蔵出し功夫映画特集

性格のせいなのか、レビューを書くとやたら長くなってしまうので、観た本数にブログが全然間に合わない。
のでここで以前観て印象に残った功夫映画を、ほんの少しですがメモ代わりに記しておきたいと思います。(順不同)

・カンフートレジャー龍虎少林拳(81年)

監督・動作・出演 劉家榮(ラウ・カーウィン)
出演 劉家輝(リュー・チャーフィー)傅聲(アレクサンダー・フーシェン)張展鵬(チャン・チェンポン)王龍威(ワン・ロンウェイ)

かわいいかわいいかわいいぞ!フーシェン、おまけにこれは実弟の展鵬(チャン・チェンポン)も共演していて、なんというか2倍お得。

成龍のあのキャラはフーシェンに影響を受けている、というのはショウブラファンの皆さんが一致してよく言うこと。
キュートでコミカルな彼を見ていたら「なるほど」と自分もよく思ったりもするのですが、この作品自体は81年の作品。フーシェンの魅力満載。

・大刺客(67年)

監督 チャン・チェ
出演 ジミー・ウォング、チャオ・チャオ、ティエン・ファン

自分はチャン・チェと組んでた頃のジミーさんが好きです。
幼馴染の女の子との別れの日々を親切に描いてくれたので、ある意味観てるこっちも心置きない。いざ、男の花道へ!
お姉さん立派です。弟の名を残すために検分にいってそこで自害するとは。
チャン・チェにしては珍しく女性描写が丁寧でした。
白い衣装が血に染まるのはもはや様式美。
たくさん見た中で一番好きなジミーさんかも。

・続 嵐を呼ぶドラゴン(76年)

監督 チャン・チェ、ウー・マ
出演 アレクサンダー・フーシェン、チー・クァンチュン、タン・イェンツァン、ルン・フェイ、ワン・ロンウェイ、レオン・カーヤン

も~~~チャン・チェは、ほんっっっと血が好きだなぁ。復讐に次ぐ復讐。
グロいシーンになると画面が赤くなるのは他の映画でもそうだった。
あれはチャン・チェの当時のマイブームだったのでしょうか。

主演はフーシェン。ここではちょっと魅力が出てなかったか、彼は笑顔を見せてなんぼですやん。
共演は戚冠軍(チー・クワンチュン)。いつどの映画で見てもこの戚冠軍がね、とっても素敵。
この人は11歳から洪家拳の名門趙威派で学んだ武術家です。
そういえば、年を重ねてからも「超酔拳」などでアクションを披露していました。

今でも検索するとyoutubeとかで、近年の彼の素晴らしい表演とかを見ることが出来ます。年をとっても鍛え抜かれた身体は相変わらず。いい男ぶりは変わりません、嬉しいですね。
男性の肉体美にはそれほど反応しないと思っていた自分が(溺愛する甄子丹でさえ、ちょい苦手)この若い時の戚冠軍「だけ」は非常に気に入っています。特に背中がいい。

見どころはたくさん並んだ杭の上での闘い。功夫映画にありがちな設定ですが、この正式名称を「梅鉢杭」というそうな。
そしてフーシェンが復讐のために会得した鉄の身体は鉄布衫という。思い返せばこの映画で色々覚えました。

武術指導は謝興(シェイ・シン)と陳信一(チャン・サン・ヤッ)。
ド肝を抜くオチは是非その目で確かめてください。

・倩女幽魂/チャイニーズ・ゴースト・ストーリー2011年版(日本未公開)

監督 ウィルソン・イップ
出演 ルイス・クー、ルイス・ファン、リウ・イーフェイ、ユー・シャオチュン

ルイス・クーは芸域が広いなぁとまたまた感心。演技として古装が合うかどうかは置いといて、若い時はちゃんと若く見えた、それだけですごい。
監督インタビューによると、制作前はこの役をドニーさんにという話もあったそうだけど、無理無理(笑)リウ・イーフェイと彼だなんて絶対にロリコンにしか見えない。ルイスで正解です。
(リウちゃんは、あのドラゴンキングダムでゴールデンスパロウを演じていた女優さん)

