ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝(香港、中国・2011年)

監督、脚本、制作:徐克(ツイ・ハーク)
制作総指揮:于冬(ユ・ドン)
制作:施南生(ナンサン・シー)

出演:
李連杰(ジェット・リー)
周迅(ジョウ・シュン)
陳坤(チェン・クン)
李宇春(クリス・リー/リー・ユーチュン)
范曉萱(メイビス・ファン)
樊少皇(ルイス・ファン)
劉家輝(リュー・チャーフィー/ゴードン・リュー)

六本木に行こう行こうと思いつつ、気が付いたらいつの間にか1日の上映回数がめっきり減ってしまっていました。なので慌てて仕事の合間を縫って大阪のTOHOシネマズで観て参りましたよ。

ええと告白いたしますと・・・私、激しい『先端恐怖症』でして。
鉛筆や指が自分に向かってるのが怖いのは当然のこと、鮨屋のカウンター、本来なら一番いい席のはずの大将の真正面なんてのも、ひらひら大将がふるう柳場包丁に脂汗を流す羽目になり場所を代わってもらったことが少なからずあります。
どころか、あの大好きな甲子園球場ですら前方のファンが前後に振り続けるメガホンに目眩がするため自分では絶対にメガホンを持ちません(だって後ろの人が恐怖症だったら可哀そうじゃん!)。

そんな自分が果たして、中国初の3D、しかも「あの」ツイ・ハーク監督の武侠映画である『ドラゴンゲート』をまともに見ることが出来るのか?
実はすでに2Dでこの映画は観ていました。当然のようにあんなモノやこんなモノが自分に向かってくるのを承知のこの作品、3Dで観たほうが絶対に面白いに決まってるじゃんと知りつつ、実際に足を運ぶのには少々決心が必要でした。

で、結論から申しますと、行ってよかったー!
いくら3Dといえども、リアル柳場包丁のほうが1万倍怖い。と、書くとなんだか安っぽいポストプロダクションを想像するかもしれませんけど、そういうつもりではないので誤解のなきよう。

なにに感激したって、立体的な無影脚や飛び出す剣や手裏剣もよかったんだけど、それよりもうね、大好物の丈の長い衣装の裾のヒラヒラが信じられないほど素晴らしかった!
しかもキャストのほとんどがヒラヒラ系なうえ、リュー・チャーフィーに始まり、チェン・クン、ルイス・ファン等の朝廷側はそりゃもう色鮮やかで超豪華なお衣装の裾ヒーラヒラですよ。なんという眼福。
衣装に関して3Dにあれほどの効果があるとは知りませんでした、さすがツイ・ハーク。

↓ルイス・ファンの造型が最高にCOOLなこんなのとか

↓こういうものとか

↓こーんなのや

↓あーんなの

↓そしてこんな風なのや

↓こーゆーのが立体的にヒラヒラしちゃうんですぜ!たまらん!

以前ダンテ・ラムの『ブラッド・ウェポン』で本当にやりたかったスケールの銃撃や爆破などができた彼を親戚の人みたいに喜んだ覚えがありますが、同じように新しいオモチャを使い思う存分、武侠映画しかもあの『ドラゴン・イン』の後日譚として描くことができた監督には心からの拍手を送りたいと思います。すごいじゃん、ツイ・ハーク!やったじゃん、ツイ・ハーク!
今更誰もそこまでしないのじゃと思うほど、これでもかと飛び出すことを意識した絵作りは、まさに正しい3Dの使い方。非常にまっとうな3D映画です。

そのうえ、彼の描く女性がこれまたすこぶる趣味がいい。演じるのはジョウ・シュンにクリス・リーにみんな大好きグイ・ルンメイ。どのキャラもとっても魅力的な上、ジョウ・シュンとクリスは男装の麗人として登場して、もぅかっこいいんだから。心の中で何度も喝采を叫んでしまいましたよ、Brave!!!(セブンソードに欠けていたのは、ストーリーのまとめ方でも何でもなく、ひょっとすると男装の麗人成分だったのかも)
まさにツイ・ハークが牽引してきたともいえる90年代以降の武侠映画に慣れてない人には面喰うことはあるかもしれませんが、私にとっては裾ヒラヒラさせた美しい衣装の男達と、仁も情もわきまえた女剣客と男装の麗人がいて、全員が内功を駆使して空を舞い、どころかそこにジェット・リーまでいるんだから!一体なんの不足がございましょう。

観る機会のある方なら是非とも3Dでご覧いただきたい映画です。きゃー、今すぐ映画館へ!
その際は一緒にパンフレットもお買いになることをお勧めします。執筆陣はくれい響さんに浦川留さん、宇田川幸洋さんという安定したクオリティ。内容も情報量も申し分なし。

もしこの映画に難癖をひとつつけるとしたら、エンドクレジット、英語表記が横についていたせいか、やたらと文字が細かくて劇場なのに確認が出来ない部分が・・・。スクリーンであれならソフトでできるわきゃない。

武術指導は、元彬(ユン・ブン)、藍海瀚(ラン・ハイハン)、孫建魁(スン・ジエンクイ)。元彬さんは成龍と同じ「七福星」のお一人ですが、浦川さんのコラムによると藍海瀚は台湾の京劇学校、孫建魁は中国武術隊出身でジェット・リーの『少林寺』『少林寺2』でも共演し今作でも宿屋のオヤジで出演しているのが彼だそうです。

