2011年NHK杯 その2

前日の男子SPでは、ブランドン・ムロズ選手によるGPシリーズでの初の4回転ルッツ成功という珍しいものを見てグンとテンションの上った自分。

この日のFSでテンションを上げてくれたのは、イタリアのサミュエル・コンテスティ選手。
彼はいつも個性的で素敵なプログラムを滑る選手。
しかし、最近はジャンプミスが多く、そのカッコいいプログラムをパーフェクトに見せてくれることが少なくなってきていました。

2シーズン連続で滑る素晴らしいコレオグラフィーのSPも、前日ではジャンプのミスが影響し、最後まで乗り切れぬまま7位発進。

一方、FSは新プログラム。
衣装も曲も彼に似合ってとてもおしゃれです。

まずは、緊張の3A。おおおおおお決まったぁぁぁぁぁ、しかもキレイだよ~。加点もらえるんじゃない?やれば出来るじゃないか!

続いて、3F。これまた美しい。このあたりで少し心配になってきた。いやいやいや、先は長いぞ、ぬか喜び禁止。期待しすぎてガッカリはいやん。
すると難なく3Lzも決めてしまいました。
うわうわうわ、これってまさか、何か取り憑いてる?サミュエル。

そんなこっちの動揺(?)をよそにスピンに突入。スピンはうまいんです、スタミナさえ切れなければ心配ないんです。

そしていよいよ、懸案事項のアクセルからの3連続コンビ。
もう祈るような気分ですよ。まずはアクセル、決まった!次は2T、これも成功!最後に、もいっちょ!降りたー!転ばなかった!
会場は一気に解放されたような歓声に包まれます。

もうこうなったら、いてこましたれー、サミュエルー!

続く3Loではお手付き。あああん、でも転倒じゃないからね、ね、ね。
本人も手ごたえを感じてきたのか、コレオステップではノリノリですわ。ステップからの2Aなんか軽い軽い。そこまでの良いデキに観客が励ますかのように手拍子。
普段はめったに手拍子をしない自分が、思わずみなさんと一緒にしてしまいました。それほど、彼に最後まで素敵な演技をして欲しかった。

後半の3S-2Tはふたつめが詰まったものの、いいんすよ、絶対に転ぶな!残りはあとひとつだ!
すると、最後のシークエンスも見事決めてしまいました、やった、やったよ、サミュエル、転ばんかったやん!サミュエル!

とにかく、会場中が同じ気持ちで見守っていたのでしょう、エンディングでは弾けた様な祝福の拍手の嵐。ご本人も充実感をたたえた表情で挨拶。当然、自分はスタオベでございます。
よかったね、サミュエル、私もそれが見られて良かったよ、そんな気分。

ほんと、前日のSPが嘘みたいな演技です。
かと思うと、SPでいい演技をしてもFSでボロボロになる選手もいる(ああ、ブランドン・・・)。
トップクラスの選手だけを見ているとSPFS両方最小限のミスで揃えてくるのは当り前のことにも思えます(だからこそトップだし、トップ選手でもそれは実はすごく難しいことで、いつもできることではありません)。

だからでしょうか、なかなか、それがまとめきれない、どころか揃うのは両方残念な演技ということもあったりする選手が本人比でいい演技ができ、またそれを見ることができた時の喜びは、また格別。

それは、順位とは関係ないところにある、フィギュアスケートという競技の不思議な魅力の一つでもあります。

去年より今年、昨日より今日、誰と比べるのでもない、本人比で上手くいったからこそ一緒に喜べる、そんな連続性がフィギュアという競技を見る最大の魅力ではないでしょうか。

だからこそ、ランキング上位じゃない選手の演技も飽きずに見ることができたりするんだなぁ。

2011NHK杯フィギュア 公式サイト

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