映画 秘義・十八武芸拳法(82年・香港)


このポスターにピンときたあなたに私は握手したい気持ちでいっぱいです(笑)。
実はこれ、あの成龍とジェット・リーが共演した「ドラゴン・キングダム」で主人公の少年の部屋の一番いいところに貼ってあった、OPクレジットで真っ先に登場するポスター。あの顔はまさに劉家良師父であります。

秘義・十八武芸拳法(82年・香港)

監督
劉家良(ラウ・カーリョン)

武術指導
劉家良(ラウ・カーリョン)
京柱(チン・チュウ)
小侯(シャオ・ホウ)

出演
劉家良(ラウ・カーリョン)
劉家榮(ラウ・カーウィン)
劉家輝(ラウ・カーフェイ/リュー・チャーフィー)
傅聲(アレクサンダー・フーシェン)
惠英紅(ベティ・ウェイ/クララ・ウェイ)
小侯(シャオ・ホウ)

ええと、ここに書いてないだけで、相も変わらず結構な数のクンフー映画(おもにショウブラ作品)を観まくっている私。
どのくらいかというと、多分、張徹(チャン・チェ)監督と楚原(チュー・ユアン)監督と劉家良(ラウ・カーリョン)監督と胡金銓(キン・フー)監督のそれぞれの特徴と作風の違いが分るようになった程度には。

あ、あと、ジミーさん(王羽)がクンフー好きにどういう立ち位置のスターかということを理解したくらいにも(笑)。
ジミーさんに関しては、私、結構な思い違いをしていたようでして(笑)。
彼の本質は「片腕必殺剣」や「大刺客」ではなく、「続・片腕必殺剣」以降が真骨頂だったのですねぇ。もうね、ここんとこ結構な王羽祭りでしたわ。ふぅ。

昔のクンフー映画を観ていると、その監督ごとに使う武術監督やスターが固定されていて(ユエン・ウーピンら袁家班やラウ・カーリョンの劉家班みたいに兄弟で固めているケースもある)出演者の名前を見ただけで誰が監督したのかすぐ分る。
そしてなんとなく、その作風も。

今回のこの「秘義・十八武芸拳法」は、そういう意味では実に劉家良らしい1本。
動く劉家良を観て以来、そのスキルの高さにすっかりヤラれてしまったので、彼に関してはすでにエコ贔屓の域に達しております。あの軽い感じの話運びも見やすくていい。

劉家班擁するスター達も傅聲(アレクサンダー・フーシェン)とかめちゃキュートだし、劉家輝はキレッキレだし、小侯は身軽だし、なんといっても惠英紅が可愛い。
今作では、その惠英紅の麗しい男装姿という自分にとっての大好物まであって嬉しい限り。

が、なんといってもこの作品は、原題「十八般武藝」が示す通り、劉家良師父が弟劉家榮とラストに繰り広げる、18種もの武器を次々に取り替えて魅せるバトルシーンがみどころ。
もうね、なんというアメージングな闘いでしょうか。
こういうのを観たかったぜ!それを叶えてくれたような兄弟バトルです。

しかも、ひとつひとつの武器が登場する度に、しっかりその名前がテロップで入るので、三節棍とか九節鞭(くせつべん)、雙拐(トンファー)くらいしか知らない自分のような人間には、資料的な意味でも大変ありがたい映画だ~。
武器なしの拳術のことを「白打」というのね、初めて知ったわ。
さっそく買って保存版にしようと思ったらアマゾンの中古ですら8000円越えという値段に断念。くそ~。

それにしても、師父の映画はあんまり人を殺さんなぁと感心します。いや、殺してはいるんだけど(笑)、他の監督と比べるとそれがあまり目立たないというか。

今作でも劉家良扮する主人公のレイ・クンは刺客を誰ひとり殺さずに自分の理念を説得しようとする。
師父の敵役ラスボスに弟設定が多いのは、映画とはいえ、自らむやみに殺したくないからか?とさえ想像するくらい。(兄弟なら殺さない言い訳はたつもんね)

これはあくまでも想像ですが、彼は本来の武術というのは決して人を傷つけるためのツールではないと、エンタメの世界に在籍しながら、心のどこかで頑なに抵抗しているのではないかとすら思うことがある。
実はなんとなく、そういう姿勢が本物の「武術家」を感じさせて好きな要素でもあるんですよね。

その出発点が、クンフー映画に初めてコメディを取り入れたという師父の作風に現れているのかもしれません。
本当に、永久保存版にするに足りうる素晴らしい記録です。

最後に、冒頭に書いた「秘義・十八武芸拳法」のポスターが記憶違いであったかどうかを「ドラゴン・キングダム」のOPクレジットで確認しようとしたら、原稿の締め切りもそっちのけで、結局そのまま最後まで全部観てしまいましたとさ(笑)。

十八般武藝予告編1
十八般武藝予告編2

ドラゴンキングダムオープニングクレジット

 

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