしく、どっかで見た様な話やキャラが登場しつつ、そのうえストーリーは破綻してる(笑)。
けれどこれは、二十歳そこそこのキュートなウー・ジンのアイドル映画だと思えばなんのことはないのであります。
ひたすら、彼の可憐さを堪能するのみ。

にっこり笑うウー・ジン。
長袍(丈の長い中華服)を着たウー・ジン。
獅子舞を操るウー・ジン。
かわいい女子に一目ぼれのウー・ジン。
母親にいきなり「ジャッキー」(笑)という英名をつけられるウー・ジン。
タンゴを踊るウー・ジン
とまぁ、どれもこれも、なんという可愛さ。

そのうえに、この青年はめちゃ動ける、なんていっても祖父父ともに武術家で子供の頃から武術を習ったという超サラブレッド。
リンチェイとドニーさんの出た北京体育運動学校の後輩でもあり、武術大会でも何度も優勝した実力の持ち主です。
アクションも冴えてるしポージングも美しい。

母親役はシベール・フー。
この映画の彼女は特別キレイだったなぁ。古装がとても似合ってた。
彼女のような女性アクションスターって今はもういないのよねぇ、そんなことを思うと少し寂しくなりました。

あ、ビリー・チョウさんがいつもと違って非常にナイスなキャラだったわ。
繰り出す技の多彩なこと。なんかパロディぽくておもしろかった。
自分的には、ビリー対パパ、そしてビリー対ウー・ジンの闘いがお気に入りです。

結論。とにかく辮髪の似合う男はいい!

太極神拳予告編
いや、マジで可愛いからウー・ジン。これがのちにあの名作<SPL 狼よ静かに死ね>の殺し屋になるかと思うと(笑)。

追記:ラスボスの外人さんは葉問2のツイスターことシャラビィさん。
随分前の映画なのに、全然変わらないのね!すごい。

 

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お弁当

満開の桜を見ると、なぜか心が浮ついてきます。
こんな季節はお弁当を持ってお花見に行きたいもの。

お弁当というと、最近はキャラ弁という名で、食の細い子どものために食材で人気キャラクターやら可愛い動物君を模したものを作るお母さんが多いらしい。

一度キャラ弁レシピサイトを覗いてみたことがありますが、その手の込みようと出来上がりの華やかさに「うお!毎朝こんなことをしてる人がいるのか!」と感心したのを覚えています。

私が学校にお弁当を持って行ってた頃、母は早起きして作るのが面倒だったらしく、毎日お昼休み直前に、出来たてのお弁当を弟と私の下駄箱に入れに来てくれました。

可愛いお弁当箱持参の友人たちとは違い、大食漢だった私のは普通の女子のお弁当箱サイズより大きめのタッパー(笑)に入った男子仕様。
温かいものが冷めないようにという親心でしょう、そのタッパーはいつも新聞紙(!)でくるまれていました。なんつー色気のない(笑)。

当時さすがにキャラ弁は存在しませんでしたが、それでも洒落たお母さんなら彩りに気を遣うくらいは当り前の時代。

そんななか、開けるとびっしり詰まった白米の真ん中に梅干し、おかずは常に茶色一色、しかもメニューは連日ほとんど変わらず、という私のお弁当はさぞインパクトが強かったことでしょう。

不思議なことに私はこの男子仕様弁当を全然気にしませんでした。思春期の自分は相当外面を気にしていたはずなのに。

最近、弟とこのお弁当の話になった時のこと(彼とは2歳違いなので同じ弁当を同じ仕様で受け取っていた時期がある)。
「実はあれって、クラスメイトから羨望の眼差しを受けていたんだよ」と彼は振り返りました。「なにしろ、開けたら湯気が出てくるんだもん。そりゃ羨ましいでしょ」

ああ、それでバカにされなかったのか(いや、されてたかもしれないけど、気がつかなかった)、どころか、ちょっぴり優越感だったのかもしれんなぁ。なんとなく合点がいきました。

母親本人いわく「早起きするより、昼前に弁当を作って届ける方がずっと楽だった」
でも毎日弁当を学校に届ける、今なら、それがどんなに大変なことかよくわかります。まったくもって彼女に感謝でございます。

そんなことを書いていたら食べたくなりました、母の作ったあの色気のない、でも温かいお弁当。

 

