低俗喜劇(2012年・香港)@大阪アジアン映画祭

実は香港のコメディ映画はそんなに得意じゃありません。と、言いつつ王晶とジェフ・ラウなんかを褒め倒しているので、どうか真に受けないでください(笑)。
な、はずの自分が『低俗喜劇』を見に行こうと思ったのは、ひとえに昨年香港で公開されて非常に評判がよろしかったから。数字として観客が支持した作品はやっぱそれなりのものがありますね(て、いまさら)。

冒頭から、クレジットで『この映画は悪い言葉を使っています』『政治的に偏っています』『色っぽい場面があります』『見ると不安になります』『不快になります』などと矢継ぎ早に注意書きが。挙句『嫌なら今すぐ劇場を出てください、10秒の猶予を与えます』(本当に10秒待ってた)ときたもんだ、これを見て一発で別のものを思い出したのですが、それはのちほど。

いやいやいや、おもしろかった~!爆笑につぐ爆笑。

なにしろ広東語は一切わからない、向こうの元ネタもほとんど知らない、で観たのにこんなにおもしろいなんてある意味この映画のクオリティの高さを表しているかと。

主役のチャップマン・トー(杜汶澤)が映画のプロデューサー役ということしか知りませんでしたが、始まりは絶対にこれ『アクターズ・スタジオ・インタビュー』だよね?ね?と思わせる大学での講義の一環としてのインタビューから。
そこで語られるプロデューサーとして1本の映画を作ることの体験談と苦労。

大陸のヤクザから資金を調達しようと奮闘するチャッピーとそのヤクザ役で登場するロナルド・チェン(鄭中基)がとにかく凄い。なにが凄いって、そのキャラは是非その目で確かめてもらいたいくらいスゴイ(笑)。そしてチンピラ役でラム・シュー(林雪)も登場。ついでに彼らの愛妻がまたぶっ飛んでますから!

なんといっても、この作品、いろいろ出てくるエピソードがいちいち秀逸すぎるわけですよ、例えば映画で食えなくなった監督が主婦向け麻雀店を無許可で開いてるとかね。そこに警察のガサ入れがあった時の対処の仕方とかもう。これって絶対に実際にあったエピソードなんだろうな、と思わせる塩梅がたまらない。

なかでもヒロインの爆炸糖ことDaDa(陳靜)ちゃんがイカしてるのなんの。

彼女、劇中ですっぴんを見せるシーンがあるのですが、その顔がまた妙に地味なのも最高でした。映画出演を願って業界人に色仕掛けで迫る女優志願の役どころで、彼女の必殺技が口に入れるとパチパチ弾ける爆炸糖というキャンディーを口に含んでのフェラチオという(笑)。

↓ちなみに爆裂糖は実際にある商品だそうで

公開後、このキャンディーがとにかく売れたとかなんとか(笑)。
ここまでの文章だと多分頭の弱い女の子にしか思えないかもしれないけど(すみません)、彼女のキャラがとってもよく本当はすごく気立てのいい子に描かれていて好感を持てるようになっている。まるでアニメに出てくるファンタジー少女の域でしたよ。

低予算で純粋な香港映画として作られたこの作品、チャッピーの元妻役は実際の奥さんであるクリスタル・ティン(田蕊妮)。そして二人の娘役は本当のお嬢さんなんだそうで。
そういえば、むこうで大活躍の日本人俳優、葉山豪さんもご本人役で登場。多分『3D 肉蒲団』を観ていれば笑えるセリフがあったようにお見受けしました。残念!まだ観てない。そうそう、『燃えよ!じじぃドラゴン 龍虎激突』で見事香港金像奬を獲得したスーザン・ショウ(邵音音)さんもご本人役で出演。なぜ本人が出てくるかの流れがまた笑えるんだ。

さて、上述したこの映画の冒頭ですぐに思い出したという別のものですが、それはズバリ『モンティ・パイソン』です。香港の商業映画としてショウブラなんかが真面目に作った武侠映画が『モンティ・パイソン』を彷彿とさせるということについては以前に書きましたが、その「低俗」さといい、「セクハラをめぐる言葉遊び」といい「性」に関する描写といい、今作では堂々コメディとして非常に同じテイストを感じました。パン・ホーチョン(彭浩翔)監督の才能に改めてびっくりです。

パン・ホーチョンといえば、彼の快作『AV』 が4月に日本でDVD化されるとか。わははは、観たい~。ところで『恋の紫煙』って日本でソフト化されてないんでしたっけ。これを機にされないでしょうか。残念ながら観ることはできませんでしたが『恋の紫煙2』は今回のアジアン映画祭で観客賞を受賞したようですよ。そしてできたらこの『低俗喜劇』もドサクサに紛れて是非ソフト化を!

《低俗喜劇》Vulgaria 預告片(粗口版)

 

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低俗喜劇(2012年・香港)@大阪アジアン映画祭 への4件のフィードバック

  1. 岐阜の『ともっち』 のコメント:

    最近観た映画で、好きな映画の主題歌は?と聞かれ、『雷兄弟の歌』と即答してしまう、ともっちです。
    日本で予想外の大ヒットをした『テッド』は・・ママさんならきっとご覧になってるかもしれませんね。細かいネタが多すぎて僕にはさっぱり解らなかった部分も・・。
    細かいネタが散りばめられた映画は・・きっとママさん好きそうだ、いや・・好きに違いない(笑)!!
    もしこの『低俗喜劇』が日本で劇場公開されるとしたら・・テッドと同様のR-15相当でしょうかね?
    3度のメシより下ネタが大好きな僕なら、絶対観てみたい映画として覚えときますっ!!

    • ケイコママ のコメント:

      うは!実は観てない『テッド』(笑)
      細かいネタモノは好きですが…映画に関しては非常に知ってる範囲が狭すぎるので(いや、他のこともそうだ)
      多分ほとんどわからないんだろうな~と思いつつ今に至っております(汗)だって…告白するとアベンジャーズも観てないんすよ自分
      あの辺りで観たものといえば、スパイダーマン1,2とアイアンマン1,2くらいでしょうか、とほほ。
      アベンジャーズといえば、傘を持ったレイフ・ファインズと助手のユマ・サーマンでラスボスがショーン・コネリーというアカンタレです。

      別にアメコミが嫌いとか以前に、もうまったく読んだことも観たこともないので好きか嫌いかもわからない・・・とほほ。

      あ、『低俗喜劇』に関しては確実に15-Rだと思います、てか、必殺技のシーンがあるので(もちろん直接的ではないですけど)ひょっとしたら18とか?映倫さんの判断は、まったく理解してないのでよくわかりませんが、15はいくのでないでしょうか。
      ほんとうに日本でも、好きそうな方が気軽に観られる機会がくるといいのですが。

  2. ペイポン のコメント:

    おはようございます!
    香港映画の動きと「ゴーカイジャー」の動きが似てるって
    今朝の「おは朝」開始早々のコメントよかったです!

    • ケイコママ のコメント:

      ペイポンさま
      ご覧頂いてありがとうございます、ははは、だって唯一観たのがそれだったんで、つい(笑)。戦隊物って全然明るくないですけど、アクションすごいですよね。感心~。

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