マラソンコースの計測は、こうするのだ

いま、NHK第一ラジオで毎週火曜日の20時05分からの「渋谷スポーツカフェ」という番組に出演しております。
タイトルの通り、スポーツにまつわる様々な立場の方をゲストにお迎えしてお話をうかがう50分。

その番組に国際陸上競技連盟のマラソンコースA級計測員の平塚和則さんをお招きした時のこと。

普段何気なく見てるマラソン。
あれってたとえ毎年同じコースを走る場合でも必ず42.195キロ、レースの直前までに距離を測るんですね、知りませんでした。

その計測の仕方ですが、現在は「自転車に装着したカウンターで測る」方法と「50メートルのステンレスワイヤーで尺取り虫のように手で測る」方法の2種類があるそうです。

ええええええ、ワイヤー使ってチマチマ手で測るの!
それを平塚さんから聞いた時、かなり驚きました。
今時、そんな原始的な方法で測っているとは。

さすがに、尺取り虫方式は人数や技術など物理的に難しい国も多く、現在では日本くらいしかその方法を取り入れているところはないそうですが、それでも日本ではいまだにあるわけですよね、すごい。

この方式、必要な人数は交通整理もふくめ20人近くの人手が必要。
50メートルのワイヤーで42.195キロを7,8人がかりでマークして繰り返すこと844回!

当然歩きっぱなしで朝から晩まで測り続けて丸2日はかかる。過酷だ~。

もちろんカーブなどを計測する時は路肩から30センチ、センターラインの側になるとラインから30センチと決められている。

路肩から30センチっていっても工事をしていたり路上駐車の車があったりと障害物も多いはず。
そういう際には工事の人に事情を話して中に入れてもらったり、時には路上駐車の車の下に身体を入れてワイヤーを通し測ることもあるのだそうです。ひぃ~。

現在はステンレスワイヤーが使用されていますが、昔はこれを50メートルの竹尺で計測したそうです。竹はある程度弾力がありつつ、しなりますからね。

そして、その正確さは世界一!

この尺取り方式で測った距離は何度他の方法で確認しようが誤差などはでたことはないという。さすがです日本人。

もう一方の自転車方式は、自転車にとりつけたカウンターで測る方法。

しかしこれはこれで、3台の自転車で路肩30センチのラインを時速20キロから25キロで走行、5キロごとにカウンターをチェック。

しかもノンストップで自転車を走らせなければ意味がないので、自転車方式の場合、レース当日、交通規制が行われた後に計測することがほとんどだそうで。

レースによってはスタート3分前に出発し、トップランナーの約1キロ先を走る、ということも。

沿道を埋めたファンでも先頭を行く自転車が計測員だとご存知のコアなファンは、やはりいる。
「計測員が来たからもうすぐランナーが来る」と理解している観客や「お疲れさまです!」と声援を送ってくれる人がいて嬉しいとお話していました。

けれど、マラソンコースというと結構な登り坂もあったりするわけで、自転車とあなどるなかれ、相当の体力が必要です。
そのために平塚さんも普段からの体力作りには気を遣っていらっしゃるそう。

さて、その自転車につけるカウンターとやらを見せて頂きましたが、これがものすごく玩具みたいな感じで(笑)拍子抜けしてしまいました。

まさか「チャチイ」とは言えないので(笑)「凄くシンプルなカウンターですね」と感想を言ったら「これでも最近改良されてカウンターが縦に表示されるようになったんですよ」とのお答え。そういう問題なのか!

ちなみに誤差はでないのか、という疑問に対しては、当然誤差も考慮したうえでの計測になっているそうで、1キロを0.1%の誤差分を足して1001メートルで測るのがルール。

誤差は多いぶんにはいいけど短いのは絶対に許されない。
なので42.195キロと謳っていますが正確であればあるほど、実際は42メートル長くなるというわけです。

普段なにげなく観戦するマラソンですが、こういう方々の働きがあってこそなんですねぇ。
お話を聞いていて思わず拝みたくなりました。

渋谷スポーツカフェ平塚和則氏

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