ジョン・ウィック:チャプター2(John Wick: Chapter 2、米・2017年)

冒頭のカースタントだけでもうたまらんわ。めちゃんこかっこいいいいいいい。車は鈍器。大いに殴り合え!あとリロードフェチの人も必見です。作り手のフェチシズムと情熱をストレートに感じるこういう映画は本当におもしろい

そういえば、前作『ジョン・ウィック』は2014年に『カンフー・ジャングル』を観に行った際に香港で観たのであります。ジャングル先生のあれやこれやで頭いっぱいで書く機会を失ったままでした。その2が公開されたのです。

最初のカーアクションから最高だった。これは、カーチェイスじゃなくて“カーアクション”。「ガン・フー(Gun-fu・ガンとカンフーの造語)」とか「ナイ・フー(ナイフとカンフー)」とか言っちゃってるのに、なんでこれに「カー・フー(Car-fu)」ってつけなかったのかと思う。ほんと素晴らしい。あそこだけ延々とリピートしてもいい。

アメリカ人のカーチェイスってほんとリズム感と一日の長があるよね。スタイリッシュなカースタントはいっぱいあるけど、ここまで殺気に満ちて殴り合ってる感が前面に出て(ホントに人を車で蹴り飛ばす)なおかつ長尺なのに飽きさせないのは凄いし、なんといってもフォード・マスタングがボロボロになってゆくなんて死ぬほどセクシャルなシークエンスだったよ。ここだけで200点超え。んーもー。やーらーれーたー。

第1作目は、引退した伝説的殺し屋が犬を殺され車を奪われロシアンマフィアに復讐するというお話でした。殺し屋の集う謎のホテルコンチネンタルの存在やルール、ゲーム内通貨まんまなコインとか、主人公ジョン・ウィックが格闘術に長けたガンフーの遣い手!でヘッドショットを確実に決める、という世界観はすでに前作で出来上がっております。

引き続き、アメリカで今ノリにノッってるスタントチーム”87イレヴン”の共同創立者の2人、デヴィッド・リーチが製作(1では共同監督の立場)、チャド・スタエルスキが監督。キアヌと監督が続編でジョン・ウィックの世界観をどう膨らますのか、楽しみにしておりました。

2作目ではマトリックスへのオマージュたっぷり。なにしろローレンス・フィッシュバーンとノキアの携帯に地下鉄ホームっす。そして今度はイタリア・ローマが舞台に選ばれ、コンチネンタル・ローマのオーナーがフランコ・ネロときたもんだ。うふふふふ。

あと、キアヌのリロード動作ね。セクシーだったな~。監督がとても誉めてましたが、リロード好きな人は絶対に観てください。

予算が増えた分、ロケ地がこれまたすんごくいいの。カラカラ浴場(Terme di Caracalla)や、ローマの国立近代美術館(Galleria Nazionale d’Arte Moderna)とか。特に美術館内のアクションシーンは本当に美しい。巨大な大理石像、アントニオ・カノーヴァ作「ヘラクレスとリカス」(1795年)の前に広がる空間を、アクションの舞台に選んだだけで盲目的に加点しちゃいたい。

実際どこまで本物の美術館で撮影したのかわかりませんが、もし同じものを別セットで作っていたなら、彫刻や壁にガンガン弾着セットして穴開けるだろうし、ブラックレインを思い出させるような後付け照明とかなかったのではと感じたりもします。(そういえば、同じ美術館ファイトでトム・ティクヴァ監督の『ザ・バンク 堕ちた巨像(2009)』のクライマックスはNYグッゲンハイム美術館。映画の為にグッケンハイムのセットを別に建てたので銃激戦で破壊しまくってました)

この作品を観てて思ったのは、生身の人間が動き、そのアシストとしてのテクノロジーの進化ってほんと素晴らしいってこと。もしこれが実際の美術館内で行われたのだとしたら安全性を増した撮影用銃器や、マズルフラッシュ、着弾、血糊等のCG技術のお陰だし、同時に撃たれるスタントマン達の技術の高さもそれを支えてる。その後、鏡の間というブルース・リー『燃えよドラゴン』へのオマージュへ続いたのも、このシーンがあるからこそでしょう。

次ローマに行くことがあれば、こんな私でも絶対に行ってみたいもんね、国立現代美術館。長い目で考えれば映画のロケ地に貸し出すというのは絶対にリスクばかりではありません。なので世界中の美術館オペラハウス、古城など歴史的建造物関係各位におかれましては怖がらずアクション映画にどんどん素晴らしいロケ場所を提供してください、お願いします。

さてアクションは、前作で見せたガンフーという接近格闘術を取り入れたスタイルが同じですが続編ではナイフや鉛筆、また柔術なども加えました。それは目新しく映るけれど、ボルジアの階段をジョン・ウィックとカシアンが派手に階段落ちするなど、やってることは実はシンプルだったりします。実際キアヌが自身でやるカースタントや格闘、銃の扱いなどが、この映画の見せ場だし。メイキングを見てるとキアヌは大変な練習をしていて、1作目がまさにそうでしたが、彼の努力が結実し報われてよかったなとしみじみ感じました。この作品の放つエネルギーを生んだのは間違いなくキアヌの存在。これを撮りたかったんだ!という熱を感じられる映画ってほんとおもしろい。

映画『ジョン・ウィック:チャプター2』日本版予告編
今度は家かよ!『ジョン・ウィック:チャプター2』予告編

最後に、トリプルX:再起動で惚れたルビー・ローズ姉さんかっこよかったですね。もうねあのスーツ姿・・・・見惚れてしまった。しかし、しかーし、彼女はもっとできる子!次こそあのキャラ能力を最大限ブラッシュアップできる作品を期待!欲張りなワタシ!

そして、武器ソムリエは『ショーン・オブ・ザ・デッド』でゾンビ化するルームメイトのピートであった。

そうそう、製作の“87イレヴン”デヴィッド・リーチは今度のシャーリーズ・セロン主演『アトミック・ブロンド』の監督なんすよね、これ実は今年一番楽しみにしている映画。
映画『アトミック・ブロンド』特報
この後は『デッドプール2』だそうで。

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