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こういうことは行きたい人が頑張るのだ

バンクーバー五輪が終わってしまいました。。
フィギュアスケートファンとしては四年に一度のお祭り終了に、ちょっと燃え尽き症候群状態。

このオリンピックシーズンを見逃すまいと、昨年末に行われた東京でのグランプリファイナルに3日間、そして大阪で開催された五輪選考会をかねた全日本フィギュア選手権にも3日間行ってきたほどですもん。
もうすべてはこのバンクーバーへの一瞬一瞬を見逃すまい!という気合でこのシーズンは過してきました。

当然、そんな試合には友人と一緒ですが、たまにスケートに慣れてない人と行く場合、やはり気を遣ってあげないと心配。
プロ野球と違い、フィギュアの場合は客席での飲食がNG。
しかも寒いうえに観戦時間も格段に長いし(何しろ全日本女子のショートプログラムに出場する選手だけで30人。しかもその日は男子フリースケーティングも同日に開催)全部観るとなると10時間以上はスケートリンク会場にいることになります。

それでも東京の場合はそれほど気にしなくてもいいんです。
が、問題は地方開催のケース。
どの宿が会場までのアクセスがいいか、製氷や競技の合間、中抜けするならどこに行くか。
自分が効率よく快適に過ごしたいものだから、必然的に他人任せにはせず、自分で色々調べたり手配したりするのが一番。

大阪出身で大阪での仕事も多い私にとっては、今シーズンの全日本は大阪のなみはやドームなので楽勝でした。

まずは会場の最寄り駅から逆算して短距離で、しかも夜遅くまで食事ができる場所にホテルを確保。
そして帰りの電車が混むのを嫌がる人のためにタクシーの予約ができるようにタクシー会社の電話番号も(しかも1社じゃないよ、複数ね)調べる熱の入れよう。
そのうえホテルの近くに勤めている友人にメールを送り、その地域の夜遅くまでやってるうまい店を聞くという準備も怠りない。

それから会場の寒さはどうか、ゲットしたチケットはどのあたりかもネットで情報収集し、当日友人への寒さ対策なんぞを指示しなくちゃならなりません。
で、私はと言うと、うっかり対策を怠ったそいつらのために多めのひざ掛けとホカホカカイロを用意し、腹が減ったらガッツリ系、減ってなかったら温かいラーメンかなんかの店の選択まで用意しつつ、臨んだわけです。

おかげで素晴らしい試合とともに3日間すべてを、我ながら自分を褒めてやりたい澱みのなさで(笑)終えることができました。

たまに、誤解して「今度こんなイベントがあるらしいんだけど・・・」と私に段取りさせようと言ってくる奴がいますが、そんな話は「へぇー、そう」と軽く流させていただきます。

「行きたいイベントは一番行きたい奴が段取り組むに決まってるだろ!オラァ!」
が本音、でございます(笑)。

 

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バンクーバー五輪直前

先日健康診断を受けてきました。大丈夫だと思っていても結果が分かるまでは何となく落ち着かない気分ですねぇ。
今日、病院に行ったらおかげさまで何事もなかったので安心しました。

今まで病気らしい病気もせずにいられたのも、ひとえに頑丈に生んでくれた両親のおかげ。本当に有難いことです。
まるでスポーツ選手の感謝の言葉のようですが、うんと若い時はそんなアスリートの言葉に共感するのも難しかったのに、幸か不幸か、今ではその意味が充分に理解できるような年齢になりました。

アスリートといえば、間もなくバンクーバー五輪が開催されます。

野球が好きなのは有名なようですが、実は私、野球のシーズンオフにはフィギュアスケートで盛り上がります。
仕事以外で旅をすることは案外少ないのに、野球とフィギュアの試合を観るためには結構地方遠征したりするので、まぁそれが旅行といえば旅行でしょうか。

今シーズンもすでにアイスショーを一本とグランプリファイナル、そして全日本選手権とせっせとスケートリンクに通いました。

この地方遠征もインターネットがなかった時代を思えば信じられないほど楽チン。
試合のチケットから現地に行く切符の手配、そして宿の確保から夕食の予約まで、すべて目の前にあるパソコンでできちゃいます。
ほんと、便利な時代になりました。