2012年度香港電影金像奨で最佳動作設計賞を受賞した時の元彬と藍海瀚
(追記:谷垣さんの本によると、SPLでサモハンの替身を担当したのが、左の藍海瀚さん)

受賞の喜びを功夫ポーズで表す元彬さん

そういえば、オープニングとエンディングに使われた『小刀会組曲』のクレジットがちゃんとありましたね、よかった。
↓以前、やっとあの曲名を捜しあてた時の喜びのエントリー
小刀会組曲 序曲

名曲は何度でもなので、あえて貼る『小刀会組曲 序曲』
Dagger Society Suite 小刀会組曲 – Prelude 序曲

おまけ:あの明和電機のOtamatoneで演奏した序曲を見つけました(笑)そうですよね、もってたら絶対にトライしたい1曲ですよね!
小刀会序曲(开头) – Otamatone

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ドラゴンゲート 空飛ぶ剣と幻の秘宝(香港、中国・2011年) への4件のフィードバック

  1. June のコメント:

    私めも やや先端恐怖症でして お箸の先とか指先とか 少し離れてても突きつけられるの
    嫌です(笑)
    その上3Dは見て疲れるので出来るだけ避けるのですが 今回は3Dでしか上映されない…
    ので頑張りました 
    映像はやはりDVDで見ていたより格段にスケールアップされ 奥行感が非常に感じられて
    良かったですね
    パンフも納得の出来で しっかりゲットいたしました
    オープニングの小刀会組曲も以前にママさんがレクチャーして下さっていたので
    更に親しみが持てましたです

    しっかし…220のキャパに6人しか入っておらず(悲) 勿体ない
    かつてドラゴンインを見ていた年齢層には 3Dは映像と字幕を忙しくピント合わせしなく
    てはならないのが少し辛かったかも?でございました(自分含め)

    ところで今回感じたことは「やっぱ 悪役は美しくあるべき!」ですよねっ

    • ケイコママ のコメント:

      ここにもいた先端恐怖症(笑)
      小刀会序曲、かっこいいですよね~私も劇場で大音量で聞いて感激しました
      哨吶(スオナ)ですかね?あのメロディの出だしといい音色といいたまりません!大好きです!

      んでもって悪役は美しくあるべき、に全力で同意します
      チェン・クン素晴らしく美しかったですね~さらば復讐の狼たちよ(で、よかったっけ、邦題)のときもイケてましたが、今回はそれとともに2役。ツイ・ハークのシナリオは、いつも・・・まぁ、なんですが(笑)キャラ作りと武器は本当に超一流です。

  2. 岐阜の『ともっち』 のコメント:

    こんにちは!
    残念ながら、僕は先端恐怖症ではありませんが・・・こっちに向かって物やら人やらが飛びかかってくると・・・思わず右手人差し指が『ピクッ!!』っと動いてしまう、ともっちです。
    テレビゲームで『バイオハザード6』をやっているのですが、相手の攻撃(主に雑魚キャラ)の攻撃に対してシビアな判定で人差し指のコマンドに成功すると、一撃で反撃できるアクションが発生するんです。そんなことやってばかりいるので、何も考えなくても思わず・・。
    前置きが長くなりましたが・・『ドラゴンゲート』終了間際に観てきました。
    コメントを書いている今日、もう公開終わってます(泣)!
    ちょっと字幕が見にくい部分がありましたが、武侠映画を3Dで楽しむなんて滅多にないことですから、楽しめたと思います。
    好きなキャラは断然グイ・ルンメイ!円形の刃を持った女はカッコよかったです!
    あの『言えない秘密』のヒロインと同じ人だとは思えない(笑)!
    クライマックスで無影脚出て、『うわっ、出たっ!!』と、思わず笑ってしまいましたし。
    例えたら・・ジョン・ウー監督作品でお約束のように『白い鳩』出すようなものじゃないですか(笑)?無影脚出す瞬間だけでも『ワン・チャイ』の音楽流れてもいいのに・・。
    ストーリーについては・・あまり深く考えずに観てました、だって、ツイ・ハークだもん(アタック№1かよ・・笑)。でもこれでコメント〆ますけど・・これだけは『?』でした。
    ラストの毒殺シーン・・あれ必要ですかね???

    • ケイコママ のコメント:

      へぇぇぇぇぇ、ゲーマーはアレを見てそんな反応に!おもしろい(笑)

      グイ・ルンメイ、ビジュアル武器ともに良かったですねぇ
      そういえば前作の『ドラゴン・イン』の時に制作総指揮だったン・シンユーが昨年、
      「当時、マギー・チャンは古装が初めてて心配する人もいたけど立派にやり遂げた」と言うような事を話してましたが、グイ・ルンメイも初めての古装じゃなかったでしょうか。

      ジェットの無影脚は私も笑ってしまいました、そうこなくっちゃ!ツイ・ハークわかってらっしゃる。
      毒殺もツイ・ハークだから別にいいです。なんとなく美しい宮中の絵で終わりたかったんですよ、多分(笑)

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