それにしてもイップ監督、相変わらずハズしてくる癖は健在。
主人公の若い2人(ここではリウとユーね)が初めてキスをして抱き合うところでいきなり板が外れて彼らがその場から消えるとこなんか、「いかにも」で笑かせてくれました。
次回作も楽しみにしてますよ!
VFXたっぷりで少し心配でしたが、アクションもよろしかったです。さすがルイス・ファン。クーさんのほうも頑張ってます。ベティ・ウェイ姐さんも出てました。妖怪の首領役。

あ、いきなりあのテーマがかかったのは嬉しい驚きでしたわ。ちょっとジーンときたりして。エンディングロールもジャッキー・チュンの歌付き。やっほー。

・美麗密令(2010年、日本未公開)

監督 ウォン・ジン/バリー・ウォン
出演 シャーリーン・チョイ、サンドラ・ン、ルイス・ファン、ジム・チム、ウィリアム・チャン

昔の香港コメディがすんごく苦手な自分が(成龍でギリギリライン)、最近はどんなことになってるのかと超久しぶりに観てみたウォン・ジンの作品。
これが功夫カテゴリーに入るかどうかは謎ですが、とりあえず知ってる役者が出てるほうが、ということで動けるツインズのシャーリーン主演でルイス・ファンが共演しているこれを。

まんまサンドラ・ブロックの「デンジャラス・ビューティ」にインスパイア(笑)されたお話。
日本語字幕ではないので細かい台詞は分らないけど、こんな自分でもルイス・ファンの役名が「袁子丹」ユエン・ジーダン(広東語読み)てのは分ったよ。袁和平+甄子丹かい!(ちなみに甄子丹の広東語読みはヤン・ジーダン)このお手軽さがほんと香港映画。

そのうえで、上司とミスコンに潜入したルイスが「丹丹」(タンタン)なんて偽名でオカマのヘアメイクに扮しちゃったりします。
おお「最強喜事」の元ネタはこれか~!
自分の名前をもじられた分、あれは本家がパロディのこれまた意趣返しをしたわけね!とニヤリ。
劇中葉問の名前が出てきたり、詠春拳習ってますから、みたいなセリフもあり、なんだかんだ言って当時「イップマン」が香港で大人気だったのがうかがえます。
(そういえば1対10のアクションも色んな映画でパロディにされてますね)
王晶ということで気軽に観ましたが、ドニー・イェンファンとしてはそんなこんなで結構楽しめてしまいました。

・続 少林虎鶴拳 邪教逆襲(1980年)

監督 ロー・リエ
出演 リュー・チャーフィー、ロー・リエ、ベティ・ウェイ
武術指導 ラウ・カーリョン

もうね、ロー・リエ監督すごいっす。初監督でしたわよね、しかも別に狙ってるわけじゃないんですよね?ね?ね?ご本人は多分フツーに商業功夫映画を撮ったつもりなんすよね?
なのにこのブッ飛び具合はどうでしょう。(ある意味)まさにショウブラを代表する1本といってもいいのでは。
これ以上の言葉はヤボ。とにかく観ろ。

・激突!蟷螂拳(78年)

監督 ラウ・カーリョン
出演 デビッド・チャン、ラウ・カーウィン、セシリア・ウォン、リュー・チャーフィー

本編もさることながら、これはDVDについてたオリジナル予告編がとにかく素晴らしい。
だいたい予告編で監督自らが出てきて一番スゴイ演武を見せて主演を喰うって普通ないっしょ。
若いころの師父、本当に素敵ですカッコいいです。

そんな師父にカメラ目線で「請各位多多指教!」なんて言われちゃったら、絶対に見てしまうやろ~鼻血でるかとおもいました、劉家良師父、素敵すぎる。

本編?本編はえーと、1時間10分過ぎに修行かよ!