子供のころはパソコンどころか、五輪を録画するビデオデッキすらなかったというのに(笑)。

一番古い記憶は1972年札幌五輪の銅メダリスト、銀盤の妖精ジャネット・リン(わ、年齢バレバレ)。白いリンクに映える真っ赤な衣装は今も心に残っています。

その後、70年代後半から80年代頭にかけて佐野稔さん五十嵐文男さん渡部絵美さんら日本人選手が世界選手権で活躍するなど、フィギュア熱は細くですが冷めることなく続きました。

そして1984年のサラエボ五輪で、女子のカタリーナ・ビット、アイスダンスのトービル&ディーン(ボレロはあまりにも有名)に感激。

そののち男子のスコット・ハミルトンという、こういった今では伝説になったスケーターたちの演技を観たことでフィギュアファンへの道は大きく開かれ、直後の伊藤みどりさんの出現で、それは確固たるものになったのです。

フィギュアはその優雅な演技とは裏腹に大変過酷なスポーツであります。
実際、怪我のために若くしてアマチュア競技から引退をする選手のなんと多いことか。

それをイヤってほど思い知らされたのが、2002年ソルトレイク五輪で男子金メダルを獲得したロシアのアレクセイ・ヤグディン。

彼のショートプログラム「ウインター」とフリースケーティング「仮面の男」はスケート史に残る名プログラムだと信じていますが、その彼がソルトレイクの翌年、わずか23歳で先天性の怪我が原因でアマチュア競技から引退。これは心底ショックでした。

23歳といえば高卒のプロ野球選手なら1軍に定着していなくても無理はないし、大卒ならルーキーイヤーの年齢です。

さらに追い打ちをかけるように、長い間日本男子のエースとして牽引してきた本田武史さんも怪我のためにアマチュアのリンクを去りました。
ソルトレイクで4位に終わった時は間違いなく次のトリノ五輪でメダルを取れる!ファンの誰もがそう願っていたのに。

そんな出来事が、あらためてフィギュアスケートの現実というものを突きつけてきました。

彼らは、1シーズンにわずか3試合から5試合ほどしか演技をする機会はありません。

幸運にトップクラスの選手になれたとして、その時間がほんの数年でも不思議はない。
フィギュアスケートとはそういう競技なんだと。

そう思うと、好きな選手の競技プログラムをあといくつ見られるのかな、なんて、ふと考えてしまったりするのです。

私が忘れずにシングルだけでなくペア、アイスダンスと日本で視聴できる限りの競技大会放送を録画して見るようになったのもそのころからです。

プロに転向してからも素晴らしい演技を見せてくれる選手はたくさんいます。
けれどプロの演技はショーであって、競技会とは技術や緊張感が違って当然。

アマチュアが過酷であればあるほど、そしてギリギリの精神状態で技術を競い合うからこそ、昇華されるものの美しさが際立つのでしょう。

トリノ五輪からわずか4年。
選手たちにとってこの4年は、私のようにただ単純に歳を重ねたというだけではない、長さと重みを含んでいます。

バンクーバーオリンピックまで、あと少し。
みんながいい演技ができるようドキドキしながら、その日を待ちわびています。

 

 

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怪獣@イケア

なにかと「Sale」の文字が輝く街角。ヤバい、ヤバい。
ふらふらっと入った丸の内のコンランショップ。

新しいランチョンマットでも買おうかと店内を冷やかしていたら、見つけてしまいました、ビートルズの4人の顔がゴブラン織りになっているひとつのクッションカバー。
よく見ると<サージェント・ペッパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド>の衣装を着ているじゃないの。

か、かっこいい。

我が家の玄関にはベンチがあり、そこにちょっとしたクッションがいくつか置かれています。あのベンチにぜひ、このビートルズを加えたい!

