栗原市 漢方豚

とうほく食文化応援団、第8回目は栗原漢方豚。

TPP参加問題は、各産業に影響のある事なので、さまざまな分野の視点からそのメリットデメリットが取り沙汰されました。

その中でも、注目された分野に農業や畜産があります。
日本の自給率が壊滅的な打撃を受けると危機感を訴える人達がいる一方で、この機会を前向きにとらえようとしている生産者たちもいらっしゃる。

前向きにとらえようという人達のなかには、このTPPの問題が浮上するずっと以前から試行錯誤を繰り返し、すでに様々な取り組みを始めていたりします。
今回、訪ねたのはそんなうちの一人といっていいでしょう。

株式会社ダイチの佐藤勝郎さんは肥育に14種類の漢方素材を飼料配合した漢方牛の販路を開拓してきました。
飲食産業やホテル等への直納,通販等の直接販路を確保することで新しいモデルを作り、また栗原の牛肉に付加価値をつけることに努力してこられたのです。

以前、仙台市内でそのダイチの直営店で漢方牛のハンバーグを食べたことがあります。ものすごくリーズナブルな値段とその美味しさにまずビックリ。
また連れて行ってくれた人のお話では、例えばこういったレストランにも畜産生産者の子女などを積極的に雇用して、ひろくサポートする体制が出来ているのだとか。

近年そのノウハウを豚に活かした「漢方豚」も生育することになり、今回はその漢方豚を戴きに、お膝元、栗原市のレストラン「満てん」に伺いました。ウイークディのお昼だというのに駐車場には車が一杯。いかに地元で人気のお店かうかがい知ることができます。

出していただいたメニューは「漢方豚のハンバーガー」と「漢方豚丼」という2種類の新メニュー。

バーガーに挟まれた豚カツは、柔らかく想像以上に脂っぽくないあっさりした食べ応え。生のワサビの葉がほんのりとした辛みを添えて、なんというか大人の味わいです。こりゃ、ビールが欲しくなる!

このメニューにはワサビの葉の代わりに茹でてほんのりマリネした温野菜を一緒に挟んだものもあり、お好みでどちらかが選べます。

一方、漢方豚丼はこの漢方豚から取ったスープで炊きこんだご飯に柔らかく煮込んだ大ぶりの豚と半熟玉子が載った見目もうるわしい丼もの。それに漢方豚の豚骨スープがお味噌汁代わりについてきます。

普通、豚骨スープと言うと少し臭みがあるのが特徴で、それがいいんだと言う人もいたりするのですが、不思議なことにこの漢方草を与えた豚の骨から取ったスープにはまったくその臭みがありません。これにはかなり驚きました。

「おもしろいことに、この漢方草をまぜた飼料を与えた牛や豚を育てる牛舎や豚舎には、牧場独特の臭いがまったくないんですよ」と佐藤さん。

ではその漢方を与えることで何が変わってきますか?
「それはまず、出荷する時点でその豚の健康がまず違ってきます。健康は内臓、つまりホルモンを見れば一目瞭然です。内臓は食べる前によく洗って臭みをまず取らなくてはなりませんが、それがこの漢方豚では最初から本当に美しくて臭みが少ない。健康なひとつの証拠です。また漢方由来のビタミンEやα-リノレン酸などをたくさん含んでいて栄養も満点です」

たしかにお肉にも、ほとんど臭みを感じない。
「ここの肉なら食べられる、そう言ってくださるお客さまもいらっしゃいます」

こうして栗原のお肉をブランド化することで今後の厳しい業界を生き抜く体力をつける目的は大きいですよね?
「単に珍しいとか話題になるとか、そういったことではなく、栗原の名物としてこの地域に根付いて地域の生産者と手を携えて安全な食をお届けしながら、雇用もまた作って行けたらと願っています」

中国などでは、桁違いの富裕層がそれこそ日本のお米や野菜、肉にいたるまで喜んで口にして、それしか食べないと言う人もいるほどだそうです。
日本の食文化の発展のために、今後は是非、国内だけでなく世界に打って出るくらいの、ひとつのモデルになることを期待しています!

ご馳走ダイニング 満てん
開村牧場 漢方和牛

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