葉問3 イップ・マン3(ネタバレ:1)@HK-ドニー・イェン 甄子丹

実にウーピン師匠でした。アクション篇

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葉問シリーズの名にたがわず、3作目もアクションシーンはテンコ盛り。

私が一番気に入ったのは、タイソンの送りこんだムエタイの刺客とのエレベーターから階段の戦い。相手は、トニー・ジャーに似てるなぁと思ったら本当にトニーのスタントダブルを演じていたSarut Khanwilai というお方。こんな瓜二つの人がスタントダブルだなんて、トニーはなんてうらやましい。
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妻も一緒のエレベーターという狭い空間では、妻ウィンシンを守りつつ刺客と戦うという設定がしびれます。男を外に蹴り出し、すかさず妻の乗ったエレベーターのドアを閉める師父。そこから階段へと移動しながらのアクションは、美しくてとてもスリリング。にしてもウーピンさん、足のアップすっきゃねー!  ↓彼は特に斜め後ろの顔とかそっくり!
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しかもその男を蹴散らした後、妻の乗ったエレベーターを迎えるイップ師父の夫に戻る表情がいい。何事もなかったようにドアを開け、床に落ちた荷物を拾いウィンシンの手を取る。
イップ師父!なんていい男なんだ。

マイク・タイソンはまるでラストファイトを戦うかのような宣伝の仕方でしたが、案の定中盤のハイライト。『イップ・マン 葉問』におけるサモ・ハンとの円卓の戦いのような位置づけ。
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最初このカードがあると知った時「うわあ」と期待とも不安ともつかない気持ちになったことを覚えています。しかし実際は自分なんかの予想を遥かに超えたデキでうれしゅうございました。

そういえば途中で師父がしゃがんで人間業とは思えないようなものすごく高度なポーズをとっていましたが、あれは詠春のなにか動きなのでしょうか?それともオリジナル?音楽も合わさってまるで必殺技のような提供の仕方だったので、ドキドキしましたよ。

記事で読みましたが、ドニーさんは相手が映画慣れしていないということもあって、毎晩タイソンの試合の動画を見てはその足の動きと癖を頭に叩き込んだというじゃありませんか。案の定、タイソンさん振り付けを忘れちゃって勝手にパンチを出してきて、あわや脳天にヒットしそうになりスタジオが凍りつく瞬間もあったとか。

そうだ、短いながらあのレオン・カーヤン(梁家仁)のアクションシーンもありますよ!
70年代からここまでずっと一線で頑張っているかつての超アクションスター。武術経験がないながらも、サモ・ハンの映画でしごかれまくってその地位を築きました。現在もドラマ映画のバイプレイヤーとして活躍する彼の久しぶりの本格アクションではないでしょうか。

狭い蝙蝠傘店でのファイトは、傘が舞い埃が舞い非常に楽しかった。見ながら「アクション監督って、どこ行っても”ここで戦ったらどうなるのか”って考えるんだろうなぁ」とふと思ってしまいました。

彼以外も師傅役のカメオ出演が目白押し。
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毎度おなじみ甄家班のユー・カン(喻亢)と、『イップ・マン序章』では武術指導も務め、青龍武館館主としてルイス・ファンにしてやられたトニー・リャン(梁小熊)、また『イップ・マン 葉問』でイップ・マンと円卓で戦った猴拳師傅のロー・マン(羅莽)という顔ぶれ。それぞれ、マックス・チャン(張晉)演じる張天志に見事にやられまくってるお姿は必見もの(笑)。

さて3のラストバトルの相手は、『SPL2』の獄長こと、そのマックス・チャン。
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11歳で四川省武術隊に入隊、1998年にウーピンさんのアクションチーム「袁家班」に入り、スタントマンやスタントコーディネーターとしてキャリアを積み、『グリーンデスティニー』でチャン・ツィイーのスタントダブル、『HERO』ではドニーさんのスタントダブルも務めました。

2013年のウォン・カーウァイ監督の『グランド・マスター』においては、監督の「八卦掌はできるか?」の問いかけに、八卦掌の高手であった彼はすぐその場で実演、見事馬三の役を射止め(劇中では形意拳の遣い手)、この作品で香港電影金像奨の助演男優賞を獲得しています

そしてドニーさんもまた、言わずもがな元袁家班。師匠ユエン・ウーピンアクション監督のこの映画で元袁家班同士(しかも俳優と元スタントダブルだった立場の2人)が激突したわけでもあります。

前2作のサモ・ハンのコレオグラフィーとカメラワークが神懸かっていただけにハードルはもんのすごーく高い。さてはて、どんなもんかとワクワクしていたら、マックス・チャンはウーピンさんとの相性が無茶苦茶いい、小学校や造船所での多勢を相手にする姿にはホレボレ。さすがでございます。

詠春拳に関しては今回初めて取り組んだそうですが、とにかく彼の動きはとても見栄えがしてすごくカッコよかった。少なくとも過去私が観た彼のアクションの中で一番でした。ええ男やし若いし、今後のアクション映画を牽引する俳優になることを期待しますよ!

一方のドニーさんは、ぶっちゃけユエン・ウーピンさんとは実は相性はあまりよろしくないのではと感じてしまいました。特にワイヤーワーク。この辺りは好みの範疇かもしれないので、あくまでも個人的意見です。

あと、あらためて観てウーピンさんのアップショットとカメラ、編集は個性が出ますね。それこそ一流の証ということなのでしょうか?『グランド・マスター』ではウォン・カーウァイ監督の趣味が大いに反映してるのではと想像しておりましたが、『悪戦』を観た時に「いや、ひょっとして」と思ったことが確信に変わりました。濃淡こそあれ、すべてはThat’sウーピン師匠だったという。

に、しても、この詠春対詠春、加えて同門という実にミニマムな戦いを、これほど壮大なスケールでこの2015年に観るとは思いませんでした。しかも六點半棍→八斬刀→徒手というフルコース!すげー!こんなマニアックなことをアクションにするのはラウ・カーリョンだけかと思ってましたよ!

最終的には、『イップ・マン 誕生』にも登場した、詠春(中でも特に葉問派)の「目に頼らず感覚を最重要視する」という特徴を活かした流れからのワンインチパンチですよ。

たしかにサモ・ハンとの差別化を図るのはかなり困難だったと想像しますが、なんてマニアックなんだ。ウーピン師匠・・・渾身のコレオグラフ。

と、言うわけでネタバレ:2に続く。

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