セールに魅かれたのに、見事にセールでない品物を買ってしまうという、ショップの術中に見事にはまってしまいました(笑)。

と、その翌日、今度は港北のイケアに出没。
正月のお飾りである「鏡餅」を飾るためのいいコンソールテーブルをずっと探していたのですが、昨年も見つからずじまいで、このお正月をやりすごしてしまいました。

だいたい、そのテーブルの必要性を感じるのは季節の飾りをするときくらい。
だからすぐ忘れちゃうんですよね。でも今年は忘れないうちに探そうと一念発起。

いろいろインテリアショップやアンティークショップをのぞいてはいるものの、みんな「帯に短しタスキに長し」。
飾りも引き出しもなくていい、シンプルな長細いテーブルが欲しいだけなのに、案外そういうのを見つけるのが難しいのです。

そこでふと思いついた。ひょっとして、イケアに行けば見つかるかも。そしてうまくいけば、只今セールの真っ最中だったりして。
たしかにセールの文字が躍っておりました。しかし、その余波かお子様軍団が店内にはうじゃうじゃ。あちこちで「ギャォ!ギャォ!!」とお子様怪獣の雄叫びが響き渡っております。

大型家電量販店とこのイケアは、ただでさえフロアを見渡したとたんにお腹いっぱいになる危険地域です。
そのうえ大量の怪獣が野に放たれているとあっては鬼門中の鬼門。
数分で喉は乾き、思考能力がどんどん奪われていくのがわかります。

すんでのところで、7800円という価格にやられてキャスター付きのテーブルを買ってしまうところでした。ふぅ、危ない危ない。
結局、前日買ったクッションカバーの中身とセールのランチョンマットを買って、早々に退散。

でも、イケアに行って手ぶらで帰って出られないあの魔力は健在でした。

以前、イケアの人に聞いたところによると、あそこの売り上げのほとんどは家具というより、こういった低価格の小物類なんだそう。
「あら、お安い」と喜んで、つい多めの点数を購入する客が多く、その売り上げが経営を支えているというお話。納得です。

 

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鶴屋南北作「盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)」

先月、テレビ東京の番組で<初めてでも楽しめる歌舞伎の世界>というテーマでお話しする機会がありました。私としてはみなさんにお教えするほどの知識もありませんが、そこはいち歌舞伎ファンの経験談ということで・・・。

その際にちょうど新橋演舞場で上演されていた花形歌舞伎を観ることができました。
演目は鶴屋南北作「盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)」。
出演は私の好きな尾上菊之助さん、市川染五郎さん片岡愛之助さん等と、若手中心の舞台で満足したひとときになりました。

内容は鶴屋南北らしい生世話(きぜわ)物。
歌舞伎で世話物というと江戸時代の庶民の物語を指しますが、代表作「東海道四谷怪談」でも分かる通り、鶴屋南北はこの生世話と分類されるより下世話で写実的な作品を得意としていました。

このお芝居は、単純に言うと、男女の純愛と嘘、愛を利用した裏切りと復讐、そして因果応報の物語。
ぶっちゃけ人間関係もその運命もドロドロで現代でもありそうな内容だったりします。

主人公の浪人源五兵衛は、深川の芸者小万に夢中。本来は主君の仇打ちをせねばならない立場なのに、それすら危ういくらいに入れ込んでいます。しかし小万という女、実は三五郎という亭主と子供がいる身。金を巻き上げるために彼に惚れているふりをしているのです。
そんな折、運よく仇討に参加するために必要な金百両を工面してもらえた源五兵衛でしたが、その大切なお金を「小万の身請けのために」使ってしまいます。でもそれは百両を騙しとるための嘘に引っかかっただけでした。
挙句、仇打ちにも加われず女にも騙されたと知った彼は夫婦の部屋に忍び込み、そこにいた5人もの人々を惨殺。
そこから命からがら逃げた小万と子供をさらに追い詰めて殺し、生き残った三五郎とは数奇な縁で繋がっていたことをやがて知ることに・・・・

もう、火曜サスペンス劇場もワイドショーもびっくりな展開です。
しかも、殺人シーンがなんとも凄まじい。
嘆願する小万の目前で赤子を殺め、続いて殺害した小万の首を切り落として持ち帰りそれを前に置いて食事をする。
現代なら連日テレビや新聞雑誌で一か月以上は延々取り上げられるような恐ろしい猟奇殺人です。

南北が活躍した文化、文政期は江戸庶民文化の爛熟期でもありました。
結果、優れたエンターティメントのひとつだった歌舞伎で、こういった退廃的で怪奇的な南北の作品は熱狂的な支持を受けたのです。

歌舞伎というと、なにやら小難しいものと思っている人も多いかもしれませんが、なかにはこんなマックス下世話なお芝居もたくさんあります。
しかもこの下世話なお話、衣装舞台装置照明と美しく演出されております。怖いもの見たさに一度、いかがでしょう?

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