そうだ、甄子丹の「関雲長」での狭い路地での関刀の苦戦ぶりを観た時、思わずこの映画でのシーンを思い出してしまったことを付け加えておきます。

・五毒拳(78年)

監督 チャン・チェ
出演 チャン・シェン、ロー・マン、フィリップ・コク、サン・チェン、ウェイ・パイ

「世界で観ておきたいカルト映画」にも堂々選ばれた、ご存知チャン・チェの代表作。あの「キルビル」のタランティーノも大好きなことで知られていますね。
今なお熱く語っている人はたくさんいるし、いろんな映画や分野に影響を与えた作品です。それだけのことはあります。
すごいです。自分の文才のなさでは、この凄さは表現しきれません。

それにしてもタイトルが秀逸ですね、原語では、まんま「五毒」
このセンスだけでもチャン・チェはやはりけた外れの才能を持ってます!

・南少林寺VS北少林寺(78年)

監督 チャン・チェ
出演 チャン・シェン、フィリップ・コク、ロー・マン、サン・チェン、ウェイ・パイ、ワン・ルンウェイ、べティ・ウェイ

清朝の悪い将軍が(当然、王龍威)邪魔な少林寺を抹殺しようと北派と南派を計略でもって同志討ちさせようとする。
その計略にまんまとはまったこの二派が敵対するという話を五毒メンバーで撮った映画。

途中、北派に歯が立たない南派の弟子3人がそれぞれ蟷螂拳、詠春拳、棒術を極めるための壮絶な修行を繰り広げる!というのが、この映画のハイライト。
もんのすごい修行です、装置です、エナジーです。
とはいえ、蟷螂拳、詠春拳ともに非常にデフォルメされた形なので、本格的なものは望まないほうが吉。五毒ファンは必見。

個人的には自ら潰した卵しか食事に食べられない、という発想が非常に気に入りました。
地味ですが、これはとってもキツイ罰ゲーム!

・少林皇帝拳(79年)

監督 ラウ・カーリョン
出演、リュー・チャーフィー、 ロー・リエ、 ワン・ユー、 ベティ・ウェイ、 シャオ・ホウ

お忍びで旅している11番目の皇太子のリュー・チャーフィーに詐欺師のワン・ユーがなぜか弟子入りして、というお話。
世のなかには様々な修行シーンがありますが、この肩に油の入った小皿を載せてという場面、あれ多分本物で、んでもってその油がこぼれたらマジで熱かったんだろうな、と思わせるリアルに役者の人権まったく無視な無茶ブリな感じが好きです。

劉家良の動作設計は華麗でアイディアに溢れ、それでいてとっても高度!!!
それを見ているだけでお金を払う価値あり。特に女子との二人羽織状態のアクションとかは、お見事です。
まさに当時の師父はアクションコレオグラファーとして一歩も二歩もリードしていたお人ということが確認できる一本。
そしてDVDについている特典映像は劉家輝ファン必見の映像。ロックギターをかき鳴らし歌うナイスミドルなお姿が拝見できます。

劉家輝といえば2010年、脳卒中に見舞われて半身不随になってしまったというニュースを読みました。当初はご本人も大変なショックで自暴自棄になられたとか・・・。
たくさんの人に励まされ、今はリハビリに努力していらっしゃるそうですが、一日も早い回復をお祈りいたします。
また元気なお姿をスクリーンで見せてください!!!

・非情のハイキック~黄正利の足技地獄~(79年)

監督ルー・ジンク
出演ウォン・チェンリー、コー・フェイ

かつて数々の映画に悪役として出演した黄正利(ウォン・チェンリー)。
彼が日本の功夫映画ファンにどれほどの人気があるかを示す作品が、まさにこれ。
と、いうのはこれ以上の凄いアクションがあったとしても、多分チェンリーが悪役として出演していなければ「絶対に」日本でソフトになんか、ならなかっただろうなと思わせるほど、とにかくストーリーが陰惨で非情。

どれくらい陰惨かというと、イップマン序章に登場する日本軍の佐藤なんか可愛い可愛い。
しかも中国人同士(あ、発端はイギリス人か)ですからね。敵を描くとなればとことん極悪人で最悪で、主人公側はこれでもかってくらい凄惨な目にあう。まぁ、ある意味、タイトルに偽りなしというところでしょうか。

しかししかし、そこはウォン・チェンリー、出番的にそれほど多くはありませんがアクションシーンで見せる足技はすんばらしい。ラストのコー・フェイとのラストバトルも見ごたえあり。

・スコーピオン・ファイター(92年)

監督 デヴィッド・ライ
出演 チン・カーロウ、ラウ・カーリョン、ウォン・ジン、ユエン・シュンイー、ユン・タク
武術顧問 ラウ・カーリョン、ユン・ケイ
武術指導 ユン・タク

忘れもしない、この映画を観るきっかけはたまたま覗いていたyoutubeのクンフー動画。
「俺の好きなキッカー10選!」みたいなものに出て来たウォン・ジンの蹴り技とその身体能力の高さにビックラこいて即、購入したからであります。
そしたら、なんとチン・カーロウ主演だわ、ラウ・カーリョン師父は出てるわで小躍りしたという次第。

ラウ・カーリョンの一見普通のオッチャンに見えつつも実は・・・とういう設定はありがちですが、やはりワクワクするし、厨房で料理をしながらという修行シーンも楽しかった。
蹴りを出す時に必ず肩が動く、これは師父が昔から修行エレメンツで何度も言ってることですね!上にも書いた「少林皇帝拳」では火のついた油皿でしたが、ここでは玉葱やトマトを肩に乗せての説明。実に師父らしいシーンです。

そして、何もかも失くしてしまったこの師父が主人公チン・カーロウと一緒に相手の屋敷に殴りこみに行く場面では、あの元徳(ユン・タク、この作品では武術指導を担当)の持っている三節棍を奪い戦うさまが見所のひとつ(この元徳の若いころがまたカワイイ顔してるわけさ!)。

しかしなんといってもこの映画、そのウォン・ジンの存在が光ります。
これはもう観てもらうしかない。自在な足と惚れ惚れする柔軟性とキレの良さ。
独特のヘアスタイルとサソリをイメージしたアンビリーバボーな動きは悪役として存在感はピカ一。この人のそのキッカーぶりを観るだけで価値がある映画。

しかも、そのウォン・ジンと師父の勝負まである、ときては、これはなんという私得映像。
肩の動きで相手の次の技を見切る師父は無双でございます、すてきすてき~。
が、一応主人公がいるわけで、そこは卑怯な敵のピストルにより足を負傷した師父から、勝負は弟子のチン・カーロウへとバトンタッチ。
そこで繰り出される彼の新技のまた笑えること。あんなんで迫って来られた日にゃマジこえーよ!

おまけで付いていたチン・カーロウの特別インタビューも含めてすごくお買い得なDVDでした!
満足。

・・・と、まぁ、気がつけば、駆け足で書いたつもりが、またかなりな分量の文章に・・・はらら。
これでもまだちょっとしか紹介しきれてないわ(笑)。

ほかのラウ・カーリョン監督作は書き出すと長くなるのでまた別の機会に。
キン・フー監督とかチュー・ユアン監督の武侠作品とかも、なんだかんだ観てるけど、こちらもいつかじっくり書くかもしれないので今回は割愛。

他の映画もまた、そのうちに、まとめて一気に蔵出しするかもしないかも。

 

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蔵出し功夫映画特集 への2件のフィードバック

  1. フリーマンつつい のコメント:

    新年快楽!!
    しかしながら見てるねえ。まだまだ作品はあるのでがんばってください。

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